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[海外事例にみる企画ヒント編]2019年12月17日号
   ≫≫≫Author:脇本 和洋
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こんにちは。脇本和洋です。
 
画期的な技術が誕生しにくく、また海外や異業種からの参入が続く健康業界において、収益を伸ばすことは容易ではない時代になってきていると感じていませんか?
 
2019年最後の[海外事例にみる企画ヒント編]では、「収益を伸ばしている」という視点で、もう一度チェックしたい事例を振り返ります。
 
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【1】特集:海外事例にみる企画ヒント編
---「収益を伸ばす注目事例2社を振り返る」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「効率ではなく効果」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 AIほけん、海外 Alexa 服薬リマインダー機能など、8本
 
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【1】特集:海外事例にみる企画ヒント編
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<テーマ>収益を伸ばす注目事例2社を振り返る
 
2019年の「海外事例にみる企画ヒント編」では、MCI(軽度認知障害)、ホームヘルスエンターテイメント、PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)の成功の方向性、ダイエット成功ビジネス、健康経営ビジネスなどのテーマで海外事例を紹介しました。
 
その中でも、読者の方から反響の多かったものは、やはり「収益を伸ばす事例」でした。いくつかあった収益を伸ばす事例の中から、
 
・Peloton(B-C)
・Welltok(B-B)
 
という事例を振り返ります。
 
 
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B-C注目事例:わずか6年で売上915億円、株式上場を果たした「Peloton」
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Pelotonは自宅用エクササイズバイク(Spin Bike)を販売後、クラス受講で継続課金するモデルを展開する企業です。
 
設立は2012年。わずか6年後の2018年の売上は915億円に達し、本年9月に株式上場を果たしました。
では、なぜこんなに短期間で収益化に成功したか?
 
Spin Bikeそのものが米国では高い認知を得ていることは大前提としてあるとして、今までも、運動の動画を見ながら自宅で運動をするといった似たサービスはありました。
 
ただ、そのサービスでは多くの人は続きませんでした。ライブ感がなく、参加者同士で一緒にやっている感もありません。所詮Spin Bikeスタジオでリアルに行うことにはかなわない。そんな風に思われていました。
 
そこに同社は、「離れていても感じる一体感」を持ち込みます。コーチはリアルタイムで自宅で行う参加者に声をかけ、参加者同士でも励まし合える機能も用意しました。
 
さらに、コーチといっても、ただのコーチではありません。ニューヨークの最先端スタジオから、セクシーでショーとして魅せることを得意とするコーチを複数揃えるといったところまで準備しました。
 
こうした点が評価され、23万円のバイクに月額課金4,000円という金額を設定しても、おもしろいように売れています。
 
・7月16日号:急成長企業Peloton社にみる「離れていても一体感を感じる工夫」
 
・8月20日号:急成長企業Pelotonを支えるインストラクター
 
 
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B-B注目事例:競合が激しい中で売上85億円、資金調達251億円「Welltok」
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B-Bの健康サービスで収益を伸ばすことは海外でも難しいです。多くのベンチャーが現れ、それなりの投資金を集めますが、実際には収益を大きく伸ばすまでにはいたらないケースが多いです。
 
Welltokは2009年設立で、その後売上は85億円にまで成長してきました。
では、B-Bの激しい競争の中、なぜ収益をそれなりに伸ばしてこれたか?
 
企業側の担当者は、
 
・よく似たサービスがたくさんあり、違いがよくわからない
・こんな効果があるといったデータはよく提案されるも、導入後に社員はどこまで継続するのかわからない
 
そんな悩みを抱えていました。
そこに同社は目をつけ、社員が「継続できる」ことを訴求し、その点で勝負をしました。
具体的には、プログラム単体としての継続度を意識するだけでなく、複数のプログラム間での継続支援を行います。
 
一つのプログラムをずっと続けることは難しいという前提に基づき、従業員の状況に合わせて、適宜プログラムを変えながら、全体としては健康行動を続けさせるというわけです。
 
 
・4月16日号:健康経営を支援する注目企業「Welltok」
 
 
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収益を伸ばす2つの事例の共通点
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今回は「収益を伸ばしている」という視点で、2019年に紹介した2つの事例を振り返りました。
では、2つの事例に共通する点は何があるでしょうか?
 
