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[ヘルスコーチングの視線編]2018年9月25日号
   ≫≫≫Author:里見 将史
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こんにちは、里見です。
 
前回この「ヘルスコーチングの視線」で、ヘルスコーチングでの対象者の具体的な変化について、これまで私が経験してきた事例をもとにご紹介しました。
 
今回も引き続き、ヘルスコーチングの継続的なコミュニケーションで、自らが気づき、そして行動に結び付けていくプロセスの中で、対象者がどう変わっていくのかについてご紹介したいと思います。
 
 
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
---「ヘルスコーチングの可能性を探る:ヘルスコーチングでどう変わるのか?『変化への気づき』」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「かけ算で勝負」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 健康社食サービス、海外 フィットネストラッカー動向など、11本
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
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<テーマ>
ヘルスコーチングの可能性を探る:
ヘルスコーチングでどう変わるのか?『変化への気づき』
 
 
前回はヘルスコーチングでの対象者の具体的な変化について以下の2つのポイントをご紹介しました。
 
・PDCAサイクルによって「成果」から「行動」にシフトチェンジ
・双方向のコミュニケーションによる変化
 
「ヘルスコーチング」はコミュニケーション技法です。
そのため、上記の2つのポイントもやはり、対話やコミュニケーションを重ねていくうちに対象者の気持ちや思考、そして行動といった部分で確実に変化が表れてきます。
 
また、取り組みや行動が加速するタイミング、ポイントがあることも、これまで実際にサポートした中で実感しています。
 
そのポイントの1つが、今回ご紹介する『変化への気づき』です。
 
ヘルスコーチングでは、継続的なコミュニケーションの中で、「変化」への働きかけ、アプローチの適切なタイミングで、いろんな角度、視点からアプローチして変化を見つけられるサポートをします。
 
そこで今回は、『変化への気づき』に関するヘルスコーチングのポイントとともに、対象者の具体的な変化について、これまでの私の経験の中からご紹介します。
 
 
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<事例>変化への気づきが自己効力を高め、行動を加速させる
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ヘルスコーチングでは、ゴールや目標を決め、具体的な行動を設定し取り組みがスタートします。
 
スタート当初は、対象者は「成果」への意識が強いため、数値的な変化、見た目の変化に目がいきます。
しかし、みなさんもご存知の通り、カラダはそんなに急激に変わるものではありません。
 
食事量を極端に少なくするなどしたりすれば別ですが、生活習慣・行動を変えるアプローチでは、急激なカラダの変化は表れません。
だからこそ、行動の継続が成果には重要なのです。
 
しかし、対象者としては一刻も早く「成果」を手に入れたいという思いで取り組んでしまいます。ここに行動が続かない、取り組みがストップしてしまう理由が詰まっているのです。
 
「成果」への期待が高いのに、取り組んでも変化が見えない、見づらい状況が続くと行動するメリットが見つけられなくなってしまいます。
その結果、行動のストップにつながってしまうのです。
 
 
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1)変化を気づかせる具体的なアプローチ
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取り組みの初期段階では、対象者の意識は「成果」や「変化」、それも大きな「成果」や「変化」に向いています。
 
そこでヘルスコーチングでは、行動、取り組みによって対象者の中に起こっている小さな変化に目を向けて、その小さな変化や成果に気づく、見つけるための働きかけ、アプローチをコミュニケーションを通して行います。
 
この時の小さな変化、成果とは、対象者のカラダの変化だけではなく、意識や気持ち、行動などなど幅広い視点、切り口からのアプローチが必要になってきます。
 
さらに、重要なポイントはコミュニケーションの取り方、投げかけ方です。
 
ただ漠然と「変化しているところを見つけてみてください」と伝えても、数値や見た目などの「成果」に目が向いている対象者には、それ以外の部分は自身には見えていないので具体的に見つけられません。
 
そこでヘルスコーチからは、イメージを膨らませる、視点を拡げる、そして答えやすいということを意識して働きかけ、問いかけます。
 
具体的には、行動や取り組みによって変化しそうなポイントを具体的にして「こんな変化が出てきていませんか?」といった感じで項目、事例を挙げ、その中から選択したり考えたりするイメージです。
 
以下は、ダイエットに取り組んでいるケースで変化を見つける時に使っている質問項目の一例です。
 
 
(からだ)
・最近、カラダが軽く感じてない?
・最近、ウエストがスッキリしてきてない?
・以前より、疲れにくくなってない?
・お通じがよくなってきてない?
 
