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[海外注目企業の継続支援編] 2015年7月21日号
           ≫≫≫Author:脇本和洋
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HealthBizWatchで「海外注目企業の継続支援編」を担当します脇本和洋です。
今回は、SparkPeopleという米国最大のダイエットネットコミュニティからのヒントを解説します。
 
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【1】特集:海外注目企業の継続支援編
---交流で継続支援、SparkPeopleから学ぶ
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「共感・共有・共創」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---厚生労働省公表資料、海外アプリ動向など5本
 
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【1】特集:海外注目企業の継続支援編
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【テーマ:交流で継続支援、SparkPeopleから学ぶ】
 
 
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SparkPeopleにみる、継続支援のヒント
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健康食品、ウェブ、施設サービスにとって利用の継続率を上げることは経営の重要課題です。
 
スポルツでは、国内外の様々な健康ビジネス事例研究、専門家へのヒアリングから、健康行動の継続に作用する支援技術を探査・抽出・整理して「継続ドライバ」と命名、2007年から自主研究、現場への活用を行っています。
 
◇継続ドライバとは
 
今回は継続ドライバの一つである「交流」機能を充実させている、ダイエットの米国最大ウェブコミュニティ「SparkPeople」を解説します。
 
同サイトには「何か一つ、自分にあった習慣を見つけてもらい実行できる」ための期間限定のウェブコミュニティとして、
 
・30日間デイリーチャレンジ
・4週間チャレンジ
 
で交流機能を活用しています。そこには日本の健康食品メーカー、ウェブサービス展開企業、施設サービス企業などでの継続課題(特にサービス加入後1か月後の継続率を高めること)の解決ヒントがあります。
 
・参考バックナンバー(同サイトに関する過去の特集)
 
 
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「SparkPeople」基本情報:会員数は1,500万人
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◇企業名:SparkPeople, Inc.
 
◇設立:2001年
◇ミッション:人々(People)をスパーク(Spark)させて目標を達成し、健康的な生活へと導く※Spark:刺激を与えて○○させるという意味
 
◇ターゲット:仲間と励ましあいながらダイエットを成功させたい人
◇事業概要:ダイエットコミュニティ・サイトの運営
 
◇サービス概要:コミュニティ、健康知識、記録などを中心としたダイエットサイト。コミュニティに特色がある
 
◇会員数:1,500万人(2014年)
◇会員利用料:無料
 
◇売上:推定3.2億円 ※D&Bグローバルプロファイル調べ(2015/4更新)
◇収益源
・広告収入
・オンラインショップ(フィットネス、食事に関連した小物やグッズ、DVDなど)
 
ウェブコミュニティは「SparkTeams」と「Challenge Central」の2つがあります。
「SparkTeams」は、自分と似た境遇の人たちと出会える一般的なコミュニティである一方、「Challenge Central」は知識に交流を加える新しいコミュニティです。
 
 
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Challenge Centralとは:何か一つ、自分にあった習慣を見つけてもらう
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Challenge Centralは「何か一つ、自分にあった習慣を見つけてもらい実行できる(develop healthy habits and have fun )」ことを価値とし、仲間と交流も行います。
 
・30日間デイリーチャレンジ
・4週間チャレンジ
 
の2つがあります。
 
 
 
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30日間デイリーチャレンジ(新習慣のコツ+ソーシャルメディアで交流)
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習慣化できそうなことが30日間メールで送られてきて、何か一つ自分にできそうな習慣を発見します。また、フェイスブックやツイッターと連携しており、自分の気に入った習慣を周りの人に伝えることができます。
 
◇30日間デイリーチャレンジの種類
 
運動特化
・Walkabout Challenge(ウォーキングチャレンジ)
 
食事特化
・Goodbye Gluten Challenge(グルテンを減らすチャレンジ)
・「Fit Food」Challenge(自分にあった食事法を見つけるチャレンジ)
・Digestive Detox Challenge(デトックスチャレンジ)
 
習慣全般(食事運動他、精神面も含む)
・Healthy Habits Reset Challenge(習慣をリセットするチャレンジ)
・Balanced Life Challenge(生活バランスを重視したチャレンジ)
・Make It Real Challenge(ペットと夢を実現していくチャレンジ)
 
