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[海外事例にみる企画ヒント編]2018年2月20日号
   ≫≫≫Author:脇本和洋
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こんにちは。脇本和洋です。
 
健康分野の新規領域でのビジネスをお考えの読者の方も多いと思いますが、今号は
今後有望な「健康ビジネス領域」の一つとして、「認知症予備軍(MCI)向けサービス」を紹介します。
 
2018年1月31日、国立長寿医療研究センターと島津製作所の研究チームが、簡易な血液検査により、認知症の手前の段階(認知機能の衰えはあるも、改善余地のある段階)かどうかわかる技術を開発したと発表しました。
 
認知症の手前の段階の人は、英語では、MCI(Mild Cognitive Impairment)、日本語では「認知症予備軍」・「軽度認知障害」とも呼ばれ、日本国内に400万人いるとも言われています。
 
そこで今号では、今後市場が顕在化され、大きな市場になる可能性のある「MCI市場」をとりあげ、いくつかの事例を紹介します。
 
 
 
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【1】特集:海外事例にみる企画ヒント編
---「認知症予備軍(MCI)向けサービス」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「コネクテッド・ベネフィット」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 健康経営、海外 Fitbit動向など、7本
 
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【1】特集:海外事例にみる企画ヒント編
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<テーマ>認知症予備軍(MCI)向けサービス
 
 
【今回の切り口】
 
1.認知症予備軍(MCI)とは
 
2.MCIの人が行う予防法は
 
3.海外ではどんなサービスが展開されているか
 
4.MCI向けサービスのポイントは
 
 
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1.認知症予備軍(MCI)とは
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MCIは、1995年に米国メイヨークリニックグループが定義しました。日本でも、『認知症予備軍』として、メディアなどで取り上げられています。
 
MCIは、認知症ではありません。認知症の手前の段階であり、認知機能の衰えはあるも、改善余地のある段階のことです。
 
MCIの人への手厚い支援が、今後日本社会において認知症患者を抑制するためにとても必要なのです。
 
・参考>MCIについてのわかりやすい解説(認知症ネットより)
 
 
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2.MCIの人が行う予防法は
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では、MCIの段階においては、どんな予防法があるのでしょうか。
日本でもその予防法を医療現場で実践されている方が多くいます。
 
その方々の予防法、海外の予防法を整理すると、大きくは
以下にまとめることができます。
 
・食事(魚を中心とした和食、地中海食など)
 
・運動(有酸素運動、頭を使いながらの運動=コグニサイズなど)
 
・脳トレ
 
・社会性をあげること(友人と趣味を作って遊ぶ、働くなど)
 
・医薬品(MCIの段階に合った医薬品を飲む)
 
・スピリチュアル(人生を振り返って肯定したり、物事の見方を変える)
 
 
即効性があるものは少なく、自分に合った方法を見つけ、継続していくことがなにより大切になります。
 
 
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3.海外ではどんなサービスが展開されているか
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では、こうした予防法を支援するための「MCI向けへのサービス」は海外ではどのようなものがあるのでしょうか。いくつかを紹介します。
 
 
●vayacog(食品)
 
VAYA Pharmaが提供。ドクターの指導の下使う食品でオメガ3脂肪酸を使ったメディカルフード。MCIにも対応し認知機能が落ちはじめた初期段階の人をターゲットとしています。
 
 
●Baycrest(家族向けサービス)
 
Baycrestは、地域の住人に対して認知症予防のプログラムを提供するカナダの団体。「Learning the Ropes for Living with MCI」という、MCI患者と家族や友人といった周囲の人向けのプログラムを提供しています。MCIについての理解を深めることや記憶力トレーニングなどを行います。
 
 
●Memrica(忘却をサポートし、日常生活を支援するアプリ)
 
認知症、MCI、その他の記憶障害を持つ人のための記憶をバックアップ(保存)できるアプリツールを提供しています。
 
 
●AgeneBio(MCI向け医薬品の開発)
 
神経科学系の製薬会社で記憶障害をもたらす疾患への治療薬に注力している。中でもアルツハイマーとMCIの治療薬をターゲットに開発している。
 
 
●CyberCycle(バイクを利用した有酸素運動支援)
 
様々なコースをバーチャルで体験しながら行うことに特徴がある。Interactive Fitness社が提供。MCIの進行を遅らせる効果をうたっている。41億円の資金調達に成功している。
 
