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[海外事例にみる企画ヒント編]2019年3月19日号
   ≫≫≫Author:脇本 和洋
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こんにちは。脇本和洋です。
 
2011年から健康医療分野のスタートアップ企業を支援する「Rock Health」。
ベンチャー企業と投資家を結び付けることを事業としており、支援するベンチャー企業が調達した金額は500億円を超えました。
今回は、Rock Healthの取り組み、支援企業を紹介します。
 
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【1】特集:海外事例にみる企画ヒント編
---ヘルスケアベンチャーを支援する「Rock Health」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「顧客ロイヤルティー」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 「やせる!みそ汁」、海外 眼疾患×AIなど、11本
 
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【1】特集:海外事例にみる企画ヒント編
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<テーマ>
ヘルスケアベンチャーを支援する「Rock Health」
 
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Rock Healthとは
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Rock Healthは、2011年にハーバードビジネススクールに通っていた2人(Halle Tecco氏とNate Gross氏)により設立されました。投資家とベンチャーを結び付けることを事業とする団体です。
 
■Rock Health
 
設立間もないころに、Mayo Clinic(米国の先進的医療機関)がRock Healthの考え方に賛同し、資金提供パートナーになったことがきっかけとなり、ベンチャー企業と投資家が集まることになります。
 
起業家向けの育成プログラムでは、助成金を与え、サンフランシスコのオフィススペースを貸し出し、ブランディング/コミュニケーション/法律面を支援し、さらに業界の専門家による指導をしてきました。
 
Rock Healthが支援するベンチャーは、「ポートフォリオ」として紹介されていて、現在60社程あります。
 
■ポートフォリオ
 
この中をみると、7つ程に分類ができます。
 
・医師や介護派遣の検索マッチング系
・遠隔医療系
・デバイス機器系
・ウエルネスプログラム系
・オンラインフィットネス系
・保険プランの見直し系
・病院の運営の効率化系
 
本メルマガでは特にウエルネスプログラムに着目しており、今までにも、Omada Health、Virta Healthなどを紹介してきました。
そこで今回は新しい事例として「Zipongo」「Wellframe」を紹介しましょう。
 
参考バックナンバー>
 
・Omada Health(2017年9月)
・Virta Health(2019年2月)
 
 
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事例1:Zipongo
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■設立:2010年
 
■投資調達:46億円
■売上:4億円
■顧客:企業の福利厚生や労務担当者(B-B)
 
■企業概要
個人の食習慣や健康データをもとに、職場や自宅のあらゆる食事シーンで利用できる、高度にパーソナライズされたお勧めメニュー/レシピを提案するアプリサービスを提供しています。
 
■特長
同サービスでは、より正確にパーソナライズしたメニューを提案するため、NutriQuizと呼ばれるオンラインの食事アンケートで食の健康レベルを独自にスコア化します。
また、提携している医療検査機関による検診結果から各ユーザーの健康データを収集します。
 
そして、それらをベースに提携している遺伝子検査会社の協力のもと、本人の体質と味の好み(好き嫌い)を配慮し食事プランや摂取すべき栄養成分を特定し、お勧めのメニューとレシピを提案します。
 
■最新動向
同社は高度なパーソナライズを徹底しています。味覚と食の好み、食物アレルギーといった回避すべき食材、体調改善のために摂取すべき成分などの分析にAIを活用しています。AIの学習機能を利用することで提案メニュー/レシピをさらに改善しています。
 
 
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事例2:Wellframe
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■設立:2011年
 
■資金調達:25億円
■売上:6.5億円
■顧客:医療機関や保険会社(B-B)
 
■企業概要
通院中の患者、特に生活習慣病の患者が日常生活の中で医師の指示、服薬を守り、生活習慣改善を維持するための記録・見守りを提供しています。
 
 
■特長
同社のサービスは、単に医師と患者の間で行動記録を共有できるというだけでなく、アドボケイト(Advocate)と呼ばれる患者を見守るWellframe社の専門スタッフがつきます。
 
※アドボケイト(Advocate)とは、患者の権利を守り、患者の価値観を尊重し最適な意思決定ができるよう支援する人をさします。
 
Wellframe社のアドボケイトは、プログラムごとに提供される「やることリスト(野菜を摂る、服薬を守る、歩くなど)」に対する患者の取り組み状況を確認しつつ、やることリストを見直したり、悩みや疑問に対する回答を行います。
 
そして、必要な励ましを与え、診療後の患者の日々の生活を見守ります。また、次の通院の際にはその間の生活習慣を医師と共有できるしくみになっています。
 
 
■最新動向
最新の調査では、同サービスを利用している医師の77%が、患者への指導にかかる手間が減ったにも関わらず、患者の満足度はアップし、患者との信頼関係が強化されたと答えています。
 
 
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Rock Healthが支援する企業の特長
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Rock Healthは、Mayo Clinicが支援していることでもわかるよう、病院に通う人たちが、いかに自宅でも健康行動を継続できるようにするか、その点を考慮している企業群には特に力を入れて支援しています。
 
