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[海外事例にみる企画ヒント編]2017年11月21日号
   ≫≫≫Author:脇本和洋
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「海外事例にみる企画ヒント編」をお届けしている脇本和洋です。
クライアントのメンバーの一員として健康サービスの企画だけでなく、実証・運営の支援を行っています。
 
ここ数か月、過去にない数のワークショップを行っています。
海外ベンチャー事例活用の一つの目的として、企画検討項目(例えば、継続の工夫や提供価値)の先進イメージをメンバーで共有することがあります。お手本があると、それだけ企画がスピーディに進むからです。
 
今号も先月号につづき、我々がサーチしている最近の事例の中から、注目のベンチャー企業をいくつか紹介しましょう。
 
 
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【1】特集:海外事例にみる企画ヒント編
---「注目のベンチャー企業動向」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「教わるから学ぶへ」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 チームワーク総研、海外 マインドフルネスアプリなど、10本
 
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【1】特集:海外事例にみる企画ヒント編
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<テーマ>注目のベンチャー企業動向
 
 
今回紹介するベンチャー企業の切り口は、以下の3つです。
 
1.子供向け「デジタル+人」を使ったダイエットサービス
 
2.「賞金付与型」ダイエット支援サービス
 
3.「高齢者向け」リストバンドサービス
 
 
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1.子供向け「デジタル+人」を使ったダイエットサービス
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米国では子供の約17%が肥満ともされ、大きな問題になっています。このテーマにベンチャーが挑戦する事例です。
 
●Kurbo Health(2014年7月、5.8億円調達)
 
2013年に設立された、子供(10代)向けの運動/食習慣改善プログラムを提供している企業。創業者で現CEOのジョアンナ・ストロバーが息子のために減量プログラムを探し、スタンフォード大が開発した子供用の体重管理メソッドを活用しています。
 
ヘルスコーチがつき、子供が体重を含め自分の健康管理を継続できるように、その子供の好みや関心事、趣味なども考慮に入れながらコーチングします。食べ物を健康に与える影響に応じてグリーン、イエロー、レッドの3色を使って子供にわかりやすく分類し、スマホアプリで食事と運動を記録しながら正しい生活習慣を学習できるように助けます。また、サイトでは、「親のストレスが減る」点も強調しています。
 
・紹介動画
 
 
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2.「賞金付与型」ダイエット支援サービス
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米国ではダイエットの成功度合に応じて金銭をバックするサービスがあります。背景にはデジタルヘルスにより、参加者の行動や結果のデータを収集しやすくなったことがあります。
 
●HealthyWage
 
お金をかけてウェイトロスを達成する賞金サービスサイト。ハーバード大などによる研究で「金銭インセンティブがあること、または自分のお金を失うかもしれないという不安感は減量へのモチベーションを高める」という研究結果に基づき、2009年に設立されました。同事例は、NBCやABC、CNNといったメジャーな報道番組で取り上げられています。
 
特徴は、自分の減量達成にお金をかけること。個人またはチームでエントリーするなど、様々なチャレンジ企画があります。個人でチャレンジする企画はいつでもエントリーすることができ、減量目標、期間、掛け金などを自分で決め、賞金は難易度や掛けた金額により変動します。
 
<例>
・身長170センチで、現体重80キロ、ウエスト90センチの男性が、10か月で20ポンド(約9キロ)の減量に挑戦した場合。
・掛け金:毎月50ドル×10か月間=500ドル
・成功した場合の賞金:555.56ドル(実質55.56ドル、利率で換算すると掛け金に対して11.11%のお金がもらえる)
 
<体重の確認方法>
減量スタート時と終了時に次の方法のどちらかで証明する
 
1.登録後に同社の専用アプリをダウンロードする。すると、同社の審判員が遠隔操作で体重を確認する
2.体重測定の動画を自分で撮影し、同社のサイトにアップロードする
 
 
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3.「高齢者向け」リストバンドサービス
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リストバンドといえば、健康な人や生活習慣病の人をターゲットとするものが多かったですが、高齢者向けのリストバンドの事例です。
 
●Aifloo(2017年9月に5.1億円調達)
 
2015年設立で、高齢者見守り用リストバンドを提供しています。使用者はリストバンドを装着し、見守る介護者は専用アプリをスマホにダウンロードします。
 
AI(人工知能)が使用者の行動パターンを学習し、異常行動(徘徊や転倒、起床時間や服薬時間の異常)を検知すると介護者のスマホに通知します。見守り用のカメラや定期訪問といったプライバシーを侵害する方法ではなく、使用者の尊厳とプライバシーを尊重しながら見守るために開発されました。
 
 
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「ベンチャー事例からのヒント」
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今回は、我々が注目しているベンチャー事例をいくつか紹介しました。
気になった点をまとめてみましょう。
 
