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[海外注目企業の継続支援編]2017年5月23日号
   ≫≫≫Author:脇本和洋
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米国では2020年までに、日常生活になんらかの支援が必要なシニアが1億人を超えるとされ、シニア向けのビジネスは様々な事例があります。
 
今月と来月は、シニア向けのイノベーションアワードを受賞している企業の中から紹介します。
 
今回は、AARP(アメリカ退職者協会)のイノベーションアワード
・Caregiving innovation2016
・AARP Health Innovation@50
に着目します。
 
※AARP(American Association of Retired Person)
 
50歳以上を会員対象とする非営利の組織。会員になると割安な保険を購入したり、様々なディスカウントサービスを購入可能。会員は4000万人ともいわれます。シニア向けのサービスを提供する企業を支援するため、様々なアワードを提供しています。
 
 
 
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【1】特集:海外注目企業の継続支援編
---「シニア向け健康ビジネス」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「お客様の生活進化」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 高血圧実態調査、海外 アプリ動向など、8本
 
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【1】特集:海外注目企業の継続支援編
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テーマ:シニア向け健康ビジネス
 
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1、食事デリバリーサービス
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高齢になると自らの足で移動することが難しくなり、日常生活に様々な支障がでます。米国ではこの分野の支援を「DAILY ESSENTIAL ACTIVITIES」と呼び、食事デリバリー・自宅の修理・移動支援サービスなどに分類されます。健康と関わるのが食事デリバリーです。
 
・Blue Apron
 
レシピが付いた食材宅配サービス。農家と直接契約した野菜や、ホルモン剤が注入されていない肉といった安全な食材がレシピと共に届きます。印刷されたレシピでわかりにくい部分は、動画で確認することも可能。動画で使われている調理器具を購入することもできます。
 
 
・Good Eggs
 
地産地消型の食材のオンラインマーケット&デリバリーサービス。厳しい審査に合格した地元の農家や食品メーカーと提携し、オーガニックで新鮮な食材を提供します。レシピと食材がセットになったディナーセットがあります。
 
 
◇手段でなく、結果を約束することへ
 
Blue ApronとGood Eggsは、単にモノ(食材)を届けるのでなく、体験(レシピを使って料理がうまくできるという結果)を提供しています。
 
モノという手段を売っているのですが、「結果を約束すること」を売っているとも言えます。手段が増える(競合が増える)中で大切なのは、価値を「約束する」レベルにすること。さらに約束するためには、どんなサービスが必要かを考えることです。
 
 
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2、「家族」に対する支援サービス
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シニアビジネスは、本人だけでなく「家族」までをターゲットにすると、新たな可能性がでます。米国では、この分野の支援を「CAREGIVER QUALITY OF LIFE」と呼び、家族向けのサービスがあります。
 
・PillDrill
 
服薬管理用デバイスと一回分の薬を入れるピルボックス(1セット7個入り)。服薬後にピルボックスをデバイス本体にかざすことで服薬の記録ができます。その結果は瞬時に家族や医師に自動で通知されます。家族への通知を意識しています。
 
・Ceresti
 
認知症患者を介護する家族のための12週の支援プログラム。患者の見守り方、認知症に関する知識などを学ぶ教育プログラムや、困った時に相談できるコーチングサービスがあります。
 
 
◇家族の不安を先取りし、安心させる
 
Cerestiで紹介した「認知症」というテーマでは、特に家族への影響が大きく、家族の不安は大きなものになります。そのため、介護初期の段階でこれから起こりうる様々なことを予想し「先手で介護ができ、安心できる」ということは、魅力的です。
 
 
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3、シニアの「話したい」欲求に答えるコミュニケーションサービス
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孤立し会話の少なくなるシニアに対して「話し相手になること」が大きな価値になります。米国では「SOCIAL WELL-BEING」といって、シニアの社会的健康を支援しています。
 
・AgeWell Global
 
高齢者の家に訪問し、体調や健康データをもとに医療費削減のために適切な保険治療をアドバイスするサポートサービス。特徴は、訪問するスタッフも高齢者(ピア・コンパニオン)で、孤独になりがちなお年寄りに寄り添って信頼関係を築くことです。
 
 
◇「話せること」を、価値の中核に据える
 
AgeWellの場合、一見すると医療費削減のための保険治療のアドバイスサービスに見えますが、実際は「高齢者にとっての話し相手になること」を中心価値に据えています。
 
 
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シニアで失敗する企画に学ぼう
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今まで、日本の健康ビジネスで、数多くのシニアの失敗事例を見てきました。
企画段階での失敗原因として以下の3つがあると感じています。
 
