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2018.05.29号 [ヘルスコーチングの視線編]ヘルスコーチングの可能性を探る:ヘルスコーチングの効率化と「人」の役割

健康ビジネス問題解決サポートメディアHealthBizWatch
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[ヘルスコーチングの視線編]2018年5月29日号
 
   ≫≫≫Author:里見将史
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ヘルスコーチングをサービスに取り入れ仕組み化していく上で、課題となるのがヘルスコーチである「人」の存在です。
特に人がサポートすることによるコスト面や対応人数の規模の拡大など、「人」が関わることによる問題に直面します。
 
では、「人」の存在を無くして「AI」や「システム」だけでヘルスコーチングが対応可能なのか?
今回は、効率化のポイントと「人」の役割についてお話してみたいと思います。
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
---ヘルスコーチングの可能性を探る:ヘルスコーチングの効率化と「人」の役割
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「準備力」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 AGEsセンサ、腕時計型パーソナルトレーナーなど、9本
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
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<テーマ>
ヘルスコーチングの可能性を探る:ヘルスコーチングの効率化と「人」の役割
 
 
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1.ヘルスコーチングの要素の活用
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ヘルスコーチングはコミュニケーション技法なので、1対1やグループやコミュニティなど「会話」を通したサポートが一般的です。
 
しかし、全て人との会話・コミュニケーションを通さないと成立しないかというとそんなことはなく、ヘルスコーチングとしての要素を切り出して「システム化」「仕組み化」することも可能で、その部分では「人」の介在は不要な部分になります。
 
特に、ICTを活用したヘルスコーチングのサービス化では、コミュニケーションの要素を分解してウェブやモバイル、アプリサービスに組み込むだけでも、対象者にヘルスコーチング的なアプローチが提供可能になります。
 
 
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2.ヘルスコーチングで効率化できる部分
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では、ヘルスコーチングのどんな部分が「システム化」「効率化」して提供可能なのか、具体的な例で紹介したいと思います。
 
 
例1:気づかせる仕組み
 
ヘルスコーチングのコミュニケーションの基本は、対象者とヘルスコーチの会話のキャッチボールです。
一般的な健康指導の指導者と対象者の会話では、指導者が話す時間が圧倒的に長いですが、ヘルスコーチングでは対象者の話す時間が長くなります。
 
それはヘルスコーチングでは、対象者の「考え」「意識」「感じたこと」などを身体の外に言語化して出すことがポイントになっているからです。
 
対象者が言語化する過程で、いろいろなことを考えたり、また考えを整理したりする中で自らの「気づき」「発見」が生まれるからです。
 
この「気づき」を促すプロセスをICTを組み合わせることで、タイミングに応じてコンテンツやアドバイス、チェックリストやアセスメントなど様々な形で対象者に届け、対象者から引き出す仕組み、例えばアンケート形式で回答してもらうひと工夫だけでも「気づき」を与える仕組みが提供可能になってきます。
 
 
例2:振り返りの仕組み
 
ヘルスコーチングでは、継続的なコミュニケーションが基本です。
その継続的なコミュニケーションの中では、目標に向けて細くPDCAを回しながら進めていくのが基本的な進め方です。
 
このPDCAサイクルの中でポイントになってくるのが「振り返り」という要素です。
 
振り返りでは、取り組みに対しての視点や進捗の確認、そして変化の確認など、たくさんの視点を絡めて定期的に行いながら、振り返りを起点に次のアプローチを明確にしていくステップになるのです。
 
レコーディング系(食事記録、活動記録など)のサービスも、記録することは振り返りのタイミングでもあります。
 
レコーディングダイエットで成功する人は、記録から課題を見つけて、その課題に対して取り組むPDCAのサイクルを一人で行っているとも言えます。
 
記録のタイミングに様々な振り返りの要素をサービスプロセスに組み込むことで、「仕組み化」が可能なのです。
 
このように、ヘルスコーチングのアプローチやコミュニケーション中には、要素として切り分けられる部分があるので、システムに組み込んで仕組み化して効率化を図ることは可能なのです。
 
