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[海外注目企業の継続支援編] 2015年8月18日号
           ≫≫≫Author:脇本和洋
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HealthBizWatchで「海外注目企業の継続支援編」を担当する脇本和洋です。
今回は「共創体験情報を使った継続支援」をテーマにお届けします。
 
 
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【1】特集:海外注目企業の継続支援編
---共創体験情報を使った継続支援
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「コミュニティからの学び」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内大規模高齢者コホート研究、海外職場向けGoogle Glassなど8本
 
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【1】特集:海外注目企業の継続支援編
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【テーマ:共創体験情報を使った継続支援】
 
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共創体験情報とは
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共創体験情報は、「企業」と「その企業の商品・サービスを利用してうまくいっている体験者」が、共創によって生み出す情報のことです。
 
具体的には、
 
(1)まず特定の企業が「自社の商品サービスを使いうまくいき、人に貢献したい体験者」を募ります。
 
(2)次に、体験者と共同で、うまくいったコツや肉体的・精神的変化の情報を制作します。
 
(3)最終的には、その情報を既存顧客に届け、既存顧客の継続率を高めるというものです。
 
今回は、「共創体験情報」を使って継続を支援する2つの事例を紹介します。
 
 
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事例1:Patientslikemeの「patients voice」
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Patientslikemeは、難病患者のためのコミュニティサービスを提供します。同じ病気や症状に苦しむ患者同士が、症状や治療法のデータを共有することで、新たな対策を見つける集合知サイトです。
 
●patients voiceとは
難病でありながらうまくコントロールできている「体験者」へのインタビュー。病気の発症、利用のきっかけ、実際の使い方、利用してできたこと(変わったこと)をストーリー形式で紹介しています。(一人2-3分の動画)
 
例)patients voice(てんかん、パーキンソン病などの患者)
 
●patients voiceにおける共創
 
・参加者
同社には、「data for good」という患者が自身のデータを製薬会社の新薬研究のために提供するプロジェクトがあります。patients voiceに参加している人は、「data for good」にも参加している人です。つまり、自分がよくなることだけではなく「人のために何かしたい」という思いの強い人です。
 
・共創体験情報
参加者は難病の人が多いだけに、制作は難しいものとなります。しかし、体調を見ながら、自分の生活をオープンにし、制作に協力しています。そのような環境で作った情報だけに、サービス利用のコツが具体的で、うまくいくイメージをつかみやすいものになっています。既存顧客がこの情報を見ると、サービス利用を継続したくなるはずです。
 
※Patientslikemeに関するバックナンバー
 
 
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事例2:ウェイトウォッチャーズの「I'm Only Human and I Did It Project」
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ウェイトウォッチャーズは世界最大のダイエットセンターです。同社のダイエット法で成功した人(グループリーダー)が教えるミーティングビジネスが特長です。
 
●I'm Only Human and I Did It" Projectとは
同社のサービスを受ける前と後の姿、減量で自分が工夫した具体的な点などを体験者自らが動画で撮影し、規定のYouTubeサイトにアップするものです。(一人2-3分の動画)
 
例)成功者からの動画(女性中心)
 
●「I'm Only Human and I Did It Projec」における共創
 
・参加者
このプロジェクトに参加している人は、同社の募集サイトに自ら応募した人で、同社を利用し減量に成功した人です。特に「今までうまくいかなかったけど、今回成功した」「その成果を見てもらいたい」「同じダイエット法を行っている人の役に立ちたい」という思いの強い人です。(見る限り、同社が多額のインセンティブを用意はしていません)
 
・共創体験情報
参加者が動画を撮影し、それを同社が適宜編集するという共同制作の形になっています。「人の役に立ちたい思い」が強く、成功している人からの情報なので、サービス利用のコツが具体的で、成功イメージをつかみやすいものになっています。だからこそ、既存顧客がこの情報を見ると、サービス利用を継続したくなるわけです。
 
 
※ウェイトウォッチャーズに関するバックナンバー
 
 
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共創体験情報を企画・制作する際のポイント
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企業が、顧客にサービスを継続してもらうには、「うまくいったコツ・イメージ」を伝えることがポイントになります。一方うまくいった人は、うまくいったことを「人に教え、貢献したい」という欲求があります。
 
