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[ヘルスコーチングの視線編]2015年12月22日号
          ≫≫≫Author:里見将史
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2015年はみなさまにとってどのような年だったでしょうか?
 
我々の視線では健康ビジネスへの注目が盛り上がった1年でした。
そして、来年はそれ以上に事業プレイヤーの活動が活発化するはずです。
 
スポルツとしては、健康ビジネス市場で顧客との関係性を向上しビジネス拡大を目指す事業プレイヤーのサービスプロセスの設計からコミュティデザイン&ドライブやヘルスコーチングの具体的メソッドを使って実効性あるサポートをさせていただきます。
 
2016年のHBW(ヘルスビズウォッチ)ならびにスポルツにご期待ください。
 
それでは今年最後のHBWをお楽しみください。
 
 
株式会社スポルツ 代表取締役 大川 耕平
 
 
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
---ICTヘルスコーチングの事例紹介2「オンライングループヘルスコーチング」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「アイデアは出世魚のように変化する」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 調査結果・トレンド予測、海外 アプリ動向など12本
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
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【テーマ:ICTヘルスコーチングの事例紹介2「オンライングループヘルスコーチング」】
 
 
前回は、「ヘルスコーチング × ICT」の事例として、「オンラインパーソナルヘルスコーチングプログラム」をご紹介しました。
1対1のヘルスコーチングをオンラインで成立させるための具体的なコミュニケーション方法やそれぞれのコミュニケーションごとにヘルスコーチングの要素、視点について減量を目的としたオンラインパーソナルヘルスコーチングプログラムの事例で解説しました。
 
そこで今回は「ICTヘルスコーチングの事例」の2回目として、複数人を対象にした「オンライングループヘルスコーチング」の事例をご紹介したいと思います。
 
 
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1.オンライングループヘルスコーチングの仕組み
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ヘルスコーチングの基本は個別性、パーソナライズなのですが、1対1でないとヘルスコーチングは機能しないかというとそんなことは全くありません。実際に一般的な「コーチング」でも「グループコーチング」は行わています。
しかし、この場合の「グループコーチング」は集合型の研修スタイルで行われていたり、電話会議の仕組みを活用したケースが一般的です。
 
オンラインでのグループヘルスコーチングを成立さえる方法としては、現状ではSNSなどのコミュニティを活用したスタイルでの提供になります。
 
 
1-1、最適なコミュニティメンバーは10人以下
 
オンライングループヘルスコーチングでは、基本的には10人以下のメンバーに対して1人のヘルスコーチといった構成がベターです。
グループヘルスコーチングでは、ヘルスコーチと参加者の1対1のコミュニケーションの個別性は薄まりますが、その反面メンバー同士のコミュニケーションが増えていく中で、グループ内のメンバー、そしてヘルスコーチがチーム内のメンバーを追いかけられるのがだいたい10人までというのが理由です。
これ以上多いとメンバーの「顔」が見えづらくなり、逆にあまりに少ないメンバーだとグループならではの「良さ」が出てこないことになります。
 
 
1-2、ヘルスコーチの役割
 
ヘルスコーチングでの会話の中心は対象者です。
特に、コミュニティスタイルでのグループヘルスコーチングでは、いかにメンバーが発言しやすくするか、また、メンバー自らが率先して発言をするように働きかけていくかがポイントになります。
そのため、ヘルスコーチは会話をファシリテートする必要があります。ヘルスコーチはあらかじめ事前にファシリテートする会話、テーマ等を設計しておき、コミュニティの流れの状況に合わせて微調整することが求められます。
 
 
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2.「学ぶ場+自分化する場」のラーニングコミュニティ
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ヘルスコーチとメンバーとの1対1のコミュニケーションの量は少なくなりますが、コミュニティ内では、様々なコミュニケーションや情報交換のやり取りが発生するため、それらの会話一つ一つがメンバーにとって「学び」「気づき」につながるため、「ラーニングコミュニティ」とも言えます。
 
また、メンバー同士が同じテーマに取り組む同志という一体感が生まれ、目標に向けて「学んだこと」を実際に取り組んで「自分化する場」としても機能します。
 
 
2-1、「学ぶ場、気づきの場」
 
コミュニティスタイルでのグループヘルスコーチングでは、メンバーとヘルスコーチの直接的なコミュニケーションはもちろんですが、メンバー同士のコミュニケーション、またそれらのコミュニケーションを見ている立場など、いろいろなケースで「学び」や「気づき」があります。
 
