健康ビジネス問題解決サポートメディアHealthBizWatch
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[モバイルヘルス&アプリ動向編]2019年7月9日号
   ≫≫≫Author:渡辺 武友
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
モバイルヘルス担当の渡辺武友です。
 
2008年にモバイルヘルスが認知されてからすでに10年以上経ちました。
今回は初心にかえって「モバイルヘルスとは何か?」を整理していきます!
 
■□■□■□■ I N D E X ■□■□■□■
 
【1】特集:モバイルヘルス&アプリ動向編
---「モバイルヘルスとは何か?ビジネスに活かすにはどうすべきか??」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「新しい消費者像」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 パーソナライズシャンプー、海外 呼吸疾患判定アプリなど、9本
 
─────────────────────
 
◆◇◆---------
【1】特集:モバイルヘルス&アプリ動向
◆◇◆---------
 
<テーマ>
モバイルヘルスとは何か?ビジネスに活かすにはどうすべきか??
 
モバイルヘルスが一般的に取り入れられてからすでに10年以上が経ち、モバイルを活用したヘルスケアもごく当たり前のものとなりました。
しかし、これからモバイルを使って健康ビジネスをする方々にとっては、10年の歴史によってモバイルヘルスが複雑なものに見えているかもしれません。
 
今回は「モバイルヘルスとは何か?」「どうビジネスに活かすのか?」を改めて考えてみたいと思います。
 
 
-----------------------------------
モバイルヘルス(mHealth)とは
-----------------------------------
 
「モバイルヘルスとは何か?」に関する解説は2013年より行ってきました。
現在もmHealth Watchに掲載していますので引用します。
 
 
・我々が考える「mHealth」の枠組み
通信・連携が可能なモバイル、ウェアラブルを活用した健康、医療サービスをそれぞれを点として捉えるのではなく、健康情報、医療情報の一体化・一元管理に向け、モバイルを活用して健康、医療サービスがシームレスに連携する世界を「mHealth」と定義しています。
 
参考:
 
 
改めて読み返しても違和感はないように思えます。
現在、当時に思っていたこととの違いとしては、
 
1)もっと健康と医療が一体化した動きが進むと思われたが、まだ一部の取り組みになっていること
 
2)健康と医療が連携しなくても、モバイルヘルスを活用したサービスが飛躍的に伸びてきたこと
 
の2点が挙げられます。
それぞれ見ていきましょう。
 
 
-----------------------------------
1)モバイルヘルスによる健康と医療連携
-----------------------------------
 
1点目の「モバイルヘルスによる健康と医療連携」は、米国と日本では状況が違います。米国の方が連携が進んでいる印象です。
それは米国と日本では保険制度に違いがあることが大きな要因と言えます。
 
例えば企業の採用において、保険の充実度は就職先として選ばれる理由の1つにもなっています。保険を充実させても、多くの従業員が疾病を患ってしまうと企業としては保険料負担が増してしまいます。
そこで病気にさせない取り組み(ウェルネスプログラム)や重篤化予防(ディジーズマネージメント)にも力を入れ、データ連携を活用した取り組みが多く見られます。
 
またテレヘルス(遠隔医療)、ペイシェントポータル(医師と患者の情報連携)が日本以上に発展しているのも米国の特徴です。
 
日本の場合、一部では米国のような動きも見られますが、外部サービスとのデータ連携などができない企業や医療施設もまだまだ多く、ハードルが高い印象です。
 
 
-----------------------------------
2)健康と医療連携外のモバイルヘルスを活用したビジネスの飛躍
-----------------------------------
 
モバイルヘルスがはじまった当初は、スマホで健康データが見られる、ウェアラブルからのデータがスマホで確認できるといった、機能的価値を訴求していましたが、取得したデータを活かせる一部のユーザー以外には、お金を払ってもらえるほどの価値提供はできませんでした。
 
それ以上の価値(お金を払ってもいいと思える)を提供できた企業だけが収益化に繋がりました。
モバイルヘルスの仕組みを軸に価値化した代表的な事例の1つが「runtastic」です。
 
「runtastic」は数多くあるランニング管理アプリの1つですが、他のアプリがGPSを使った距離や速度などの記録、いくつかのトレーニングプログラムを備えている程度だったのに対し、「runtastic」は
 
・ランニング初心者には無料でランニング記録を提供
・楽しくなってきたランナーが次の目標として「ハーフ」や「フルマラソン」を完走できるようになるプログラムを有料で提供
・さらに次の目標となる「タイムアップ」に役立つツールを有料で提供
 
といったように、ユーザーの成長に合わせて提供するものもステップアップさせてきました。
 
モバイルヘルスの機能に価値を置くのではなく、ユーザーの成長ストーリーに合わせて、適切なものをチョイスするサービスを価値の軸としています。
 
 
-----------------------------------
モバイルヘルスを活用したビジネスの検討
-----------------------------------
 