(食事)
・前より、朝食が美味しく感じるようになってない?
・最近、空腹を気持ちよく感じられるようになってない?
・食事の時間を気にするようになってない?
 
(意識)
・最近、ファッションに対する興味が増してきてない?
・前と比べて、鏡を見る機会が増えた気がしない?
 
(行動)
・体重計に乗る機会が増えてない?
・最近、意識的にこまめに動くようになってない?
・前より、階段を選ぶようになってない?
・前より、姿勢を意識するようになってない?
 
 
上記はほんの一部ですが、このような幅広い視点や切り口で、特に対象者自身が見えていない領域を入れて質問をして、これらの中から思い当たる項目やそこからイメージを膨らませて関連する変化に気づいてもらう、見つけてもらいます。
 
数値や見た目の変化以外に目が向いていなかった対象者の意識は、上記のような働きかけをすることで、小さな変化自体を認識し、自らの行動、取り組みが変化につながっていることを体感するのです。
 
この自ら変化を発見すること、そして変化している自身を見つけられることが、次の行動、取り組みへの意欲、モチベーションに関係していくのです。
 
だからこそ、ヘルスコーチングでは対象者の変化への自らの気づきに働きかけをするのです。
 
 
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2)変化を見つける、気づくタイミング
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変化を見つける、変化に気づくことは、タイミングも重要になってきます。
 
対象者の意識が「成果」や「変化」に向いている取り組みの初期段階では、特に働きかけがポイントになってきます。
 
みなさんも経験があると思う「三日坊主」。
この「三日坊主」に陥る理由として、変化が見えない、続けるメリットが感じられないということが大きく関係しています。
 
だからこそ、なるべく早い段階で、ほんの小さな変化に気づくこと、取り組みを継続する手応えを感じることが、行動を継続するには必要になってくるのです。
 
また、定期的に変化を見つけ、変化の量を感じたり、成果が積み重なっていくことを通じて、ゴールに近づいている感覚が得られることも重要になってきます。
 
そのため、プログラムを組み立てる段階から、変化を見つけるタイミングをあらかじめ計画しておいたりもします。
 
例えば、以下のようなイメージです。
 
・スタートから3日後
・スタートから1週間後
・スタートから2週間後
・スタートから1ヶ月後
・スタートから2ヶ月後
 
上記のようなタイミングで変化を見つける、変化の気づきにアプローチしますが、すべてのタイミングで同じ質問、方法ではなく、タイミングに合わせて視点を変えたり、投げかけ方を変えたりして、変化の視点を増やしたり、変化のバリエーションも増やしたりして、多くの変化を感じるようにしていきます。
 
 
変化の視点や変化のバリエーションを増やす具体的なアプローチ例
 
・タイミング(経過日数)によって、変化を見つけるポイント、項目を変化させる
・前のタイミングから今回を比べて、変化の積み重ねや成果の量を見つける
・スタート時点、現在、ゴールとの位置関係、距離感を把握する
 
 
ヘルスコーチングでは、対象者が自ら気づきを得て、その気づきを次の行動に活かして取り組むPDCAサイクルを回し、行動の習慣化、定着化に向かっていきます。
 
対象者自らが気づき、発見する「変化」は、対象者が自らの行動によって手にする「報酬」とも言えます。
 
この「報酬」を手にすることが「出来る」という自信につながり、次の行動につながっていくのです。
 
ゴールに近づく、ゴールを手にするためには、行動の継続が必要で、健康的な面から言えば、行動の定着こそがゴールの先にある維持、キープするためには外せないことになります。
 
そのためにも、「出来る」といった自信や自己効力を高めるステップ、プロセスが極めて重要なのです。
 
しかし、なかなか小さな変化は自分一人では気づくことができません。
 
だからこそ、ヘルスコーチングのコミュニケーショでは、対象者が自ら変化を見つける、変化に気づくためのアプローチをコミュニケーションを通して行うのです。
 
今回ご紹介した変化を見つける、変化に気づくためのアプローチは、ヘルスコーチングではいろんな場面で活用します。
 
今回も少しだけ触れましたが、過去、現在、未来といった「時制」を使ってコミュニケーションを通して進化、進捗、距離感などを把握することも、「変化」への気づきがベースになっています。
 
この「時制」を使ったアプローチもヘルスコーチングでは活用することが多いので、次回以降にお話したいと思います。ご期待ください。
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「かけ算で勝負」
 
