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[モバイルヘルス&アプリ動向編] 2015年8月11日号
           ≫≫≫Author:渡辺武友
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HealthBizWatchでモバイルヘルスを担当しています渡辺武友です。
毎月第二週目で「モバイルヘルス&アプリ動向」編をお届けします。
 
今回はモバイルヘルス・デバイスの現在の傾向と、今後の予測、期待されることについて特集します。
 
 
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【1】特集:モバイルヘルス&アプリ動向編
---今後アプローチすべきモバイルヘルス・デバイスの方向性
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「経験共有型価値創造」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内学会情報、海外ウェアラブルフィットネストラッカーなど6本
 
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【1】特集:モバイルヘルス&アプリ動向編
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【テーマ:今後アプローチすべきモバイルヘルス・デバイスの方向性】
 
 
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1.モバイルヘルス・デバイスの種類
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現在、主にモバイルヘルス・デバイスとして分類されるのは、
 
フィットネストラッカー
スマートウォッチ
血圧計
体温計
血糖値計
 
などです。
研究段階のものとしては、薬の飲み忘れ防止のための服薬支援デバイスなど、医療に関連する新たな技術に注目が集まっています。
 
 
<参考:服薬支援デバイス>
・服薬記録パッケージ
 
・体内に薬を運ぶロボット
 
現在のモバイルヘルスの主流はフィットネストラッカーです。フィットネストラッカー市場を中心に詳しく見ていきましょう。
 
 
◇フィットネストラッカー市場シェア
2014年のNRDの調査では、Fitbitが市場シェアの67%、Jawboneが18%とFitbitが圧倒的な強さでした。今年6月発表のIDCの調査では、Fitbitが34%、2位にXiaomiの25%となり、市場シェアが変動してきました。
Xiaomiは昨年、13ドル(現在14.99ドル)という圧倒的な安さのフィットネストラッカー「Mi Band」を発売し、低価格路線で市場を一気に奪っていきました。
 
Xiaomiはまだ日本で正式発売されていません。しかし、この波は日本にも起こることですし、海外展開を考えれば無視できません。
 
<参考:市場シェア>
・IDC調査
 
 
◇フィットネストラッカーの機能
2011年に登場した「UP by Jawbone」あたりから一気にムーブメントになっていたフィットネストラッカーの主な機能は、活動量(歩数、睡眠)まででした。2013-2014年あたりから多くの端末で心拍計測が追加されました。
現在のトレンドとしては、水泳のトラッキング機能が増えています。
 
機能面では、どこかが出せば各社が追随する傾向にあるため、機能のみでの差別化は現実的ではありません。
 
<参考:水泳トラッカー>
・スポーツウェアラブル市場調査
 
・Apple Watch用スイミングアプリ
 
 
◇価格競争の激化
Misfitが低価格モデル強化を進めています。要因はApple Watchの登場で、フィットネストラッキングはスマートウォッチの1つの機能になってしまうと想定したためです。また前記したXiaomiの米国進出も大きな要因となっています。
 
今後、さらなる低価格デバイスが登場してきます。
 
<参考:フィットネストラッカーの低価格化>
・Misfit、19.99ドルで『Flash Link』発売
 
・Xiaomi、ニューモデルを近々発表
 
 
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2.モバイルヘルス・デバイスに求められる機能
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「技術的に何が測れるか?」よりも「健康課題として何を解決できるか?」の視点が必要になります。
ダイエットでみた場合、運動の面は現状のフィットネストラッカーで対応できますが、今後もう1つの大きな要素となる「食事」へのアプローチが求められます。
また、糖尿病など生活習慣病では、定期的な計測が求められ、そのストレスを技術がどう解決するかも重要な視点になります。
 
 
◇デバイスによる摂取カロリーの自動記録
ここ2、3年で、ベンチャー企業が食事に関する記録の自動化にチャレンジを始めています。製品化まで行った例としては『Healbe GoBe』があります。
『Healbe GoBe』は、皮膚からグルコースを読み取り摂取カロリーを測定するというアプローチをとっています。日本でも並行輸入で購入可能です。
 