コミュニティスタイルでのグループヘルスコーチングでは以下の4つのケースで「学び・気づき」のポイントが存在します。
 
(1)ヘルスコーチと自分の会話のケース ⇒ 学ぶ・気づく
(2)ヘルスコーチと他の参加者の会話を見ているケース ⇒ 眺めているだけでも学ぶ・気づく
(3)参加者と自分の会話のケース ⇒ 同じ目的の仲間からの学び・気づき・励み
(4)参加者同士の会話を見ているケース ⇒ 眺めているだけで学ぶ・気づく
 
コミュニティスタイルのグループヘルスコーチングでは、参加しているそれぞれのメンバーのコミュニティとの距離感は異なっているのが普通です。
しかし、それぞれの距離感や参加スタイルでもコミュニティ内から「気づき」や「学び」が得られるのが、コミュニティスタイルのグループヘルスコーチングの特長なのです。
 
 
2-2、「自分化する場」
 
コミュニティスタイルのグループヘルスコーチングでは「学ぶ場・気付きの場」であることはもちろんですが、やはりそれらの情報を得るだけではなく、仲間と一緒に取り組んでいく「場」でもあるのです。
実際にヘルスコーチングでは具体的な行動に落としていく、習慣化していく部分に目を向けたアプローチが基本になるため、メンバーが全く同じことに取り組んでみても、個々に合う、合わないが出来てきて当然です。
他の人と違いを認識しながら「自分に合うやり方」を見つけていく、いわば「自分流」を探せるのもコミュニティスタイルのグループヘルスコーチングの特長とも言えます。
 
 
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3.コミュニティスタイルのグループヘルスコーチングの活用事例
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コミュニティスタイルのグループヘルスコーチングでは、参加者の目的に合わせて様々なヘルスコーチングが可能になります。
また、コミュニティスタイルのグループヘルスコーチングの「学ぶ」部分については、コンテンツやメソッドはもちろん、商品や道具などを正しく使うことも「学び」の一部になってきます。
そのため、各分野の専門家や商品や道具などと連携・活用も可能でコミュニティスタイルのグループヘルスコーチングの提供サービスは幅広く考えられます。
 
 
3-1、BtoC向け「Dietコミュニティ」 
 
これまでに解説したコミュニティスタイルのグループヘルスコーチングを基本にこれまでに様々なSNSの仕組みを活用してコミュニティ運用を実施してきました。
 
そんな中で、日本最大規模の会員数を保有するダイエットサイト「Karada Manager」のユーザーに向けて2ヶ月間の「Dietコミュニティ」を既に2回、実証レベルで展開しました。希望者の中から抽選で30人程度を選び、8人ずつの4グループで各回展開しました。
 
同時期スタートで同じテーマのグループの展開であれば、一人のヘルスコーチが複数のグループを担当するのは十分可能です。しかし、その際にはしっかりとしたコミュニティの進行スケジュール、設計が重要になってきます。
 
2ヶ月間の「Dietコミュニティ」では、参加メンバーの平均減量体重は-2.2キロなので、減量体重の結果だけみると、大きな減量幅ではないように感じるかもしれません。
しかし、参加者の終了時のアンケートで「ダイエットの自分のやり方が発見できたかどうか?」についてヒアリングした結果では、87.5%の参加者が「自分のやり方が発見できた」と回答しています。
ヘルスコーチングは行動変容を支援することが目的です。
この結果からもわかるように、ヘルスコーチングの基本である行動変容をサポートすることは、コミュニティスタイルのグループヘルスコーチングでも十分可能なのです。
 
また、コミュニティ終了2ヶ月後に再度アンケートした時に「Dietコミュニティ」に関してのコメントをもらっていますので、少しだけご紹介したいと思います。
 
・辛い時こそメンバーと共有してモチベーションに繋げていくというのも方法の一つだった(女性)
・応援しつつライバル心がありました。他の人のやっていることをみながら、私もやってみようと参考にできます(女性)
・行き詰ったときにこそコミュニティでそのヒントを発見できました(女性)
・続けるには、意識を含めて小さな変化に気づき続けることだと思いました。自身を知る上で濃密な2ヶ月間だった(男性)
・目に見えての体重の減少は少ないですが、もっと大切なことに気付かせてくれました(女性)
 
