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[ヘルスコーチングの視線編] 2015年10月27日号
           ≫≫≫Author:里見将史
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前回は、複数人を対象としたグループやコミュニティといった形式でのヘルスコーチングのポイントをお届けしました。ヘルスコーチングはコミュニケーション技法なので、1対1でしか提供できないと感じる人も多いようです。
 
また、ヘルスコーチングは対面や電話など、直接的なコミュニケーションでしか成立しないと思われがちですが、そんなことはありません。最近では、ICTを活用したヘルスコーチングサービスがいろいろ展開されてきています。
 
そこで今回は、「ヘルスコーチング × ICT」に関してお届けしたいと思います。
 
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
---ヘルスコーチング × ICT
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「エクスペリエンス・デザイン部」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 アプリ・調査結果、海外 デバイス動向など11本
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
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【テーマ:ヘルスコーチング × ICT】
 
 
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1.ICT上でも1対1のヘルスコーチング
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一般的なコーチングはもちろん、ヘルスコーチングでも個別性、パーソナライズは必要な要素です。しかし、1対1の直接的な対話形式にこだわると、距離や時間などの制約条件が発生し、ビジネス的な拡がりが期待できません。
 
そこで、ICTを活用しウェブ上、モバイルを使ってヘルスコーチが1対1でサポートするヘルスコーチングのサービスが展開され始めてきています。そこには、ICTならではのコミュニケーションスタイルで提供されています。
 
 
1-1 寄り添い感、見守られ感
 
ウェブやモバイルを活用したヘルスコーチングでは、テレビ電話やチャット形式でのテキストで、利用者とヘルスコーチが直接コミュニケーションを取ります。
これまでのヘルスケアサービスでもメールでサポートするサービスもありましたが、メールではリアルタイム性や反応がわかりづらいため、そこに「人」が寄り添っていてくれている感じが薄くなってしまいます。
 
テレビ電話はヘルスコーチと直接会話が可能なのはもちろん、チャット形式のテキストでのコミュニケーションでも、リアルタイムに反応が感じられるため、画面の中のテキストを通しても「人」を感じることが可能なのです。
 
 
1-2 コミュニケーションスタイルの変化
 
これまでのコーチングのコミュニケーションの中心は、対面での会話や電話が主流でした。対面での会話の価値は変わりませんが、電話についてはウェブやモバイルでのコミュニケーションへと変化してきています。
特に最近では、メールでのコミュニケーションよりもLINEのようなチャット形式でのコミュニケーションが多く使われるようになってきています。
 
このように利用者が普段使用しているコミュニケーション手段に合わせて利用者とヘルスコーチのやり取りの仕組みを提供することで、利用者にとってサービスの垣根やハードルが低くなって受け入れ易くなるのです。
 
ICT上での1対1のヘルスコーチングも、いろいろなコミュニケーションスタイルで提供が可能になってきています。
 
 
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2.SNSを活用したコミュニティスタイル
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前回ご紹介したコミュニティスタイルのヘルスコーチングでは、1対1のコミュニケーションよりも個別性が薄まります。
しかし、コミュニティ内は「仲間」がいるのが1対1のコミュニケーションとは大きく異る部分です。コミュニティスタイルのヘルスコーチングでは、提供価値として「学び」の要素がポイントになってきます。
 
 
2-1 知識+実践
 
コミュニティ内では、様々なコミュニケーションや情報交換のやり取りが発生するため、それらの会話一つ一つがメンバーにとって「学び」につながります。また、その「学び」をメンバーと一緒に実践して共有する「場」としても機能します。
 
ヘルスコーチングと聞くと一切「ティーチング」はしないかと思われがちですが、「ティーチング」と「コーチング」が合わさったのがラーニングコミュニティというスタイルなのです。
 
 
2-2 テーマ設定、組み合わせ
 
コミュニティスタイルでは、「学ぶ」と「実践」が中心だとお伝えしましたが、「学ぶ」部分については、コンテンツやメソッドはもちろん、商品や道具などを正しく使うことも「学ぶ」の一部になると考えています。また、学んだことを実践することをヘルスコーチはコミュニティをファシリテーションしながらサポートします。
 
