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【先進事例分析(Case199)】海外の携帯電話関連健康ビジネス動向

   ー ライフウエア化、ソフトビジネス化、プラットフォーム化 ー

     「新たなステージに入った健康ケイタイビジネス」

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2007年末から2008年にわたり、海外では携帯電話関連の健康サービスがいくつ
か現れ、新たな動きがみられます。

日本でも3月にauがスマートスポーツという健康サービスを開始し、新しい
展開ステージになっていると考えています。

そこで今回は、最近の海外での携帯電話関連の健康サービスを
3つ紹介し、近未来の健康ケイタイを考えてみます。


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事例1)micoach:ランナー向け携帯 サムスン&アディダスが共同開発
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■概要

・携帯電話を身につけ走りその結果が自動で携帯とサイト内専用ページに
 送られるサービス

・運営企業:韓国サムソンとadidasとの共同開発。専用携帯電話で使用可能

・サイトURL:http://www.micoach.com/

・サービス開始:2008年3月

・価格:約400ユーロ(612ドル)


■サービス概要

ランニングやジョギング中に走行距離・速度・心拍数を測定し、その情報を
音声で教えてくれ、運動の負荷をコントロールしてくれる。シューズで距離や
歩数カウント、心拍センサーで身体情報も記録する。


■ベネフィット

・測定データをUSBなどに繋げて送る必要なし
・MP3音楽&音声機能あり、飽きにくい
・音声でのアドバイスを聞くことができ、励まされる
・サイトに情報をアップロードすると、自分に合ったプランを得ることが可能


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2)Sensei,inc:ダイエッターのためのパーソナルデジタルコーチ
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■概要

・大手医療保険企業Humana社が、遠隔医療モニタリング企業Card Guard社と
 共同開発した携帯向けダイエットプログラム

・運営企業:Sensei,Inc

・サイトURL:http://www.sensei.com/

・サービス開始:2007年11月

・価格:5.75ドル/週から


■サービス概要

プロフィール登録、目標体重を登録しておくとカスタマイズされた食事プラン
が得られ、毎日、ダイエット目標達成のためアドバイスメールが届く。
生活習慣改善と行動修正をうながすサービス。


■ベネフィット

・毎日アドバイスメール配信があり、励まされる
・外食時のメニュー選びに役立つ情報があり、知識を身につけることができる
・管理栄養士がメールでサポート、質問が可能


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3)wellphone:コミュニティとの一体感、励まし充実
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■概要

・リマインダー充実の健康コミュニティの携帯向けサービス

・運営企業:Wellsphere(「健康」をテーマとした無料SNSサイト
      同じ悩みや目標をもった人のコミュニティ)

・サイトURL:http://www.wellsphere.com/wellPhone.s

・サービス開始:2008年3月

・価格:無料


■サービス概要

大手健康SNSの携帯向け新サービス。モチベーション維持のためのリマイン
ダー、地元の健康情報。食生活の記録、健康生活のためのヒント配信など。

■ベネフィット

・ダイエット、フィットネスなど個人の目標に対するアドバイスメッセージを
 定期的に受け取ることができ、励まされる

・参加しているコミュニティに新規投稿やメッセージ受信の通知機能があり、
 参加者から励まされる

・携帯から食事&運動日記を入力すると、コミュニティのマイページに反映
 される


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4)近未来の携帯電話関連健康ビジネスは?
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今回は最近始まった携帯電話関連健康ビジネスを紹介しましたが、
近未来の携帯電話健康サービスを考える上でのキーワードとして、

・ライフウエア化
・パートナリングによるソフトビジネス化
・プラットフォーム化

をあげたいと思います。

1)ライフウエア化

先日NTTドコモが発表したウエルネス携帯では、歩数以外に、体脂肪が測定
できる設計になっています。

「健康測定機器と携帯電話の融合」という動きは、海外より日本の方が進んで
います。今後携帯電話は、人々の健康生活の中により溶け込み、さらに

「ライフウエアになる」

と私たちは予測しています。

健康測定機器メーカーにとっての最大のライバルは、携帯電話企業ということ
になることも考えられます。当該メーカーでは、少なくともモニタリング
密接性をモバイルで実現している生活スタイルに対して、今までとは違う価値
の幅を考えていく必要がでてくることは必至でしょう。


2)パートナリングによるソフトビジネス化

総務省により通信方式(規格)が同じ端末に互換性を持たせる方針とすること
をうけ、2010年ごろにスタートする次世代携帯電話サービスでは、利用者
が一つの端末で好きな携帯電話会社を選べるようになります。

そうなると、自分の受けたいサービスをもっている携帯電話会社に移行する生
活者が一挙にふえ、サービスのコンテンツで差別化を図るようになります。
そのコンテンツとして、「健康」は大きな柱になるはずです。

そうした意味でも、事例1の韓国サムソンとアディダスが共同開発したように
携帯電話会社との共同開発により、健康サービスポジションを早く構築した
企業が優位にたつとも考えられます。

つまり、パートナリングによって健康ソフトサービスブランドを構築する動き
が盛んになると予測します。


3)プラットフォーム化

米国で見逃せない健康分野のITの動きとして「プラットフォーム化」があり
ます。簡単に言えば、グーグル及びマイクロソフトが手がける新しいビジネス
モデルで、健康記録と管理はすべてを無料にする代わりに広告で収益を上げる
というもの。

グーグルはすでに携帯電話向けOSを開発しており、このプラットフォーム化
モデルを持ち込むことは容易な体制にあります。こうなると、記録管理機能は
携帯電話に標準としてつき、他のベネフィットの開発がキーになります。
つまり、新しいサービス価値による優位性を発揮するかという新次元での勝負
になると思われます。


携帯電話が世に出始めたとき、昨今の状態は予測できなかったですが、現在で
は新たな健康ビジネスへの展開が目前といえます。健康ビジネスにとって
モニタリング品質は極めて重要なファクターです。
「ケイタイ未来」との関係性を多くの健康ビジネス企業が真剣に考えるべき
タイミングが来ています。


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