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  今回の注目事例:健康業界における「指紋認証システム活用」
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【広がりつつある「指紋認証」】

2005年4月の個人情報保護法の施行を前に、健康業界でも「顧客情報の管理
」が重視され、パスワードによる個人認証からより高度な「指紋認証」に切
り替える企業が現れてきました。

「指紋認証」は単に個人認証の精度が高くなるというだけでなく、個人を特
定化するための暗証番号やカードを持たなくてよいという「身軽さ(利便性
)の提供」が最大の特長。今回は、「指紋認証」をテーマに海外・国内の健
康業界での導入事例を紹介します。


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【活用業界】:ドラッグストア
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■導入事例1(海外):Rite Aid Corp(大手ドラッグストア)
・URL: http://www.riteaid.com/
・設立:1962年
・店舗数:約3400(全米28州で展開)

・導入方法:

Rite Aidは2004年3月から、米国のドラッグストアチェーン店で初めて、処
方箋薬の顧客向けに「指紋」で本人確認が可能なシステムを導入。この指紋
認証システムはDigital Persona社製のシステムで、指を指紋照合器にのせ
ると本人かどうか、薬剤師が確認できるしくみです。

今までは、名前と個人を特定するパスワードなどを顧客が申請する仕組みを
とっていましたが、パスワード自体を忘れてしまったり、使い方の説明に時
間がかかっていました。そこで、Rite Aidはこのシステムを導入することに
より、個人情報保護に対する取り組みをアピールするとともに「顧客回転率
向上」を狙っています。

参考:Digital Persona社プレスリリースページ
http://www.digitalpersona.com/company/resources/PressRoom/032904.html


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【活用業界】:健康食品販売
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■導入事例2(国内):ファンケル
http://www.fancl.co.jp/corporate/news/data/2004.10.15simonninshou.pdf

・導入方法:

スタッフ(社員、契約社員、アルバイトを含む1500名)が、社内ネットワー
クで顧客情報にアクセスする際の個人認証を、パスワード方式から「指紋認
証」に変更。個人情報保護に対する取り組みを積極的にアピールしています。

参考:ファンケル、顧客情報の管理で指紋認証システム導入
http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/comp/337897


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【活用業界】:健康測定機器メーカー
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■導入事例3(海外):Bioscrypt社
http://www.bioscrypt.com/about/press/press-2002-11-27.shtml

米国では子供の肥満が深刻な問題。Bioscrypt社は指紋認証システムを販売
する企業で、健康測定機器を開発するALPHA CIT社と提携し、小学校向けの
指紋認証付き健康測定機器「CIT Biotech Kiosk」を開発。

・導入方法:

「CIT Biotech Kiosk」は小学校の教師が、児童に対し気軽に健康測定がで
きるもの。生徒は指紋で個人認証を受けた後、体組成(体重、体脂肪、肥満
率など)の数値が計測され、児童ごとにデータは蓄積され、目標値・達成度
が表示されます。その結果から教師が児童に肥満アドバイスを行えるしくみ
です。

「指紋による個人認証」を導入することで、数多い生徒の健康管理を短時間
で実施し、今まで十分なされていなかった「具体的なアドバイス」の方に時
間をかけれるという効果があります。

参考:キオスクビジネスでの紹介記事(中央あたりに画像あり)
http://www.kioskbusiness.com/janfeb_03/article3.html


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【活用業界】:フィットネスクラブ向け運営システム
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■導入事例4(国内):カシオ情報機器、チェックフィット・タッチ
http://www.checkfit.com/Shinchaku1.html

・導入方法:

フィットネス業界初の指紋認証によるチェックインを可能にするシステム。
フィットネス機器メーカーのコンビウエルネスと提携し、フィットネスクラ
ブ向けに提供。会員は、指紋認証で自分のデータを見るだけでなく、トレー
ニング方法なども画面で見ることができる。

フィットネスクラブなどの運動施設で、キーやカードをもって運動するとい
うのは、それらをなくしてしまう可能性がありました。そうした点を解決す
るサービスです。


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【HBMの視点】指紋認証の活用シーンとその課題
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■1)社内での顧客情報保護レベルをあげたい

活用事例2のファンケルの事例は、「指紋認証」により外部からの不正ログ
オンを防止し、個人情報の保護のレベルを高めるというもの。ただ、それで
も内部のスタッフからの流出(内部犯行)の可能性という課題は残ります。

>参考:レベルに応じたセキュリティ対策について(課題解決のヒント)
http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/smbit/it_intro/334611


■2)多くの人の認証を短時間で行い、顧客回転率を上げたい

活用事例1と3がこの活用シーンにあたります。


■3)個人認証のための情報を覚えることが難しい人を、正確に認証したい

活用事例3は個人認証情報を覚えにくい子供が利用することを前提としてい
ます。痴呆患者の多い病院などでも患者の特定化に役立つと考えられます。


■4)施設内での顧客の利便性を上げるためできるだけ、顧客に何ももたせ
たくない

活用事例4がこの活用シーンにあたります。フィットネスクラブだけでなく
、スパ、温泉、スーパー銭湯などでも、ロッカーキーやカードなどは持たず
に施設内を楽しめるようにできます。

ただし、施設内では運動や温浴などにより手がふやけたり、水がついた状態
での指紋認証が必要となります。その課題を克服したものもすでに存在して
います。

>参考:株式会社ビーエムエフ、世界初の感圧式指紋センサ
http://www.bm-f.com/jp/jproducts/joverview.html


■指紋認証は、今の所これらの活用シーンが考えられますが、今後新たな技
術開発により、更に活用シーンは増えるに違いありません。

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