そのため、ヘルスコーチは各分野の専門家や商品、道具などと連携・活用することで、様々なテーマのコミュニティスタイルのヘルスコーチングサービスも提供可能になり、サービスの幅も拡がります。
 
 
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3.ヘルスコーチング要素を組み込んだサービス
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ヘルスコーチングはコミュニケーション技法なので、対話、コミュニケーションの中で効果的に作用するものなのですが、ヘルスコーチが直接介入しなくてもヘルスコーチングの要素をウェブやモバイル、アプリサービスに組み込むだけでも、利用者に対してヘルスコーチング的なアプローチが十分可能です。
 
 
3-1 気づきを与える仕組み
 
ヘルスコーチングの会話の中心は利用者です。
そのため、ヘルスコーチングでは利用者の考えを身体の外に「言語化して出す」ことがポイントになってきます。利用者は言語化する過程で、いろいろと考えたり、また考えを整理したりするのです。その時に、「気づき」が生まれるのです。
 
みなさんも会話の中で自分で話しながら整理できたとかスッキリしたという経験をお持ちだと思いますが、まさにその部分をサービスの中に組み込むイメージです。
ウェブやモバイルを使って現状のヘルスケアサービスを見ていると、情報提供、アドバイス提供はしっかりされているのですが、利用者に発信してもらう、コメントしてもらう工夫が少ないです。
 
コンテンツやアドバイス、チェックリストやアセスメントなどで利用者に届けただけでそのままにしてしまうのではなく、利用者から引き出す、例えばアンケート形式で回答してもらうひと工夫だけでも「気づき」を与える仕組みが提供可能なのです。
 
 
3-2 PDCA、振り返りの仕組み
 
ヘルスコーチングでは、目標を設定し、その目標に向けて細かいPDCAを回しながら進めていくのが基本的な進め方です。そのPDCAの中でポイントになってくるのが「振り返り」です。取り組みの振り返りや進捗の振り返りなどを定期的に行いながら振り返りを起点に次のアプローチを明確にしていくステップになるのです。
 
レコーディング系のサービスも、記録することは振り返りのタイミングでもあるのです。しかし、その記録だけに留まってしまって「振り返り」を提供していないのがほとんどです。レコーディングダイエットで成功するためには記録から課題を見つけて、その課題に対して取り組むことが必要なのです。
 
記録だけが成功の要因ではなく「記録→振り返り」が重要な要素なのです。
このように「振り返り」の機能をサービスに組み込むことはヘルスコーチが介在しなくても可能なのです。
 
今回はヘルスコーチング × ICTのアプローチを解説しました。
ヘルスコーチングは対面や電話などの直接的なコミュニケーションが基本だと思われている方がまだまだ多いですが、ICTとの連携でヘルスコーチングは多くのヘルスケアサービスの中で提供可能になってきているのです。
 
ご自身のヘルスケアサービスでの可能性を一度想像してみてください。
 
次回は、ヘルスコーチングの展開事例とその中から見えてきたことをご紹介する予定です。ご期待ください。
 
 
 
 
【ヘルスコーチングのサービスイメージ】
 
ヘルスコーチングについて、なんとなくのイメージはできたけど、実際にどんなサービスとの相性が良いのか?どんなサービスで提供できるのか?まだまだイメージしづらいかもしれません。
 
例えばですが、こんなサービスが既に展開されていたりします。
 
・ダイエット食品の利用者に対する電話によるヘルスコーチングサービス
・健康機器の利用促進に向けたグループコーチング
・食事記録サービスの中でのダイエットを目的としたコーチングコミュニティ
・社員の肥満解消のためのオンラインダイエットコーチング
・健康食品通販のロイヤルカスタマー向け定期購入者離脱防止コーチングメール
・専門家向けスキルアップのためのコーチングコミュニティ
・食品の効果を高めるための商品を活用したグループコーチング
 
