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【今回の注目事例】アレルギー関連サイト:
      ~ 小学生が「一人で」学べるコンテンツとは ~
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【米国のアレルギー関連サイト】 米国で充実している「情報提供サイト」

 特定の食品・花粉・空気中のカビやダニ・化学物質などに対し身体が過敏
反応し、発熱・皮膚炎・鼻炎・ぜん息などの症状を引き起こすアレルギー。
その多くは、乳幼児期(0歳~6歳)に発症し、学童期(7歳~14歳)には複
数の症状をもつ場合が多いといわれています。
 
アレルギー関連サイトは、治療の基礎知識、アレルギー患者の家族のコミュ
ニティ、料理レシピ、専門医へのQ&Aなどの「情報提供サイト」と、治療薬
やアレルギー関連グッズの「商品販売サイト」の大きく2つに分けることが
できます。
 
中でも米国では、前者の情報提供サイトの内容が充実。特に、日本にはあ
まり見られない、学童期(7歳~14歳)の子供が「自分一人で学べる」コン
テンツが豊富にあります。今回は、2つのアレルギー団体サイトの子供向け
コンテンツを紹介しましょう。


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【事例1:FAAN】 子供が「一人で」アレルギーについて学べる
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■運営:Food Allergy & Anaphylaxis Network
■URL: http://www.fankids.org
■概要:食物アレルギー患者・医療関係者・教育関係者・政府機関の代表、
食品メーカー関係者などで25,000名以上の会員をもつ。教育用パンフレット
の発行やセミナーの開催、政策の提言などを行っている非営利機関。

■特徴とヒント

FAANの特徴は、「子供が自分の食物アレルギーについて学べるコンテンツ」
を提供している点です。具体的には、食物アレルギーの基礎知識、周囲の子
供達にアレルギーを理解してもらうための活動の2つに注目できます。

1)食物アレルギーの基礎知識:Food Allergy Basics
アレルギー管理のポイントを子供向けに簡潔に説明。イラストを交えながら
、「食品ラベルを読もう」「困った時は積極的に先生に尋ねよう」「おとも
だちとお弁当のおかずを交換しないように」等、子供の日常生活における注
意点を述べている。

・Food Allergy Basics
http://www.fankids.org/FANKid/Managing/managing.html

2)周囲の子供達のアレルギー理解促進のための活動:Be A Pal
「Be A Pal(仲間になろう)」とは、FAANが推し進めている食物アレルギー
理解促進運動のひとつ。このコンテンツでは、「本当によい友達とは、自分
のアレルギーのことを理解してくれる人」と説明。「友達に自分が食べられ
ない食物、アレルギー症状をわかってもらおう」と子供にできる実践方法を
解説している。

・Be A Pal(ロゴマーク入りのステッカーを紹介)
http://www.fankids.org/FANKid/Managing/managing.html

日本では、アレルギー症状のせいで疎外感を感じる子供も少なくないと聞き
ます。子供自身の力で自分の症状を理解し、説明できる子に育てるという
視点は参考になります。

【事例2:AAAAI】「学校生活」での活動シーンに対応したコンテンツ

■運営:American Academy of Allergy, Asthma and Immunology
■URL: http://www.aaaai.org
■概要:米国アレルギーぜん息&免疫学アカデミー。世界75カ国の医療専門
家を会員とする組織。患者と家族向け、医師向けに最新のアレルギー情報を
提供。専門教育の提供や刊行物の出版、国際会議の開催などを実施。

■特徴とヒント

AAAAIの特徴は、「学校生活における自己管理に役立つコンテンツ」の提供
にあります。具体的には、小学校の教室と子供が参加するキャンプ(野外活
動)をテーマに、子供自身がアレルギー管理について理解を深めることので
きる以下のようなコンテンツを用意しています。

1)教室での自己管理:Back to School Interactive Game
子供が、教室のイラストをクリックしながら、アレルギー源をチェックでき
るゲーム。空気中のほこり・昼食・教室内のペット・チョークの粉など10種
類のアレルギー源と注意点を解説している。また、予めアレルギー症状につ
いて先生と話しておくようすすめている。

・Back to School Interactive Game
http://www.aaaai.org/patients/just4kids/back_to_school/default.html

2)アウトドアでの自己管理:Camping with Allergies & Asthma
多くの子供が休暇中に参加するサマーキャンプにおけるアレルギー管理につ
いて学べる。1)と同様、キャンプ場のイラストから、森林・食事・つり道
具・寝具などをクリックすると、解説を読むことができる。

※AAAAIは、小学生の子供向け「アレルギー&ぜん息キャンプ」運営にも参
画。このキャンプでは、医療スタッフのサポートが充実、子供が積極的に楽
しみながら病気の管理を学ぶことができる。

・アレルギー&ぜん息キャンプ(AAAIほか主要団体が運営)
http://www.alamn.org/asthmacamps/default.asp

子供の学校生活に密着したアレルギーのサポートサービスという点で考えれ
ば、学校内の空気アレルギー源のチェックや除去サービス、給食へのアレル
ギー対応食品の提供など、さまざまなサービス展開が考えられそうです。


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【HBMチームの視点】「アレルギー」をマイナスに考えない子供に育てる
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■日本では、アレルギーの子供を持つ「親」向けのコンテンツは数多く見ら
れますが、今回紹介したような「子供向け」のコンテンツは少ないのが現状
です。子供のアレルギー発症率は、アトピー性皮膚炎で10~15%、アレルギ
ー性鼻炎で15~20%、いずれか1つ以上有している児童は30~40%もいると
されています(小児アレルギー学会)。

参考)小児アレルギー学会
http://www.iscb.net/JSPACI/aisatu.html

■今後は、子供自身が積極的にアレルギーの原因、対策などを理解し、さら
に自分がアレルギーであることを自信をもって説明できるようなコンテンツ
が必要とされているとは言えないでしょうか。

■その観点でいえば、米国には子供自身が、自分のアレルギーを隠さず、逆
にアピールするための衣類(Tシャツ)やバッジなどの商品販売サイトもあ
ります。

・Allergy Watch(子供向けアレルギー症のバッジなどを販売)
http://www.allergywatch99.com/

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