 
・シニアと同化できていない
 
一言でいうとシニア(家族含む)の心理状況がつかめていないことです。例えば70代女性の場合、平均寿命まで残り10年となった心理を、どう「リアリティをもって」「チーム全員で」理解するかということです。まず顧客へのヒアリングは必須とし、頻繁にフィードバックを得て進められる体制にしましょう。
 
 
・価値が、健康だけ
 
健康の機能的価値だけで勝負しようとするパターンです。仮に70代になると、健康問題が数多くでてきてそれが治せないというのも多いのです。いくら自社の健康商品をだしても、そもそも目的が達成できないのです。だから、情緒的価値(話し相手になれるなど)が必須なのです。
 
 
・価値を約束できていない(結果を売っていない)
 
商品を提供するのですが、ターゲットの実情をふまえず勝手に条件設定し「価値がある」といっているパターンです。当然結果も出ません。これでは継続利用にはつながりません。
 
 
この3点は是非クリアして企画を検討していきましょう!
 
 
 
【価値創造に注力した企画サポート】
 
新しい価値の創造には、さまざまな手法があるでしょう。
我々の得意は、17年間の350以上の事例から導いたフレームワークを使った
方法です。
 
・既存品に潜むあきらめを逆転させる
・成果範囲を拡大する
・専門家のアドバイスに逆転させる
・価値を上位化する
 
といったいくつかの切り口で考えるとスピーディに仮説づくりができます。
もちろん、シニアの情緒的価値についても検討を深めます。
 
この「新しい価値の創造」というステップ含め、事業企画を
6ステップで検討するプログラムを行っています。
 
概要はこちらです。
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「お客様の生活進化」
 
お客様のウェルネス行動はICTで劇的に進化しています。そこにフォーカスできていますか?
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <8クリップ>
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[1]オムロンヘルスケア、高血圧に関する意識と行動に関する1万人実態調査
30から74歳の男女1万人を対象に調査。結果、30代男性の5人に1人、40代男性の3人に1人が「血圧が高め」と指摘された経験あり。しかし改善行動を何もとっていない人が約3割と働き盛りの30・40代男性は血圧改善への関心が低いことが浮き彫りに。(2017/05/11)
 
[2]シェアメディカル、夜間往診クリニックFastDoctorと戦略的提携
ICTを活用したスマート往診システムの開発を発表。シェアメディカルはメディライン医療用高強度暗号プラットフォーム上で患者向けのスマートフォンアプリを開発し提供。FastDoctorは往診依頼に対して患者の元に出向き診察を行う。(2017/05/11)
 
[3]デジタルヘルス・トレンド:「とりあえず睡眠薬」はもう終わり(日経デジタルヘルスより)
日常の入眠支援から睡眠に関する疾患の治療まで、アプリやデバイスを使ったさまざまなソリューションが続々と登場し始めてきた。(2017/05/15)
 
[4]NTTデータと住環境研究所、在宅高齢者向けコミュニケーションロボット「Sota(R)」の実証実験を開始
本実証実験の結果を基に、高齢者の生活改善および同居家族や介護スタッフの負担軽減を目的としたコミュニケーションロボットを用いた製品を開発し、2017年度中をめどに商用化を目指す。(2017/05/16)
 
[5]サニーヘルス、マイクロダイエット公式サイトに人工知能チャットプラットフォームを導入
AIメッセンジャーが提供する人工知能を活用したチャットプラットフォーム「AI Messenger」を導入し、商品購入支援とダイエットサポートを開始。(2017/05/16)
 
[6]Samsungの新しいアプリは、失語症の人たちのコミュニケーションを助ける
「Wemogee」は、テキストフレーズを絵文字の組み合わせで置き換えながらメッセージングアプリとして、または対面の対話で使用することができる。(2017/05/11)
 
[7]ワイヤレスで歩行速度を測るMITの『WiGait』はセンサーを使うウェアラブルより正確でストレスフリー
MITのコンピューターサイエンスと人工知能研究所が、歩行速度を95-99%の精度で測定する方法を考案。(2017/05/12)
 
[8]mHealthWatch注目ニュース:ねむログ、睡眠のプロが一人ひとりの悩みをサポートする『スリープコーチ』の販売を開始
今回の「スリープコーチ」では、睡眠のプロである睡眠健康指導士などの資格を持つコーチが、データを見ながら一人ひとり合った睡眠改善のサポートをすることで、多岐に渡るアプローチやソリューションへも対応が可能になる。(2017/05/22)
 
 
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