 
3-2、BtoBtoC向け 商品連動のグループヘルスコーチング
 
コミュニティスタイルのグループヘルスコーチングでは様々な「学び」が存在しています。その中で、商品などの正しい情報を理解して、そして正しく「使う」「実践する」ことで商品の継続的な利用に繫がるコミュニティスタイルのグループヘルスコーチングも可能です。
 
実際には、特定の健康テーマに関して興味がある人に向けて、特定の商品を毎日継続しながら、その他の生活習慣も含めて取り組んでいくコミュニティスタイルのグループヘルスコーチングを実施しました。
 
特定の商品に関しては、基本的な商品情報、エビデンス情報などを提供します。またその商品の使い方はもちろん、工夫、商品を使っている写真などをコミュニティ内で共有しながら、参加者それぞれが健康改善に向けて自分に合った商品との付き合い方や商品と関連した健康行動を実践して合うやり方を探していくという取り組みを1ヶ月間展開しました。
 
その結果、スタート当初に比べて商品はもちろん、健康テーマに関する理解度が約9割以上の参加者でアップし、8割以上の参加者が健康テーマに関連した変化を感じていました。
やはり、コミュニティスタイルのグループヘルスコーチングでは「学ぶ場」「自分化する場」の双方が機能するのです。
 
 
3-3、BtoB向け 専門家スキルアップグループヘルスコーチング
 
インターネット等によってたくさんの健康情報を簡単に入手するこが可能なのですが、情報を入手しただけでは変化に結びつきません。やはり実際に行動をすることが重要なのですが、情報と行動の間にはギャップが存在します。
そのギャップを実際に肌で感じているかいないかは、健康分野の専門家にとっても非常に重要なテーマになります。
 
健康分野の専門家は、情報、知識はたくさん持っていますが、その情報や知識を使って取り組んでみた体験、実感が有るか無いかで、伝え方、伝わり方も大きく違ってきます。
 
そこで、健康分野の専門家を対象にコミュニティスタイルのグループヘルスコーチングを実施しました。専門家のみのグループなので、専門知識を使って専門家自身が実際に取り組んでみた感想や変化を共有するのはもちろん、日々の業務の中でのコミュニケーションへの活用なども専門家同士で共有し、専門家自身が単なる知識や情報にしておかずに「自分化」して実際の業務で役立てることに向けた取り組みです。
 
実際に専門家自身で取り組んでみると、取り組みの難しさや正しい取り組みではなかったことに気づいたり、また体験を通してコミュニケーションによって自信を持って話せたなど、これまで専門家が参加していた勉強会や講習会とは全く違って、自分の行動や習慣に変化が起きたのと同時に仕事にも役立てることができたという結果になっています。
 
ヘルスコーチングは行動変容を支援することが目的ですが、健康分野の専門家の「自分化」や「スキルアップ」にも役立てることが可能なのです。
 
 
今回はICTヘルスコーチングの事例として、「オンライングループヘルスコーチング」をご紹介しました。
ヘルスコーチングは対面や電話などの直接的なコミュニケーションが基本なのですが、コミュニティスタイルのグループヘルスコーチングは設計次第では、幅広く提供が可能なのです。
 
以下が実際に私がヘルスコーチとして展開したグループヘルスコーチングのレポートページです。グループヘルスコーチングのイメージはご覧いただけると思います。
 
 
 
次回は、ヘルスコーチングの展開事例の3回目として、ヘルスコーチング要素を組み込んだ具体的なサービスをご紹介する予定です。ご期待ください。
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「アイデアは出世魚のように変化する」
 
パワーを持ったアイデアは変化することによってより強く、鍛えられて現実的になっていくものです。そして、より多くの仲間の思いを刷り込むと実現が加速します。
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <12クリップ>
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[1]ドコモ・ヘルスケア、「肥満」の人より‘肥満予備軍’の人の方が2倍の頻度で夕食に揚げ物を食べる
全体を通して太り気味の人の方が肥満の人よりも健康課題を意識しておらず、食生活が乱れがち。BMI的には「太り気味」にとどまっていても、「肥満」になりやすい食生活を送っている‘肥満予備軍’といえるかもしれません。(2015/12/08)
 