・Realistic Resolution Challenge(日々できそうなことを見つけるチャレンジ)・Small Changes Challenge(小さなできることを見つけるチャレンジ)
・「Winter Wellness」Challenge(冬のウェルネスチャレンジ)
・Skinny Jeans Workout Challenge(スリムなジーンズをはくチャレンジ)
 
 
◇30日間デイリーチャレンジの流れ
 
基本的な流れは共通しています。以下はその例です。
 
例:Healthy Habits Reset Challenge(習慣をリセットするチャレンジ)の場合
 
自分自身の習慣をリセットするためのチャレンジ。メールで申し込むと30日間に渡って習慣化のヒントが送られてきます。(食品企業であるバランスバー社がスポンサー)
 
例えば、2日目のテーマは「Create Your Game Plan(日々の生活の時間の使い方)」で、その実行のコツとして「日々何か一つを行う時間を強制的に確保することが大事」とアドバイスがあります。「20分エクササイズするとか、10分ヘルシーな朝食をとるとか。自分のスケジュールの中に強引に取り込むことがポイントになる」と短い文章で記載があります。
 
その後、気に入った「習慣化できそうなこと」があれば、それをフェイスブックやツイッターで友人などに知らせることができます。
 
 
日々の生活の中で何か一つ新しい習慣を見つけてもらうため
 
・写真でインパクトをもたせ
・簡易な言葉でテーマを一言で表現し
・さらに実行しやすくする「コツ」を提示し
・フェイスブックなどと連携することで、周りからも見られ応援してもらえる
 
ように工夫しています。
 
 
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4週間チャレンジ(新習慣のコツ+ステージ別ウェブコミュニティで交流)
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4週間チャレンジは、30日間デイリーチャレンジと違い、1週間ごとに実行することが提示され、週ごとのウェブコミュニティでお互いに励まし合うものです。
 
◇4週間チャレンジの種類
 
運動系
・Spring Into Shape Bootcamp Challenge(4週間春のブートキャンプチャレンジ)
・January Jumpstart Fitness Challenge(4週間新年のフィットネスチャレンジ)
・28-Day Bootcamp Workout Challenge(28日間ブートキャンプチャレンジ)
・10-Minute Daily Exercise Streak Challenge(4週間1日10分の運動チャレンジ)
 
食事系
・Sweet Tooth Challenge(4週間、甘党を克服するチャレンジ)
・Diabetes Weight Loss Challenge(8週間糖尿病予防のための減量チャレンジ)
・Healthy Cooking Challenge(4週間、ヘルシークッキングチャレンジ)
 
運動食事以外の習慣系
・Stress Busting Challenge(4週間ストレス対処チャレンジ)
・Healthy Family Makeover Challenge(4週間家族でダイエットチャレンジ)
・Better Sleep Challenge(4週間家族の良質な睡眠を得るチャレンジ)
 
 
◇4週間チャレンジの流れ
 
基本的な流れは共通です。以下はその例です。
 
例)Healthy Family Makeover Challenge(4週間家族でダイエットチャレンジ)
 
家族全員でダイエットの習慣を見つけるためのチャレンジ。
申し込むと、1週目の実行内容を見ることができます。1週目は3つのアクションプラン(テレビを見る時間を減らす、家族会議の時間をもつ、自分自身のダイエット生活を見直す)が提示されます。これらについて簡単に解説があり、詳細は同社記事のバックナンバーへのリンクがあります。
 
また、解説の下部には「コツ」を教え合うウェブコミュニティが用意されています。1週間経過した人、2週間経過した人などに分かれ、実行段階が同じ人同士でコツや感想を共有できるようにしています。
 
コミュニティには、「スパークピープルモチベーター(コミュニティ活動に熱心な人)」から選ばれたチームリーダーがつき、ウェブコミュニティを活性化させます。これは以前には見られなかった新しい機能です。
 