ICTを活用した健康ビジネスにモバイルヘルスは欠かせないものとなっています。
健康と医療連携サービスは、法的な部分も含め、まだまだ検討を積み重ねないとサービス化できないものも多いでしょう。
 
また機能的にクリアできても、ユーザー(患者)にとってデータ連携したくなる価値を生み出さないと、付加価値以上の評価(タダなら使う)は得られず、お金を払ってくれるほどのものにならない可能性が高くなります。
 
これからモバイルヘルスを活用したビジネスを検討するのであれば、機能でできることを考えるのではなく、ユーザーが持つ課題に、これならお金を払ってでも解決したいと思わせるサービスを検討し、後から機能として適切なアイテムを組み込むようにしていくような順序で企画していくことが重要になります。
 
 
 
◆◇◆---------
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
◆◇◆---------
 
≫≫≫「新しい消費者像」
 
デジタルによってあらゆる情報接触が解放された消費者は、もはやセルフ・エデュケーション・バイヤーです!
 
 
 
◆◇◆---------
【3】今週の注目デジクリップ! <9クリップ>
◆◇◆---------
 
[1]ベンチャーバンク、NYで人気沸騰の新プログラム「PLAYGROUND ZOO animal(プレイグラウンド ズー アニマル)」をスタート(PR TIMESより)
全12種類のアニマル筋トレが特徴。BOSUBALLをモンキーのように飛び跳ねて障害物をよけたり、スピードリングをウサギのように弾んだり、BOXを掴みながら移動するスパイダーウォークなど、身体全身を使い動物になりきってトレーニングする。(2019/06/26)
 
[2]三井不動産と日本予防医学協会、「街とオフィスビルから、働く人が元気になる」健康経営支援サービス「&well」の提供を開始【PDF】
「&well」は、企業と従業員双方をサポートし、企業の健康経営推進に資するソリューションサービス。初年度は、東京・日本橋の三井不動産のオフィスに入居する企業及びその各事業所へのサービス提供を皮切りに、順次全国に展開、数十万人規模への拡大を目指す。(2019/06/27)
 
[3]ルネサンス、トレーニングをより楽しく効果的に!フィットネス音声ガイドアプリ「BeatFit」導入スタート!!
BeatFitはイヤホンを通じて、まるでトレーナーが傍で指導してくれるようなトレーニング体験を提供するスマートフォンアプリ。クラブでのより楽しく効果的なトレーニングやクラブに行けない日のトレーニングサポートが可能に。(2019/06/28)
 
[4]ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング、研究所から直送するパーソナライズシャンプー「Laborica(ラボリカ)」
Laboricaは、毛髪診断士が監修した髪診断をもとに、ユーザーの髪の状態や悩みを把握しながら、大手美容研究所の科学者が一つひとつ処方を設計。日本国内においてハンドメイドで調合し、研究所から自宅に直送する。(2019/07/01)
 
[5]ソフトブレーン・フィールド、サステナブル∞ワークスタイルプロジェクトVOL.14 親の介護に関する調査報告第2回目「介護経験者に聞く、仕事と介護を両立する気持ちの持ち方とは?」
「働く主婦の仕事と介護に関する意識調査」から介護経験者の方の調査結果を中心に報告。働く主婦の7割が仕事と介護の両立を望んでいる、など。(2019/07/02)
 
[6]新社会システム総合研究所、デジタルヘルスの世界動向と取るべき戦略
開催日は8月8日(木)。海外の戦略を踏まえたうえでグローバルヘルスを狙った製品・サービス開発戦略と国内だけを見た製品・サービス開発戦略がどれだけ影響を受けそうなのか。これらの法律や各国の動向を踏まえて分析する、など。
 
[7]Uber Health、Grand Roundsとの提携でさらにヘルスケアを推進へ
連邦政府資金による独立研究機関、公共交通支援プログラムによると、2018年3月に立ち上げられたUberの子会社Uber Healthは主に緊急を要しない医療輸送に主眼を置いており、この市場価値は30億ドル以上になるという。(2019/06/27)
 
[8]フィンランドのオウル大学、世界初「胸にスマホを当てるだけ」呼吸疾患判定アプリ
このアプリは、スマホに搭載された各種センサーや機能を組み合わせることで、「スマホを胸に当てるだけで」(分析処理も含めて)わずか数分で呼吸機能を測定できる。(2019/07/02)
 
[9]『mHealth Watch』注目ニュース:BIGLOBE、「ダイエットに関する意識調査」第2弾を発表
今回注目するのは、BIGLOBEが発表した「ダイエットに関する意識調査」に関するニュースです。今回の調査結果で私が特に注目したポイントは、やせたい理由とやせた後にしたいことにギャップを感じた点です。(2019/07/08)
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━