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<<今月のテーマ:米国投資家が注目する健康業界マーケットプレース型サイト>>
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●海外健康ビジネス最新ウォッチ
●特集 米国投資家が注目する健康業界マーケットプレース型サイト


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<海外健康ビジネス最新ウォッチ>
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■Nestleが大手栄養食品企業Powerbarを買収
http://www.nestlepress.com/
(Nestle USA Inc. 00/02/24)

Nestle社が栄養補助食品(energy bar, nutriton bar)の大手Powerbar Inc.
を買収。健康業界へ向けた業務拡大をめざす。

■eDentalStore、米国の女性歯科医協会と提携
http://www.edentalstore.com/static/aboutus/PR6.htm
(eDentalStore 00/02/24)

歯科医および関係業界向けに医療品のオンライン販売や専門情報の提供を
行うサイトeDentalStoreが、米国女性歯科医師協会(American Association of
Woman Dentists, AAWD)と提携。AAWDのメンバーはeDentalStoreを通して
30,000以上の医療品を割引価格でオンライン購入したり、臨床データなど
の最新医療情報を入手することができる。

■B to Bのネットオークションを利用した医薬品販売戦略が成功を収める
http://www.freemarkets.com/company/newsitem.asp?NewsID=54
(FreeMarkets, Inc. 00/02/28)

医薬品および一般消費者向けヘルスケア製品を販売するSmithKline Beecham
は、各種企業向けのネットオークションを運営するFreeMarketsと提携した
初めての健康関連企業。ネットオークションを利用した販売方法により
利益を上げている。

■OBGYN.net、サイト開設後わずか4年でアクセス数500万を記録
http://www.obgyn.net/news/5M-022400.htm
(OBGYN.net 00/02/24)

OBGYN.netは、医師、業界関係者、および女性向けに健康に関する様々な
情報を提供しているが、1996年後半のサイト開設以来わずか4年足らずで
訪問者数延べ500万を超えた。その内訳は、医療情報を求める女性(一般
消費者)が50%、医師が40%、業界関係者が10%。

■drkoop.com、米国の医療・保険政策を論じるフォーラムを開設
http://www.drkoop.com/aboutus/media/press_releases/1999/022500_policy.html
(drkoop.com 00/02/25)

drkoop.comは、米国の医療・健康政策に関するフォーラム"Health Policy
&You"を同社のWebサイト内に開設した。このフォーラムにおいて、訪問者は
関連情報を得るだけでなく、政策に関するディスカッションを行うことが
できる。大統領選シーズンに合わせたタイムリーな企画。

■医療保険データ送受信に関する新しいツール
http://www.mmoh.com/news/000228.html
(Medical Mutual of Ohio 00/02/28

医療保険会社Medical Mutual of Ohioは、インターネット経由で保険データ
のやりとりを安全に行える新しいソフトウエア"Claimslink"の提供を開始
する。ユーザはアクセス時に認証作業を行わねばならず、パスワードは20日
ごとに自動的に変更される。データは最新の128ビット形式に暗号化されて
送信される。クラッキング対策にも力を入れている。

■学校でのランチを自宅でオーダーできるサイトの出現
http://www.myschool-link.com/press/pressmylunch.htm
(School-Link Network, Inc 00/03/02)

School-Link Network, Incは、学校のカフェテリアでのランチをインター
ネットを使って前日に自宅で予約注文できるサービス"MyLunch@School";の
提供を開始した。ホームページ上で好みのメニューをカスタマイズできる。
生徒は当日カフェテリアで自分のIDカードを呈示してランチを受け取る。
その IDカードを用いた代金の決済も可能。


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<特集 米国投資家が注目する健康業界マーケットプレース型サイト>
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日本のインターネットビジネスの数年後を占う上で米国のネット投資家の
動きを把握しておくことは非常に重要であると言える。

米国では投資家向けの情報が非常に充実しており、健康関連サイトに特化
した投資情報を提供しているサイトがある。

■e-healthinvestor.com
http://www.e-healthinvestor.com/

【どのような健康関連サイトが投資家にとって魅力的か?】

e-healthinvestor.comで公開している1999年から2000年までの健康関連サイト
の年間株価上昇率表によると上昇率ベスト5は以下のようになっている。