[2]アール・ピー・アイとバイヤーズ・ガイド、「地域元気指数」調査及び、「食のイメージ」調査からなる全国「地域元気調査2015」を実施
全国約1.6万人の20-69歳の男女を対象に調査。地域の元気度と個人の幸せ感には強い関係があり、地域が元気であると感じている人ほど個人の幸せ感も高い傾向にある。地域の元気が1上がると個人の幸せ感が0.74上がるという関係にあり、地域が元気になることで幸せな人が増えることが分かった、など。(2015/12/10)
 
[3]トレンド総研、「2016年トレンド予測」に関するレポート
20-60代男女に聞く「2016年注目トピックス」ベスト10を発表。また、トレンド総研による2016年分野別トレンド予測では、「進化系減塩」「ウィートグラス」などが注目を集めそうと予測。(2015/12/10)
 
[4]日本コンピュータ・ダイナミクス、骨伝導ワイヤレスヘッドホン「コデオ」新発売【PDF】
携帯電話とペアリングすることで耳を塞がずに会話ができる骨伝導ワイヤレスヘッドホン。ヘッドホンのように頭を挟み込む形状にし、骨伝導パッドを頬骨のあたりに圧着させることでサイクリングなどの運動時でも外れないようにしている。(2015/12/10)
 
[5]ウィット、「なぜあの人は、夜中にラーメン食べても太らないのか?」出版【PDF】
国内最大級のダイエットサービス「あすけん」の管理栄養士 道江美貴子氏が執筆。ハイパフォーマンスを目指すビジネスマンを主なターゲットに、グリーンハウスグループの栄養士のノウハウと「あすけん」の食事データのビッグデータ分析から導き出した働く人のための食事法を収めたビジネス書。(2015/12/15)
 
[6]FiNC、世界最大級の投資銀行ゴールドマン・サックスの本社経営委員会メンバーより追加出資決定【PDF】
この度、世界最大級の投資銀行であるゴールドマン・サックスの本社経営委員会メンバーより出資を受けた背景は、FiNCがウェルネス経営及び世界No.1のウェルスカンパニーを目指すにあたり、グローバル事業を本格的に展開していくため。(2015/12/15)
 
[7]保健指導マーケット、「2016年版保健指導ノート」発刊
第一線の保健活動に従事する保健師、助産師、看護師、栄養士などに毎年愛用されている手帳。前半がスケジュール欄、後半が「資料編」となっている。
 
[8]新社会システム総合研究所、未来予測、貴社のビジネスモデルは通用するのか?「医療介護ヘルスケアビジネス戦略 2025」開催
開催日は2月16日(火)。今回のセミナーでは「医療改革の本質とは」「仁術から、算術、さらには情報ビジネスへ」「ビジネス勝者は誰か?その条件は?」について解説する。
 
[9]さらば注射器? Googleが針を使わない採血デバイスを開発
Googleは、注射針を使わずに採血をするウェアラブルデバイスの特許を申請した。その小型デバイスは、人の手首や指先などに装着し、マイクロ粒子で貫通した皮膚から少量の血液を吸い上げる仕組み。(2015/12/09)
 
[10]調査:世界ウェアラブル端末の出荷台数、第3四半期は前年比200%増の2100万台に
2015年に市場に参入したAppleは第3四半期、世界ウェアラブル端末市場の第2位につけ、全市場シェアの18.6%に相当する390万台を出荷した。世界的にみるとウェアラブル端末メーカー首位は相変わらずFitbitであり、同社の出荷台数は230万台から470万台に増加した。(2015/12/09)
 
[11]世界7か国で1位を獲得!40万人が愛用する不眠解消アプリ『pzizz』
「pzizz」が提供しているのは、いわゆる音楽療法。アプリの中には1千億に及ぶ膨大な数のサウンドトラックが登録されており、スタートボタンを押すとランダムに音がチョイスされる。約20分間聴くだけで脳が快眠の方向へ誘導され、夜にはぐっすりと眠れるようになるという。(2015/12/14)
 
[12]Weight Watchers、新プログラム『Beyond the Scale』に『FitBreak』アプリを搭載
新アプリ「FitBreak」は、Weight Watchersのメンバーをより活動的にさせるため、ユーザーにはアプリ内で個別の活動目標が与えられる。また、1分間のビデオ形式で提供される70ものオプションがあり、日常生活における活動を追加していくことで1日中ユーザーが「FitBreaks」を使うように促される。(2015/12/15)
 
 
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