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  今回の注目事例:遊びながら学ぶ「子供向け健康教育施設」
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【子供の時期からの健康教育】

日本でも子供の肥満や生活習慣病・運動不足が指摘される中、小学生の時期
から健康について教育を行う必要が出てきています。ただ、飽きやすい小学
生に興味をもって学んでもらうには、ちょっとした工夫がいります。

米国では、「Health education facilities」という主に小学生を対象とし
た、健康について楽しみながら学べる「健康教育施設」が数多くあります。

日本ではまだ少ない「健康教育施設」。そこで、今回は米国の歴史ある2つ
の「健康教育施設」を紹介します。


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【事例1:HealthSpace Cleveland】
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■概要

・運営:HealthSpace Cleveland
・URL: http://www.healthmuseum.org/
・設立:1936年(非営利)
・所在地:オハイオ州クリーブランド
・入場料:大人7ドル、子供&シニア5ドル、幼児3ドル

体験型の展示物、健康や科学をテーマにしたセミナーを無料開催している。
HealthSpace Clevelandの展示は、展示物や解説ビデオ中心の博物館とは違
い、こども達が試してみたくなるゲーム、興味をひくユニークな形の展示な
どを用意して、楽しみながら健康作りを体験できるものです。中でもユニー
クなのが下記の3つの体験型展示物です。

・写真
http://www.healthmuseum.org/exhibits/exhibits.asp?detail=51

1)GoGo Grill(ゴーゴーグリル号) 正しい「食品選び」を体験

「GoGo Grill」は、簡単なゲームを通じて、こども達が食べ物&飲み物を正
しく選ぶことができる車です。例えば、ファーストフードレストランでのメ
ニューを選んで、一日の栄養成分表と比較したり、好きな飲み物の中の糖分
を比べたりすることもできます。

2)Stress Yard(ストレス工場) ストレスのしくみがわかる

人間のストレスのできるしくみやその解消法を「作業ロボット」を通じて学
びます。ここでは子供たちが、ストレスが心身にどんな影響を与えるかを目
で見て実感することができます。また、瞑想・マッサージ・ヨガなどのスト
レス軽減の方法も知ることができます。

3)Waterworks(水処理タンク) 腎臓の働きを学ぶ

人間の腎臓を「水処理施設」を通じて学びます。腎臓が、血液から不純物を
取り除いて尿を作るという流れを、デモンストレーションしてくれます。こ
ども達は、ここで自分の体の中で、血液がどのように流れ、腎臓がどんな働
きをしているかを学ぶことができます。


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【事例2:Health Adventure】
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■概要

・運営:Health Adventure(非営利)
・URL: http://www.health-adventure.com/
・設立:1968年
・所在地:ノースカロライナ州ナシュビル
・入場料:大人5ドル、子供&シニア4ドル

■内容 NutriSpace

Health Adventureも、事例1と同様で、健康と科学に関する40種類以上のテ
ーマを扱う博物館です。科学体験スペースや、芸術体験ルームもあります。

特に、栄養と健康に関する展示コーナー「NutriSpace」が充実。食べ物や体
のしくみ、骨の神秘、歯の健康など遊びながら学べるコーナーが数多くあり
ます。

また、Health Adventureは食品会社のGerber社より、展示に必要なものの提
供を受けており、企業との連携も図っています。健康教育施設の日本での展
開を考えた場合、それぞれの分野でいくつかの民間企業からコンテンツを低
価格で提供をうけ、運営していく方法もありそうです。

(写真)
http://www.health-adventure.com/html/gallery.html


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【HBMチームの視点】 「なぜ」と「どう役立てる」が大切
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■日本での健康教育施設では、「あいち健康プラザ、健康科学館展示室」が
大変充実しています。体の部位ごとの健康、運動と栄養、さらに脳の健康と
いう切り口で、楽しく学べる工夫があります。
http://www.ahv.pref.aichi.jp/hp/menu000000100/hpg000000011.htm

■小学生に健康を教える場合、いくつかのポイントがあると考えます。

■1点目は、「なぜ健康を学ぶ必要があるのか」ということです。小学生に
とってこうした体験施設では、楽しさだけが頭の中に残り「健康のこと」は
あまり残っていないという状況が想定されます。

■こうした施設を利用する前に、授業で「本当の健康とは何なのか」「なぜ
健康であることが重要なのか」などを小学生なりに考えた後、こうした施設
を利用すれば、効果はあると考えます。

■2点目は、「どう役立てるか」ということです。小学生であっても、学ん
だことは、実践してこそ意味あるものになります。例えば、「お父さんの隠
れ肥満を測定してちょっとアドバイスする」ことができるように、簡単な計
算式とアドバイスののったミニパンフレットを展示物を見た最後に渡すとい
うのはどうでしょうか。もらったお父さんも、子供からのアドバイスならば
、かなり動機づけられる気がします。

■また、子供の疾患を見ると「アレルギー」ははずせないテーマです。アレ
ルギーの子供がいじめに合いやすいといったことも考えられ、アレルギーは
本人だけでなく、周りの子供も理解しておくべきテーマだからです。


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