1位 Chemdex:上昇率640%
http://www.chemdex.com/
バイオテクノロジー企業、製薬企業、大学・政府関連機関の研究員をターゲ
ットとしたマーケットプレースサイト。研究員は2,000以上の大手から中小
までの製造メーカーの商品を短時間で検索比較することにより、研究開発
時間を短縮できる。また、製造メーカーは取引が成立した場合手数料を
Chemdexに支払う必要があるが、自社のサイトをもたないで新規顧客開拓が
できる。

2位 SciQuest.com:上昇率397%
http://www.sciquest.com/
医学・科学関連の企業、大学・政府関連機関の研究員をターゲットとした
マーケットプレースサイト。研究員は10,000以上の米国内、国外の製造
メーカーの商品を短時間で検索比較することにより、研究開発時間を短縮
できる。

3位 Healtheon/WebMD:上昇率369%
http://www.webmd.com/
医療従事者(医師、病院管理者、製薬企業、医療機器メーカーなど)と一般
消費者(患者)向け総合情報サイト。特に医師向けの商品販売情報では
2000以上の医療機器・医療用具・業務効率ソフトメーカーの商品を比較検討
できるNeoforma、McKesson HBOC General Medicalという2つのマーケット
プレースサイトに飛べるようになっている。

4位 CareInsite:上昇率347%
http://www.careinsite.com/menu.html
医師や開業医が事務処理の効率化・コストダウンを行う情報、サービスを
得ることができるサイト。業界の最新動向も充実させている。

5位 Adam.com:上昇率321%
http://www.adam.com/
医療従事者向け医療教育ソフト販売会社のサイト。商品情報は少なくコミュ
ニティ機能(チャットやディスカッションコーナー)が非常に充実している
サイト。

【株価上昇率上位サイトの共通点は?】

これら株価上昇率上位サイトの共通点は以下のように分析できる。

(1)すべてが企業間取引(BtoB)サイトである
米IDCの調査によれば米国の企業間取引市場は1999年で800億ドル、2003年に
1兆1000億ドルになると予想している。投資家は対消費者のEコマースは飽和
状態にあると判断し、企業間取引(BtoB)サイトに注目しているようだ。

(2)1位~3位はマーケットプレース型サイトである
NMM KnowledgeBase社の調査によれば1998年春時点でのBtoBマーケットプレース
型サイト数はわずか40であったが、現在では約440サイトを数えているという。
ヘルスビズメールマガジン11月号で特集した米国最大の健康とインターネット
関連展示会「e-healthcare」においても参加124社中19社がマーケットプレース
型サイトである。

(3)マーケットプレース型サイトは差別化を行っている
1位の「Chemdex」、2位の「SciQuest.com」、3位のHealtheon/WebMD中の
「Neoforma」、「McKesson HBOC General Medical」というマーケットプレース
サイトを見ると「ターゲットを業種だけでなく担当部門まで明確に絞り込む」、
「商品アイテム数(登録しているサプライヤー数)が圧倒的に多い」、
「自分の探している製品が見つからない場合は電子入札募集システムを
利用して自ら募集をかけることができる(SciQuest.com)」などの差別化を
行っている。

【サイトウォッチングメモ】

このようにマーケットプレース型が注目され、各業界、各担当部門別に
数多くのマーケットプレース型サイトが展開されてくるとサプライヤー
(メーカー)にとってどのようなことが起きてくるのであろうか?

当然のことながら、サプライヤーは徹底的に比較評価されることになり、
どこにでもある商品(サービス)を幅広く提供している企業は非常に苦しい
展開になると予想できる。そういった企業が数年後日本にもやってくるで
あろうこのマーケットプレース型サイトの波に対抗するには、「比較に
耐えうる低価格商品(サービス)」もしくは「他に真似のできない商品
(サービス)」を作るという2つの選択肢しかない。

前者の「比較に耐えうる低価格商品(サービス)」で勝負できる企業は
業界シェア1位か2位のブランド価値を確立している企業であり、ほとんど
の企業は「他に真似のできない商品(サービス)=差別化を行う」ことしか
ない。しかし、差別化にもその価値パワーによって実質的差別化にならない
場合があることも事実だ。

マーケットプレース型サイトが普及する前に「商品(サービス)価値の
方向性」(自社の強みの構築)を徹底的に考える必要がありそうだ。

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