今回紹介した2つの事例のポイントを要約すると、
 
・Zipongo:徹底した食の嗜好のパーソナライズによる継続支援
・Wellframe:アドボケイトによる見守りによる継続支援
 
「パーソナライズ」「人による見守り」という手段でアプローチしている点がわかります。
 
尚、Rock Healthは病院に通っている「ある程度意識の高い人」をターゲットに、やや真面目なサービスが多いので、日本で参考にする際には、自分たちが狙うターゲットと照らし合わせてサービスを検討しなおす必要があります。
 
 
【Rock Healthの注目事例の社内研修について】
 
今回紹介した2社の詳細含め、Rock Healthで資金が集まる注目事例を紹介する社内研修を提供しています。最新のサービストレンドとして、貴社のチームで共有し、メンバー全員の知見を底上げしませんか。
 
<紹介事例>
・Zipongo、Wellframeのサービス詳細
・Omada Health(126億円調達)のビジネスモデルと最新動向
・Health I.Q(81億円調達)の最新コンテンツとビジネススキーム
・Virta Health(82億円調達)のサービス詳細
などを紹介します。
 
お問い合わせはこちらから
 
 
【脇本和洋】
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「顧客ロイヤルティー」
 
顧客ロイヤルティーには愛着や信頼を示す心理ロイヤルティーと使用や購入の行動ロイヤルティーがあり、ドライバーとなるのは心理ロイヤルティーです。
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <11クリップ>
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[1]日本スポーツ協会、スポーツ指導の専門家を学校に「公認スポーツ指導者マッチング」をスタート
指導者を探している学校などとスポーツ指導の専門家である同協会公認スポーツ指導者を結びつけるウェブサイト。両者のマッチングが成立することにより、学校運動部活動を巡る諸課題の解決への一助となる、など。(2019/03/06)
 
[2]日経デジタルヘルスより、製薬企業と患者をつなぐ、治験のプラットフォームが始動
治験情報サービスを手掛けるベンチャー企業のBuzzreachは、治験情報発信プラットフォーム「puzz(パズ)」の提供を開始した。puzzは、製薬企業や医療機関が治験情報を掲載し、患者や被検者募集企業などに向けて情報発信ができる。(2019/03/06)
 
[3]セブン&アイ・フードシステムズ、デニーズが「健康」を軸としたカテゴリーの品揃えを強化【PDF】
デニーズは、春の新メニューをスタートし「健康」カテゴリー品揃えを強化。最大レタス7個分の食物繊維が摂れる「十六穀米を使用したメニュー」など。また、全時間帯のメニューブックにメニューごとの食物繊維量、糖質量を記載。(2019/03/07)
 
[4]Mediplat、first callが産業医519人を対象にアンケート調査を実施
産業医の56%が、働き方改革による「産業医の役割の増加」を感じているが、大半を占める非常勤産業医の43%がそれに「対応できる自信がない」と回答。その理由には産業医面談の増加が挙がり、実際に産業医の58%が「産業医面談のニーズの高まり」を感じている、など。(2019/03/07)
 
[5]USEN、歯科医院向けポータルサイト「デンタル・コンシェルジュ」全面リニューアル
歯の検診・受診を先延ばし傾向のある20-40代をターゲットに、「今すぐ治療できる歯科医院探し」から「長期的な健康と美容をサポートしてくれる歯科医院探し」ができるサイトに。(2019/03/07)
 
[6]iCAREとSmartHR、「SmartHR」と「Carely」がワンクリックで従業員情報の同期を可能にするAPI連携を開始
今回、「SmartHR」と「Carely」が連携をすることによって、健康診断・ストレスチェック・長時間労働管理といった健康管理業務の対象従業員が自動的に把握できるようになる。(2019/03/07)
 
[7]三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険、東大COIとの提携による「健康経営支援型商品」の開発について【PDF】
健康寿命の延伸を支援する取組みの第一弾として、東京大学センター・オブ・イノベーション(COI)自分で守る健康社会拠点が開発するAIによる健康リスク予測モデルを搭載した健康管理アプリを活用し、企業の健康経営を「保険」で支援する。(2019/03/11)
 
[8]慶應義塾大学病院、一人ひとりに適した治療薬の情報を提供する「がんゲノム医療」を推進
先行実施しているスクリーニング検査「PleSSision-Rapid 検査」、既に500症例以上の実績を持つ遺伝子パネル検査「PleSSision 検査」に加えて、最先端の高精度検査「PleSSision-Exome 検査」を国内初導入することで、幅広くがんゲノム医療を推進する体制を構築。(2019/03/11)
 
[9]クオリティライフサービス、おいしく食べて「やせる!みそ汁」販売開始
三笠書房王様文庫より。食コンディショニング本 第3弾のテーマはみそ汁。管理栄養士 小島美和子氏の書籍。
 
[10]GoogleとVerily、糖尿病に伴う眼疾患のスクリーニングにAIを活用
世界各地で臨床研究に取り組んでおり、特にインドでは、両社のアルゴリズムによって、一般的な眼科医や網膜専門家と同等の精度で画像を評価できるという研究結果が得られた。(2019/03/06)
 
[11]『mHealth Watch』注目ニュース:Akili Interactive Labs、東アジアでシオノギ製薬がパートナーに
製薬会社がデジタルヘルスを自社製品やサービスとして扱う例は増えてきました。真面目な記録管理が中心である中、ついに“ゲームが治療薬”として、日本にも入ってくることになります。(2019/03/18)
 
 
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