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[ヘルスコーチングの視線編]2016年4月26日号
          ≫≫≫Author:里見将史
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これまで[ヘルスコーチングの視線編]では、ヘルスケアサービスの中での「ヘルスコーチング」の活用や具体的な事例を紹介してきました。
 
そこで今回は、「ヘルスコーチング」そのもののアプローチについて解説したいと思います。
 
しっかりとお伝えしたい内容なので少し頑張って準備したため、文章量が多くなってしまいました。少々長文ですが、ぜひ最後までお付き合いください。
 
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
---「ヘルスコーチングの具体的なアプローチ」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「魅力的なサービスには躾け力がある」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 新サービス、海外 デバイス動向など、7本
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
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テーマ:ヘルスコーチングの具体的なアプローチ
 
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1、ヘルスコーチは行動変容を支援するコーチ
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「ヘルスコーチング」のコミュニケーション技術を使ってアプローチする人を「ヘルスコーチ」と言いますが、「ヘルスコーチ」は一言でいうと行動変容を支援するコーチなのです。
 
一般的なイメージからすると「●●コーチ」と聞くと何かを教えてくれる人、指導してくれる人のイメージが強いですが、「ヘルスコーチ」は教える、指導するコーチとアプローチが異なります。
 
 
●アプローチの中心は行動の継続
 
これまでのヘルスコミュニケーションでは、指導者、専門家側のアドバイス、指導が中心で、どちらかというと受け手側である対象者は「受け身」の状態でした。
 
しかし「ヘルスコーチング」では、対象者の行動変容を支援し、そのあと対象者が自ら行動を継続することに目を向けたアプローチなので、受け手側である対象者が中心のコミュニケーションになります。
 
対象者が自ら気づき、行動を続けていきながら「PDCAサイクル」をしっかりと回していき、行動の習慣化、定着化を目指していきます。
 
では、行動の習慣化、定着化を目指していく中で、どんなポイントであったり、どんなアプローチをしていくのか、次にご紹介します。
 
 
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2、ヘルスコーチングで抑えるべきポイント
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ヘルスコーチングはコミュニケーション技法なので、決まったパターンや決まったフレーズがあるわけでは一切ありません。
しかし、タイミングや対象者の状況によって意識すべきポイントはあります。
 
以下はヘルスコーチングを行う上で、抑えておきたいポイントの一例です。
 
1)目標のその先のイメージを描く
2)目標と行動の違い
3)行動の選択と取り組みの把握
4)パーソナライズ(個別対応)
5)気づく、気づかせる
6)成功体験の積み重ね
7)成功体験の気づかせ方
8)習慣化、定着化
9)強制的と自発的
10)継続と意志の強さとの関係
11)振り返りの意味
12)目標と現在の距離感
13)「しない」ではなく「する」に変換
14)できないことに気づく、認識する
15)無理しない、頑張らない
16)できることにフォーカス
17)フィードバックの意味
18)アドバイスではない、提案、提示
19)アセスメントの役割
20)ティーチングとコーチングの役割とタイミング
21)自ら選択する意味
22)視点を広げる
23)PDCAサイクル
24)ストレス、障害を認識する
25)ヘルスコーチングの対象者
 
上記のようなポイント、要素を押さえた上で、「行動」に目を向け対象者に気づきを与えていきながら「継続」していけるように寄り添うのが「ヘルスコーチング」なのです。
 
 
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3、ヘルスコーチングの具体的なアプローチ
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ヘルスコーチングでは、健康課題に対して自らの改善活動(行動)を支援し、継続可能な状況を作り出すことが重要になります。
その時に、特に意識すべき具体的アプローチを5つご紹介します。
 
 
1)「目標と目標達成イメージへの意識」
 
目的、そして目標と具体的な達成イメージがモチベーションの源泉でもあります。
特に目標を達成した先にいる自分の具体的なイメージこそが、原動力になったりします。
そのため、ワクワクするような目標と具体的な達成イメージの設定、そしてそのワクワクした気持ちで達成したイメージを持ち続けるような仕掛け、フォローが重要になってきます。
 
 
2)「目標達成のために具体的な行動があることの意識づけ」
 
目標達成に向けて、具体的な行動(アクション)に取り組むことを常に意識することが大切です。
しかし、具体的な行動への取り組みに目を向け過ぎて集中し過ぎると「目標」「達成イメージ」が薄れていってモチベーションのダウンにつながってしまいます。
また、「行動」に目を向けすぎるあまりに、いつの間にか「行動」をこなすことが「目標」にすり替わってしまうケースが発生します。
そのため、目標を達成するために具体的な行動(アクション)への取り組みがあること、「目標」と「行動」の関係を常に意識させるサポートが重要です。
 
 
3)「現在の状況と目標を達成した時のイメージとの距離感の把握」
 
目標と現在の状況がどれだけ離れているのか、スタート時から定期的に把握していく必要があります。
目標と現在の距離感のイメージを持つことで、その距離感を埋めるための具体的な行動という位置関係も把握しやすくなります。
 
