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[モバイルヘルス&アプリ動向編]2019年1月15日号
   ≫≫≫Author:渡辺 武友
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モバイルヘルス担当の渡辺武友です。
本年もよろしくお願いします!
 
先週のメルマガ「Wellness時代の到来へ」では、ここ10年のトレンドを振り返りました。
今回はその中でも取り上げられたFitbitについて特集します。
 
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【1】特集:モバイルヘルス&アプリ動向編
---「時代性を捉えたFitbitの動向」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「秘密の共有」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 2019年を占う10大キーワード、海外 スマートウォッチ血圧計など、8本
 
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【1】特集:モバイルヘルス&アプリ動向編
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<テーマ>時代性を捉えたFitbitの動向
 
フィットネストラッカー、ウェアラブルデバイスとして最も認知されているのがFitbitでしょう。Fitbitが、どのように世界を代表するウェアラブルメーカーとなったのか、過去からの動向を整理してみていきたいと思います。
 
 
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事業概要
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企業名:Fitbit, Inc.
 
設立:2007年
 
事業内容:ウェアラブルデバイスの販売、関連するサービスの提供
 
累計販売台数:2,540万台以上(2018年時点)
 
売上・営業利益推移(milUSD):
2011年 売上14億
2012年 売上76億
2013年 売上271億
2014年 売上745億・営業利益157億
2015年 売上1,857億・営業利益348億
2016年 売上2,169億・営業利益-112億
2017年 売上1,615億・営業利益-201億
 
 
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導入期(2007-2011年頃)
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最初期のモデル(後年「classic」と呼ばれていた)は、ポケットイン、ベルト装着タイプで、加速度センサーにより活動量と睡眠を記録し、PCに接続してデータ管理ができるものでした。
当時は小型のウェアラブルで睡眠を計測できることが話題になりました。
 
しかし、睡眠を計測することによる価値が浸透していない時代だったため、一部のユーザーの利用に留まったようです。
当時米国では、歩数計などは疾患がある人や肥満の人が使うもの。とのイメージがあったようです。
 
2011年10月に後継機となる「Ultra」を発売しましたが、デザインや機能はマイナーチェンジと言えるものでした。
「Ultra」発売から1ヶ月後にJawboneから「UP」が発売され、ウェアラブルデバイスの状況が一変します。
 
 
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成長期(2012-2015年頃)
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Jawbone「UP」に続き、2012年1月にNikeより「Nike+ FuelBand」が発売されました。
この2製品が注目を集めた背景は、スマートフォンのブームです。AppleのiPhone、SamsungのGalaxyを中心に急激に携帯端末市場をスマートフォンに塗り替え、この先進的な端末とBluetoothで連携できる(コードで繋がないでよい)デバイス、かつ病気の改善ではなく、おしゃれな健康ツールとして認められたことで、一気に広がっていきました。
 
この流れに乗り遅れたFitbitは、2012年9月に「One」と「Zip」を発売しました。この時点では「UP」や「Nike+ FuelBand」のようなリストバンドタイプではなかったのですが、機能を絞って小型化し、当時ブームとなっていたカラーバリエーションを揃えた「Zip」が女性ユーザーに広まったのです。
翌年の5月には、リストバンドタイプの「Flex」を発売したことでJawboneやNikeと肩を並べることとなりました。
 
その後Fitbitは、JawboneやNikeと違うアプローチを取ります。
JawboneがBODYMeDIAやMASSIVE HEALTHを買収し、技術やコンテンツを取り込む方向に。Nikeは自社プラットフォームを構築し、サービサーに「Nike+ FuelBand」のアプリの中でサービス展開させようとしました。いわゆる囲い込み戦略です。
一方、Fitbitはモバイルヘルス・ブームに乗ってサービス展開しているmyfitnesspalやLose It!などとデータ連携することで、ユーザー数の多いサービスに無料でデータを提供し、ユーザーの利便性を高める、自社でユーザーを囲い込まない戦略を取りました。
このアプローチが功を成し、JawboneやNikeが撤退していく中、売上を伸ばしていきました。
 
そして2014年には新たな競合として、1/10程度の価格で市場参入してきたXiaomiの「Mi Band」やスマートウォッチとして発売を開始したAppleの「Apple Watch」が登場しました。
 
 
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低迷・チャレンジ期(2016年から現在)
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市場がフィットネストラッカーからスマートウォッチに移行する中、Fitbitはスマートウォッチを展開するPebbleを買収し、2017年8月にスマートウォッチ「Ionic」を発表しました。翌年には「Versa」を発表し、スマートウォッチ開発に力を入れています。
 
すでにフィットネストラッカーとしては米国で最大のヒットとなったFitbitですが、ブームが下火になる中、新しい市場として法人向けに注力してきました。
現在、1600社以上にFitbitを導入しています。
 