どこまでデータが取れるかの問題はありますが、食事記録の自動化であれば、連携したいサービス企業は多いです。
 
<参考:デバイスによる摂取カロリー計測>
・Healbe GoBe
 
 
◇非侵襲による血糖値記録
生活習慣病では、糖尿病患者向けの取り組みがサービス面、デバイス面でも注目されています。特に血糖値計測では、血液を採取しなくてよい、非侵襲血糖値計の研究が進んでいます。
 
血液に関わるデータを非侵襲で計測するのは技術的にもかなり難しいですが、多くのソリューションと連動する可能性があり、チャレンジすべき領域です。
 
<参考:非侵襲血糖値計>
・皮膚に貼る『ウェアラブルタトゥー』
 
 
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3.今後のモバイルヘルス・デバイスを活用したビジネスのポイント
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フィットネストラッカーでみた場合、機能を追加してもすぐに他社に追随され、差別化がしにくい状況です。
また、Xiaomiが一気に市場シェアを広げていることからも、ユーザーが低価格商品に流れてしまう動きは止められず、今後、価格破壊が起きます。
 
ニーズとしてある「健康課題を解決する」ためにも、測れるだけではない、解決策(サービス要素)を軸にした展開で、他社との違いを明確にしていくことが重要になります。この動きはまだ始まったばかりですので、大いに先行優位に立てる可能性があります。
 
では今後、開発企画を進めるにはどうすべきか?
 
計測として何ができるかよりも、以下の項目を整理することから始めることが望ましいです。
 
・健康課題の洗い出し
・個々の課題の解決策把握(リアルを含めて)
・解決策と親和性がある自社技術の棚卸し
 
ぜひ他社に真似されない、独自性あるモバイルヘルス・デバイスの開発にチャレンジしてください。
 
 
 
【モバイルヘルス・デバイスの方向性検討】
スポルツでは、現状のモバイルヘルス・デバイスの市場調査から、企画検討、デバイス連動サービスの開発をサポートします。
まずは気軽な情報交換など、お声がけください。
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「経験共有型価値創造」
 
お客様と経験を共有しながら満足アウトカムに寄り添う価値創造が、今後の健康ウェルネス事業のプロセスデザインの中心になっていきます。
あなたのサービスでは、お客様との経験共有という切り口で何を創出していますか?
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ!
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[1]ローソン、「食物繊維入りそば」の販売店舗を約7000店に拡大
業界初の特保許可オリジナルそば。トウモロコシデンプン由来の水溶性の食物繊維「難消化性デキストリン」を配合しているため、小腸での糖の吸収スピードを穏やかにし、食後の血糖値が気になる方に適している。(2015/07/30)
 
[2]花王、血管力と皮膚性状の関係を発見
血管力が高い人は皮膚性状が良好であることを見出し、皮膚性状の指標として血管力が有効であることがわかった。さらに、ストレス度や体調悩み意識(冷え性、血行、睡眠の質、疲れやすさなど)も低いことを確認。(2015/07/30)
 
[3]パナソニック、「デジタルバランストレーナー」新発売
高齢者の転倒要因の1つであるバランス機能の低下に効果的なリハビリを手軽に楽しく行えるリハビリ機器。タブレット端末を活用し、コンパクトなサイズで導入を検討しやすい価格設定を実現。(2015/08/03)
 
[4]第24回健康学習学会を開催
開催日は8月22日(土)23日(日)。ヘルスコーチングに関する「最善の理論」と「最新の知見」を同時に得ることができる健康学習学会。
 
[5]調査:英国の患者の58%、英国、フランス、ドイツの医者の72%がデジタルヘルス技術を使用
PushDoctorの報告書によると、運動レベルを監視するために患者の22.8%がスマホ、タブレット、またはPCを使用。さらにBMIを落とすために17%が、心拍数を測定するために16.9%が、このようなデバイスを使用している。(2015/07/31)
 
[6]mHealth Watch注目ニュース:人工知能のパーソナルトレーナー「Moov Now」
運動をするモチベーションを自分だけでは維持できない人のために、Moov社は「Moov Now」をローンチ。同社の人工知能を活用したパーソナルトレーニングを備えたウェアラブルのフィットネストラッカー第二世代。(2015/08/03)
 
 
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