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[モバイルヘルス&アプリ動向編] 2015年9月8日号
          ≫≫≫Author:渡辺武友
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HealthBizWatchでモバイルヘルスを担当しています渡辺武友です。
毎月第二週目で「モバイルヘルス&アプリ動向」編をお届けします。
 
今回は海外の健康、医療のヘルスケアアプリ動向を紹介します。
日本ではまだ見られないアプローチでビジネスに活用している事例を特集します。
 
 
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【1】特集:モバイルヘルス&アプリ動向編
---海外の健康、医療それぞれのアプリの活用動向
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「フィジカル・ポテンシャル」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内スポーツチャレンジ助成、海外リング型ウェアラブルなど10本
 
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【1】特集:モバイルヘルス&アプリ動向編
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【テーマ:海外の健康、医療それぞれのアプリの活用動向】
 
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1.ヘルスケアアプリ動向
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スマートフォン用のアプリとしてヘルスケアとメディカルジャンルのものが登場してからすでに6年が経ち、10万種類を超えるまでになりました。
 
日本の現状と同じく、海外でも無料アプリのダウンロード率が増しています。アプリのマネタイズにおいても、多様化してきました。
まずは、海外のヘルスケアアプリをどのようにビジネスに活用しているのかを見ていきましょう。
 
 
◇メーカーでのアプリの活用
スポーツアパレルとしてモバイルヘルス活用で成功した事例は、NikeとAppleが連携した「Nike+」でしょう。
後発であるUnder Armour が、現在、モバイルヘルス活用によるブランディング強化をはかっています。
当初はadidasなどと同じく、自社デバイスを発売していましたが、他社デバイスとの差別化だけでなく、無料アプリまでが競合になってしまうため、スケールしづらい状況でした。
 
今年前半から、すでに数千万人規模の会員を持つヘルスケアアプリを複数買収(MyFitnessPal、MapMyFitness、Endomondo)し、アプリ間連携をはじめました。その他にもデジタルフィットネスサービスのRadiusとの提携、NBAのファン向けアプリの開発など、市場認知拡大になる施策としてヘルスケアアプリを活用しています。(その後adidasもRuntasticを買収。同様の展開に)
 
<参考:Under Armourの取組例>
 
 
◇リアル店舗でのアプリの活用
ドラッグチェーンのWalgreensが会員向けサービスとして展開するポイントプログラム「Balance Rewards」は、単に店舗で購入したらポイントが付与されるものではなく、健康行動もポイント対象となっています。特に高血圧症、糖尿病など生活習慣病で、継続的な健康行動が必要な患者のアドヒアランスに貢献(プログラムへ1年後も参加している人が70%に)し、顧客の囲い込みになっています。
 
ポイントプログラムでは服薬状況、血圧、体重などの記録から、運動プログラムの実施状況などが含まれます。そこにヘルスケアアプリやデバイスが活用されています(Jawbone、Fitbit、iHealth、Withingsなどのデバイスや、MapMyFitness、MyFitnessPal、RunKeeper、LoseItのようなアプリ)。
 
<参考:Walgreens のBalance Rewards>
 
 
アプリを使ったデータ連携により、Under Armourは、新たなユーザーへのアプローチを、Walgreensはプログラムを飽きずに好みのものを選べるといった継続利用に貢献させています。
 
 
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2.メディカルアプリ動向
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医療における海外でのモバイルヘルスの活用は、日本とは少し違うようです。「AppScript」のように、医師が患者にアプリを処方するものや、糖尿病などの生活習慣病支援としてFDAの認証を得たアプリなど、患者に提供されるアプリが増加してきています。
 
その他、患者に提供されるアプリの事例を見ていきましょう。
 
 
◇疾患別のトラッキング
製薬会社が難病患者向けの臨床試験でアプリを活用するケースが増えてきました。薬の服用状況だけでなく、疾患ごとのコンテンツ(Rocheが提供するパーキンソン病患者向けアプリには発声テスト、バランステストなどが用意されている)から、日常生活の記録などに役立てられています。
特に生活習慣の記録には、健康領域でのアプリのノウハウが活かされています。
 
スマートフォンよりも、常に身につけてもらえる可能性が高いことから、スマートウォッチの導入試験もはじまっています。
 
<参考:医療における実証実験>
 
 
◇障害者の支援
障害者の支援にモバイルヘルスの技術が活かされるようになってきました。スマートフォンに搭載されるGPSを活用し、専用のデバイスやスマートウォッチを活用して視覚障害者サポートが動き出しました。
 
2014年8月にリリースしているNovartisの「Via Opta apps」は、音声やヴァイブレーションを使って、障害者に道案内をするアプリで、最新のものはスマートウォッチ(Apple Watch/Android Wear)に対応しています。
 
<参考:障害者支援モバイルヘルス>
 
 
患者向けのアプリは、以前は記録系がほとんどでしたが、疾患ごとのソリューションまで踏み込んだものが増え、日々の生活に活かされるようになってきました。
 
 
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3.今後のヘルスケアアプリを活用したビジネスのポイント
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テーマによりアプリの役割は変わってきます。今回紹介した事例でのアプリの活用ポイントは以下の4点です。
 
