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[ヘルスコーチングの視線編]2018年6月26日号
   ≫≫≫Author:里見将史
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ヘルスコーチングのコミュニケーションでは、他のヘルスコミュニケーションと大きく異なる点がいくつかあります。その異なる点の一つが、対象者が話したり、文章にしたりする機会、割合が圧倒的に多いということがあります。
 
そこで、今回はヘルスコーチングにおける対象者が中心に話したり、文章にしたりする機会、割合が増える理由を解説したいと思います。
 
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
---「ヘルスコーチングの可能性を探る:質問型のコミュニケーションの意味」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「Total Reward」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 ロボット×IoTデバイス、スマートスツールなど、9本
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
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<テーマ>
ヘルスコーチングの可能性を探る:質問型のコミュニケーションの意味
 
 
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1.コーチングの基本的な要素「質問」
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一般的なコーチングの特徴の一つに、「双方向のコミュニケーション」でお互い会話を交わすことによって行われる「質問型のコミュニケーション」があります。
 
コーチングでは双方向のコミュニケーションが前提であり、会話の中心は対象者が基本です。双方向のコミュニケーションでは、どちらか一方が話をしたら、相手にも話しをする機会、きっかけを与えることが必要になります。
 
そこで、コーチは対象者に向けて質問を投げかけ、会話のキャッチボールが成立するように働きかけます。その会話のキャッチボールを行う際、コーチ側は以下のようなことを意識して効果的に「質問」を投げかけます。
 
・考えを整理する
・考えや行動を明確にする
・様々な気づきのポイントを見つける
・視野を広げる、視点を変える
など
 
では、なぜコーチからの「質問」によって対象者の意識を上記のようなポイントに向けられるのか、その理由は以下のことが対象者の中に起きるからです。
 
コーチングでは対象者の考えを身体の外に「言語化して出す」ことがポイントになっています。対象者は言語化する過程で、いろいろと考えたり、また考えを整理したりするのです。その時に、「気づき」が生まれたりするのです。
 
みなさんも会話の中で、自分で話しながら考えが整理できたとか、スッキリしたという経験をお持ちだと思います。まさにこの部分をコーチ側は意識的に「質問」を通して対象者に働きかけているのです。
 
 
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2.ヘルスコーチングでも「質問」は重要なスキル
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「質問」は一般的なコーチングの基本的な要素の1つですが、ヘルスコーチングのコミュニケーションでも同様で、「質問」はコミュニケーションの重要なスキルの1つになります。
 
ヘルスコーチングは、対象者の行動変容を支援し、そのあと対象者が自ら継続できることに目を向けたアプローチです。
 
対象者が自ら気づきを得て、その気づきを次の行動に活かして取り組むPDCAサイクルをしっかりと回して行動の習慣化、定着化を目指していきます。
 
目標や達成イメージに向けて具体的な行動に取り組む中では、意識や身体の変化に気づくことはもちろん、自分に合う行動、合わない行動を認識したりなど、様々な気づき、発見を重ねて「自分流」を見つけることが、行動の習慣化、定着化には必要になってきます。
 
ヘルスコーチングでは、対象者が自ら気づくためのサポートが中心になるため、対象者との会話では「質問」→「聴く」を繰り返すのです。
 
 
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3.ヘルスコーチングでの「質問」の効果的なタイミング
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ヘルスコーチングでは継続的にコミュニケーションを行う上で、特に効果的に「質問」を活用するタイミング、場面が存在します。
その具体的なタイミングをご紹介します。
 
1)目的、目標、ゴールを具体的にする
2)ゴール、達成イメージを明確にする
3)ゴールに向けた取り組み、行動を明確にする
4)小さな変化、成果を発見する
 
5)進捗を明確にする
6)ゴールと現状のギャップを明確にする
7)行動、取り組みを整理する(自分に合う、合わないなど)
8)ハードルを整理する、明確にする
など
 
ヘルスコーチングでは対象者が目標、ゴールに向けて継続して取り組んでいく過程で、いくつかのポイント、そしてコミュニケーション機会が存在します。
 
そのタイミングに合わせて、上記のようなポイントを対象者自らに発見してもらう、自分事として感じてもうらために、いろんな視点や角度、方法で「質問」を投げかけていきます。
 
 
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4.質問の仕方には工夫が必要
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では、「質問」はどのように提示するのが良いのかというと、対面や電話など直接的な会話であっても、オンライン上のテキストでの対話であっても、対象者が答えやすい工夫が必要になってきます。
 
唐突に漠然と「なにか変化とかありませんか?」と質問しても、対象者はなかなか変化を見つけられないのはもちろん、言葉にし難い状況になってしまい、結果的に「ある」「ない」等の択一の答えしか出てこなくなります。
 
