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[モバイルヘルス&アプリ動向編]2017年4月11日号
   ≫≫≫Author:渡辺武友
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モバイルヘルス担当の渡辺武友です。
 
来週19日より「ヘルスケアIT」がはじまります。
スポルツは20日13:00よりA会場にて
 
『これからの健康経営を牽引するモバイルヘルス』を開催します。
 
今回のメルマガでは「健康経営の成功要因」を、13:45に登壇する
フジクラ社の浅野氏にお伺いしましたのでご紹介していきます。
 
 
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【1】特集:モバイルヘルス&アプリ動向編
---「健康経営の成功要因」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「解決できそうなカタチにする技術」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 遠隔健康相談サービス、海外 血糖値測定デバイスなど、15本
 
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【1】特集:モバイルヘルス&アプリ動向編
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テーマ:「健康経営の成功要因」
 
健康経営の導入が、一部の大手企業だけでなく中小企業にまで広がってきました。
東京商工会議所 国民づくり委員会の調べでは、9割以上の経営者が「従業員が健康を害した場合の業績への影響がある」と答えています。
健康経営に増々注目が集まってきています。
 
健康経営で達成したい目標は「社員が健康になり生産性向上につなげる」ことです。
ここで課題となるのが、健康に貢献するサービスは提供できても、どうやって生産性を高めることに結びつけるのか?これがわからないことでしょう。
 
考えやすいのが「病気になる人を減らすことで、医療費負担を減らし、収益悪化を防ぐ。欠勤が減れば生産性も上がる」というものです。
経営層に対しては、この考え方でも良いかもしれませんが、実際に行動するのは従業員です。この考え方で率先して動いてくれるでしょうか?
 
我々も、今まで多くの現場を見てきましたが、この考え方では思ったほど成果に結びついていないようです。
もう1歩踏み込んで、従業員の立場になって考えなければ本当に行動してほしい従業員は反応してくれません。
 
今回、健康経営の構想から導入まで7年間も活動し、健康経営により収益増加を果たした株式会社フジクラで、健康経営を推進してきた浅野氏に行ったインタビューから、健康経営の成功要因、特に従業員に行動してもらうためのポイントを中心に紹介したいと思います。
 
 
インタビュー元:mHealth Watch
健康経営キーマンインタビューVol,1
株式会社フジクラ 浅野健一郎氏
 
 
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1.健康経営における考え方
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会社における健康とは「病気でない状態」ではなく「活き活き働ける状態」と考える。
 
・「病気でない状態」とは
病気の原因を医療的解決策にてアプローチすることになる。
従業員からすると、痛みも伴っていない、特に問題意識を本人が持っていない中で、普段の生活とは違う辛い健康行動を強いられると、ストレスの原因となりやすい。
ストレスを感じる行動は拒否するようになる。
 
・「活き活き働ける状態」とは
従業員が不健康な行動を取ってしまっているのは、何かしらストレス発散のためである(タバコを吸う、連日飲酒をする、食べ過ぎる、など)。
ストレスの原因の多くは、会社か家庭にある。健康経営では会社における原因にアプローチする。
辛い長時間残業が原因ならその環境を改善する。
そして気持ちに余裕ができて、タバコをやめたいと思えたときに、禁煙プログラムがいつでも受けられるような環境を用意する。
 
 
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2.従業員に健康行動をさせる仕掛け
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健康行動を強要されるとやりたがらない従業員は必ずいる。
無理にやらせると逆効果になりやすい。
自分から取り入れたいと思えるような環境作りをしていく。
そのために重要なのは「仲間内での口コミ」である。
同じ部署の仲間が健康行動をして効果を実感した、などの話しを聞くと、できることだけでも自ら取り入れてみようと動き出す。
 
・複数のテーマで健康イベントを開催する
年に数回、部署対抗ウォーキングイベントを開催する(歩数データを取る)。
テーマごと(禁煙、節酒、ダイエット、腰痛改善など)の講習会、プログラムを年間通し複数開催する。
リアルな講習から、オンラインによるプログラム提供など、いろいろなパターンを用意する。
興味を持った人だけが参加すればよいと考える(無理強いされた人より、興味を持った人の方が率先して参加するため、効果がでやすい。効果が出ると人に自慢したくなる)。
 
・健康を意識できる情報を活動動線に配置する
階段を利用することで消費するカロリーを階段に貼る。
自動販売機で買えるジュースの摂取カロリーをその自動販売機に貼る。
これらが自然に目に入ることで、摂取と消費のカロリーの関係を意識するようになる。
 
 
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3.分析とアプローチ
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知的労働においては定量化するのではなく、生産性が上がっているかは本人が一番わかっているので自分で判断させる。
生産性が上がっていないなら、ストレス度合いをチェックする。
そしてストレスの原因を探り、取り除く。
さらにストレス度合いが改善しているかを観察してPDCAを回していく。
 
・ストレスの原因を見極める
主に残業時間、仕事内容、部署内の人間関係などを観察する。
ストレスとの因果関係があるものを会社全体、部署、チームなどの単位で改善していく。
 
