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2019.10.29号 [ヘルスコーチングの視線編]ヘルスコーチングの可能性を探る:自己実現に向けた目標、ゴール設定

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[ヘルスコーチングの視線編]2019年10月29日号
   ≫≫≫Author:里見 将史
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こんにちは、里見です。
 
前々回の「ヘルスコーチングの視線編」でご紹介したヘルスコーチングにおけるゴールや達成イメージの設定、アプローチに関して、具体的な内容についての質問をいただきました。
 
そこで、今回はゴールや達成イメージを「成長動機」の欲求に導く、そしてイメージ化、ビジュアライズ化する具体的なアプローチについて解説してみたいと思います。
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
---「ヘルスコーチングの可能性を探る:自己実現に向けた目標、ゴール設定」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「二元論の終焉」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 揚げ物税など、10本
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
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<テーマ>ヘルスコーチングの可能性を探る:自己実現に向けた目標、ゴール設定
 
 
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1、ヘルスコーチングにおけるゴール、達成イメージの位置づけ
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ヘルスコーチングでは、ゴールや達成イメージを常に意識して、具体的な行動(アクション)に取り組むことが基本的な構造です。
 
そのため、ゴールや達成イメージがしっかりと自分ごと化され、具体的にイメージできていることが、行動(アクション)の継続に関係していることはもちろん、モチベーションの維持にも影響してくるのです。
 
だからこそ、ヘルスコーチングにおけるアプローチでは、ワクワクするようなゴール、そしてワクワクした気持ちで達成した先のイメージを常に持ち続けられるように、ゴールや達成イメージの設定に重点を置きます。
 
 
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2、「マズローの5段階欲求説」
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前々回の「ヘルスコーチングの視線編」でもご紹介した「マズローの5段階欲求説」では、欲求を以下の5つに階層化しています。
 
「マズローの5段階欲求説」
 
(5)自己実現の欲求
(4)承認の欲求
(3)所属と愛の欲求
(2)安全の欲求
(1)生理的欲求
 
欲求は、低い階層から順番に現れ、その欲求がある程度満たされると、次の欲求が現れると言われています。
 
この「マズローの5段階欲求説」では、(1)から(4)までの欲求を「欠乏欲求」、(5)を「成長欲求」と分類しています。
 
(1)から(4)までの「欠乏欲求」は「欠乏動機」とも言われ、この「欠乏動機」は、足りないと不満足が生じ、自分には足りていない、欠けていると認識した時だけ欲求が大きくなり、満たされたり、気付かないと欲求自体を認識しません。
 
逆に(5)の「成長欲求」は「成長動機」と言われ、この「成長動機」は、本人自身の成長、自己実現こそが動機の根源になっており、際限なく上を目指し続けられる欲求です。
 
ヘルスコーチングでは、ゴールや達成イメージの設定では、「欠乏動機」から「成長動機」へと視点を拡げるアプローチをしていきます。
 
予防領域においての「欠乏動機」の中の「欲求」自体は、それほど深刻度が高いものではないことがほとんどです。どちらかといえば「願望」的な事象が多いものです。
 
そのため、最初は「欠乏動機」の中の欲求レベルであったとしても、コミュニケーションを通じて、「成長動機」に引き上げていって、最終的にはワクワクするようなゴール、そしてワクワクした気持ちで達成した先をイメージ化したり、ビジュアライズ化していくことがポイントなのです。
 
 
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3、眠っている本当のゴール、目的、達成
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一般的な予防領域のプログラムにおける対象者の最初の目標、ゴールは以下のような内容が多いものです。
 
・健康のため
・マイナス○○キロ
・検診データを改善したい
・膝痛、腰痛を改善したい
 
上記は、全て「欠乏動機」の中の「安全の欲求」の範囲に該当するものです。
これらの背景には、以下のような「不安」や「健康」、「課題」が存在していて、それらが欲求となって出てきています。
 
 <目標>→→→<「不安」「健康」「課題」>
・健康のために → 「漠然とした健康への不安」
・マイナス○○キロ → 「太っている」
・検診データを改善したい → 「データが悪いと言われた」
・膝痛、腰痛を改善したい → 「膝痛、腰痛を抱えている」
 
