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[ヘルスコーチングの視線編]2018年8月28日号
   ≫≫≫Author:里見 将史
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「ヘルスコーチング」は、健康に向けて行動変容を支援することを中心に寄り添うコミュニケーションです。
 
私が担当しているこのメールマガジン「ヘルスコーチングの視線」では、「ヘルスコーチング」の具体的なポイントや要素等を提供者側からの視点でお話してきました。
 
そこで今回は、実際に対象者の行動にどんな変化が起きるのか、私がこれまで経験してきた事例をもとに、対象者の変化を中心に紹介します。
 
 
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
---「ヘルスコーチングの可能性を探る:ヘルスコーチングでどう変わるのか?」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「失敗」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 地域IoT連携クラウドサービス、瞑想ガジェットなど、12本
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
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<テーマ>
ヘルスコーチングの可能性を探る:
ヘルスコーチングでどう変わるのか?
 
 
「ヘルスコーチング」はコミュニケーション技法なので、対話やコミュニケーションの中で実際に作用するものです。
 
またその効果は、対象者の気持ちや思考、そしてその後の行動といった対象者自身の中に起きる変化であったりします。
 
そのため、なかなかヘルスコーチングの具体的な効果を的確に伝えられない、どんなアプローチがどう作用したのかなど、伝えることがなかなか難しいということがあります。
 
しかし、私が実際にサポートしている中で、ヘルスコーチングの継続的なコミュニケーションを通して、対象者自らが気づき、そして行動に結び付けていくプロセスを数多く見てきました。
 
そこで今回は、ヘルスコーチングのポイントとともに、対象者の具体的な変化について、これまでの私の経験の中から以下にご紹介します。
 
 
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事例1:PDCAサイクルによって「成果」から「行動」にシフトチェンジ
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ヘルスコーチングでは、対象者の「行動」にフォーカスしてコミュニケーションを行います。
 
しかし、対象者の一番の関心事は「成果」です。
特に取り組みの初期段階では、「成果」や「変化」に意識が向いています。
 
ヘルスコーチングでは、対象者が自ら気づきを得て、その気づきを次の行動に活かして取り組むPDCAサイクルを回し、行動の習慣化、定着化に向かっていきます。
 
そのため、定期的に取り組みを振り返って、次の取り組みに活かしていくためのコミュニケーションを継続的に行います。
 
その際の具体的なコミュニケーション内容は、以下のようなことが基本になります。
・現状の確認
・取り組みの確認
・変化の確認
・そして次の取り組みの設定
 
しかし、この定期的に振り返る内容も、スタートからゴールまでの過程では、経過期間によって振り返る内容はもちろん、フォーカスする視点も変えてアプローチしていきます。
 
このような定期的な振り返りの機会でも、スタート当初は対象者の意識は「成果」「変化」に向いており、数値的な部分に一喜一憂することが多いのが普通です。
 
しかし、この定期的な振り返りの機会で、ヘルスコーチから「行動」にフォーカスしてフィードバックや質問、別の視点に向けてコミュニケーションを繰り返していくにつれて、対象者のコメントにも変化が表れてきます。
 
少しずつ「成果」「変化」といっしょに「行動」や「継続」というキーワードが増えていきます。
 
さらに、振り返りを重ねていくと、「行動」と「成果」「変化」を結び付けた視点が生まれ、それと同時に行動をいかに継続させるか、生活に定着させていけるかという視点がコメントにも含まれてきます。
 
このように、行動にフォーカスをしてPDCAを回し、その中で定期的に振り返るためのコミュニケーションを重ねていくことで、「成果」だけの視点から「行動」を含めた視点へとチェンジし、プログラムが終了したあとでも一人で継続できる取り組みに変わっていくのです。
 
ヘルスコーチングは、目標に向けて行動の継続にフォーカスし、自走できるスタイルを見つけていくための継続的なコミュニケーションです。
 
これまで私がサポートした人も「成果から行動にシフトチェンジ」した変化は多く見られています。
 
 
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事例2:双方向のコミュニケーションによる変化
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ヘルスコーチングでは双方向のコミュニケーションが基本です。
双方向のコミュニケーションでは、対象者の考えを身体の外に「言語化して出す」ことがポイントになっています。
対象者は言語化する過程で、いろいろと考え、そして考えを整理します。そのプロセスで対象者自身に「気づき」が生まれるのです。
 