※参考>スパークピープルモチベーター
 
このように、4週間チャレンジでも、日々の生活の中で何か一つ習慣を見つけてもらうため、
 
・実行内容について詳しい学びを提供(ラーニング)
・コツを教え合うステージ別のウェブコミュニティを用意
・参加者の自主性を引き出すしかけでコミュニティを活性化
 
といった工夫をしています。
 
一言でいうと、「ラーニングコミュニティ」になっています。
 
 
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Challenge Centralにみる、継続利用促進における「交流」の新しい使い方
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健康食品、ウェブサービス、施設サービスともに、継続率の向上のためには最初の段階(加入後特に1か月)でどのような施策を行うかが大きなポイントになります。
 
施策はいくつかありますが、顧客に「小さなことでいいので、何か一つ新しい習慣が身に付いた」という変化をもたらすことは、顧客が小さな成功体験を積むことであり、また提供企業への信頼も高まる有効な方法と言えます。
 
その点、今回紹介したChallenge Centralは、期間限定(1か月)で「小さくていいので、新しい習慣を何か一つ身に付けてもらいたい」ということを目的にしており、その中で「交流」機能をうまく絡ませており、今後日本での応用展開の可能性は大きいのではないでしょうか。
 
今回紹介した「4週間チャレンジ」の方は、ラーニングコミュニティと言われるものですが、我々にもこれに類した企画運営経験があります。交流をうまく使いながら「何か一つ身に付けてもらう」支援をすることは、その人の自信につながり、その後の継続率が実際に高まっています。
 
 
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継続率向上のためのスポルツのサポートサービス
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◇健康食品、ウェブ、施設サービスの利用継続率を伸ばすための「継続支援企画」
http://hbw-store.com/service/keizoku1507.html
今回紹介した「交流」は、継続支援技術「継続ドライバ」の一つです。この継続ドライバを活用いただき、貴社施策の費用対効果を高めます。
 
・社内セミナー
・ベンチマーク調査
・共同企画
 
という3つのメニューでサポートしています。
 
 
◇継続ドライバのオープンセミナー(8月6日開催)
継続ドライバを紹介するオープンセミナーを定期開催しています。事例を使って継続ドライバを紹介します。少人数制で質疑応答も充実させていますので、是非ご参加ください。
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「共感・共有・共創」
 
お客様との関係性をいかにデザインしていくか?は健康ビジネス持続性の鍵となります。そのアプローチがこの3つです。いかにお客様とお互いを認める共感をつくれるか?そのプロセスをお客様と共有できるか?そして一緒に価値をつくる協力関係を喜べる共創に持ち込めるか?
 
いかがですか。
あなたの健康ビジネス現場には3つのキーワードが機能していますか?
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ!
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[1]厚生労働省、第14回特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検証のためのワーキンググループ 最終取りまとめ
特定健診の検査値では、積極的支援参加者は不参加者と比較すると概ね全ての検査値において特定保健指導後の3年間検査値の改善効果が継続していることが確認された、など。(2015/07/01)
 
[2]厚生労働省、ストレスチェック制度簡単導入マニュアルを公開【PDF】
平成27年12月より施行のストレスチェック制度について。いつまでに何をやればいいのか、何に気をつければいいのか、など。(2015/07/09)
 
[3]日本健康会議実行委員会、「日本健康会議」発足【PDF】
「日本健康会議」とは、少子高齢化が急速に進展する日本において国民の健康寿命の延伸と医療費適正化について、行政のみならず民間組織が連携し実効的な活動を行うために組織された活動体。(2015/07/10)
 
[4]Under Armour、グループワークアウトファインダーアプリ『Gritness』を取得
Gritnessのアプリは、人々がいろいろな運動を見つけたり、参加したりするのに役立つサーチエンジン。このアプリやWebサイトを通して同じようなフィットネス関連の運動を探したり、関心のある友人を見つけられる。(2015/07/08)
 
[5]心の状態をシフトさせるデバイス『Thync』
超音波と微量な電流によって装着者をリラックスさせたり、ポジティブな気持ちにしたり、元気づけたりするウェアラブルデバイス。本製品は、神経信号を用いてエネルギーのシフトや穏やかな心の状態を誘導する。(2015/07/14)
 
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