 
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3.ヘルスコーチングでの効率化が難しい部分
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上記のようにヘルスコーチングを要素で切り分けることで、効率化が可能な部分がある中で「システム化」「仕組み化」が難しい要素もあります。
 
その一つが「フィードバック」です。
 
フィードバックとは、自分を映す「鏡」のようなものです。
鏡はありのままの姿を映し出し、その姿を見て顔色や髪型、肌などを自分の中で気づいて対応していきます。
ヘルスコーチングにおけるコーチが対象者に向けて行うフィードバックは強制でも指示でも忠告でもありません。
ヘルスコーチが行うフィードバックでは、コーチから見た対象者の姿、取り組みなど、その人の行動のありのままを映す「鏡」です。このヘルスコーチからのフィードバックが対象者自らの気づきに機能していきまます。
 
このフィードバックは、モチベーションを向上するために必要不可欠な、ある意味では「報酬」とも言われており、行動を継続していく上では重要な要素です。
 
間違ったやり方のフィードバックやフィードバックが与えられないことは、相手の動機付けを著しく弱める結果につながってしまいます。
 
このようにフィードバックは対象者への影響が強い要素なのです。そのため、フィードバックを行う上では、対象者の状況をしっかり把握することはもちろんですが、対象者の「感情を理解する」ことも重要になってきます。
 
しかし、このフィードバックの基本を理解しないで「システム化」「仕組み化」した結果、この「システム化」だけされたフィードバック自体を対象者が価値として認識しないケースや、ただ配信だけして何も機能していないケースをこれまで多くのサービスで見てきています。
 
このフィードバックの要素の中には、人だからできる「寄り添い」や「承認」が含まれており、それらによって対象者は安心し、行動が起こりやすくなるのです。
 
このフィードバックの部分については、対象者の行動や反応、感情をヘルスコーチ側で受け取った上でフィードバック(返す)することがポイントになるので、「システム化」「仕組み化」することは難しい部分なのです。
 
 
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4.ヘルスコーチングの効率化と人の役割
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ヘルスコーチングでは、前途の通りシステムに組み込んで効率化が可能な部分と現時点では「人」の介在が必要な要素が存在します。
 
そのため、現時点では効率を追求し全て「システム化」だけで完璧なヘルスコーチングが実現できるかというと難しいのですが、ヘルスコーチングの要素を部分的には「システム化」「仕組み化」することで効率化できる部分も存在しています。
 
しかし、まだまだ「人」の存在が必要な部分があり、「人」でなくては寄り添えない部分がどうしても存在します。
 
そのため、「システム化」による「効率化」と「人」の役割を分けてサポートするスタイルがベストな組み合わせではないかと思います。
 
また、「人」の役割の有り無しではなく、「人」の寄り添いをどのように「システム化」「仕組み化」を前提に効率化を追求していくことが、現時点では近道ではないかと考えています。
 
しかし、今後の更なる効率化に向けては、単純にロジックに置き換えた「システム化」ではなく、タイミングやコーチの役割、そして対象者の状況や反応等の集積などからコミュニケーションパターンをAI等を活用して判定し、提供する演出も含めて検討する必要があると考え、我々も研究を進めています。
 
今回ご紹介した「ヘルスコーチングのシステム化」については、ヘルスコーチングのサービス導入をご相談いただくケースで必ず受ける質問です。
 
特にオンラインのサービス、システムにヘルスコーチングを組み込むには、ヘルスコーチングをコミュニケーションとしてではなく、アプローチの要素として捉えて整理できていることが重要です。
 
オンラインでのヘルスケアサービスにヘルスコーチングを組み込むための企画、設計はもちろん、運用を数多く実施しています。
 
オンラインでのヘルスコーチングの導入にご興味ある方は是非お声がけください。
 
http://hbw-store.com/service/keizoku1502-137.html
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「準備力」
 