このままの「安全の欲求」では、まだまだワクワクするようなゴール、達成イメージにはなっていません。
 
しかし、対象者自身もこの時点では、「健康のために」「検診データを改善したい」以上のイメージは持てていないのが通常だと思います。
 
ここから、「健康のために」「検診データを改善したい」ということの裏に眠っていて本人もまだ見えていない「本当のゴール」に向けて、コミュニケーションを重ねていきます。
このコミュニケーションを通じて対象者自身が言語化し身体の外に出していくことで、眠っていた本当のゴール、目的、達成したいことが具体的になって自分ごと化されていくのです。
 
 
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4、「欠乏動機」から「成長動機」への引き上げ
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それでは、どんなアプローチで眠っている本当のゴール、目的、達成したいことを自分ごと化していくのか、具体的なコミュニケーション例をご紹介します。
 
例えば、対象者の最初の目標が「検診データを改善したい」だったとします。
 
この背景には、健康診断で医師から指摘されて指導されたと仮定します。
 
(1)最初のステップとして、検診データを改善できたらどうなるのかをイメージしてもらいます。
 
この質問に対して、「検診データを改善できたら、健康への不安が無くなるので安心」といった答えが返ってきたとします。
 
この時点では、まだワクワクするようなゴール、達成イメージにはなっていません。
 
(2)次のステップでは、健康への不安が無くなったら、なんで安心できるのか考えてもらいます。
 
この質問に対して、対象者が「健康への不安がなくなったら、この先も安心して仕事ができる」と答えたとします。
 
この時点で、欲求の階層化がステップアップしていますが、まだまだ「欠乏欲求」の範囲内です。
 
(3)さらに次のステップでは、安心して仕事が続けられることとは、対象者にとってどんなことなのかをイメージしてもらいます。
 
このイメージに対して、対象者が「安心して仕事を続けられれば、家族を守っていける」と答えたとします。
 
この時点で、「検診データを改善したい」という当初の目標設定から、対象者自身のイメージが自分ごと化されてきています。
 
(4)次のステップでは、家族を守っていけると、家族はどんな反応、どんな存在として見てくれるかイメージしてもらいます。
 
このイメージ化に対して、「家族から格好良いお父さん、頑張っているお父さんと見てくれる」と答えます。
 
(5)そこで、さらに踏み込んで、格好良いお父さん、頑張っているお父さんと見てくれている家族とどんなことがしたいかイメージしてもらいます。
 
この質問に対して、対象者からのコメントとして「家族仲良く海外旅行に行きたい」と答えたとします。
 
もうここまでくると「自己実現欲求」にステップアップされてきています。
 
このように、当初「検診データを改善したい」という目標だったのが、このコミュニケーションのステップを通して、「検診データを改善したい」の先のゴールが「家族仲良く海外旅行に行きたい」といった自らの欲求に変わってきています。
 
このコミュニケーションのプロセスを通じて対象者自身が言語化しながら辿りついたゴールイメージであるため、当初の「検診データを改善したい」といった目標が格段に自分ごと化されているのです。
 
また、ゴールを達成した先にいる自分の具体的なイメージも出来上がるので、そのイメージこそがワクワクするような目標設定となって、このあとの具体的な取組の原動力になってモチベーションにも大きく影響していきます。
 
このように、自己実現に向けた目標、ゴール設定では、対象者への質問とイメージ化で言語化を繰り返しながら、自分ごと化しながら進めていくことになります。
 
ヘルスコーチングでは、最初の一歩である目標、ゴール、達成イメージの設定を軽く流すことはせず、対象者一人ひとりが自分ごと化して、自身の成長へとアプローチするためにサポートしていくのです。
 
 
ヘルスコーチングには、今回お話した目標、ゴール、達成イメージの設定などを含めて、多くのアプローチ要素があります。
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「二元論の終焉」
 
正解が一つでその他は間違いであるとする二元論は終焉し、多様性を前提とする「みんな正解」の世界観を持とう。
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <10クリップ>
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[1]ヤフー、社員食堂「BASE11」に「揚げ物税」を導入
https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2019/10/08a/
揚げ物料理の一部を値上げ(+100円)し、その値上げ分を原資として魚料理を値下げ(-150円)する。ヤフー社員のランチでの脂質のとりすぎの改善を目指す。(2019/10/08)
 
