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[ヘルスコーチングの視線編]2019年8月27日号
   ≫≫≫Author:里見 将史
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こんにちは、里見です。
 
ヘルスケアサービスの多くは、「継続」が大きな鍵をにぎっていることはご存知の通りです。その「継続」に大きく関係しているのが、ゴール、達成イメージの設定だと言われています。
 
しかし、ヘルスケアサービスのプログラムを見ていると、このゴールや達成イメージの設定に力を注いでいない、対象者任せにしてしまっているケースをよく見かけます。
 
そこで今回は、「継続」に大きく関係しているゴールや達成イメージの設定について、ヘルスコーチングのアプローチを紹介したいと思います。
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
---「ヘルスコーチングの可能性を探る:目標、ゴール設定にこだわる意味」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「今後我々に必要な思考」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 バイオレットライト、海外 メンタルヘルスアプリなど、9本
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
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<テーマ>
ヘルスコーチングの可能性を探る:目標、ゴール設定にこだわる意味
 
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1.ヘルスコーチングにおけるゴール、達成イメージの位置づけ
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ヘルスコーチングは健康的な行動変容を支援するコミュニケーション技法です。
 
そのため、ヘルスコーチングでは「行動」を追いかけPDCAのサイクルを回しながら、常に対象者のゴールや達成イメージに近づくためのサポートをしていきます。
 
ゴールや達成イメージを常に意識して、具体的な行動(アクション)に取り組むこの構造こそが、ヘルスコーチングの基本なのです。
 
しかし、具体的な行動への取り組みに目を向け過ぎて集中し過ぎると、ゴールや達成イメージへの意識が薄れてしまい、次第にモチベーションがダウンしてしまいます。
 
逆に、ゴールや達成イメージがしっかりと自分ごと化され、具体的にイメージできているときは、モチベーションが高いため、取り組みや行動も加速します。
 
だからこそ、ゴールや達成イメージの設定は、取り組みや行動に意識を向けるためには欠かせないものなのです。
 
しかし、取り組みの過程では、行動をいかに継続的に行えるかということに目が向いてしまいがちです。
 
また厄介なことに、このゴールや達成イメージを常に持ち続けることは、なかなか難しいため、どうしても意識が行動に向いてしまうのです。
 
そのため、ゴールや達成イメージを手に入れるための「具体的な行動」の関係性を常に意識させるサポートが重要であり、ゴールや達成イメージの設定も重要になってくるのです。
 
 
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2.ゴール・達成イメージがイマイチになる理由
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ゴールを達成した先にいる自分の具体的なイメージこそが、原動力になりモチベーションの維持や取り組みや行動の加速に影響していきます。
 
そのため、ワクワクするようなゴール設定やそのワクワクした気持ちで達成した先のイメージを常に持ち続けるような仕掛け、アプローチが重要になってきます。
 
しかし、一般的なダイエットプログラムを見ていると、目標、ゴール、達成イメージの設定が単純な数値目標になってしまっているケースをよく見かけます。
 
例えば、「体重マイナス5キロ」と目標を設定した場合、みなさんは「マイナス5キロ」という数値目標に対してワクワクするような感覚を持てますか?
また、「マイナス5キロ」が現在のご自身にとって、何か特別な意味として感じられますか?
 
実は、対象者側としても漠然とダイエットしたい、減量したいというケースが多く、もっと踏み込んだ目標、ゴール、達成イメージまで自身で設定できる、イメージを膨らませられるかというと、なかなか難しいことでもあります。
そのため、「継続」が大切だと認識するのであれば、目標、ゴール、達成イメージの設定のステップは、踏み込んでサポートする必要があるのです。
 
 
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3.「マズローの5段階欲求説」
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みなさんは「マズローの5段階欲求説」というのをご存知でしょうか?
 
