HealthBizWatch Authorの大川耕平です。

今回は本レポートのプチ・リニューアルに関しての報告です。

特集:サービスデザインと健康の関係編

「健康サービス・デザイン」編→「サービスデザインと健康の関係」へ

今月より私大川耕平の担当するメールマガジンのタイトルを「サービスデザインと健康の関係」と変更します。

今までの「健康サービスデザイン編」は健康事業を起点にサービス品質をどうデザインしていくかのヒントを探ってきましたが、57回の掲載の後半から枠組みをもっと大きくとってサービス全体のトレンドの中からそのプロセスデザイン技術や顧客満足化の流れを捉え、健康に関係させるとしたらどうなるか?というアプローチに徐々にシフトしてきました。
その流れを明確に意識しつつ、今後は全く異業種のサービスデザイン事例からの学びに軸足を置くことにします。

「新しいアイデアなどない、あるとしたら新しい場所に置かれた古いアイデアだ」

健康ビジネスやウェルネスサービス事業がきちんとマーケットと顧客に支持され成長拡大していくためには、今こそ異業種から広く・深く学び、試し、オリジナル化していくべきだと僕は考えていてこのようなアプローチを始めます。

今回はサービスデザインを扱っていくためのベーシックのポイントをおさらいしておきたいので既に理解されている方もさらっと流してください。

なぜサービスデザインなのか?

時代や価値観変化からマーケティングが1.0から4.0へと変化してきていることと同様にサービスの意味づけもシフトしてきていることが、サービスをデザインするというアプローチの必要性の原因ではないかと僕は考えています。

サービスは「基本的に無形かつ所有の対象とならないものを提供する活動である。物理的な製品と結びつけて提供される場合もある」(フィリップ・コトラー)
つまり、無形財をどう企画デザインするかという位置付けでサービスは始まっています。

デジタル技術によってあらゆるデータ(顧客データ・利用データ・利用者情報、比較情報など)が入手できるようになってきていて、顧客側も以前提供されていたサービスに対する関わり方から変わっていきます。
それはサービスの意味が価値提供から価値共創へシフトしているということになります。
最終的なサービスの価値は顧客によって創出されるという文脈が今後の主流になっていきます。

サービス提供のシフトイメージ

以前:1 : N → 今後:1 : 1

とても乱暴な言い方をすると、1個作っておけばばらまけたものが一人一人に合わせることを実現するためにも最終化を顧客側で行ってもらうということなのです。
そのために顧客がプロセスを間違いなく進むことのできるデザインが必要になっていきます。

サービスの特徴の理解

サービスデザインを考え、実装、実践していくためにはまず、サービスの特徴を理解しておく必要があります。
この部分を理解しないでサービスデザインの議論をしていくと結果的に何もできないという経験を過去のワークショップやセッションなどで何度か経験したので必ずこの部分もおさらいするようにしています。

言葉の使い方が異なる場合がありますが概ね4つの特徴がサービスにはあるとされています。

1)無形生(非触知性)

サービスにはカタチがありません。無形でありそれに触ることはできません。サービス体験全体の終了後にその品質はサービスを享受した側が評価します。

2)同時性(非分離生|非可逆生)

サービスは価値の生産と消費が同時発生します。
これがサービスの最大の特徴であり、多くのビジネスのサービス化アプローチで誤解が起きやすい領域です。
例えばあるウェブサービスをリリースしたとします。しかし、この時点では全くもって完成ではありません。ユーザーが使って初めて同時性価値が生じます。実はそこからがサービス開発のスタートであるのが本質なのです。

3)変動制(不均質性|異質性)

場所・時間・提供側・ユーザーの組み合わせが変われば品質も変わります。
いかに一定以上の人的品質を担保するかは多くの現場のあるサービス業では売上に直結する課題です。

4)消滅生(非貯蓄性)

