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[ヘルスコーチングの視線編]2018年12月25日号
   ≫≫≫Author:里見 将史
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こんにちは、里見です。
 
前回の[ヘルスコーチングの視線編]では、「メソッドの位置づけ」について解説しました。
メソッドに取り組む上でポイントになるのがやはり「継続」ですが、継続していくプロセスで大切になってくるのが「自らの選択」です。
 
2019年最後の今号では、「自らの選択」についてヘルスコーチングのアプローチを解説します。
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
---「ヘルスコーチングの可能性を探る:自らの選択」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「今後の成果のすべて?」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 体組成計を組込んだ床材、海外 世界ウェアラブル市場など、11本
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
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<テーマ>
ヘルスコーチングの可能性を探る:自らの選択
 
 
ヘルスコーチングは、寄り添う側であるヘルスコーチやメソッドを提供する専門家が主役ではなく、実際に取り組む対象者が主役のコミュニケーションだということは、これまでにもお伝えしてきました。
 
そのため、ヘルスコーチングでは「ゴール、達成イメージ」、そして達成イメージを手に入れるための「具体的な行動(アクション)」は、対象者が自ら決定して取り組むことが基本的なスタンスなのです。
 
したがって、ヘルスコーチングでは、アドバイスを求めて受け身のスタンスの人に対しては、機能しないケースもあります。
 
 
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他者との一方的な「行動契約」
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一般的なティーチング主体のアプローチや継続へのアプローチが欠落したメソッドでは、「やること」が固定されていることが多く、その「やること」も対象者のライフスタイルなどはまったく考慮されていない方法で、いわば強制的に「選択させられる」、言葉を変えると「行動契約」を一方的に結ばされることになります。
 
一方的な「行動契約」には「やること」を途中で変更したり修正する余地が対象者に与えられていないことが前提になっていたりします。
 
メソッド自体は、「やること」を継続できてはじめて成果を手にすることができるはずなのですが、「継続」に関しては対象者任せであって、結果、成果が手にできないのは「行動契約」を守っていない、継続できていない対象者自身の問題であるということになります。
 
 
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自分との「行動契約」
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一方、「自ら選択する」ということは、対象者自らが自身と結ぶ「行動契約」という位置づけになります。
 
しかし、ヘルスコーチングのアプローチにおける「行動契約」では、取り組む途中で継続できないケースが発生した場合、継続に向けて「やること」を修正したり、変更することが、そもそも前提になっています。
 
対象者のライフスタイルはそれぞれ異なります。
また生活習慣を変えたり生活の中に健康行動を追加する過程では、様々なハードル、障害が立ちはだかることが通常でスムーズにいかないものなのです。
 
また、対象者自身に「ゴール・達成イメージ」を手に入れたいという強い気持ちがあったとしても、具体的に生活習慣を変えたり生活の中に健康行動を追加して取り組んだとしても、自身の中で変える前の生活、ライフスタイルのほうが心地良いといった、新しい変化に対する拒否反応や抵抗勢力が生まれ、現状維持バイアスが強まり、易きに流れるといったことで、もとの生活習慣に後戻りするケースも発生します。
 
この時に、他者との「行動契約」のようなティーチング的なアプローチやメソッドありきのアプローチでは、自身の中に存在する「現状維持の居心地の良さ」と真っ向勝負しなければなりません。また、その際には自身一人で立ち向かうことになります。
 
それは、他者との「行動契約」では、変更や修正の余地が対象者に与えられていないからです。
 
しかし、対象者が主役で全ての選択権が対象者に委ねられているヘルスコーチングのアプローチでは、「行動契約」は自身との契約であって、途中での変更や修正が前提になっているため、立ちはだかるハードルや障壁と真正面から向き合うことはもちろん、別のルートに迂回する、別のアプローチに変えることも対象者の自由なのです。
 
それはヘルスコーチングが「行動の継続」ということにフォーカスして、「行動の継続」によって対象者を「ゴール・達成イメージ」に導くために寄り添うことを基本にしているからです。
 
そのため、ヘルスコーチングでは他者との「行動契約」とは異なり、継続する上で立ちはだかるハードルや障害との向き合い方、対処方法も自由に選択可能で、またハードルや障害に一人で立ち向かうのではなく、ヘルスコーチがしっかりと寄り添って、自らの選択をサポートするための「選択支援」もしっかりと行うのです。
 
 
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自分で選択するからこそ習慣化、定着化する
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ヘルスコーチングでは、「ゴール」と「行動」を明確に切り分けてアプローチします。
「ゴール」に向けて取り組むことが「行動」です。
「行動」が伴わないと「ゴール」に近づくことはできません。
しかし、この「行動」も「継続」してはじめて「ゴール」に近づくことができるのです。
 
そのため、自ら選択した「行動」の取り組みが継続できない場合には、やり方を変えて試してみたり、工夫を繰り返して試行錯誤はしますが、根本的に無理な場合には「ゴール」に向けた「行動」そのものを入れ替えれば良いのです。
 
「ゴール」に向けて「行動」に取り組むということは、これまでの生活習慣を変えたり、生活習慣の中に新しい行動を追加することになります。
 
当然、「継続」することが重要なので、生活習慣を変え生活習慣の中に新しい行動を定着させていくことが必要です。
 
生活習慣を変えて、新しい「行動」を生活習慣の中に定着化、習慣化させていく上では、やはり無理して我慢を重ねて克服することよりも、自身に合ったやり方、取り組みを自身で選択してトライ&エラーを繰り返しながら身につけていくことがポイントなのです。
 