■Kurbo Health:子供向けサービスは、継続ヒントの宝庫
日本では米国ほど子供の肥満は問題ではないでしょうが、子供は「飽きやすい」ので、継続支援の工夫が必要です。食べ物の影響を3色でわかりやすく見せたり、わかりやすく直感的に表現する点などは、大人向けでも参考になるはずです。
 
■HealthyWage:ダイエットにおける価値の今後を感じさせる
成熟してきたダイエット業界。この事例は、ダイエットして「お金をもらう」という人間の欲求をついています。ダイエット業界では、「ダイエットしてどうなるか?(価値の上位化)」が今後のキーになります。
 
■Aifloo
Aiflooは、これから発展する企業です。発展の方向としてAIを最大活用することを宣言しています。今後は異常行動が起きた後でなく、起きる前に予測してくれるところまで進化する可能性を秘めています。また、介護者だけでなく本人への価値も訴求し、リストバンドを装着する意義を高めていくことでしょう。
 
 
【脇本和洋】
 
 
 
【健康業界の先進事例を活用したワークショップ】
事業(商品・サービス)企画を6ステップで検討するサービスです。
 
【ヘルスコーチングを活用した企画開発サポート】
Kurbo Healthでもあったヘルスコーチングという手法。
スポルツではすでに日本でヘルスコーチングのサービスを実施しています。
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「教わるから学ぶへ」
 
教わっているという受動的なスタンスを自ら積極的に学ぶの姿勢に変えた途端に状況が好転という現象を今年何度もみてきました。さて、あなたは、、!?
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <10クリップ>
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[1]サイボウズ、「チームワーク総研」を設立
企業組織へサイボウズ流のチームワークや働き方改革のメソッドを提供する新事業。同社が取組んでいる働き方改革を中心とした組織運営に関するノウハウを、講演、企業研修、組織コンサルティングサービスとして提供。(2017/11/08)
 
[2]ウィット、会員数150万人の食事管理アプリ「あすけん」が「Amazon Alexa」に対応開始【PDF】
音声で操作でき、常にハンズフリーで利用できるスピーカーAmazon Echoに「アレクサ、あすけんを開いて」と話しかけ音声で食事登録すると、摂取カロリーと食事改善アドバイスを聞くことができ、次にどんな食事を選んだらよいのかがわかる。(2017/11/08)
 
[3]RIZAP、長野野県伊那市との連携による日本初の自治体向け“成果報酬型”健康増進プログラムを開始【PDF】
長野県伊那市と実施する「健康増進プログラム」は、「結果にコミットする。」というRIZAPのサービスコンセプトに基づき、本プログラム参加者の3か月間での体力年齢改善の結果及び医療費削減額の結果に応じた「成果報酬型」を採用。(2017/11/08)
 
[4]味の素、米国のメディカルフード市場に参入
米国の医療食品会社 Cambrooke Therapeutics, Inc.の株式を取得し、完全子会社化。アミノ酸技術・おいしさ設計技術を通じた食による顧客課題の解決に貢献。
(2017/11/09)
 
[5]エムスリー、中国で運営する医療従事者向けポータルサイト「医脈通」の医師会員数が200万人を突破
「医脈通」は、事業開始から約4年で中国最大級の医療従事者向けポータルサイトに。アクティブユーザー数は前年比58%増、中国事業営業利益は前年比約10倍と大幅に拡大。(2017/11/10)
 
[6]ニッセイ基礎研究所、太りゆく男性とやせゆく女性ーデータで見る消費者の健康・美容志向の背景
本稿では、消費者全体で健康志向や美容志向が高まる中で、改めて統計データを用いて、日本人の健康や栄養、運動習慣の変化を確認する。(2017/11/13)
 
[7]新社会システム総合研究所、AI・IoTが変える医療・ヘルスケアの未来
開催日は2017年12月6日(水)。重要講義内容「ヘルスケアの未来はどのように変わるかーIoT/Big Data/AIによる新たな価値創造ー」「AIとスマホが変える日本の医療」。
 
[8]完璧な栄養バランスを提供するスマートブレンダ―『NutriBullet Balance』
Perfect Companyは、他社とコラボレーションすることで、100種類のレシピから好きなスムージーをセレクトできるスマートブレンダ―を発売。(2017/11/08)
 
[9]Carnegie Mellon大学、マインドフルネスアプリでストレスを大幅に軽減
調査によると、毎日20分間、2週間使用されるマインドフルネスアプリは、コントロールアプリと比較してストレスを大幅に軽減していることがわかった。(2017/11/09)
 
[10]mHealthWatch注目ニュース:ウェアラブルテクノロジーが禁煙に役立っている
「SmokeBeat」は、禁煙をしたいユーザーが、何気なくタバコを吸ってしまう行動を気づかせてくれるもの。スマートウォッチのモーションセンサーを使って、タバコを吸う動作をみつけ、注意喚起してくれる。(2017/11/20)
 
 
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