既存のサービスとヘルスコーチングとの連携について、ご興味ある方はお気軽にお問い合わせください。
貴社のサービスとの連携イメージなどご提案させていただきます!!
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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【3】今週の注目デジクリップ!
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[1]ジェイアイエヌ、ドライバー向けアプリケーション「JINS MEME DRIVE」を提供開始【PDF】
センシング・アイウエア「JINS MEME ES」のオフィシャルアプリ。世界初の3点式眼電位センサーにより運転時のドライバーのまばたきや視線の変化から眠気を推定し、アラートする。(2015/10/14)
 
[2]日本能率協会総合研究所、60歳-79歳の男女に聞く「食生活と食意識に関する調査」
ひとり暮らし高齢者の食の特徴は、「孤食」「メニューの偏り」「不規則化」。
20代ひとり暮らしの若者に近い食の“若者化”の傾向。(2015/10/14)
 
[3]第一生命保険、親による自身の介護に向けた備えー1人暮らしの親がいる別居子へのアンケート調査からー【PDF】
自宅で1人暮らしをする親がいる(いた)全国の40-69歳男女へのアンケート調査をもとに、子世代の生活設計において親の介護問題を想定する際の留意点や独居者が自身の将来の介護等に向けてどのような準備を進めていくべきかを考察。(2015/10/14)
 
[4]KDDI、神奈川県の未病市場創出促進事業にセルフ健康チェックサービス「スマホdeドック」が採択決定
自宅に居ながら健康チェックを行える「スマホdeドック」の神奈川県在住者を対象とした優遇価格(40%OFF)での申込受付を開始。神奈川県が推進する「未病市場創出促進事業」の対象サービスとして採択された。(2015/10/14)
 
[5]ディップ、「職場でのマタハラ・イクハラの実態」に関する調査
「はたらこねっと」の未婚ユーザーと、STRIDEが運営する「Woman&Crowd」の既婚ユーザーの女性を対象に調査。「周囲の人がマタハラ・イクハラを受けている(いた)」との回答に、未婚女性が約20%なのに対し既婚女性は約40%。(2015/10/15)
 
[6]熊谷市とセブン-イレブン・ジャパン、「熊谷市高齢者見守り活動に関する協定」を締結【PDF】
セブン‐イレブンが展開するお届けサービス「セブンミール」や店内商品のお届け等の日常業務において、ひとり暮らし高齢者の異変を察知した際、熊谷市と連携し対応する。また、高齢者雇用への協力も行う。(2015/10/16)
 
[7]サンスター、歯みがきの習慣が変わる3分間の新提案「未来の歯みがき」ムービー公開
歯みがきの時間を楽しみにかえる新発想のデジタルデバイス「G・U・M PLAY」の発売に向け、機能紹介ムービーとコンセプトムービーおよびティザーサイトを公開。(2015/10/19)
 
[8]メタボリックシンドローム撲滅キャンペーン10周年記念セミナー
開催日は11月2日(月)。「肥満・メタボの予防の為の具体的な指導法」。医療関係従事者対象。
 
[9]Open Bionics、手を切断した子どもたちのためにディズニー映画のキャラクターを模したバイオニック義手を作る
Open Bionicsは、義手のデザインがMarvel(コミック)やFrozen(「アナ雪」)、Star Warsのデザインなら子どもたちが喜ぶ、と期待している。(2015/10/15)
 
[10]お腹の赤ちゃんの成長度合をみるウェアラブルデバイス『Modoo』
Modooは、妊婦のお腹に貼り付けて胎児の心拍や動きをモニターするデバイス。計測データは、連携させたスマートフォンでいつでも確認できる。直径40mm×厚さ6mm、重さ20g未満と小さく軽いので負担なく常に装着しておける。(2015/10/16)
 
[11]Vicks、スマートフォンに接続する体温計『Vicks SmartTemp』とアプリを発表
「Vicks SmartTemp」と呼ばれるこの体温計は、利用者の体温を保存し、そのデータをBluetooth経由でiOS、Androidデバイスに送信。Vicksの体温計は先端がフレキシブル設計であり、口、脇、直腸測定に利用できる。(2015/10/20)
 
 
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