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  「健康レストランの新しい形」を考える
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【外食のヘルシー志向が高まる】

食に対する健康志向の中でも、外食分野での「健康訴求」が広がっています
。米国ファストフード店での健康志向の取り組みは、これまでにも紹介して
きました。


今回は、「健康レストランの新しい形」をテーマに、今米国で注目を浴びて
いるレストラン「KnowFat Lifestyle Grille Restaurant」を紹介します。


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【事例紹介】 KnowFat Lifestyle Grille Restaurant
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■設立:1999年
■店舗数:
ボストン(マサチューセッツ州)に3店舗
http://www.knowfat.com/locations/index.htm

■概要:
レストランのコンセプトは、"2 in 1"。
KnowFatは、「健康食のファストカジュアルレストラン」と「小売店(サプ
リメントショップ)」がひとつになった店です。主にフィットネスをする人
をターゲットにしているのが特徴で、店舗の立地も、「フィットネスジム・
大学・病院」の近くを選んでいます。

※ファストカジュアルとは?
ファストフード店とカジュアルレストランの中間的存在で、米国では、
1999年~2001年にかけて急成長。ここ数年人気の高い業態。
速さと手軽さを維持しながら、適正な価格で、品質にはこだわり、落ち着い
た雰囲気で料理を楽しめるレストラン。


■メニュー(下記をクリックしてみてください)
http://www.knowfat.com/menu/index.htm

カラフルな彩りのあるメニュー。各メニューには、Max Protein(タンパク
質強化)、Veggie(野菜強化)、Low fat(低脂肪)、Know carbs(ローカ
ーボ強化)というアイコンを用意し、選びやすい方式をとっています。盛り
つけもきれいに見せています。


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【設立背景と現状】
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元々、ローカル色の濃い個人オーナーのレストランだった同店が、「KnowF
at Lifestyle Grille Restaurant」として事業拡大にいたった経緯は、下記
のとおりです。

◆1996年:
ボストン郊外で、元ボディビル選手であったオーナーが、スポーツ用のサプ
リメントショップの営業を開始。
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◆1999年:
オーナーが、自分のための「低糖質・高たんぱく」メニューを開発していた
C.Pappas氏(元ボディビルダーのシェフ)とフィットネスジムで出会い、
意気投合。
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健康食レストラン「Low Fat Know Fat(現KnowFatの前身)」を共同開業。
事業家G.Naddaff氏(ボストンマーケット創始者)が、ジム帰りの男性達が
多数列を作っている同店舗に注目、買収してフランチャイズ化を図った。
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・2002年:シュローズベリー店をオープン
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・2003年:本店の売上250万ドル(約2億8千万円)を達成。
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◆2004年:3店舗の総売上700万ドル(約7億9千万円)を達成。
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◆2005年:
今後5年でフロリダ、シカゴなど全米約400店舗以上の拡大を計画中。
 
※ボストンマーケットとは?
ヘルシーな「あぶり焼きチキン」を商品特長とし、「HMR(ホーム・ミール
・リプレースメント:ヘルシー中食)」を訴求し、このコンセプトを広めた
企業として有名。G.Naddaff氏はビジネス起業家として、全米で注目されて
いる経営者の一人。


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【スポルツの視点】
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■運動との関連性(メニュー、フィットネスクラブに近い立地)をもたせ、
またファストカジュアルという外食業界のトレンドを絡ませて、ヘルシーメ
ニューとサプリメントを提供する同社。とてもユニークな存在です。

■米国では最近、「Curves」や「Cuts」といった短時間・省スペースを売り
にしたクイックフィットネス企業が躍進中です。これらの企業は小さなモー
ルや郊外に出店しています。同社はそうしたフィットネス業界の大きな変化
にも対応した事業体とも言えます。


■日本では、このような健康レストランの展開の可能性はどうでしょうか。

■日本のフィットネスクラブでは、フィットネスクラブ内に健康レストラン
を保有しているところが少なかったり、また保有しているとしても、メニュ
ーが少なかったり、雰囲気が明るくなかったりするなど、本来の「食事を楽
しむ」といった要素への配慮が不足している現状があります。

■確かに同社のアプローチなら、大枠としてはこれらの課題を解決できそう
ですが、日本版へのアレンジは必要です。

■アレンジの一つ目は、ターゲットです。同社のターゲットは男性でどちら
かと言えば、マッスル(筋肉)系の人たちです。日本で同様のターゲットは
米国ほど多くないと考えられ、市場はあまり大きくなさそうです。今後利用
が増えてくるシニア層をターゲットにするという方法もあります。

■アレンジの二つ目は、顧客ベネフィットです。同社は現在食事メニュー表
でも健康を訴求していますが、日本では食品表示法との関係もあり、メニュ
ー表での健康表示に制限があります。つまり、顧客が何を選べばよいかわか
りにくいという課題があります。

例えば、運動がわかる管理栄養士(コンシェルジュ)を配置し、顧客の要
望にあったメニューやサプリメントを紹介できるというベネフィットを追加
してはどうでしょうか。

■「シニア層」「運動との関連をも考えた健康レストラン」ということで言
えば、レストランが単に栄養のある食事をとる場でなく、同世代の人とのコ
ミュニケーションの場という要素も生まれ、広い意味での健康(生きがいづ
くり)にも役立つと考えられます。

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