 
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4.MCI向けサービスのポイントは
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では最後に、MCI向けサービスのポイントをいくつかあげてみましょう。
 
●自分に合った方法を見つける支援
MCIの段階での予防法の基本は生活習慣を変え、継続することです。まずは、自分に合った無理のない方法をみつけ、生活習慣を変える支援が必要です。
 
●人による見守り・励まし
「食事、運動、脳トレなど」は、いずれも単調なものになるので、これに社会的な要素(人による見守り・多くの人をいっしょにすること)を加え、継続しやすくすることが重要です。
 
●家族支援
MCIの段階では、いくつかの認知機能の衰えが見られ、家族への影響が出始めます。家族がその衰えに対して本人にどう接するかが重要であり、家族への支援を忘れてはいけません。
 
●不安面の対策
MCIの段階であることがわかった患者本人のショックは相当なものです。先行きの見通しを示したり、同じ患者(患者家族)を知ることができる体制を作っておくことが必要となります。
 
【脇本和洋】
 
【お知らせ:MCI(軽度認知障害)のビジネス動向の社内研修】
 
認知症の予防が社会課題になっています。今後市場化が予想される「MCI」に着目し、先の一手を考えてみてはいかがでしょうか。
 
今回紹介したMCI(軽度認知障害)に関して、
 
・MCIビジネスの環境変化予想
・代表プレイヤーの特長
・特長ある海外事例
・今後の課題
 
といった内容の最新動向がわかる有料の社内研修(説明+レポート)を行っています。
ご興味のある方はお問い合わせください。
 
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「コネクテッド・ベネフィット」
 
今後のIoT時代には常時接続を前提としたサービスの品質をどう創出するかが焦点になっていきます。ウェルネス&ヘルスケアサービス事業にとっては必須の戦略フォーカスです。
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <7クリップ>
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[1]明治安田厚生事業団、研究者が提案「ワークスタイルのスポーツ化による健康経営」刊行
経営者や健康づくり担当者向けに、メンタルヘルスや座りすぎ等の調査研究の成果と、健康経営のサポートを通して得たノウハウが詰まった一冊。(2018/02/08)
 
[2]東京大学と理化学研究所、睡眠中に脳回路がクールダウンされる仕組みを解明ー「生物はなぜ眠るのか」という生命科学最大の謎の一つに迫るー
研究グループは、海馬から発生する「sharp wave ripple」という脳波が、睡眠中にシナプスの繋がり度合いを弱めていることを突き止めた。必要な情報を確保しながら不要なシナプスを弱めることで、記憶キャパシティを確保することが明らかに。(2018/02/09)
 
[3]ラジオNIKKEIと博報堂DYメディアパートナーズ、「RN2 Office Hearing Service」実施に向けモニタリングを開始
働き方の見直しが注目される昨今「RN2 Office Hearing Service」により、新たな「社内コミュニケーションの創出」を目指し、企業のオフィス環境の改善にもつながるサービス展開を検討。(2018/02/13)
 
[4]IDC Japan、世界ロボティクス関連市場予測を発表
2018年、全世界のロボティクスソリューションおよびドローンソリューションの総支出額は、2017年と比べて22.1%増加。資源産業および医療業界でも、今年はロボットソリューションに多大な投資が行われる見通し。(2018/02/13)
 
[5]健康医療産業推進機構、「歩く」と「貯筋」によるフレイル予防と社会参加促進シンポジウム
開催日は2018年3月3日。半径3kmの日常生活圏を「お出掛け活動フィールド」に見立て、地域内に点在する運動施設等を拠点に、地域高齢者の楽しい通いの場としての「ウォーキング貯筋ステーション」を提案し、運動教室の自走化を目指すもの。
 
[6]狙うはガジェットと医療機器の「中間点」-Fitbitが目指す、起死回生の大作戦
売り上げ低下やApple Watchとの差別化に悩むFitbit。アクティヴィティトラッカーで有名な同社は、起死回生策として方向転換を試みている。それは医療機器と消費者向けデバイスの中間点。(2018/02/08)
 
[7]『mHealth Watch』注目ニュース:フジ医療器「第5回 睡眠に関する調査」を実施
今回の調査結果を見る限りでは、「睡眠で疲労を取りたい」というニーズが一番でした。そうであれば、睡眠と疲労を組み合わせたアプローチでも受け入れられるのではないかと感じました。(2018/02/19)
 
 
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