───────────────────────────────────
  「FitHouse」にみる心と体にやさしい住宅
───────────────────────────────────

【フィットハウス(FitHouse)とは】

最近日本でも健康住宅への関心が高まっています。結露・防カビ、シックハ
ウス対策だけでなく、健康機器を導入したトイレや安眠配慮機能付き住宅な
どが次々と発表され、「健康機能」が一つの売りになっています。

「フィットハウス(FitHouse)」とは、この健康住宅の一つの形。日本の
健康住宅との違いは、「心の健康」にも配慮した作りになっている点です。
今回は、「FitHouse」の事例から、日本の健康住宅のあり方を考えます。


......................................................................................................
【事例紹介】 FitHouse
......................................................................................................

■フィットハウスの概要

・所在地:Spanish Oaks(テキサス州)広大な自然保護区に隣接。
http://www.cookinglight.com/cooking/partners/fithouse2005/

・概要:
フィットハウスとは、2002年から毎年1回開催される建築プロジェクト
(主催は料理雑誌Cooking Light)。デザイン・設計、住宅設備、インテリ
ア、エクステリアなど関連各社10社以上が参画し、一般向けに「健康なラ
イフスタイルを実現する家」を提案している。

・参画企業の一覧
http://www.cookinglight.com/cooking/partners/fithouse2005/fithouse05_sponsors.html

・2005年フィットハウスの概要
http://www.cookinglight.com/cooking/partners/fithouse2005/fithouse05_about.html


......................................................................................................
■注目点:心の健康に配慮した健康住宅
......................................................................................................

フィットハウス(2005年)の注目点は、下記の2点です。

1)ワークアウトルーム

ヨガやピラティスができるマットを配置した部屋で、NordicTrack社のフィ
ットネス機器(トレドミル)も設置されています。

インテリアは、木目調の床、絵画で飾られた壁、アジアン家具などが、リラ
ックスできるムードを作り出します。

・ワークアウトルーム
http://www.cookinglight.com/cooking/partners/fithouse2005/fh05_workout_room.html


2)瞑想スペース

一階の庭に設置されたウッドデッキ。緑の植物に囲まれて、陽光の中で瞑想
ができる癒しのスペースです。

・瞑想ができるデッキ(写真あり)
http://www.cookinglight.com/cooking/partners/fithouse2005/fh05_meditation_deck.html

以上のように、フィットハウスは体の健康はもちろん、日本にはまだ少ない
、「心の健康に配慮した健康住宅」の一例といえます。


......................................................................................................
【スポルツの視点】
......................................................................................................

■世界保健機関(WHO)の健康的な居住の条件は、下記の通りとされていま
す。
 
 1.災害に対する安全性
 2.生理的な快適性
 3.精神的な充足
 4.社会的活動に対する満足

健康的な住まいとは、安全で体によいだけでなく、精神面でも健康になれる
場所といった位置づけです。

■日本の健康住宅は、上記1及び2(耐震性、セキュリティ機能、結露やカ
ビ対策など)を充実させる点では進んでいますが、3の「心の健康」につい
てはまだ開発の余地がありそうです。

■「心の健康」を考える際に注目したい切り口として、今後増加するシニア
(定年後の高齢者)の心の問題があります。

■シニアになると、経済的不安や健康面での不安(心身の衰え、複数の病気
の発症)を抱える人が多くなります。定年後時間に余裕が生まれ、考える時
間があるだけに将来をマイナスに考え、それらの不安で軽い「うつ病」にな
る人も増えています。

■こうしたシニアの心の健康に対応する住宅のあり方とはどのようなもので
しょうか?

■一つは、シニアが一人で過ごす時間を充実させるスペースの提案です。シ
ニアの「創作活動」は、体だけでなく脳を刺激し、達成感を味わうことで物
事に積極的で前向きになる健康効果があります。例えば、好きな趣味(園芸
、陶芸、絵画、執筆など)を楽しめるスペースづくりです。

※「園芸療法」の癒し効果は数多く報告されています。ガーデニングスペー
スと「心の健康」を結びつけた住宅の提案も今後可能性があります。

■また、仲間と一緒に語らうことができる「コミュニティスペース」の提案
もあります。同世代はもとより、若者とふれあいを楽しむことは、孤独感か
らの開放につながります。例えば、住宅内でより友人同士が集まれるオープ
ンスペースの確保が考えられます。

■いずれにせよ、これからの健康住宅を考える際、「シニア×心の健康」と
いう観点は新しい切り口として必要とされるに違いありません。

───────────────────────────────────