サービスは無形ゆえ在庫ができません。
一度生産消費されたサービスと全く同じものを再現はできません。
ここに品質管理の難しさがありますが、昨今のデジタル技術によるこの分野でのソリューションには期待できるものがいっぱいあります。

顧客の課題解決へ導くサービスデザインをどのように捉えアプローチしていけばいいかのヒントになるような事例研究から健康への応用を今後進めていきたいと思います。

今後、読者の皆様ならどう考えるか?などの課題なども共有したいですし、インタラクティブな交流の場も考えていきたいと思います。

引き続きよろしくお願いいたします。

●お問い合わせ

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健康ビジネスの現場で使えるキーワード

「摩擦を恐れてはいけない」

新たな物事の起こりの多くは摩擦がきっかけになっている。摩擦が起こったらどんなチャンスに転化できるか考えよう!

今週の注目デジクリップ!

[1]TPCマーケティングリサーチ、健康菓子市場について調査結果を発表
https://tpc-cop.co.jp/news/14805/
“機能性表示”や“ハイカカオ”“高タンパク質”など機能性の多様化が進む健康菓子市場。同市場では、機能性表示食品制度を活用した商品が台頭し、健康菓子の機能性の多様化が加速。(2020/03/27)

[2]エムティーアイ、CARADAの健診機関支援サービスが『CARADA健診サポートパック』としてリニューアル!
https://www.mti.co.jp/?p=25066
『CARADA健診サポートパック』は、受診者が健康診断結果を簡単に閲覧できる無料の専用アプリ『CARADA健診サポート』とCARADA健診管理ツールをパッケージにしたサービス。今回、本サービスに「健診予約機能」「問診機能」を追加。(2020/03/27)

[3]Alfree、非対面型のフィットネス教室「BeneFitness」と「スマートミラー2045」が連携
https://alfree.net/info/%e9%9d%9e%e5%af%be%e9%9d%a2%e5%9e%8b%e3%81%ae%e3%83%95%e3%82%a3%e3%83%83%e3%83%88%e3%83%8d%e3%82%b9%e6%95%99%e5%ae%a4%e3%80%8cbenefitness%e3%80%8d%e3%81%a8%e3%80%8c%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%bc%e3%83%88/
「スマートミラー2045」は、好きなアプリをインストールして使用できる等身大サイズのタッチパネルデバイス。ジムに行かなくても、等身大サイズの鏡型タッチパネルデバイスでフィットネスレッスンを開講できる。(2020/03/27)

[4]【販売レポート】新型コロナが女性にもたらした“消えた需要”と“生まれた需要”(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/goods-8
ウーマンズでは「新型コロナで変化した女性の購買行動研究会」を立ち上げた。「女性消費者への継続的な調査を通じて、コロナ・ショックを乗り切るマーケティング施策のヒントを見つけ出す」ことを目的に、全国の女性を対象に調査を継続的に実施していく。(2020/03/27)

[5]ニッセイ基礎研究所、「ゲーム障害」という新たな病
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=64118?site=nli
国連の専門機関であるWHO(世界保健機関)は昨年5月の総会において「ゲーム障害(Gaming disorder)」を国際疾病として正式に認定した。(2020/03/30)

[6]厚生労働省、LINEと「新型コロナウイルス感染症のクラスター対策に資する情報提供に関する協定」を締結
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10575.html
厚生労働省は、LINEから、クラスター対策に資する情報を提供いただき、その情報について、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の目的において利用。同時に、LINEは、利用者に対する感染防御に関する情報の提供などを行う。(2020/03/30)

[7]花王、内臓脂肪レベルをスマートフォンで簡単にチェックできる ヘルシア「モニタリングヘルス」運用開始
https://www.kao.com/jp/corporate/news/products/2020/20200331-001/
服を着たままスマートフォンで写真を撮るだけで、内臓脂肪レベルを推定することができるサービス。ヘルシアのLINE公式アカウントから無料で活用でき、健康意識を高めるために役立てられる。(2020/03/31)