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【先進事例分析(Case195)】エイジングNO1サイト「RealAge.com」

      ー 「チョイス&チェンジ型ビジネスモデル」 ー

         超人気サイトが買収される理由

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エイジング(アンチエイジング)は、今後の健康ビジネスの重要なテーマ。

海外でもその状況は同じですが、今回は米国の代表的健康評価サイト
「WWW Health Awards」で何度も受賞されている

「RealAge(リアルエイジ).com」を特集します。

エイジング年齢がわかるテスト(RealAge Test)を中心に、より若く
生きるためのアドバイス情報を提供するサイトです。

今回は

1)RealAge.comの概要
2)ユーザー価値
3)ビジネスモデルの工夫
4)ビジネスのしくみ

という順番でその特徴をみていきます。


※WWW Health Awards 2007
http://www.healthawards.com/wwwha/ss2007winners/hp_web.htm


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1)RealAge.comの概要
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■企業概要

・運営企業:RealAge, Inc.

・サイトURL:http://www.realage.com/

・設立:1999年

・事業コンセプト(表記)
Live Life to the Youngest(最大限若く生きる)

・ミッション(表記)
To provide high-quality, motivational health information accessible to
the general consumer
(消費者にハイクオリティでやる気を起こさせる健康情報を提供する)

・経営陣
オンラインマーケティング分野のプロであるRich Benci氏が社長。
起業家として25年以上の実績をもつCharles Silver氏がCEO。
その他、健康メディア・コンサルティング・コンテンツ開発など経験をもつ人
が集結している。


■サービスの概要:

エイジング年齢(生活習慣による実年齢)がわかるテスト(RealAge Test)
を中心に、より若く生きるためのアドバイス情報を提供。

個別のライフスタイル改善プログラムのほか、健康記事、モチベーション維持
をサポートするオンラインツール、コミュニティなどを提供。


■実績

・サイトの利用者数:
2007年上期の月間ユニーク訪問者210万人、PV2200万

・RealAgeテストの利用者数:延べ1700万人を超える

・オプトイン会員数(メルマガ配信数):900万人

・男女年齢構成:女性が73%、年齢は30-59才が中心

・売上:約8億円(年度不明)

・書籍
RealAgeの創始者でRealAgeテストの考案者でもある
Michael F. Roizen(マイケルロイジン)博士とMehmet C. Oz博士の共著
が多数。いずれもAmazon.com、New York Times などでベストセラーになる。
総計50万部以上で、世界26か国で翻訳される。


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2)RealAge.comが提供するユーザー価値
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RealAge.comのユーザー価値は、以下の3点です。

●エイジングテストによる無料アドバイス
約20分ほどの「RealAge Check Test」が受けられ、自分の年齢と
エイジング年齢との差がわかり、その結果に対して、10ページにも及ぶ
生活習慣改善のパーソナルアドバイスが無料でもらえるという点です。

・RealAge Check Test
http://www.realage.com/reg/regvar/st1.aspx?mod=LONGFORM

●カスタマイズ性の高いマイページ
「The Smart Search」という機能を導入し、自分の課題となっている
エイジングテーマに対するニュースが自動でクリッピングされ、
そのニュースを別ウインドウで見ることができる機能。
検索すればするほどカスタマイズ性が高まる機能でもあります。

●幅広い健康を提案
全体として目指すものは、
「エイジング」というわかりやすい指標を切り口とし、

・食事
・運動
・睡眠やストレス
さらには、

・家族や友人との関係
・ボランティア参加など社会参加
・心のデトックス(解毒)

など、健康を幅広い分野(QOL観点)でみた提案をしています。


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3)ビジネスモデルの工夫
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次に、ビジネスモデルの工夫を