・Under Armour
すでにユーザーを獲得しているサービス(アプリ)と連携することで、集客・ブランディングに活用する。
 
・Walgreens
複数のサービス(アプリ、デバイス)と連携することで、ユーザーに幅広い選択肢を与える。
 
・Roche
提供者側が必要な記録だけにとらわれず、改善(現状維持)に役立つソリューションを提供することで継続利用してもらう。
 
・Novartis
障害を補う、日常生活における必然性をソリューションとして提供する。
 
解決すべき課題にスポットをあてた場合、必ずしも自社アプリ開発のみに拘る必要はないと言えます。シンプルにオープンな連携ができるようにすることも、設計段階から考慮しておきたいです。
 
また患者向けにスマートウォッチの活用を検討するケースが増えてきました。高齢者など常にスマートフォンを持ってもらうのが難しい場合に役立つ可能性がありますので、デバイスの特性を活かしたアプリのあり方を検討していくことが望ましいでしょう。
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「フィジカル・ポテンシャル」
 
お客様に自らのフィジカル・ポテンシャル(身体的可能性)を感じてもらう経験をサポートできているだろうか?これはあらゆる健康サービスプロセスの課題です!
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ!
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[1]大和総研、「健康経営」における経営者のコミットメントの重要性
現状、健康増進の取組みはPlan及びDoにとどまり、Check、Actionに進んでいないケースが少なくない。取組みのPDCAを後押しするには「健康宣言」等による明文化にとどまらず継続的な経営トップからの働きかけも望まれる。(2015/08/26)
 
[2]ローソン、ナチュラルローソンで「チアシード」や「キヌア」を使ったオリジナル商品新発売
植物性の脂肪酸を含む「ココナッツミルク」、食物繊維が豊富な「チアシード」、栄養バランスに優れた穀物「キヌア」を使った食事を提案。「かぼちゃとキヌアのミルクスープ」など。(2015/08/27)
 
[3]村田製作所、高齢者介護・生活支援用ワイヤレスベッドセンサーを開発
ワイヤレスで体の状態をモニタリングできる機器の構成部品。介護施設や病院、自宅で継続的にベッドに寝ている人の状態や各種バイタルサインのデータをモニタリングして無線通信するため、離床検知や睡眠状態の分析などに広く応用可能。(2015/08/27)
 
[4]ヤマハ発動機スポーツ振興財団、スポーツチャレンジ助成募集開始
スポーツを通じて自己の夢・目標にチャレンジするアスリートや指導者、研究者等の活動を助成。また、海外へ留学する日本人大学生・大学院生や日本に留学している外国人留学生への奨学金制度も実施。(2015/08/31)
 
[5]厚生労働省、日本人がたくさん食べている野菜は?
9月1日から30日まで食生活改善普及運動を実施。今年度は「毎日プラス1皿の野菜」を目標とした取組を重点的に実施する。日本人の野菜摂取状況に関するランキング上位は、1位だいこん、2位たまねぎ、3位キャベツ。(2015/08/31)
 
[6]オムロンヘルスケア、オムロン式美人が企画した書籍「リズム美人の365日セルフケアダイアリー」を新発売
体の冷えと女性のリズムの関係から「体を温めるためのセルフケア」を提案。「冷え」がもたらす体への影響や「朝」「昼」「夜」の1日のリズム、女性特有の月経リズム、日本特有の四季のリズムごとに適した温活方法を紹介。(2015/08/31)
 
[7]オールアバウトライフマーケティング、日本最大級のサンプリングサイト「サンプル百貨店」会員数100万人を突破
サンプル百貨店はサービス開始以来、生活者と企業のニーズを反映しながら成長を続けてきた。特に2009年開始の”ちょっプル”は、生活者の声を企業に届ける事によって半額から1/3程度の「お試し費用」で商品を提供できるサービスとして商品動向に敏感な30-40代の主婦・OLを中心に高い支持を得ている。(2015/08/28)
 
[8]グローバル インフォメーション、国際学会「Digital Health Summit 2015 - デジタルヘルス学会 2015年」参加申込み受付開始
初のデジタルヘルス学会を英国ロンドンにて11月30日-12日1日に開催。Global Engage Ltd.主催。mヘルス、eヘルス、テレヘルスに関するケーススタディなど。(2015/08/31)
 
[9]北欧発!健康のため何をすべきかを教えてくれるリング型ウェアラブル『ŌURA Ring』
ユーザーの睡眠レベルと日中のアクティビティーレベルをモニターし、体を動かすべき日なのか、それとも休息が必要なのかを教えてくれる新しいリング型のウェアラブル。(2015/08/27)
 
[10]調査:遠隔医療提供を計画する大企業が2016年急増する
非営利組織National Business Group on Health(全米企業保険組合)によると、来年はかなり多くの大企業が今年よりも従業員に対する遠隔医療サービスを提供することになるようだ。(2015/08/28)
 
 
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