この「マズローの5段階欲求説」とは、心理学者であるアブラハム・ハロルド・マズロー氏が1943年に発表したもので、人間が持っている5つの欲求を階層化したものです。
 
その階層とは、以下です。
 
「マズローの5段階欲求説」
 
(5)自己実現の欲求
(4)承認の欲求
(3)所属と愛の欲求
(2)安全の欲求
(1)生理的欲求
 
この階層の中の欲求は、低いものから順番に現れ、その欲求がある程度満たされると、次の欲求が現れると言われています。
 
また、「マズローの5段階欲求説」では、(1)から(4)までの欲求を「欠乏欲求」、(5)を「成長欲求」と分類されています。
 
(1)から(4)までの「欠乏欲求」は「欠乏動機」とも言われ、この「欠乏動機」は、足りないと不満足が生じ、生理的欲求、安全の欲求、所属と愛の欲求、承認の欲求といった、自分自身よりは外的要因によって欲求を満たすことができるものとも言えます。
 
そのため、自分には足りていない、欠けていると認識した時だけ欲求が大きくなり、満たされたり、気付かないと欲求自体を認識しません。
 
それとは異なり、(5)の「成長欲求」は「成長動機」と言われ、この「成長動機」は、本人自身の成長、自己実現こそが動機の根源になっており、際限なく上を目指し続けられる欲求です。
 
 
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4.「健康のため」「マイナス○○キロ」は本当のゴールではない
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そこで、一般的な健康プログラム、ダイエットプログラムで設定される「健康のために」といった目標や目的ですが、これらは、欠乏動機の中の「安全欲求」に位置づけられます。
 
そのため、「健康」に何か不安を感じている人、既に体調を崩している人にとっては、「健康」がダイレクトに「欲求」として認識されますが、不安や体調について自覚がない人に対して予防のために「健康活動」に取り組みましょうといったゴール設定をしても、自分ごととして捉えることはなく、少々「遠い存在」として聞こえてしまうのです。
 
「マイナス○○キロ」といったゴール設定も同様に、基準の体重にしたいといった「安全欲求」の一部に該当してきます。
また、「マイナス○○キロ」のその先の目標として、例えばモテたいというのも、誰かに認められたいといった承認欲求の一つに位置づけられます。
 
この「モテたい」という欲求は、承認欲求で「欠乏動機」として位置づけられ、モテないことを克服したいということであって、自身の成長動機までには至っていないのです。
 
自身の成長欲求ではない欠乏欲求の段階では、やはり外側の環境に左右されることが多いものなのです。
 
 
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5.「成長動機」における欲求のイメージ化、ビジュアライズ化
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ヘルスケアサービス、特に予防領域におけるサービス、プログラムにおける目標設定、ゴール設定では、「欠乏動機」の範囲の中での設定では、具体的な行動に取り組む際のモチベーションの維持に繋がりません。
 
やはり、ゴール設定では、「成長動機」である「自己実現の欲求」まで持っていかないと、自分ごと化したり、モチベーションの維持、そして取り組み自体の原動力になっていかないのです。
 
しかし、一般的な対象者の最初の目標、ゴールのイメージは、「健康のため」や「マイナス○○キロ」といった「欠乏動機」の範囲に留まっています。
 
ヘルスコーチングでは、このゴールや達成イメージの設定では、「欠乏動機」から「成長動機」へと視点を拡げるアプローチをしていきます。
 
予防領域においての「欠乏動機」の中の「欲求」自体は、それほど深刻度が高いものではないことがほとんどです。どちらかといえば「願望」的な事象が多いものです。
 
そのため、「欠乏動機」の中の欲求レベルであったとしても、コミュニケーションを通して、「成長動機」へアプローチしていくことは可能なのです。
 
また、「成長動機」における欲求自体も、より具体的にイメージしたり、ビジュアライズ化することが大切で、このように目標、ゴール、達成イメージを具体化することで自分ごと化しやすく、継続して取り組む際のモチベーションに大きく関係してくるのです。
 