IoT時代が進化し、AIで可能な効率領域が増えていくと、今持っている個人的なスキルセットだけでは通用しなくなる可能がある。いくつかの機能を自分にアップデイトし、そのかけ算で勝負すべき時代になる。
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <11クリップ>
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[1]エームサービス、社員食堂を通じて企業の健康経営を支援する「健康社食(R)サービス」を始動
おいしい健康とスマートフォン向けの「健康社食アプリ」を開発。併せて、エームサービスに所属する管理栄養士/栄養士がアプリやその他のICTを活用した個別/集団サポートを提供するサービス「健康社食コーチ」を新たに開発。(2018/09/10)
 
[2]ウーマンズラボより、「スマートミール認証弁当」首都圏大手企業中心に2000社以上が採用
スマートミール認証弁当は首都圏の大手企業を中心とした2000社以上に導入。9月11日現在で「健康経営銘柄2018」選定企業のうち10社、「健康経営優良法人2018(大規模法人部門)ーホワイト500ー」認定法人のうち80社以上で採用されている。(2018/09/12)
 
[3]エムティーアイ、『ルナルナ』のパートナー共有機能がパワーアップして復活!
生理日や仲良し日(妊娠確率の高い日)などをパートナーへメールで伝えられる「パートナー共有機能」と、自身が記録した体調の変化を生理開始前後に合わせてグラフで確認できる「体調振り返り機能」を追加。(2018/09/13)
 
[4]ドン・キホーテ、「アクティブギア ライフロガー」発売開始【PDF】
近年の健康志向の高まりにより増加しているスポーツ人口の需要にあわせ「健康機能」に特化して開発したバンドタイプのウェアラブル端末。心拍センサーあり/なしの2タイプを展開。(2018/09/18)
 
[5]Withings、ブランド復活と共に自社の最先端のスマートウォッチとなる「Steel HR Sport」を新発売
Withingsがデジタルヘルス市場に復活。「Steel HR Sport」は、心拍測定、GPS、そしてVO2maxの推定値によるフィットネスレベルの分析機能を搭載したハイブリッド・スマートウォッチ。(2018/09/18)
 
[6]ソニー、ハイブリッド型スマートウォッチ「wena wrist」シリーズからセイコーとの2つのコラボモデルが登場!
世界で初めて腕時計のバンド部分にスマートウォッチの機能を搭載したwena wristと、世界で初めて6桁表示のデジタルウオッチを発売するなど数々の“世界初”を世に届けてきたセイコーブランドとの初コラボモデル。(2018/09/18)
 
[7]富士キメラ総研、スマートホーム市場総調査 2018
IoT/AI/センシング技術により、コネクティビティ/インテリジェンス化が進展、加速するスマートホーム市場の成長性を徹底予測。
 
[8]日経BP社、「デジタルヘルスDAYS 2018」開催
開催日は、2018年10月17日(水)から19日(金)。医療・健康・介護の新たな情報化を目指し、サービスと技術の作り手たちが目的・課題・手段を共有しあい、新たなビジネスモデルを創出するマッチングイベント。
 
[9]シード・プランニング、医療/ヘルスケアセミナー「健康・医療分野のパラダイムシフトー異次元の高齢化社会にどう対処するか?ー」開催
開催日は2018年10月24日(水)。異次元の高齢化社会に対応するために、産業界もこれまでの健康・医療のサービス・技術の提供の在り方を見直す必要に迫られている。パラダイムシフト推進者による講演、省庁・政府の取組み紹介により今後の対応をさぐる。
 
[10]もうすぐバッテリー切れですよ…と自分の体力まで教えてくれるフィットネストラッカー、Garmin『vivosmart 4』
Garminが新たに発表した「vivosmart 4」は、心拍変動(HRV)やストレスレベル、活動/睡眠データを総合的に判断しながら、自分の体力を0から100のスコアでリアルタイム分析してくれる「Body Battery」が特長。(2018/09/12)
 
[11]『mHealth Watch』注目ニュース:瞑想アプリ『Headspace』、音声対応AIシステムのAlpine.AIを取得
今回買収したAlpine.AIは、VoiceLabsという社名で長年、音声をベースとしたサービス開発を手がけてきた。ショッピングの音声アシストでは話題になった。Alpine.AIが培った自然な会話が、Headspaceが音声アシストを使う上で重要であると判断したのだと思われる。(2018/09/18)
 
 
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