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  「ニュートリゲノミクス」を活用したサービスを考える
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【「ニュートリゲノミクス」とは?】

ニュートリゲノミクスとは、「遺伝子中のたんぱく質・代謝物などを解析し
て、食品が体に与える影響を研究する手法」を指します。

遺伝子関連ビジネスの中でも、食品と健康との関わりの深い分野として注目
されています。過去数年間は、研究試薬や機器、研究受託サービスなど、食
品メーカーをターゲットにした研究支援ビジネスが中心でしたが、米国では
、個人向けの「遺伝子検査と栄養アドバイス提供」サービスも始まっていま
す。

今回は、米国の遺伝子診断サービス企業Genelex社のニュートリゲノミクス
を活用したサービスを紹介します。


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【事例紹介】Genelex社
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■企業概要

・企業名:Genelex corporation
・URL: http://www.genelex.com/
・設立:1987年
・事業概要:栄養診断のほか、親子鑑定、民事刑事分野でのDNA鑑定の受託
 など遺伝子の研究から検査までを手がける企業。
・サービスの概要:「遺伝子検査に基づく栄養アドバイス」の提供

■サービスの流れ:

1)検査の前にまず、同意書にサインする。

2)日頃の食習慣や運動など生活習慣全般の問診票に回答。(約50問)

3)綿棒で左右の頬の内側から唾液をこすりとって2)と一緒に郵送する。

4)約2週間後に、検査結果&栄養アドバイスのレポートが届く。

上記企業は日本支社をもち、そのサービス紹介ページによると、下記の5つ
が提示されます。

・あなたのDNAプロフィール
・DNA構成による有利なサプリメントフォーミュラ(サプリメント提案)
・食事療法(ダイエット)及びライフスタイルの助言
・DNA、栄養物および健康維持管理の情報
・ビタミン、ミネラルのガイド
・健康管理をより深く理解するための案内

※栄養遺伝検査の案内(日本語:概要の解説あり、PDF形式)
http://www.genelex.jp/web-content/eiyoiden/PNGA.pdf

■価格:525ドル(約6万円)


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【スポルツの視点】
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■今回のサービス、価格は約6万円ですが、そもそも通常の栄養診断とどこ
が違うのでしょうか。

■通常の栄養診断との違いを一言でいうと、「自分が本来摂るべき栄養素の
量」がわかるということです。

■例えば、葉酸という栄養素があります。不足すると、認知症(心臓病)の
リスクが高まるとされています。日本人の食事摂取基準だと1日240μgの摂
取を推奨されています。

■日常の食生活を回答する形式の栄養診断で、自分が普段摂取しているの葉
酸量が250μgだっとします。通常ならホッとする所ですが、日本人の15%を
しめる「葉酸を代謝しにくい遺伝子」をもつ人は、400μgは必要ということ
がわかってきています。

■他の例として、「カルシウムを標準摂取量とり、運動もそこそこしている
のに、骨粗鬆症と判断された」というケースにも、「破骨細胞に関連する遺
伝子」の影響を受けている可能性があります。そうした人も摂取標準値に惑
わされず、「自分が本来摂るべき量」を知ることがまず必要になります。

■健康アドバイスのポイントとして、カスタマイズ化(テーラーメイド化)
がありますが、「ニュートリゲノミクス」を活用したカスタマイズ化はその
最先端の研究分野の一つとも言ってよいでしょう。

■今の所Genelex社によると、解毒作用、抗酸化(美容)、体脂肪の燃焼、
糖尿病に関する遺伝子の研究はされており、これらのビジネスに関わる新規
サービス、新商品開発の一つの切り口として、こうした「ニュートリゲノミ
クス」の技術を利用するというのも今後可能性があるのではないでしょうか。

■尚、日本では、遺伝子情報の扱いについて「倫理規定」がまだ未整備であ
り、遺伝子情報のセキュリティ、検査前のインフォームドコンセントの内容
、ガイドラインの策定などの課題はまだ存在しているようです。


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