・売上面
・費用面

という観点でチェックします。


【売上面での工夫】

同社はウェブサイト以外に書籍を数多く出版しており、売上の中心は、

・広告費
・書籍販売費

のように一見見えます。しかし、よく調べてみると下記の工夫
をしていることがわかります。

●「RealAge Check Test」のライセンス販売
すでに、Center for Partnership Medicine(医療機関)、
Bally Total Fitness社(フィットネスクラブ)
などで、RealAgeテストが採用されています。
これらの施設では、自社のプログラムの前後で「RealAge Check Test」を
受けてもらい、その効果を測るひとつの手段として活用しています。

●RealAgeの健康コンテンツ販売
サイトで使われている食・運動・エイジングなどの健康コンテンツを
Yahoo!HEALTH など他の健康サイトに販売しています。
http://health.yahoo.com/tips/

●スピーカーの提供(あっせん)
健康イベントでの講演者派遣をはじめ、RealAgeの専門家がテレビやラジオなど
メディアへ出演の実績もあります。

●商品紹介手数料
例えば、チェックツールを利用した場合、最後に結果アドバイスとともに
必要なショッピングリストを提示してくれますが、これらはアマゾンにリンク
しています。ここでの手数料収入があります。


【費用面での工夫】

費用面での工夫でいえば、自社で毎月費用をかけてコンテンツを制作する
ことなく、コンテンツが新しく見える工夫をしている点です。

(例)

●カスタマイズニュースクリッピング
ニュースのリンク先を自動で見つける検索システムを導入。
別ウインドウリンクなので、著作権費用はかからず、実質費用はかかっていな
いと予想します。

●コミュニティ
ブログ作成ツールを提供し、ユーザーの書き込み自体が新しい
コンテンツになっています。

●他社健康企業との連携
例えば、健康コンテンツ制作分野では、Polar社(健康機器)との
パートナーシップ契約で、トレーニングのヒントや健康機器の使い方などの
コンテンツ提供を受けています(RealAgeサイトではPolar社の広告を掲載)


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4)高く評価されたビジネスの「しくみ」
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実は同社は2007年、大手メディア企業「Hearst Corporation」の
出版事業部門「Hearst Magazines」に買収されています。
RealAge.comは人気あるサイトであり、おそらくは高値での買収になった
ことでしょう。

一体どのような、ビジネスの「しくみ」が高く評価されているのでしょうか。
以下の2点が考えられます。

●エイジング=「RealAge」というブランドが完成している
RealAgeは、米国のエイジングサイトビジネス自体を独占しているといっても
よいでしょう。
最近ではDOGAGE(犬のエイジング)、CATAGE(猫のエイジング)、
YEARSAHED(子供のエイジング)などまで、Check Testを使った展開をして
います。

●ウェブへの大量のアクセスを定期的に作れるしくみがある
同社の設立者のマイケルロイジン氏の書籍は、出せばベストセラーになると
いっても過言でない状況です。定期的に書籍をだし、その内容をウェブプログ
ラム化(質問に答えればアドバイスがでるしくみ)し、ウェブでも公開すると
いう一連の流れを持っています。


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今回の事例から学べること
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今回は

・ユーザー価値
・ビジネスモデル
・ビジネスの「しくみ」

という流れでみてきましたが、いかがでしたでしょうか。

その他にもいろいろと学べる点はありそうですが、本事例全体のひとつの見方
として、

「チョイス&チェンジ型ビジネスモデル」をあげることができます。

【チョイス&チェンジ型ビジネスモデル】

●ユーザーに質問を行いそれに対する十分なアドバイスを行うこと自体を
 ビジネスの核にすえる。
●アドバイスは無料と有料がある。
●RealAgeの場合は、無料アドバイスとなる。

●「無料アドバイス」を公開することにより、多くのユーザーを集める
●「無料アドバイス」はわかりやすい独自指標をもつ
 (今回の場合エイジング年齢テスト)
●「無料アドバイス」は利用前にメルアドを登録するしくみになっており、
 これだけで豊富な会員数をもつ

●「無料アドバイス」自体をブランディングし販売する(ライセンス販売など)

日本では、エイジング(アンチエイジング)自体を主軸にした「RealAge」
のような事例はまだ現れてなく、今後可能性が大きい領域のひとつといえ
ます。


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