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[ヘルスコーチングの視線編]2016年9月27日号
         ≫≫≫Author:里見将史
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この「ヘルスコーチングの視線」では、ここ数回に渡りヘルスコーチングのアプローチを実際のサービスに取り入れている現場の方々の生の声をインタビュー形式でご紹介しています。
 
前回は、ネオス株式会社ラーニングコミュニティー事業リーダーの藤井早織さんに、ラーニング型コミュニティ「Karada Manager オンライン」についてインタビューしました。
 
さて、今号ではフィットネスクラブにおける顧客コミュニケーションについてフィットネス業界の経営情報紙『フィットネスビジネス』の編集長であり、フィットネスクラブに関するポータルサイト「フィットネスオンライン」等を運営されている古屋武範さんにインタビューさせていただいたのでご紹介します。
 
フィットネスクラブでは、会員とのリアルなコミュニケーションが行われている現場です。その現場でのコミュニケーションで、今どのようなことが課題で何が求められているのか、ヘルスコーチングの視点でお話を伺いました。
 
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
---ヘルスコーチングの可能性を探る:
「フィットネスビジネスにおけるコミュニケーション」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「コミュニケーション時間品質」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 健康経営支援ソリューション、海外 ウェアラブル市場動向など、10本
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
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テーマ:ヘルスコーチングの可能性を探る:
「フィットネスビジネスにおけるコミュニケーション」
 
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1.フィットネス業界の経営情報紙『フィットネスビジネス』についてお聞かせください。
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(古屋氏)
1994年刊行の前身誌『クラブマネジメント』から続く、フィットネス産業の経営情報誌です。
「経営を成功裡に行うためにはどうすればいいか?」といったフィットネスクラブ経営者らの悩みにストレートに答えられる情報誌がなかったので、自分がつくるしかないと思いつくりはじめました。
毎号、旬なトピックを世界視野から提供しています。
 
 
 
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2.フィットネスクラブの会員とのコミュニケーションでは、現状どんなことが中心的なアプローチでしょうか?
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(古屋氏)
プログラム・指導の提供が中心です。
それを提供するために、まず測定・カウンセリングを行います。
そして、その結果を反映して、運動プログラムの提供から実施のサポートを行い、定期的に結果をチェックしていきます。
 
今のほとんどのクラブは、来館時のみのコミュニケーションに終始していますが、今後はスマホなどを使って日常的にコミュニケーションがとれるようになってくるかもしれません。
 
 
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3.古屋さんから見て、会員が求めているコミュニケーションはどのようなことだと感じていますか?
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(古屋氏)
まずは効果的な運動をきちんと習慣化して、人生のクオリティを高めるために、寄り添って、サポートしてほしいと感じていると思います。
さらに、快適で楽しいクラブライフが続けられたらと感じていると思います。
 
 
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4.フィットネスクラブとして会員の継続利用、退会防止は大きなテーマだと思いますが、その点についてコミュニケーションで必要なポイントはどんな点だと思いますか?
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(古屋氏)
会員がクラブに対して期待していることは、意外に入会前後で変わらず、またそれほど過度なことを期待してはいません。期待度の順に示すと、以下の通りとなります。
 
(1)運動不足解消・運動機会確保
(2)健康維持・増進
(3)筋力アップ・体力維持向上
(4)ダイエット・体型維持改善
 
筋力アップ、ダイエットよりも、運動不足解消、健康維持のほうが高いのです。
こうした期待に応えるようにすることが、継続利用、退会防止のポイントになります。
 
では、どのようにサポートすればいいかですが、FIAでこんな調査をしました。その結果が参考になると思うのでご披露します。
 
入会1-2年後の会員に「辞めたいと思ったことはなかったんですか?」と訊き、「(辞めたいと思ったことが)あります」と答えた会員に「では、どのように解消されたんですか?」と訊いたんです。
 
すると、
「インストラクターの適切なアドバイス」
「インストラクターの方が行くと必ず声をかけてくれた」
「インストラクターに相談しメニューを変えた」
「パーソナルトレーナーと話し、課題を見つけてもらい、次の指導時にどれだけできているかチェックしてもらうことにした」
「インストラクターと話すようにした」
「クラブからメールが来た」
という回答が、多くありました。
 
つまり、インストラクターの声のかけ方やコミュニケーションの仕方がとても大切になるということだと思うのです。
 
 
では、会員が実際にインストラクターから声をかけられてどうしたかというと、「少しペースを落としてゆっくりした」、「一時休会して、余裕ができたときに再開しました」、「時間のある時だけ、少しでもいいから自分にできる範囲で利用しようと割り切った」などのコメントが多くありました。
 
ここから推測するに、
(1)まずスタッフ、とりわけインストラクターが会員を無視していないということ。
(2)「がんばって」とか「こなくちゃダメ」みたいな体育会系的な言葉がけをしていないということ。
(3)そうではなくて、「無理しなくていいんですよ」「できる範囲でやり続けることが大事」「少しだけど効果出てますよ、大丈夫」といった会員に寄り添った言葉をかけていたのではないかということ。
 
だから続けることができたんじゃないかと、推測できます。
 
改めて、この産業はモチベーション産業だなーと。
ITやAIが発達しても、人が提供するこの部分は残るし、価値がある。
いかにモチベーションを高められるか、ここに取り組むことが大事なんだと思います。
 
