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[モバイルヘルス&アプリ動向編]2019年11月12日号
   ≫≫≫Author:渡辺 武友
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こんにちは渡辺武友です。
11/4にITヘルスケア学会が主催する
「モバイルヘルスシンポジウム2019」に行ってきました。
そこで発表された内容をお伝えします。
 
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【1】特集:モバイルヘルス&アプリ動向編
---「オンライン診療の現在とこれから」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「新たな時代のKPIは?」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 INHOP株式会社設立、海外 Fitbit動向など、6本
 
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【1】特集:モバイルヘルス&アプリ動向編
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<テーマ>オンライン診療の現在とこれから
 
一般社団法人ITヘルスケア学会主催の「モバイルヘルスシンポジウム2019」は、私も講演させていただいた2015年(熊本開催)以来となりました。
 
今回のテーマは
ーオンライン診療、オンライン健康管理の国内外最新動向ー
 
HBW的に気になった点をご紹介します。
 
 
過去開催の参考情報:
『モバイルヘルスシンポジウム2015』レポート【1日目】
 
『モバイルヘルスシンポジウム2015』レポート【2日目】
 
 
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海外のオンライン診療の動向
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今回は中国最大のオンラインヘルスケアプラットフォーム「Ping An Good Doctor」とインドでNo.1の「DocsApp」が登壇しました。
「DocsApp」について紹介します。
 
 
「病院・医師不足といった社会問題解決を目指したインド・DocsApp」
リブライトパートナーズ 段原亮治氏
 
オンライン診療、処方を当たり前にすることを目的に5年前に組織された「DocsApp」は、医療を受けることができない80%もの国民に、オンラインで医療を届けようと活動している。
患者はアプリ「DocsApp」を通して、症状を入力すると、AIが問診を行い、症状に合わせて医師からビデオ電話でコールされる。
AIを活用し患者情報の絞り込みをしたり、患者への情報提供をすることで、医師の生産性を上げ、通常の診療の2倍の売上を達成させた。
 
スタート当初はコンシューマ市場から展開し、実践を積みながら、法人契約、保険会社との契約と市場を広げている。
法人向けでは、インドは隠れうつ病大国なので、オンラインでの診療が特に貢献している。
保険会社では、契約のための健康診断に活用されるなど、利用方法が広がっている。
予防に関する情報提供も始めたが、インドは予防意識がないため、予防啓発活動を地道に行うことになる。
 
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国内のオンライン診療の動向
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国内の事例としてはオンライン診療システムを提供するメドレーと、自身が医師としてオンライン診療を提供する外房こどもクリニック(黒木春郎院長)が登壇しました。
メドレーの「CLINICS」について紹介します。
 
 
「日本最大級のオンライン診療システムCLINICSのこれまでとこれから」
株式会社メドレー 代表取締役医師 豊田剛一郎氏
 
メドレーは医師とエンジニアを中心に開発、運営を行い、現在400の医療機関に導入されている。
大学病院でも「CLINICS」の導入が進んでおり、主にオンラインセカンドオピニオンとして活用されている。
オンライン診療には、「質の向上」「アクセスの向上」「限られたリソースの活用」と利点がある。
世界的にも精神科で利用されることが多い。検討段階も含めると実に8から9割と言われている。対面だと言えないことがオンラインという別の選択肢によって達成される。
医療の現場では通院し続けてくれる患者でないと、その後の状態はわからない。
治療途中に諦めてしまうような脱落する患者を拾うことが評価される(診療報酬に反映)ようになると、よりオンライン診療の価値が高まる。
オンライン診療は、患者の利便性が重要である。患者が使いにくいと思ってしまうと継続的な治療ができなくなってしまう。
今後はヘルスケアと予防に活用していきたい。
 
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健康ビジネスの実績が貢献する今後のオンライン診療
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各個別講演後にパネルディスカッションでも論じられましたが、オンライン診療が伸びない理由は、制度はできたが現場で扱いにくい制限があることと、診療報酬の低さが指摘されていました。
 
国民の健康意識の変化もあり、緊急電話(119番)で医療的に緊急性があるのは1割程度で、ほとんどが医療相談になっているなど、医療に求められる環境も大きく変わってきているのが実態です。
 
レポートにあるように、インドの「DocsApp」も国内の「CLINICS」も、医療支援としてオンライン診療の先に予防支援も視野に入れていますが、まだどこも手探りな状況のようです。
 
ここからが健康ビジネス・プレイヤーの出番ではないでしょうか!?
 
正しく健康情報を届けるだけでは、動いてくれるのはモチベーションの高い一部のユーザーであることはよく理解している皆さんだからこそ、自社ビジネスに継続するための工夫を注入してきました。
その実績をオンライン診療の発展に活かすことが求められています。
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「新たな時代のKPIは?」
 
IoT時代になるとサービス現場で鍵を握るKPIは会話の質になります。
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <6クリップ>
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[1]医療分野に迫る「2025年問題」、AIやロボットが救世主となるか(日経xTECH/日経デジタルヘルスより)
ニッポンの医療を変える「スマートホスピタル」最前線。AIやロボット、情報通信技術(ICT)などの先端技術を導入し、病院が変わり始めている。(2019/10/30)
 
[2]伊藤忠食品、「No.1ヘルスケアプラットフォーム」FiNC(R)を運営するFiNC Technologiesへ出資【PDF】
本出資を通して、FiNC社の持つ健康関連データの相互利活用や商品の共同開発などに取り組んでいく。(2019/10/31)
 
[3]キリンホールディングスと電通、合弁会社「INHOP株式会社」を設立
キリンの独自素材「熟成ホップエキス」の健康機能を起点としてホップの価値を様々なシーンで提供するプラットフォームを構築するために設立。(2019/10/31)
 
[4]クアオルトとは?ヘルスツーリズムとの違い、日本型と活用企業の事例(ウーマンズラボより)
クアオルトとは、自然を活用して治癒力を高めることを目的としたドイツ発祥の治療手法。自然治癒力を取り戻すクアオルトは、健康促進だけでなく健康寿命の延伸にも効果的。(2019/11/01)
 
[5]ウェアラブルと医療過誤のリスク
かかりつけ医に1年間診てもらっていなかった患者が、脳卒中を起こした。この患者は、継続的に自分のデバイスから医師にデータを送っており、診療所がデータを確認して何か気になることがあれば警告してくれると思っていた。(2019/10/30)
 
[6]『mHealth Watch』注目ニュース:GoogleがFitbitを約2,300億円で買収
今回は“個人的には少々残念”についてお話しします。やはり一番は、ヘルスケアからGoogleやAppleに肩を並べる存在が出て欲しかった。そこに最も近かったのがFitbitだったと思います。(2019/11/11)
 
 
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