それは、ともに「既存市場」で「顧客が当然のように感じている不満」に着目している点です。
 
Pelotonなら、自宅で運動している人の続かない理由(Spin Bikeスタジオに行った時のような参加者やコーチとの一体感がないこと)に着目しました。
 
Welltokなら、企業担当者の課題(導入しても、継続ができない社員が多いこと)に着目しました。
 
いずれも、言われてみれば当たり前のことですよね。
 
2020年の[海外事例にみる企画ヒント編]では、収益を伸ばすことを特に注目テーマとしながら、商品・サービスだけでなく、顧客とのコミュニケーション、マーケティング方法という視点でも事例を紹介し、ヒントとしていただきたいと思います。
 
来年もよろしくお願いいたします。
 
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参考:バックナンバー(Peloton)
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・2年で売上を4倍にした上場ベンチャーが本番サービス前に取り組むこと
 
・急成長企業Peloton社にみる「離れていても一体感を感じる工夫」
 
・急成長企業Pelotonを支えるインストラクター
 
・モノ+サービスで1,000億円を集める急成長ベンチャーPeloton
 
・フィットネス機器「Peloton」に325億円もの資金が集まるワケ
 
・IoTヘルスケアの注目事例「Peloton」の継続支援
 
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◆メール講座のご案内
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本号で紹介したPeloton。あるKPI指標を用いて、解約率0.6%という驚異的なマーケティングを行っています。そのKPI指標を解説するメール講座です。
 
詳しくは、こちらをご覧ください。
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「効率ではなく効果」
 
問題に直面したとき、単純にどう対応しようかという反応ではなく、どう成長のきっかけを作れるかと考えられるようにしたい!
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <8クリップ>
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[1]asken、Nintendo Switchソフト「Fit Boxing」あすけんの運動&食事記録データ統計結果が明らかに!
「あすけん」上で食事管理を行いながら、Nintendo Switch向けエクササイズソフト「Fit Boxing」のトレーニングを90日以上記録している100名分の統計データを集計したところ、5.5kgの減量効果が確認された。(2019/12/04)
 
[2]NTTドコモ、AIを活用しておすすめの保険・サービスを提案する「AIほけん」の提供を開始
プロフィールや各種サービスのご利用状況などに基づき、AIを活用して、日常のケガや持ち物の破損・盗難、がんなどのリスクを補償する8種類の保険・サービスから、ドコモがおすすめする商品の組み合わせと月額料金を提案。(2019/12/09)
 
[3]博報堂グループ、定期健康診断の結果をヘルスデータで可視化し、社員の健康増進を促す「健診戦」の結果速報を公開
定期健康診断においてヘルスデータを取得し、前年度の自身の健康数値と今年の健康数値を比較、その改善度を点数化・表彰化する。社員約4,500名を対象に募集した健診戦には、1,509名が参加し、参加者の健康維持・改善者率は78.9%という結果となった。(2019/12/09)
 
[4]Xiaomi、ウェアラブルデバイス「Miスマートバンド4」日本で発売
Miスマートバンド4はバンドタイプの活動量計。シャオミ製スマホだけでなく、iPhoneや多くのメーカーのAndroidスマホと連携でき、活動量計としての機能では心拍センサーも搭載し、睡眠の深さを評価する機能も備える。価格は3490円(税抜)。(2019/12/09)
 
[5]西川とパナソニック、「快眠環境サポートサービス」を共同開発し、パナソニックがサービスの提供を開始
西川のマットレスとパナソニックの家電を連携させ、睡眠の結果を可視化、一人ひとりにあったアドバイスで、よりよい睡眠環境を提供するサービス。マットレスや対応家電の代金に加えて、サービスの利用料として月額990円(税込)が必要となる。(2019/12/10)
 
[6]オムロンとスクウェア・エニックス、「人のモチベーションを高めるAI」を共同研究
本共同研究では、人の様々なバイタルデータから、人のモチベーションを高めるようなフィードバックを行うAIアルゴリズムを開発。共同研究の技術を搭載した、卓球ロボット「フォルフェウス」、「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)2020」に出展!(2019/12/10)
 
[7]Amazon、いつ薬を服用すべきかを顧客に思い出させる新しい『Alexa』の機能を開始
Amazonは、ユーザーが薬局の処方情報を連携することで、次に薬を服用して補充を注文するタイミングについてリマインダーを得られる新しい機能を使って、服薬コンプライアンスを行う。(2019/12/05)
 
[8]『mHealth Watch』注目ニュース:JR 東日本、電車専用トレーニングアプリ『‘TRAIN’ing』
『‘TRAIN’ing』は、その人の乗車時間や電車内のポジション、また自分がしたいトレーニングのカテゴリーの中から、パーソナルにメニューを提案してくれるということで、利用者に寄り添って、変化も感じられる仕組みになっています。(2019/12/16)
 
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