 
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5.フィットネスビジネスも含めてヘルスケアサービスの中にIoT化が拡がっていくと思うのですが、今後顧客とのコミュニケーションはどのように変わっていくと思いますか?
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(古屋氏)
確かに、IoT化で、様々なサービスが出てくることでしょう。でも、フィットネスやヘルスケアで大切になるのは、心のこもった「人」のサポートです。
これは、逆にIoT化が進めば進むほど、価値が高まってくると思います。
 
 
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6.IoT化したヘルスケアサービスの中で、「人」はどのような存在、役割を担うと感じていますか?
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(古屋氏)
モチベーターですね。
フィジカルなデータをとったり、それを分析して、何らかのアドバイスをしたりすることはAIのほうが「人」より優れているでしょう。
でも、会員に寄り添い、モチベーションを維持したり、高めたりといったことを継続してずっとしつづけることはAIは苦手だと思います。
また、「人」と「人」とを結び付けて良好な関係をつくることも、しばらくは「人」のほうが優れていると思います。
 
こうしたつながりから得られる幸せ感やフィットネスを通じて得られる自己効力感、自信といったものは、これからの時代を生きていく上でますます重要になってくると思います。それらは「人」から得られるのです。
 
 
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7.行動の継続にフォーカスした「ヘルスコーチング」のアプローチは、フィットネスクラブの現場のコミュニケーションで、どのように役立てると感じますか?
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(古屋氏)
会員がトレーニングのモチベーションを保つのは大変ですから、「人」が「ヘルスコーチング」について学んで、コミュニケーションに活かしていくことは、とても価値のあることだと思います。
フィットネスクラブの最前線で顧客対応する人は、全員学んだほうがいいと思います。
 
 
以上が古屋氏にインタビューさせていただいた内容です。
 
 
フィットネスクラブの現場でも、やはり「人」の存在が重要で「関わり方」「寄り添い方」が見直されてきていると改めて感じました。
 
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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【3】今週の注目デジクリップ! <10クリップ>
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[1]パナソニックソリューションテクノロジー、企業向け「健康経営支援ソリューション」の提供を開始
すべてのモノがインターネットにつながるIoT技術やクラウドをベースにしたeラーニングサービスなどを組み合わせ、従業員の健康状態を見える化し、健康改善に向けた自主的な行動変容につなげる。(2016/09/13)
 
[2]ブレインケアクリニック、精神科外来に遠隔診療を導入
メドレーのオンライン通院システム「CLINICS」を採用し、Webを通じて予約からビデオチャットでの診察、決済や処方箋の配送までを提供する。オンライン通院で提供予定の診療メニューは、こころの健康外来(精神科・心療内科)など。(2016/09/14)
 
[3]腸温活プロジェクト、Webサイトをオープン
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[4]東京大学、気分の浮き沈みは体内時計が制御することを解明
今回、東京大学大学院理学系研究科の中野純、清水貴美子助教、深田吉孝教授らのグループは、マウスの不安行動は一日の中で時刻によって変化し、脳内の扁桃体に発現するSCOPというシグナル伝達因子がこの制御に必須であることを見いだした。(2016/09/19)
 
[5]経済産業研究所(RIETI)、収入と暮らしに関する将来予測と幸福度・メンタルヘルスの関係:消費者態度指数の質問を使った検証
2つの介入研究と1つの観察研究のデータを利用して、消費者態度指数等と幸福度やメンタルヘルスに関連する指標との相関関係について、パネルデータを活用した固定効果モデルによって検証したところ、消費者態度指数等が改善(悪化)するほどメンタルヘルスは改善(悪化)し、幸福度が高まる(低下する)ことが確認された。(2016/09/20)
 
[6]腹囲を測れるスマートなベルト『WELT』
「WELT」は、Bluetoothで連携し、締めた際にその長さをアプリで確認できるウェアラブルデバイス。歩数計としても機能し、歩数と消費カロリーを計測できる。さらに1日のうちどの程度の時間座った状態なのかも調べられる。(2016/09/14)
 
[7]研究:Canary Health、デジタル糖尿病管理プログラムで5つの健康指標が好評価に
デジタル糖尿病プログラムは、糖尿病を抱えた人々がオンライン講座や指導、服薬遵守や精神的支援を通して自己管理できるようになっている。1,000人を超える人々と6ヵ月の期間を通して研究を進め、5つの鍵となる健康指標のいたるところに好ましい結果が出た。(2016/09/14)
 
[8]ウェアラブル市場、FitbitがAppleを圧倒
IDCによると、ウェアラブル業界におけるFitbitの優位は変わっていないという。ウェアラブル市場全体では、2016年4-6月期は前年同期比で26.1%成長。但し、業績が好調なのは価格の手頃なエクササイズトラッカーなどのベーシックなウェアラブル。(2016/09/15)
 
[9]Cardinal Health、薬剤師と患者をつなぐ遠隔サービスを提供するTelePharmを買収
TelePharmは、いくつかの異なる事業があり薬剤師が多様な薬学にわたって専門技術を広めることに役立っている。ひとつの事業である「TeleCheck」では、薬剤の遠隔確認を提供する。(2016/09/20)
 
[10]『mHealth Watch』注目ニュース:Noomアプリは、従来の糖尿病予防プログラムに匹敵する
「British Medical Journal Open Diabetes Research & Care」が発表した研究では、Noomのアプリを使用している人の64%が5%以上の減量に成功。米疾病対策センターの従来の糖尿病治療プログラムや他の糖尿病予防プログラムと比べると大きな成功を収めている。(2016/09/20)
 
 
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