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[モバイルヘルス&アプリ動向編]2016年12月13日号
            ≫≫≫Author:渡辺武友
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モバイルヘルス担当の渡辺武友です。
 
モバイルヘルス専門ニュースサイトmHealth Watchでは、今年も毎週10本以上のニュースを紹介してきました。
mHealth Watchは、海外ニュース、国内ニュース、特集それぞれ1年分を新しい順にまとめ読みできますので、改めてチェックしていただくと役立つ情報が発見できると思います!
 
さて今回は、先月の「1年間の調査まとめ」に続き、毎週お届けしてきた「注目ニュース」の中から、再チェックしたい記事を振り返っていきたいと思います。
 
 
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【1】特集:モバイルヘルス&アプリ動向編
---今年のモバイルヘルス、再チェックしたい「注目ニュース」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「ちょっとの差が生む大きな差」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 あすけん新コース、海外 モバイル糖尿病コーチングなど、10本
 
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【1】特集:モバイルヘルス&アプリ動向編
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テーマ:今年のモバイルヘルス、再チェックしたい「注目ニュース」
 
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1、mHealth Watchの「注目ニュース」
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mHealth Watchでは、通常の記事は「クリッピング」として記事の要約を掲載していますが、毎週1回、編集者が解説する「注目ニュース」があります。今年は合計46本掲載してきました。
今年を振り返ると、AppleやGoogleなどのビッグネームによるヘルスケアでの新商品や、ヘルスケア注目のMyFitnessPalなどの動向はあまり伝わってきませんでした。
派手さはないですが、より実践的なアプローチをしたプロジェクトが注目される1年だったと言えます。
その中から改めて共有したい記事を3本紹介します。
 
 
1-1 Novartis、慢性じんましんの患者にソーシャルサポートアプリを支援(6月27日掲載)
 
 
Exco InTouchがNovartisからの支援を受けて開発した、慢性じんましんに特化したSNSアプリ「Target My Hives」です。
5月時点で、61ヵ国から登録された2,000人の患者が利用しており、ユーザーは、自分のじんましんに関する症状の抑制具合や、原因などの情報を入力でき、同じような症状を持った患者と、匿名で交流を持つことができます。
医師などの専門家からの情報だけでは補えない、経験者だからこその対処法などを共有できるHealth2.0のアプローチを、より継続しやすいものになったと言えます。
この記事から読み解きたいのは以下のポイントです。
 
<記事から学ぶべきポイント>
・製薬企業が情報提供に留まらない患者支援のあり方を研究している
・症状に合わせ、経験者ならではの価値ある情報の共有
・仲間で見守り合えるコミュニティの形成
 
 
1-2 シンシナティ小児病院で、アプリが青少年の服薬アドヒアランスを向上させた(10月3日掲載)
 
 
服薬アドヒアランス改善のためのサービス提供を行うMedaCheckによる、アプリを使ったアドヒアランス達成度調査です。
アプリでは、患者が薬を飲み忘れると、本人だけでなく、保護者などにもフォローアップの連絡がいきます。
アプリでの提供に適した年齢層(いつもスマホが手放せない少年)を想定し、年齢的な特性(反抗期で、自立したくて、煩わしいことを言われたくない)を踏まえたアプローチにより、アドヒアランス率を85%まで高めました。
この記事から読み解きたいのは以下のポイントです。
 
<記事から学ぶべきポイント>
・スマホ、アプリ利用に適したユーザーを明確にする
・ユーザー層の年齢的特性を最大限に踏まえてサービス設計をする
 
 
1-3 VRゲームで血友病の子供が点滴を乗り切りやすくする(10月17日掲載)
 
 
血友病を抱える子供(5歳程度)が定期的に行う治療(針を使う)は、とても嫌なものですが、バーチャルリアリティ(ヘッドセットによるVRゲーム)を使うことで、治療を楽しい時間に変える取り組みです。
VRゲーム「Voxel Bay」は、目を動かしたり、深呼吸などで操作することができます。
医師は、ゲームに夢中になる子供を放置して治療するのではなく、タブレットでゲームを共有しながら、ゲームの中で起きていることを子供と話しをして、より楽しめるようにしてあげます。
この記事から読み解きたいのは以下のポイントです。
 
<記事から学ぶべきポイント>
・VRヘルスケアが本格的にスタートした
・医師がゲームを共有することで、子供にとって「痛いことをする人」から「一緒にゲームを遊んでくれる人」になり、信頼関係が築けるようになる
 
 
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2、今後のモバイルヘルス成功のポイント
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今年は上記3例のように、現場で成果を出し始めたものを複数見ることができました。どれもユーザー視点に立ち、ユーザーの特性を踏まえて、継続しやすい工夫がされていました。
 
モバイルヘルスのテクノロジーの進化は鈍化したなどとも言われることがありますが、上記3例のように(小さな成果かもしれませんが)、モバイルヘルスには、まだまだ活用できる可能性を秘めています。VRなどこれからですね。
よりユーザー層ごとにブレイクダウンしたモバイルヘルス戦略で、継続率を高めたアプローチができると思っています。
 
このような情報をお届けする「注目ニュース」、来年もご期待ください!
 