上記、売上と営業利益を改めて見ていただきたいのですが、2016年には2,000億を突破する中、営業利益が-112億になってしまいました。
2017年には営業利益だけでなく売上も低下しています。
スマートウォッチの開発など、コストがかかる部分もありますが、法人市場で契約数は伸びても、営業利益に反映できなかったことが想定されます。
 
現在Fitbitは、2,500万台以上販売した顧客基盤を活かして、スマートウォッチを中心とした自社プラットフォームにチャレンジしています。
また、法人市場ではデバイスを配ってユーザー任せにするのではない、結果に結びつけるサービスの強化を図っています。昨年後半にヘルスコーチがデータ共有してアドバイスを行う「Fitbit care」を発表しました。
 
 
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Fitbitの今後
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ヘルスケア市場においては、機能だけで売上を拡大するのは難しいと言われます。Fitbitの歴史を紐解くことで、そのことも証明してきたと言えるでしょう。
時代を捉えたアプローチを常に取ってきたからこそ、現在のFitbitがあり、今後の巻き返しにも期待が高まります。
 
 
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法人市場に関する講演のご案内
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これから健康経営、働き方改革をはじめる企業必見!
「企業が経営に活かすべき健康経営、働き方改革」
 
来週1月23-24日に東京ビックサイトで開催される「ヘルスケアIT」にて、株式会社フジクラの浅野健一郎氏と共に、健康経営と働き方改革をテーマに講演を行います。
 
1月23日(水)14:30 - 15:15 K会場
 
すでに事前予約は終了していますが、例年、当日講演時間前に受付をしてもらえれば入場可能でした。
今年も早めの当日受付で講聴できると思いますので、お時間調整可能な方はお越しください。
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「秘密の共有」
 
顧客の成果を出しているばかりかエンゲージメントも極めて高いパーソナルトレーナーに聞いたその秘訣は、顧客との秘密の共有とのことでした。
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <8クリップ>
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[1]厚生労働省、平成31年度「高年齢者雇用開発コンテストー生涯現役社会の実現に向けてー」を実施
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構と共催で、高年齢者がいきいきと働くことのできる職場づくりの事例を募集。応募期間は、平成30年12月26日(水)から平成31年4月15日(月)まで。(2018/12/26)
 
[2]日経デジタルヘルスより、デジタルヘルス・レポート:日経デジタルヘルスが選ぶ、2019年を占う10大キーワード
今年も日経デジタルヘルス編集部では新たな1年を占う10大キーワードを選出。2019年を展望する10のキーワードを五十音順で紹介。AI診断、スポーツ×デジタルヘルス、など。(2018/12/27)
 
[3]キリンとジェネシスヘルスケアが販売で提携
プラズマ乳酸菌シリーズ「iMUSE professional」と皮膚常在菌遺伝子定量検査キット「GeneLife SKIN MICROBIOME」の販売を相互に斡旋、キリンのECサイトで販売を開始する。(2018/12/28)
 
[4]FiNC Technologies、FiNC 健康経営・働き方改革の投資対効果を可視化する「経済効果分析」機能を開発
企業が健康経営施策を実施した際の投資対効果が可視化できる「経済効果分析」機能を新たに開発し、従業員の健康状態・健康リスク分析サービス「FiNCウェルネスサーベイ」に本機能を追加。(2019/01/08)
 
[5]赤ちゃんの体温を24時間測定するパッチ『Intelligent Thermometer』
香港のスタートアップが開発した体温測定パッチは、体に貼り付けるだけで24時間継続して赤ちゃんの体温を測り、高熱になるとアラームで注意を促してくれる。(2018/12/27)
 
[6]Omron Healthcare、FDAが承認したスマートウォッチ血圧計『HeartGuide』1月に発売
HeartGuideの特徴は、血圧測定値を取得するときに膨らませても形状を維持しながら、手首を快適に保つように設計されている柔軟な合成バンド。計測では、夜間の血圧測定が可能となるようプログラム化できる機能など。(2018/12/27)
 
[7]いびきを完全に遮断する?快適な眠りをサポートする睡眠用ウェアラブルデバイス『QuietOn Sleep』
QuietOn Sleepは、主に睡眠時に着用する耳栓デバイス。アメリカとフィンランドにて特許技術を取得した、ノイズキャンセリングシステムにインイヤー型を採用することで、より静かな環境を提供可能にした。(2019/01/08)
 
[8]『mHealth Watch』注目ニュース:半年間のウォーキングで思考力が改善、脳の9歳若返りも
今回注目するのは、高齢者が1週間に3回、ウォーキングをしたり自転車をこぐだけで、思考力の低下が改善するという研究結果のニュース。(2019/01/15)
 
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