「共創体験情報」はこの2つを結び付けるものです。
 
スポルツが「共創体験情報」を作成してきた経験から、企画・制作におけるポイントを以下にまとめました。
 
<参加者に対して>
・貢献したい(教えたい)欲求に答えること
・人の役に立ちたいという欲求に答えること
・メディアに掲載される喜びに答えること
・継続的に活動できるようにすること
 
<情報を見る人にとって>
・自分ごと化できるヒントが豊富にあること(定性・定量)
・実効性のある実践の「細部のコツ」がわかること
 
 
今回紹介した、「共創体験情報」は継続支援の新しい切り口です。うまく活用してはいかがでしょうか。
 
 
●参考
「共創体験情報を使った継続支援」の参考事例として、リクルートが発行する「ゼクシー」という情報誌の「花嫁1000名委員会」があります。健康業界とは違いますが、一歩先をいく共創事例です。
 
 
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継続率向上のためのスポルツのサポートサービス
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■継続ドライバとは
 
スポルツでは、国内外の様々な健康ビジネス事例研究、専門家へのヒアリングから、健康行動の継続に作用する支援技術を探査・抽出・整理して「継続ドライバ」と命名、2007年から自主研究、現場への活用を行っています。
 
 
■継続ドライバのオープンセミナー(9月10日開催)
継続ドライバ全体を紹介するオープンセミナーを定期開催しています。事例を使って一つ一つの継続ドライバを紹介します。少人数制で質疑応答も充実させていますので、是非ご参加ください。
 
■健康食品、ウェブ、施設サービスの利用継続率を伸ばすための「継続支援企画」
 
継続ドライバを活用いただき、貴社施策の費用対効果を高めるというものです。
 
・社内セミナー
・ベンチマーク調査
・共同企画
 
という3つのメニューでサポートしています。
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「コミュニティからの学び」
 
貴社のお客様とのコミュニティは多くの学びを得ることのできる宝です。
コミュニティで起こる自然な化学反応を観察しましょう。
 
お客様と貴社スタッフ、貴社スタッフと貴社スタッフ、お客様とお客様、それぞれの反応に次なるサービスのヒントが必ず発見できるはずです。
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ!
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[1]バイエル薬品、20-40代の「親や祖父母の目の健康に関する意識」と「加齢黄斑変性の認知の現状」について調査【PDF】
50代以上の親や祖父母を身近に持つ20-40代において加齢黄斑変性の疾患認知率は48.6%。若い世代を含めた社会全体における加齢黄斑変性の認知向上、とくにその“失明リスク”と“社会活動への影響”についての啓発が必要。(2015/07/27)
 
[2]ドコモ・ヘルスケア、実験動画「カロリームービー」公開
リストバンド型活動量計「ムーヴバンド2」のプロモーション用動画。本動画は、「見るだけ」でカロリーを効率よく消費するように設計されている。(2015/07/31)
 
[3]慶應義塾大学医学部、百寿者の秘訣:健康寿命を延ばす二つの要因を発見【PDF】
大規模高齢者コホート研究。百寿者とその家族では、テロメア長と炎症という2つの領域において特徴があることを発見した。(2015/08/04)
 
[4]大和総研、「健康経営」は企業価値向上に繋がるのか?
健康経営や働き方改善に効果をもたらす施策は、企業の属性や現状の組織、人事制度によっても異なる。健康経営を進めるためには、まずは自社の現状を把握することから始める必要があると言える。(2015/08/05)
 
[5]日本予防医学協会、2015年度 NPO法人健康経営研究会 健康経営セミナー
東京会場の開催は8月26日(水)。12月より施行されるストレスチェック制度の導入も視野に、企業のコンプライアンス、リスクマネジメントなどの観点から働く人に対する事業者の健康管理責任について講演予定。
 
[6]グローバルニュートリショングループ、「健康食品ビジネス大事典」発刊
「健康食品ビジネス大全」(2011年刊行)が大幅リニューアル。健康食品ビジネスの決定書が法改正・新制度に完全対応。
 
[7]「Google Glass」職場向けバージョンを企業に配布か
The Wall Street Journalによると、Googleは、医療、製造、エネルギーといった業界の職場向けに設計された新しいバージョンのGoogle Glassを各種企業に配布しているという。(2015/08/06)
 
[8]IBM、CVSの店舗にWatsonを導入
IBMとCVSが新たに結んだ提携により、薬剤師が「インターネットに接続された医療」のケアサービスを実現するプラットフォームで活躍可能な見通しが出てきた。(2015/08/10)
 
 
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