これでは、対象者の考えを身体の外に言語化して出すことには繋がらず、気づきが生まれ難いです。
 
やはりこんなときは、「例えば、こんなところに変化ありませんか?」という感じで対象者が自らに置き換えてイメージを膨らませるように質問をしてみたり、リストを見せてその中からピックアップしてもらって答えてもらったりと、対象者自らが一度自分事として捉え、イメージしやすくしたり、具体的に答えやすくする工夫が必要になります。
 
このようにヘルスコーチングの重要なスキルの1つである「質問」は、対象者の気づきに働きかける工夫と、双方向のコミュニケーションが成立するための答えやすい工夫の両方をしっかりと意識して効果的に使うことがポイントになっています。
 
しかし、この「質問」については、直接的な会話、対話が大前提ではなく、オンライン上のコミュニケーションでも十分対象者の気づきに働きかけることが可能です。
 
例えば、プログラムを設計する上で、プログラム上のタイミングごとに個別に質問やアセスメント、チェックリストを準備して、オンライン上で回答してもらうなどは、システムだけで提供が可能なスタイルです。
 
既に、スポルツでは上記のようなヘルスコーチングの「質問」の要素をシステム的に取り入れたヘルスケアサービスのお手伝いを複数行っております。
 
オンラインでのヘルスコーチングの導入にご興味ある方は是非お声がけください。
 
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「Total Reward」
 
トータルリワードとは、外的な報酬と内的報酬(精神的な満足など)全体を表現した今後の職域での健康づくりのメガキーワードです。
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <9クリップ>
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[1]オムロン ヘルスケア、全社員が適正な血圧値を目指す社内プロジェクト「オムロン ゼロイベント チャレンジ」でカゴメ「野菜と生活 管理栄養士ラボ」とコラボレーション
今回の取組みでは、本社事業所に勤務の社員約100名を対象に、カゴメ社の管理栄養士による食習慣改善セミナーと、2週間毎朝続けて野菜ジュースを飲んで血圧を測定する「朝ベジ運動2週間チャレンジ for ゼロイベント」を実施。(2018/06/14)
 
[2]NTTデータ、介護施設向け見守りロボットサービス「エルミーゴ」提供開始
本サービスは、コミュニケーションロボットと高齢者向け見守り機能を組み合わせたサービス。「ロボット×IoTデバイス」で介護負担を軽減する。(2018/06/14)
 
[3]FiNC、ブロックチェーン技術をアプリに用いるプロジェクト開始
FiNCとBlockchain Technologiesは、「FiNC」アプリに用いるブロックチェーンプロジェクトを立ち上げ。ユーザーの行動履歴や生体情報の管理、健康状態の指標などをブロックチェーンの技術を使って共同開発する。(2018/06/18)
 
[4]ガーミンジャパン、「fenix 5 Plus Series」を世界同時発売
fenix 5の機能に音楽、決済、地図機能を追加搭載。Garminが誇るマルチスポーツ機能と、洗練されたスタイリッシュなデザインを踏襲し、オンとオフを選ばない次世代のプレミアムGPSウォッチ。(2018/06/19)
 
[5]厚生労働省、「ジャパン・ヘルスケアベンチャー・サミット2018」の開催と出展者の募集について
医薬品、医療機器、再生医療等製品の研究開発を行うベンチャーの振興を図るため、昨年度に引き続き、平成30年10月10日(水)より12日(金)までの3日間、パシフィコ横浜にて開催。(2018/06/19)
 
[6]SPORTEC実行委員会、「SPORTEC2018」開催
2018年7月25日から27日。スポーツ設備・機器、フィットネス機器、スポーツ用品、健康器具、介護機器、サプリメント・健康食品、スポーツツーリズムなどが世界中から一堂に出展するスポーツ・健康産業日本最大の展示会。
 
[7]ウェルネス・コミュニケーションズ、第13回 プラスウェルネスセミナー(ヘルスリテラシー向上セミナー)ヘルスプロモーションは「職域」の時代へ
開催日は2018年7月27日(金)。これからの職域ヘルスプロモーションについて、世界の最新の動向と日本の健康経営の未来を語る、新しいテーマのセミナー。
 
[8]スマート感圧スツール、姿勢を改善して長時間座るのを防止するのに役立つ
Fraunhofer産業工学研究所とSilicate Researchは、座っている人の姿勢と時間をモニターするスマートスツールを開発。データは、ユーザが身体の姿勢を変えたり、必要とされる歩行をするために立ち上がる動機づけに使用される。(2018/06/14)
 
[9]mHealthWatch注目ニュース:VRで認知症を体験、約9割が「理解進んだ」
今回取り上げるのは、認知症患者がなぜそのような行動を取ってしまうのか?健常者では理解しにくい側面を、VRを使うことで認知症患者の感じること思うことをリアルに知ることができる体験会の報告です。(2018/06/25)
 
 
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