だから、他者との一方的な「行動契約」よりも、自由な選択権が与えられている自身との「行動契約」であるヘルスコーチングのアプローチのほうが、「行動の継続」という視点でも効果的なコミュニケーションだと言えるのです。
 
今回はヘルスコーチングの「自らの選択」について解説しましたが、「自らの選択」をサポートするためには、やはり選択を支援するための正しい情報提供が重要になってきます。
 
正しい知識をもとにした「自らの選択」が前提になります。
 
正しい選択を支えるためのヘルスコーチングにおける「ヘルスリテラシー」のサポートについては、次回以降にまたご紹介したいと思います。
 
 
今号が2018年最後のメルマガになります。
 
2019年もヘルスコーチングを更に深掘りしてみなさんにお届けしていきたいと思います。
もし、ヘルスコーチングについて2019年にこんなテーマを取り上げて欲しいなんてリクエストなどあれば、ぜひお聞かせください。
 
ご連絡はこちら
 
 
それでは、みなさま
良い年をお迎えください!!
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「今後の成果のすべて?」
 
今後の成果のすべては、今日何をやったかの蓄積以外の何物でもない!時々超基本スタンスの再確認をしたいものですね!!
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <11クリップ>
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[1]凸版印刷、さりげなく健康を見守る床材
「トッパンIoT建材」シリーズの新製品として、体組成計と床材を組み合わせ、日常的にさりげなく身体情報を取得できる「ステルスヘルスメーターTM」を開発。(2018/12/12)
 
[2]ユーザーローカル、文藝春秋「Number Web」が「AIコメントシステム」を採用
メディアにコメント機能を実装する「AIコメントシステム」を、文藝春秋が運営するスポーツ総合雑誌Sports Graphic Numberの公式サイトに提供開始。スポーツコミュニティの活性化を図るとともに、AIで運営工数を削減。(2018/12/13)
 
[3]日経デジタルヘルスより、介護施設でAI搭載ロボを検証、2020年に10万台普及へ
米サンフランシスコに拠点を置くAeolus Roboticsは、2018年1月の展示会「CES2018」で発表したAI・機械学習機能搭載型ヒューマン支援ロボット「アイオロス・ロボット」のレンタルサービスを2019年8月に開始する。(2018/12/13)
 
[4]GMO医療予約技術研究所、「おまとめ診察券 byGMO」を提供開始
患者は、診察券統合アプリ「おまとめ診察券 byGMO」を利用することで、医療機関の通院にかかる予約・問診票記入・受付・決済等の一連の行為をアプリ上で行える、など。(2018/12/17)
 
[5]ウーマンズラボより、日本と世界が取り組むユニバーサル・ヘルス・カバレッジとは?
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジとは、「全ての人が適切な予防、治療、リハビリなどの保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態」のことを指す。(2018/12/17)
 
[6]日経デジタルヘルスより、デジタルヘルス・レポート:「ヘルステック」は生活そのものになる(フィリップス・ジャパン堤社長)
2018年12月6日に開催した「2019年度戦略発表会」の記者会見における質疑応答を基に、フィリップス・ジャパン代表取締役社長の堤浩幸氏が考える今後の戦略をまとめた記事。(2018/12/17)
 
[7]ミクシィグループのスマートヘルス、「ココサイズ」1号店を東京・桜新町にオープン(PR TIMESより)
健康寿命延伸を目的とした女性専用のコンディショニングジム。カラダの状態を体組成計やAIを用いたシステムで計測し、独自のアルゴリズムで100種類以上の運動から最適なコンディショニングプログラムを提示する。(2018/12/18)
 
[8]RIZAPグループ、武田薬品など8社が参画するコンソーシアムでの活動を開始
RIZAPグループは、「湘南会議」のビジョンに賛同する民間企業と共同で、未病に関するビジネスモデル検討を進めることを合意。参加企業と共に、2018年度中にはサービスプログラムの具体案を検討、2019年度よりパイロットスタディを開始予定。(2018/12/18)
 
[9]シード・プランニング、「医療・ヘルスケア分野におけるアウトカム評価研究会」事前説明会
開催日は、2019年1月17日(木)。説明会では、この分野の第一人者である立命館大学生命科学部生命科学科(医療政策・管理学)教授 下妻晃二郎先生の講演の他、研究会の概要説明、想定している講師陣や期待されるアウトプット等の内容を説明。
 
[10]調査:世界ウェアラブル市場、Xiaomiがシェア21.5%で首位
Xiaomiは第3四半期、690万台を出荷して21.5%の市場シェアを獲得。首位のXiaomiに続いたのはApple13.1%とFitbit10.9%で、それぞれ420万台、350万台の出荷台数を記録。(2018/12/13)
 
[11]『AirPods』で心拍や体温を測定? Apple、生体センサー付きデザインの特許取得
特許では、外耳道近くの耳珠と呼ばれる突起部分に生体センサーがくる設計で、心拍や体温が測定できると見込まれる。運動時の心拍がわかるとエクササイズの負荷が正しいかどうか判断するのに使える。(2018/12/17)
 
 
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