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2019.10.15号 [海外事例にみる企画ヒント編]PHRでKaiser Permanenteが成功する理由

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[海外事例にみる企画ヒント編]2019年10月15日号
   ≫≫≫Author:脇本 和洋
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こんにちは。脇本和洋です。
 
・PHR(Personal Health Record)でいかにして儲けるか?
・健康データを活用してプラットフォーマーになって成功したい!
 
これらに共通する「健康医療データの活用」というビジネステーマは、実は10年以上前からあって、成功失敗は明確に分かれます。
今回は成功例として、「Kaiser Permanente」を紹介します。
 
※PHR(Personal Health Record)とは、個人が自身の健康データ(健診結果、治療履歴、処方履歴、血圧などのバイタルデータ、健康行動など)を一元管理できる仕組みを指します。
 
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【1】特集:海外事例にみる企画ヒント編
---「PHRでKaiser Permanenteが成功する理由」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「サービスづくりに求められること」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 社会的健康戦略研究所、海外 ウォーキング新常識など、8本
 
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【1】特集:海外事例にみる企画ヒント編
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<テーマ>PHRでKaiser Permanenteが成功する理由
 
まず、Kaiser Permanenteの事業概要をみておきましょう。
 
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Kaiser Permanenteの事業概要
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■企業名:Kaiser Permanente 
 
■売上:7兆9,700億円(2018年)
 
■事業内容
同社は、保険事業と病院事業を行っている
・Kaiser Foundation Health Plan(保険事業):会員数は1,200万人を超える
・Kaiser Foundation Hospitals(病院事業):病院・施設数は700を超える
 
■事業全体の特長
・同社の保険加入者は、同社の病院のみで診療を受けることができる
・保険会社として、会員の医療保険での支払いを減らしたいため、病院での予防サービスを充実させる
 
■同社の予防サービス
・同社のPHR「My Health Manager」を使った医師からのアドバイスサービス
・「Health&Wellness」と呼ばれる、健康知識やヘルスコーチングサービス
 
 
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同社のPHR、「My Health Manager」とは
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My Health Managerは、同社の会員が自分の健康医療データを一元管理できるものです。同社の会員ならば誰でも利用できます。特長としては、データが医師と共有され、様々な指導が受けられる点です。
 
(1)健康医療データを医師と共有する
・健康診断の記録を医師と共有できる
・診療後には、医師から診療記録が送られ、治療状態を医師と共有できる
・同社が提供するヘルスコーチングサービス(自宅での生活習慣の改善)を受けた場合、その情報も医師と共有される
 
(2)共有データを使い医師から予防の指導を受けられる
・医師は(1)のデータを使って、その人のライフスタイル・嗜好までを考慮して、予防のアドバイスをしてくれる
・医師が行う予防アドバイスでは、My Health Managerに付随する知識コンテンツが活用される
 
同社のPHRである「My Health Manager」は、自分ひとりで自分のデータを管理するというものでなく、医師とデータが共有され、医師に見守られアドバイスがもらえるものです。
 
こうした点が受け入れられ、同社の会員1,200万人のうち、およそ490万人が「My Health Manager」を利用するまでになっています。
 
 
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「My Health Manager」が、会員から支持される理由
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会員から支持される理由を改めて整理すると以下の2点です。
 
●自分の健康医療データが医師と共有され、予防行動を医師に見守られる安心感
 
●記録を長く続けることで、今までの診療経緯すべてをみた上での良質なアドバイスを医師から受けられること
 
たしかに、その理由はわかるけど、医師にも相当のメリットがないと無理じゃないか。そう思った読者の方も多いかもしれません。
 
同社は、医師に以下のメリットを与えています。
 
●PHRを使った予防指導を行うと、それが評価される(予防指導により会員が健康になった場合、報酬が上がる)
 
●患者一人ひとりと長期にわたって寄り添い、データを見ながら的確な診療ができる。それが医師としてのやりがいにつながる。
 
 
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PHRで成功するために
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PHR(健康医療データの活用)でビジネスをしたい人にこれだけは、最初に共有したいです。
 