・ストレス以外の変化を見つける
普段たくさん歩く人があまり歩かなくなった。
活発にコミュケーションを取る人があまり喋らなくなった。など、普段の行動から変化を見つけていく。
 
・従業員を個別で見るためにパターンを見極める
分析するための基準となるパターンを定める。
健康イベントを紹介したときに、前回と同じタイプを選ぶのか、違うタイプを選ぶのか、程度にステータスを絞る。
そこにその従業員にとって重要なファクター(問題が肥満なのか、血糖なのかなど)を組合せて、次のアプローチを仕掛ける。
その積み重ねから分析していく。
 
 
 
◇ユーザー視点に立った全体像の設計
フジクラ社では、健康行動のベースとなる指標としてウォーキングの歩数を定めています。
これ自体は多くの企業が取り入れていることですが、ここから何を分析するかがポイントになります。
個人で捉えてみると、例えば8,000歩/日になるようにする、歩くことで体重が減少する、などが挙げられるのではないでしょうか?
 
フジクラ社の場合は、支社や部門の単位で、前回イベント時より平均歩数がどれくらい増えているかを見ているとのことです。
例え平均歩数より少なくても、少しずつでも歩数が増えていくようにアプローチしています。
この少しずつ歩数が増えている中、つまり健康行動へ少しずつ前向きなっているときに、複数のイベント(講習会など)をアプローチしていきます。
当然、すべての従業員がウォーキングにチャレンジすることはないです。
人によってはウォーキング意外の行動の方が取り入れやすいことがあります。
結果的に全体の健康度が高まることが重要なのです。
 
 
 
◇モバイルヘルスの活用
モバイルヘルスの活用を考えた場合、ベースとなる歩数はスマホやウェアラブルを使うことで取得できます。
そこから行動していない人を抜き出し、その人なら興味を持ってくれそうなことで次のアプローチをします。
そのときもモバイルヘルスのサービスを組み合わせることができます。ウォーキング以外の運動、例えばゴルフやサイクリングかもしれません。または食事改善かもしれません。
 
1つのやり方ですべてを補うのではなく、ベースを定めた上で、複数のアプローチを行い、その反応と数値的変化を分析すること。そのために、モバイルヘルスは有用なツールとなります。
 
 
 
『これからの健康経営を牽引するモバイルヘルス』
 
4月20日(木)A会場13:00より開催します。
 
13:00-13:30
モバイルヘルスの成功要因(海外事例紹介)
株式会社スポルツ 渡辺武友(mHealth Watch)
 
13:45-14:35
株式会社フジクラの健康経営による効果
株式会社フジクラ 浅野健一郎
 
14:50-16:20
動かない従業員を自ら行動させる!モバイルヘルスによる新たなアプローチ
モデレーター:渡辺武友、浅野健一郎
プレゼンター:ドコモ・ヘルスケア株式会社、帝人株式会社、ウェルネス・コミュニケーションズ株式会社、キーウェアソリューションズ株式会社、株式会社ウィット
 
講演をご聴講されるには事前登録が必要になります。
上記3講演が一連のテーマとなりますので、3講演へのお申込みをお願いしたいのですが、お申込みのタイミングにより、すでに満席となり締め切っている講演もあります。
まずはサイトで申し込み状況をご確認ください。
 
セミナープログラム
 
来場事前登録
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「解決できそうなカタチにする技術」
 
今起こっている課題をポンチ絵で構わないからカタチにしてあちこちから眺めたり、何かを付け加えたり、除いたりしていると解決の糸口が見えてくる!これほんと!!
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <15クリップ>
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[1]ドコモ・ヘルスケア、年をとると早起きになるのは本当だった!みんなの「からだデータ」白書2017公開!
3月31日を「体内時計の日」と制定し、みんなの「からだデータ」白書2017をまとめた。20代では平均で就床0時45分・起床7時52分となっているが、その時刻は年代が上がるほど早まり、70代では就床23時17分・起床6時14分と大幅に早寝早起きの傾向となっている。(2017/03/27)
 
[2]新日本製薬、「スリープケア」新発売
朝、目覚めたときの疲労感と眠気を軽減し、健やかな睡眠をサポートする機能性表示食品。お茶に含まれるアミノ酸の一種L-テアニンのほか、睡眠やリラックスに良いといわれる天然由来のナチュラル系ハーブを厳選して配合。(2017/03/29)
 
[3]損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険、パートナーや友人と続けられるダイエットアプリ「Linkx reco」新登場【PDF】
「Linkx reco(リンククロス レコ)」は、体型改善を目的としてウォーキングや食事内容を記録し、毎日簡単なタスクを実行することで健康的な生活習慣への行動変容を促すアプリ。ペアリング機能では、ふたりだけの専用トーク機能でモチベーションを継続できる。(2017/03/30)
 