しかし、その目標と現在の距離感は数値やデータなど客観的に把握する必要はなく、また数値やデータで距離感を把握するタイミングはある程度の期間が経過してからのほうが適しているなど、タイミングも重要になってきます。
 
開始してまだ間もないタイミングでは、意識やモチベーションも含めて目標に近づいている、前進していることを主観的に把握する、気づくことが大切です。
 
 
4)「身体や意識の変化への気づき」
 
身体的な数値やデータが変化するにはある程度の期間が必要になります。
しかし、具体的な行動を日々意識してこなしていると、体調面での変化はもちろん意識の変化、心の変化など、身体的な数値以外の小さな変化が必ずあるものです。
 
通常であれば見過ごしてしまいそうな小さな変化に気づくことが、「やる気」や「モチベーション」にも関係していきます。
 
そのためには、気づいてもらう仕組み、仕掛けも重要になります。
小さな変化に気づかせる基本的なアプローチは「振り返り」です。
タイミングは毎日であったり、1週間単位であったり、月単位など、定期的な振り返りのタイミングを設定します。
 
振り返るということは、ヘルスコーチングでは自分の身体との対話でもあります。
この対話の中で小さな発見に気づく「感度」を高めていけるようなサポートが重要です。
 
 
5)「定着化、習慣化へは振り返りが重要」
 
目標に向かって取り組む具体的な行動は、最初から無理をさせず「なんかおもしろそう!」「なんか楽しそう!」が基本であり、「無理をしない」「我慢しない」ことが大切です。
 
また、具体的な行動の定着化、習慣化へのフィット感を高めていくためには、振り返りからの行動のメンテナンスなどの工程が重要になります。
 
一定期間取り組んでみてなかなか意識・取り組めない具体的な行動については我慢せず、すぐに別の行動に切り替えたり、アレンジを加えたり工夫しながら、フィットする具体的な行動を探していくサイクルが必要なのです。
 
また、実際に取り組んでみて振り返りを行うと、自分に合う、合わないということを認識してもらうことも、具体的な行動の定着化、習慣化に向けては重要な工程になります。
 
 
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今回は、ヘルスコーチングの抑えるべきポイントや具体的なアプローチを解説しました。これらは、私がヘルスケアサービスとコーチングのコミュニケーション技法の中からヘルスコーチングとして要素を整理した独自のポイントになっています。
 
次回は、実際にヘルスコーチングに取り組んでいる現場の方々の生の声をインタビュー形式でご紹介しておきたいと思います。
次回もご期待ください!
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「魅力的なサービスには躾け力がある」
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <7クリップ>
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[1]イサナドットネット、Pepperが医療機器と連携し健康管理をサポートする「Bism for Pepper」を「ロボアプリマーケット for Biz」にリリース
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[2]パソナメディカル、健康経営推進体制サポートメニュー「GO!健康」のサービス提供を開始
企業が健康経営を推進する際に必要な、従業員が心身ともに健康でいられる支援体制の構築を総合的に提供する健康経営推進アウトソーシングサービス。「ヘルスケアサポート」「ライフケアサポート」「ワークサポート」の3分野で提供。(2016/04/15)
 
[3]FiNCとウェルネスフロンティア、国内初!人工知能とBeaconを使った「パーソナルコーチAI」を提供
2社はサービス提携を強化し、全てのJOYFIT会員を対象に「パーソナルコーチAI」など7つの新サービスを追加したアプリケーション「JOYFIT×FiNCアプリ」を提供する。(2016/04/15)
 
[4]道とん堀、ファストフード専用サプリショップ「FAST FOOD AID」がGWにオープン
現代人の食生活に合わせた新業態。利用したファストフード店のレシート持参で栄養士協力のもと不足栄養素分のサプリメントを無料で補給できるサプリメントショップ。営業期間は4月29日から5月4日まで。(2016/04/19)
 
[5]ニート向けスマート運動デバイス『HOVR』
積極的な運動をせず普段の活動でカロリー消費を増やす概念である「ニート(Non-Exercise Activity Thermogenisis:NEAT)」を実現させるスマート運動デバイス。デスクワーク中に足をブラブラさせてカロリーを消費できる。(2016/04/18)
 
[6]睡眠時に最適な温度を調節し続けるベッドパッド『MOORING』
睡眠の質を上げるというベッドパッド「MOORING」がIndiegogoに登場。就寝時は肩付近と足を暖かくし、胴体を普通の温度に保つと一番良く眠れるそうだが、そのように温度を調節してくれる。(2016/04/15)
 
[7]adidasとInteractive Health Technologies、子供の体育授業用心拍数記録腕時計『Zone』を発売
「Zone」は、耐久性の高い活動記録デバイスで1日を通して生徒の心拍数を測定する。体育教師は、生徒の活動記録や心拍数を閲覧でき、目標心拍数を達成するために、どの子に注意が必要かがわかる。(2016/04/14)
 
 
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