常に「その次」を考える習慣づくりが準備力の第一歩。不確実性の高い時代だからこそ準備力を磨こう!
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <9クリップ>
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[1]メディヴァと日本医療データセンター、Apple watch活用の「デジタル診療サポートサービス」開始ーThe Diary(R)×健康年齢(R)で医療従事者と利用者をつなぐー
https://mediva.co.jp/info/2018/05/post-3243.html
Apple WatchやiPhoneから収集された個人の健康情報(PHR)が、The Diary(R)アプリを介し医療従事者に通知され、これまで細かく知ることのできなかった個人の状況を把握できるようになる。(2018/05/16)
 
[2]アークレイ、ヘルスケア領域に向けてAGEsセンサ「RQ-1201J-SET」販売
http://www.arkray.co.jp/japanese/news/press/release2018516_02.html?blog=
老化物質のひとつである「AGEs(エージー イー:最終糖化産物)」の体内蓄積レベルを指先を挿入するだけで簡単に測定できる装置。今後、医療機関などへ展開し、ヘルスケアやアンチエイジング領域の事業を拡大していく。(2018/05/16)
 
[3]FRONTEOヘルスケア、ヘルスケア・インダストリーに特化した人工知能「Concept Encoder」の提供を本格化【PDF】
http://www.fronteo.com/corporate/news/uploadfile/docs/20180516.pdf
http://www.fronteo.com/
テキストデータに加え、数値データを解析対象とする新しいAI「Concept Encoder」を開発。ヘルスケア関連のビッグデータ利活用促進を目指す。(2018/05/16)
 
[4]三井物産戦略研究所、ウェアラブルデバイスー進展する産業利用と技術の深化ー
http://www.mitsui.com/mgssi/ja/report/detail/1226291_10674.html
本レポートでは、現時点でのウェアラブルデバイスの活用シーンを分類しつつ全体動向を俯瞰し、市場規模の拡大が予想される産業向けウェアラブルデバイスの事業領域における事業機会と課題について考察し、ウェアラブルデバイスをめぐる事業の未来を展望する。(2018/05/17)
 
[5]東京都、都内名所を巡る「TOKYOウォーク2018」
http://www.tokyo-walk.jp/
東京都で開催される観光型ウォーキングイベント。10年目となる今年も、区部・多摩の都内5箇所にウォーキングエリアを設定し開催される。
 
[6]Google、病院を訪れた患者の身に「次に何が起こるか?」を予測する技術を開発
http://mhealthwatch.jp/global/news20180516
患者の電子カルテデータを読み、病院を訪れた患者の身に「次に何が起こるのか?」を予測する技術を発表。この予測モデルにはディープラーニングが用いられ、高い正確性で「患者の死期」「長期入院するか」などを予測できるとのこと。(2018/05/16)
 
[7]栄養管理までサポート? AI搭載の腕時計型パーソナルトレーナー『RocketBody』
http://mhealthwatch.jp/global/news20180517
RocketBodyは、フィットネストラッカーとしてはもちろん、睡眠量や代謝率なども分析し、AIが栄養管理までサポートしてくれるハイテクウェアラブルデバイス。(2018/05/17)
 
[8]あらゆる場所で筋トレ!持ち運べるスマートジム『Hyfit Wearable Gym』
http://mhealthwatch.jp/global/news20180518
Hyfit Wearable Gymは、スマホと連携するトレーニング器具。よくあるトレーニングチューブに見えるが、リストバンド部分にスマートセンサーを搭載しており運動の成果を記録してくれる。(2018/05/18)
 
[9]mHealthWatch注目ニュース:博報堂、風呂上がりの最適なタイミングを知らせる『fuuron』
http://mhealthwatch.jp/japan/news20180528
fuuronには、機能と実感値を一致させるのが難しい「美肌モード」「花粉症モード」などが用意されています。おそらく開発チームの中でも、このようなモード設定を言い切ってよいものか、葛藤はあったと思われます。しかし今なら、IoTやAIを使うことで個別感の高い客観値と実感値の整合を図る取り組みにチャレンジすべきタイミングになったと言えるのでしょう。(2018/05/28)
 
 
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