[4]損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険、継続的な散歩で健康促進を図る新アプリ「Linkx aruku」を提供開始【PDF】
「Linkx aruku(リンククロス アルク)」は、「毎日」「無理なく」「楽しく」「歩く」ことを目的とした散歩アプリ。約300の散歩コースは、同社社員が実際に歩いて作成したコース。「あるメモ(あるくメモリー)」機能で、散歩中の発見を写真やコメントで共有できる。(2017/03/30)
 
[5]ティップネス、日本初の「コンディショニング ベース」が吉祥寺に登場【PDF】
生まれ変わったティップネス吉祥寺は、4月1日より提供している「1WEEK コンディショニング」に対応する形で、その時どきの状態「調子」に適したコンテンツが多彩に揃い、しかもフロア別になっているため、迷わず効率よく必要なメニューを実践することができる。(2017/03/30)
 
[6]MRT、国内初の遠隔診療・健康相談サービス ポケットドクター「今すぐ相談」サービスを法人向けに営業開始【PDF】
「今すぐ相談」サービスとは、24時間365日いつでもどこからでも、すぐに医師に健康相談ができる遠隔健康相談サービス。「今すぐ相談」サービスを利用することで医師から適切なアドバイスを受けられる。(2017/03/31)
 
[7]日経デジタルヘルスより、デジタルヘルス・レポート:ヘルスケアサービスがうまくいかないワケ
ソニーコンピュータサイエンス研究所の桜田氏は、「けいはんなリサーチコンプレックスーi-Brain×ICT「超快適」スマート社会の創出 グローバルリサーチコンプレックスーオープニングシンポジウム-新たなビジネスチャンスを求めて!-」に登壇し、多くのヘルスケアサービスが一人ひとりの違いを考慮せず“健康”という標準解にもっていこうとしている現状を指摘した。(2017/03/31)
 
[8]リッチメディア、美容・健康情報サイト「スキンケア大学」「ヘルスケア大学」「メンズスキンケア大学」参画の医師数が4,000名を突破
スキンケア大学・ヘルスケア大学・メンズスキンケア大学は、美容・健康の悩みを少しでも解消し、前向きな毎日を提供するための情報サイト。病気や症状、テーマごとに分類された「講座記事」は、医師または専門家が一つひとつ監修し、悩みを抱えたユーザーが安心して閲覧できるよう運営している。(2017/03/31)
 
[9]ロート製薬、健康経営の推進で社員の健康づくりと働き方改革をさらに加速
2020年に向けての健康目標値を設定し、社員の心身の健康を維持・増進する取組みと働き方改革を積極的に進めていく。残業時間や有給取得率などライフワークバランスに関する指標も目標として盛り込むことで、健康経営の取組み成果を多角的な視点で評価していく。(2017/04/03)
 
[10]大塚製薬、新ブランド「ボディメンテ(BODYMAINTE)」誕生
体調を万全に整えるためのコンディショニング栄養食「ボディメンテ ゼリー」を新発売。同社独自成分「乳酸菌B240」に加え、「BCAA+アルギニン」「ホエイタンパク」を組み合わせ、リカバリーとメンテナンスの視点でカラダを守る製品として開発。(2017/04/03)
 
[11]東京海上日動あんしん生命保険、新商品「あるく保険」発売のお知らせ【PDF】
お客様自身の健康増進や生活習慣の改善への取組みをサポートすることにより、生活習慣病などの重篤な疾病から未然に守る新商品をNTTドコモと共同開発。「あるく保険(新医療総合保険健康増進特約付加)」は、お客様の健康増進活動に応じて保険料をキャッシュバックする業界初の商品。(2017/04/03)
 
[12]エムスリー、日本初の在宅医特化型eディテールサービス「在宅君」をリリース
「在宅君」は、m3.comの医師会員のうち在宅医療に携わる2万人以上の医師を対象に、インターネットを介して在宅医療に特化した情報提供を行うことで、製薬企業からの情報が不足している在宅医と在宅医に十分な情報提供ができていない製薬企業とをマッチングさせ、在宅医の効率的な情報収集をサポートし、製薬企業における在宅医とのコミュニケーションを支援する。(2017/04/03)
 
[13]手にあてるだけの血糖値測定デバイス『GlucoWise』が開発中
ロンドン拠点の医療スタートアップMediWise社が開発中の「GlucoWise」は、手の親指と人差し指の間に押さえつけて使う。針を刺して採血する代わりに、高周波電波を使って血糖値を測定。10秒以下で測定ができる。(2017/04/03)
 
[14]犬用のウェアラブル端末『Wonder woof』、体調管理や所在地の確認もラクチン
「Wonder woof」は、犬の首輪に簡単に取り付けることができるウェアラブル端末。アプリを使用することで、犬の年齢や大きさ、犬種を考慮した分析データを取得することができる。(2017/04/04)
 
[15]mHealthWatch注目ニュース:Samsung、S Healthを『Samsung Health』として再スタート
Samsungは、スマートフォンGalaxy S8とS8+をローンチした際、「S Health」アプリを「Samsung Health」として改めて展開すると発表した。「Samsung Health」には、一連の新機能や新たなユーザー向けインターフェースが加わった。(2017/04/10)
 
 
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