ヘルスコーチングでは、ゴール・達成イメージに向けて具体的な行動(アクション)に取り組むことを常に意識していくために寄り添うコミュニケーションです。
 
そのため、最初の一歩である目標、ゴール、達成イメージの設定を軽く流すことはせず、対象者一人ひとりが自分ごと化して、自身の成長へとアプローチすることこそが、取り組む中では大切なのです。
 
また、目標、ゴール、達成イメージに近づくためには、継続的な取り組みが必須です。この継続的な取り組みの原動力になるものこそが、「成長動機」として設定した目標、ゴール、達成イメージなのです。
 
そのため、ゴールや達成イメージがしっかりと自分ごと化され、具体的にイメージできているときが、モチベーションが高く、取り組みや行動が加速するので、常に目標、ゴールへの意識も持ち続けられるように、ヘルスコーチングでは、対象者の目標、ゴールの具体的なイメージを会話の中に常に取り上げてアプローチします。
 
また、ヘルスコーチングでは、対象者のゴール、達成イメージを共有しコミュニケーションを通して意識を向けながら、そのゴール、達成イメージに近づくための「行動」を追いかけるPDCAのサイクル回していくのです。
 
 
今回お話した目標、ゴール、達成イメージの設定などを含めて、ヘルスコーチングには多くのアプローチの要素があります。
 
そのヘルスコーチングの要素を含めたキーワードを毎日メールで解説する「『ヘルスコーチング』早わかりガイド」を準備しております。
 
この「『ヘルスコーチング』早わかりガイド」は、「ヘルスコーチング」をみなさまに広く知っていただくため、ヘルスコーチングの特長的なキーワードだけを抽出し、簡単に解説したステップメールです。
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「今後我々に必要な思考」
 
それは、スバリ、未来から正解を導き出すこと。難しいけれどやらねば!?
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <9クリップ>
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[1]ジンズホールディングス、慶應義塾大学発ベンチャーと「バイオレットライト」共同プロジェクトを開始
医療機器分野への本格的な事業参入を目指して、世界初!近視進行抑制メガネ型医療機器の開発に着手。本機器の開発は、メガネが持つ「視力補正」という根本的な役割を「近視の進行そのものを抑制するソリューション」へと拡大させる新たな挑戦。(2019/08/07)
 
[2]厚生労働省、「第8回 健康寿命をのばそう!アワード」(生活習慣病予防分野)の応募を受付中。今年度はグッドアクションを創設しました!
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[3]横浜市立大学・東京藝術大学・アステラス製薬、ゲーミフィケーションを用いた新たなデジタルヘルスケア ソリューション創出へ向けHealth Mock Lab. 発足
Health Mock Lab.では、いずれかの当事者から提案されたアイデアについて、横浜市立大学が医学的な視点、東京藝術大学がゲーミフィケーションの視点、アステラス製薬がビジネスの視点から、共同でスクリーニングとブラッシュアップを行い、実用化の対象となるアイデアを選出する。(2019/08/09)
 
[4]シーエムプラス、米国発デジタルヘルス専門ジャーナル「米国eHealthジャーナル」発刊のお知らせ
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[5]manabyと東北福祉大、世界初のeメンタルヘルス・サービス「セルフコーチング」を開発
セルフコーチングは、就労シーンで使用可能な心理学のスキルを習得する、世界初のeメンタルヘルス・サービス。障害の有無にかかわらずすべての人が対象。日々の気持ちと行動を整理し、人との関わりをより良くすることを目指している。(2019/08/14)
 
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[7]健康スコアリングとは?健康経営を目指す企業が知っておきたい概要(ウーマンズラボより)
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[9]『mHealth Watch』注目ニュース:ウーマンズラボ、データヘルス改革とは?2020年に実現する8つのサービスと工程表
今回注目するのは、国を挙げた「データヘルス改革」に関するニュース。「データヘルス改革」は厚労省の戦略で、健康・医療・介護領域のビッグデータを集約したプラットフォームを構築し、そのプロラットフォームを活用して国民が最高水準の保健医療サービスを効率的に受けることことができることを目指している。(2019/08/26)
 
 
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