双方向のコミュニケーションでは、どちらか一方が話をしたら相手にも話しをする機会、きっかけを与えることが必要です。それがヘルスコーチングのスキルの一つでもある「質問」なのです。
 
しかし、この「質問」もただ脈略もなくぶつけるのではなく、「効果的な質問」でなくてはなりません。
 
ヘルスコーチは意図的に以下のようなことを狙って「効果的な質問」を投げかけます。
・考えを整理する
・考えや行動を明確にする
・様々な気づきのポイントを見つける
・視野を広げる、視点を変える
など
 
これまでヘルスコーチングのサポートをする中で、多くの健康専門家(管理栄養士、トレーナー、薬剤師等)の人達と連携してきました。
 
役割としては、健康専門家が正しい知識、情報の提供や専門的な質問への対応で、「ティーチング型」コミュニケーションです。
 
ヘルスコーチは、振り返りであったりPDCAサイクルのサポートなど目標に向けた行動にフォーカスしたヘルスコーチングとしてのアプローチで、「対話型」コミュニケーションになります。
 
取り組みの初期段階では、対象者から健康専門家に対して知識や情報に関する質問が多く見られます。
 
健康専門家は対象者からの質問に対して正しい知識、情報を提供することが中心であるため、「ティーチング的」な一往復のコミュニケーションは成立しますが、対話が繰り返されるには対象者が起点になるといった対象者任せの傾向が強くなります。
 
しかし、ヘルスコーチは振り返りやPDCAのサポートで対象者からのコメントに対してフィードバックを行うとともに、さらに効果的な質問を投げかけます。
その質問に対する対象者のコメントにも、さらに質問を投げ掛けたり、別の視点のコメントをして対話を繰り返します。
 
その結果、健康専門家とのコミュニケーション量に比べて、ヘルスコーチとのコミュニケーション量の方が圧倒的に多くなるのです。
 
またそのコミュニケーションでは、対象者の考えを身体の外に「言語化して出す」作業を繰り返しているので、多くの「気づき」につながっていきます。
 
例えば、ライフタイルに合わせるための工夫を自らアレンジしてトライしたり、苦手な行動、自分に合わない取り組みを認識するなど、「行動」それも継続という視点での会話が多くなっていきます。
 
健康専門家からの知識、情報が対象者の行動や気づきにつながっていないということでは全くありません。正しい行動を選択する上での知識としては効果的な情報なのです。
それらの健康専門家の情報を実際の取り組みに役立てる、行動を加速させる、行動を継続するという視点では、「自らの気づき」が得られるコミュニケーションの方が効果的なのです。
 
今回は、ヘルスコーチングのポイントである「成果から行動にシフトチェンジさせる」そのために「双方向コミュニケーションを深める」について、対象者の具体的な変化をこれまでの私の経験の中から2つだけご紹介しました。
しかし、まだまだご紹介したいポイントがたくさんあります!!
次回以降にもご期待ください。
 
 
前回のこの「ヘルスコーチングの視線」でもご紹介させていただいた、「『ヘルスコーチング』早わかりガイド」ですが、多くの方からご連絡をいただきました。
 
まだ、お申込みいただいてない方は、この機会に是非ご連絡ください。
 
 
【『ヘルスコーチング』早わかりガイド】
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「失敗」
 
失敗とはできなかったことではなくて、一生懸命やらなかったこと。
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <12クリップ>
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[1]ニューロスペース、ヒューマノーム研究所とSleepTech Labを開設、共同研究事業社を募集開始ー睡眠先端テクノロジー×AI×バイオテクノロジーで眠りの謎に挑むー
ヒューマノーム研究所が保有する人間を形作る様々なデータおよびその解析技術と、ニューロスペースの保有する睡眠ビッグデータとソリューションおよび解析アルゴリズムをかけ合わせ、睡眠と人間のあらゆる行動の関連性の解明をしていく。(2018/08/03)
 