・Google は2008年に開始したPHRサービス(Google Health)を2012年に閉鎖した
・Microsoft は、2007年に開始したPHRサービス(Health Vault)を2019年11月に閉鎖すると発表している
 
いずれのサービスも、記録の一元管理が中心のサービスであり、「記録を使ってどうなる?」の部分が不足していました。
 
つまり、記録の一元管理の上をいく価値があるかどうかです。
 
価値の作り方にはパターンがありますが、その一つが、今回のMy Health Managerのように、PHRは医師とのコミュニケーションの「ツール」として捉え、医師に見守られる等の「一元管理以上の価値」を与えることです。
 
PHRビジネスにおいては、過去の失敗事例も学びながら、成功への道を進みましょう。
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「サービスづくりに求められること」
 
サービスづくりには検証による学びを単位とした改善や思い切った方向転換が求められています。
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <8クリップ>
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[1]加齢による記憶力低下に「脳への磁気刺激」が有用か(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/hea-research-191003-2
米ノースウェスタン大学ファインバーグ医学部神経学のJoel Voss氏らによる小規模研究で、脳に磁気刺激を5日間与え続けた高齢者では、若年の対照群と同程度にまで記憶力が改善したことが分かった。(2019/10/03)
 
[2]国際公共政策研究センター、CIPPS Information Vol.146「フィンランドのヘルステックとオープンデータ」【PDF】
http://cipps.org/essay/pdf/info146.pdf
http://cipps.org/
フィンランド政府は、政府が保有する多様なデータ資源のオープン化に注力しており、その中でも特に先駆的な取組みが進んでいる産業がヘルステックである。(2019/10/04)
 
[3]エムティーアイ、「2019エムティーアイ健康白書」公開
https://www.mti.co.jp/?p=24341
自社のヘルスケアサービス「CARADA」を全社に導入し、従業員の健康維持・向上を推進している。モバイルやICTによる取組みだけでなく、運動系のクラブ活動や社内セミナーの開催など、様々な取組みを実施している。(2019/10/04)
 
[4]「ポケモンGOで約2兆円の医療費抑制」、ポケモン石原社長が講演(日経デジタルヘルスより)
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00001/02971/?ST=health
ポケモンの石原恒和社長が2019年10月2日開催のイベント「Healthcare × Gamification Forum ーゲームによるヘルスケアの進化ー」で、世界中のユーザーの歩数の合計は、約2兆円の医療費抑制効果があると計算できると紹介した。(2019/10/04)
 
[5]エムスリーキャリア、“休み方”が社員の生産性を上げる!睡眠と食で考える働き方改革ー「睡眠×食事=生産性向上」産業医と栄養士のコラボー
https://m3c-kenkokeiei.com/20191023_application
開催日は10月23日(水)。経営者・人事労務担当者向け、「睡眠」と「食事」による生産性向上・プレゼンティーズム改善の具体的対応方法を学べる健康経営推進セミナー。
 
[6]新社会システム総合研究所、医療・ヘルスケア産業の未来予測とビジョン2030
http://www.ssk21.co.jp/seminar/S_19389.html
開催日は11月29日(金)。本講演では、制度、テクノロジー、社会構造に至るまで、様々な変数のからむ医療・ヘルスケア分野を俯瞰し、2030年に向けた予測ビジョンを描く。
 
[7]『mHealth Watch』:「社会的健康戦略研究所」キックオフミーティング
http://mhealthwatch.jp/column/news20191009
株式会社フジクラ健康社会研究所のCEO浅野健一郎氏が代表理事を務める「一般社団法人 社会的健康戦略研究所」が10月3日に正式に発足された。スクール研究部会、職域研究部会、地域(シルバー)研究部会の3つで構成される。(2019/10/09)
 
[8]『mHealth Watch』注目ニュース:1日1万歩は歩き過ぎ?ハーバード大の研究
http://mhealthwatch.jp/global/news20191015
スマートフォン登場以前から、歩数計文化が定着している日本において“1日1万歩”はわかりやすい指標として浸透しています。今回の記事のように特定の年齢や生活習慣などを踏まえれば、1万歩達成しないといけない、わけではないことがわかります。(2019/10/15)
 
 
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