 
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3、海外ニュース・事例の活用
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ウェアラブルなどの最新情報だけでなく、それらを活用したサービスにビジネスのヒントが潜んでいます。
スポルツでは、海外で先行するビジネス事例調査、市場動向調査、ユーザーニーズ調査を行い、ヘルスケアビジネス検討に即役立つことを目指しています。
 
例えば、
 
課題)
技術は開発したが、誰にどう売っていくとよいか?
 
解決策)
・発想素材調査
→新技術に親和性の高いビジネス事例、エビデンス、市場ボリュームの調査
・新技術を活用したコンセプト設計
→コンセプト作りの参考となるビジネス事例の提示
・コンセプトのビジネススキーム化
→継続的に使ってもらうための参考となる継続ドライバモデルの提示
 
 
来年度のスタートダッシュに向け、ぜひご活用ください。
 
お問い合わせ
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「ちょっとの差が生む大きな差」
 
毎日の努力が1年積み上がるとすごいことが起きる。
1.01の365乗は37.8 で 0.99の365乗は0.03。
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <10クリップ>
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[1]伊藤忠テクノソリューションズ、「Fitbit」を活用し健康経営を支援するソリューションを強化
健康経営をITで支援するソリューション「ウェルネス ワークスタイル」のラインアップとして提供し、企業の管理者によるデータ収集・分析機能を含めた企業向けサービスを開発中。B2B2Eビジネスを拡大させ、企業や健康保険組合を対象に3年間で10万ユーザーへの提供を目指す。(2016/11/30)
 
[2]FiNC、三井物産健康保険組合の35歳以上の組合員を対象に法人向けウェルネス経営サービス「FiNC for Business」提供
「FiNC for Business」では、組織ウェルネスデータの分析・可視化ツール「FiNC Insight」を用いて生活習慣アンケートの問診結果や食事・睡眠・運動などのパーソナルデータ、健康診断結果といった様々なデータを複合的に分析し、企業の組織・部門別に従業員の心身の健康リスクを可視化する。(2016/11/30)
 
[3]日立ソリューションズ、HRテクノロジーで人や組織のパフォーマンスの最大化を図る「リシテア/AI分析」サービスを販売開始
第一弾として、ストレスケアの必要な社員を予測する「組織ストレス予測サービス」を2017年2月6日に、業績やモチベーションなどパフォーマンスの高い組織の特性を抽出して可視化する「組織パフォーマンス診断サービス」を2017年5月に販売開始。(2016/12/01)
 
[4]ウィット、会員数100万人超の食事管理アプリ「あすけん」が「ゆる糖質制限ダイエットコース」を新設
糖質の摂取量を制限する糖質制限ダイエットに対するユーザーニーズの高まりが見られたことから「ゆる糖質制限ダイエットコース」の提供を開始。本コースは、さまざまなエビデンスを調査した上で健康を維持しながら無理のない範囲で実践できる糖質量を設定している。(2016/12/01)
 
[5]大和総研、経済・社会構造分析レポート:オバマケアはどう変わるか?ー米国医療制度の転換となるか、トランプ氏の本気度が問われるー
本稿では、トランプ氏が公約で廃止し新たなヘルスケアプランに置き換える(repeal and replace Obamacare)としていた医療保険改革法(The Patient Protection and Affordable Care Act of 2010)を含む医療政策について、現時点で考えられる今後の動きや課題を整理する。(2016/12/05)
 
[6]IoTヘルスケア市場 圧倒的急成長 2022年までに30倍(ウーマンズラボより)
IoTのヘルスケア市場は現在52億円だが、2022年には2,240億円まで拡大するとの予測が発表された。2022年は全ての市場が拡大すると見込まれているが、その中でも伸び代が非常に大きいのがヘルスケア市場。(2016/12/06)
 
[7]法研、「行動を変えるアプローチ」へるすあっぷ21 12月号発刊
今月号では、保健指導等で対象者を行動変容へと導くための様々なアプローチを特集。心理学や生理学の研究成果を応用したアプローチ、ウェブやIoTなど最新技術を活用したアプローチなど、効果的な仕掛けを紹介する。
 
[8]充電不要スマートウォッチ『MATRIX PowerWatch』-体温で発電して作動
「MATRIX PowerWatch」は、体温の熱エネルギーを熱電素子で電気エネルギーに変換して動くスマートウォッチ。自ら発電して作動するためバッテリを充電する必要がない。腕から外して熱エネルギーが得られなくなるとスリープモードに入り、再び装着すると動き出す。(2016/12/01)
 
[9]額にかざすだけで体温が測れる!スタイリッシュな体温計『Zeraph』
「Zeraph」は、測定開始ボタンと温度表示ライトのみのシンプルな作りだが、額にかざすだけで熱を計測することが可能な体温計。平熱であれば緑色、高熱であれば赤色が表示される。BluetoothでiPhoneに接続することで正確な体温を確認できる。(2016/12/06)
 
[10]mHealth Watch注目ニュース:Solera HealthとYes Health、モバイル糖尿病コーチングを提供
疾病対策センターが認めるYes Healthのサービスは、糖尿病予防プログラムを網羅している。そのサービスは、2型糖尿病発症の恐れのある患者に個別の健康アドバイスはもちろんのこと、栄養とフィットネスのトラッキングを行ないマンツーマンのコーチングを提供する。(2016/12/12)
 
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