[2]野村不動産ライフ&スポーツ、メガロスに0歳から“運動センスを作る”体育スクール「ベビーミライク」新登場【PDF】
基礎運動感覚と運動のセンスを養うベビー向け新スクール。対象年齢は、0歳10ヶ月から3歳。リズム体操、コーディネーション、体育を3本の軸として基礎的な運動能力の習得を目指す。(2018/08/09)
 
[3]Mediplat、医師によるオンライン健康相談「first call」、「クラウドテック」の登録フリーランス向けにサービスを提供
クラウドワークスが運営する「クラウドテック」を通じて仕事をするフリーランスが、体調で不安があったときに「first call」を通じて医師に相談し、対応についてのアドバイスを得られるようにすることで、より安心して仕事に従事できるようサポート。(2018/08/10)
 
[4]NTTデータ経営研究所、経済産業省主催「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2019」エントリーを開始
誰もが人生を最期まで幸せに生ききることができる「生涯現役社会」の実現を目指すにあたり、健康寿命の延伸に寄与するヘルスケアソリューションを提供する事業を募集する。新たにセカンドキャリア賞やアイデアコンテストを実施。(2018/08/13)
 
[5]広島大学、【研究成果】“幸福感”は年収の高さに依存するのか?ー心理的傾向「マインドフルネス」の影響を初めて解明ー
一般に収入の高い人の方が幸福感が高い傾向にある。しかし「マインドフルネス」という心理的な傾向の高い人は、収入の多い少ないに関わらず、高い幸福感を感じていることを大規模な調査によって解明した。(2018/08/16)
 
[6]ラフール、行動変容を導く職場環境構築“貼るだけの復習学習”を実現するラフール式ポスターの提供開始
同社人気セミナーの共有・振り返りができるオリジナルツールとしてイラストを用いた、従業員への訴求力を高めた「ラフールネスポスター」を種類豊富に2018年夏にリリース。(2018/08/16)
 
[7]日立製作所、「地域IoT連携クラウドサービス」を自治体向けに販売開始
本サービスの活用により、各自治体で蓄積した防災やエネルギー、ヘルスケアといったさまざまな分野のデータを分析・利活用することが可能となり、地域の活性化や安全、公共サービスの充実など、データを活用した政策立案や自治体の課題解決を支援する。(2018/08/20)
 
[8]第一生命経済研究所、ライフデザインレポート:WATCHING「長生きは良いことか」主席研究員 小谷みどり【PDF】
国立社会保障・人口問題研究所が2017年に実施した生活と支え合いに関する調査によれば、「長生きすることは良いことだ」という考え方に対して「とてもそう思う」と回答した人は全体で24.3%、「ややそう思う」を合わせても67.9%。3人に1人は、長生きすることは良いことだとは思っていないことになる。(2018/08/20)
 
[9]VRとHRVを計測する瞑想ガジェット『IntelliSense』レビュー
「IntelliSense」はHRVを使い、断続的な文字による指示を通して、そして時間の経過に合わせた息の循環の縁部分に色分けされたブロックの形で、パフォーマンスに関するリアルタイムのフィードバックをユーザーに提供する。(2018/08/09)
 
[10]合掌したら体脂肪率がわかる!? 手のひらサイズの体組成計『RIDM』
「RIDM」は、体組成計で定番の生体電気インピーダンス分析ができる手のひらサイズのデバイス。現在、クラウドファンディングKickstarterにて1つ49ドルで入手できる。(2018/08/10)
 
[11]WebMD、早くもコンシューマサービスを追加買収
前回の買収から2ヵ月と経たないうちにMdx Medical社からVitals Consumer Services部門を獲得すると発表。消費者が医師とオンラインでつながるサービス提供に特化しているこの部門を構成するのは、vitals.comとUCompareHealthCare.com。(2018/08/15)
 
[12]mHealthWatch注目ニュース:「健康への気づき」を促す空間デザイン・プログラム
今回注目するのは「健康への気づき」促す空間デザイン・プログラムに関するニュースです。今回のニュースのような「情報」から一歩先の「体験して気づき」を促す仕掛けは、健康を「自分ごと」として捉える良いきっかけになるような気がしています。(2018/08/27)
 
 
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