[2]OECD東京センター、肥満への取り組みが経済的、社会的幸福を高める
http://www.oecd.org/tokyo/newsroom/tackling-obesity-would-boost-economic-and-social-well-being-says-oecd-japanese-version.htm
報告書によると、肥満に起因する疾病により今後30年間にOECD諸国で9,000万人以上が死亡し、余命がほぼ3年縮まる。また、肥満とそれに関連する症状によりOECD諸国のGDPは3.3%下落し、1人当たり年間360米ドルという重い負担が個人にのしかかっている。(2019/10/10)
 
[3]年間1億日分のデータで健康寿命を延ばす、住友生命が「Vitality」の裏側を披露(日経デジタルヘルスより)
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/event/18/00085/101000031/?ST=health
Vitalityは、健康診断やがん検診などの結果による健康状態や、歩数など日々の運動状況に応じて加入者にポイントを付与し、そのポイントに応じて保険料を割り引く保険。健康状態が良いから割り引くのではなく、健康になるプロセスに対して割引を設定していることが特徴。(2019/10/10)
 
[4]クロスヘルス EXPO 2019:スマホで「心の健康」を可視化、NECソリューションイノベータ(日経デジタルヘルスより)
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/event/18/00083/00006/?ST=health
メンタルヘルスの不調の予兆を可視化するアプリを参考出展。特別な機器を必要とせず、スマートフォンのアプリのみで「心の健康」を可視化できる。実用化の時期は未定。(2019/10/11)
 
[5]クックパッド、生鮮食品EC「クックパッドマート」、集合住宅向けサービスを開始
https://info.cookpad.com/pr/news/press_2019_1021
本サービスは、集合住宅共用部に生鮮宅配ボックス「マートステーション」を設置して居住者がサービスを利用することができる。第一号として三井不動産レジデンシャルの分譲済みマンションへ導入。(2019/10/21)
 
[6]スリープテックは年15兆円の経済損失の「救世主」(日経デジタルヘルスより)
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/event/18/00085/101700063/?ST=health
睡眠が足りないことによる経済損失は日本で約15兆円と試算されており、GDPに占める割合は約3%弱。日本は世界で一番ロスしている国の一つとなっている。うまく睡眠を取るだけでGDPを3%アップできるため、日本は世界各国の中で睡眠ビジネスが成長する可能性がある。(2019/10/21)
 
[7]厚生労働省、テレワーク・デイズ2019報告会の開催
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000203549_00002.html
報告会開催日は11月11日(月)。3回目となる本年は、7月22日-9月6日の期間において実施を呼びかけた結果、2,887団体、約68万人が参加。
 
[8]新社会システム総合研究所、デジタル時代のヘルスケアビジネスの立ち上げ方
http://www.ssk21.co.jp/seminar/S_19425.html
開催日は11月26日(火)。講義では、デジタル×ヘルスケアビジネスの領域で多数の事業を立ち上げてきた講師が、オンライン診療、医療AI、デジタル医療機器といったデジタル時代に必ず抑えておくべきテーマについて実際の企業の事例を多数取り入れて紹介。
 
[9]『mHealth Watch』注目ニュース:『2019エムティーアイ健康白書』公開
http://mhealthwatch.jp/japan/news20191021
自社のヘルスケアサービスの活用、社内のクラブ活用やセミナーなどの取り組みはもちろん、健診の受診率や肥満率、喫煙率などのデータを前年からの変化も含めて公開。(2019/10/21)
 
[10]『mHealth Watch』注目ニュース:任天堂、フィットネスソフト『リングフィット アドベンチャー』を発売
http://mhealthwatch.jp/japan/news20191028
任天堂でフィットネスソフトとして思い出されるのは「Wii Fit」。2007年に発表され1年で300万本を突破する大ベストセラー商品となりました。『リングフィット アドベンチャー』がNintendo Switch用の新作ソフトとして「Wii Fit」の再来なるか!?と期待したくなるところです。(2019/10/28)
 
 
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