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【先進事例分析】
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「一元化」という健康モニタリング機器の方向性

   ー 健康・医療情報のプラットフォーム「Healthvault」最新動向  ー

     オムロン、タニタなど日本の健康機器メーカーが参画

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前号では海外の健康モニタリング機器(血圧計・体重体脂肪計、歩数計・運動
量計など)の中から、ユニークなものを3つあげ、スポルツが考える次世代型
健康モニタリング機器のキーワードとして、

・機器とサービスの一体化
・身体リズム
・Live(ライブ)感

という3つを紹介しました。

今回は、2007年11月に一部を紹介した米国の健康・医療情報のプラット
フォーム「Healthvault」の最新動向を解説しながら、

次世代型健康モニタリング機器のキーワードとして、

・データの一元化

をあげ、そのユーザーメリットを紹介します。


※バックナンバー
「米マイクロソフトが先駆け、グーグルも近く公開予定「健康・医療情報の
プラットフォーム」(2007年11月)
http://www.healthbizwatch.com/hbw/global/contents/209.html

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注目事例:Microsoft HealthVault(ヘルスボールト)
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■Microsoft HealthVault
http://www.healthvault.com/
(現在のところ、日本からは一部のみ閲覧可能な状況)

■概要

「HealthVault」は、個人が健康状態や疾病などの情報を保存する個人向け無料
ソフトウェア。最近では一般だけでなく、病院向けにもシステム提供を行って
いる。

■特徴

1)個人の医療情報(過去の病歴・健康診断結果)を記録できる
2)そのデータを医師や専門家(外部の人)と共有できる
3)使えば使うほどカスタマイズされていく高水準の検索システムを導入
4)個人情報のセキュリティにも最高水準のテクノロジーで対応

5)「HealthVault」で使うひとつの個人IDで、様々な参画企業の健康記録
 (食事内容、運動内容など)システムを使える
6)同サイトに参画している企業の商品(例:健康測定機器)をもっている
 場合、「HealthVault」上にその商品を使った自分のデータをアップロード
 でき、他の自分の医療データとともに一元管理ができる

■利用料:無料

■開始:2007年10月


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最新動向:数多くのモニタリング機器メーカーが参画
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同サイトでは、様々なメーカーの通信機能付きのモニタリング機器の記録を
アップロードでき、一元管理できます。

(「HealthVault」とよく似たプラットフォームとしてgoogleが発表した
google healthがありますが、モニタリング機器の記録をアップロードできる
機能は今の所ありません)

当初数社だった参画するモニタリング機器メーカーも、今では大手を中心に
9社に増え、また日本のオムロン、タニタといった主要メーカーも参画し、
同サイトへの対応がスタンダードになっている感があります。

●参画モニタリング機器メーカー(商品)

・A&D Medical(体重計)
・Home Diagnostics, Inc.(血糖値計)
・HoMedics(血圧計)
・LifeScan, Inc., a Johnson & Johnson Company(血糖値計)
・Microlife(血圧計)
・Nonin(パルス酸素濃度計)
・Omron(血圧計、歩数計)
・Polar(心拍計)
・Tanita(体重体脂肪計)


●アップロードの手順

1)「HealthVault Connection Center」をダウンロード
同サイトで使う一元管理用のソフトをまずダウンロードする。

2)各メーカーの機器専用のソフトをダウンロード
自分が保有しているモニタリング機器の「HealthVault」対応ソフトをダウン
ロードする。

3)データのアップロード
自分が使っているモニタリング機器をパソコンにつなぎ、データ送信すると、
HealthVaultのマイページにそのデータが移される。

血圧計はA社、体重体脂肪計はB社、歩数計はC社といった場合でも、
HealthVaultというひとつのサイト上で一元管理できる点が最大のメリット
です。


※アップロード方法、参画企業一覧
http://www.healthvault.com/Devices-Directory.htm


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モニタリングデータ一元管理によるその他のユーザーメリット
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同サイトで一元管理したモニタリングデータは、病院(医師)に対しても生か
される点が特長です。

●病院・医師との共有による活用

同サイトは高いセキュリティ技術を活用し、健康モニタリング機器でアップ
ロードしたデータを医師が活用する形をシステム化しています。

2008年1月には米国の最先端病院のひとつである「MAYO CLINIC」が
HealthVaultの採用を開始しています。

また、病院(医師)向けの紹介ページには、

・医師が患者宅や外出、旅行先からも患者データを見てアドバイスを行える
・病院内のどこでも患者データを見ることが可能
・自宅で測定した血圧データなどを家族と医師で共有

といった点が紹介されています。


※病院(医師)向けの紹介ページ
http://www.healthvault.com/hospitals/

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スポルツの視点:次世代型モニタリング機器のキーワード「一元化」
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■同サイトの利用場所として、今後は病院だけでなく、フィットネスクラブや
ダイエットセンター、カウンセリング型のドラッグストアなど、健康サービス
分野での活用もでてくると予想します。
(同サイトの閲覧のアクセス規制はレベル設定ができます)

■前号にて睡眠・ストレスに関する健康モニタリング機器を紹介しましたが、
今後はこのような多様なモニタリング機器データが一元化され、組み合わせ
比較されることで、特に健康サービス分野でより適切なアドバイスをもらえる
ようになるはずです。

(例えばダイエットならば、「ストレス」といった今まで関連づけがしにく
かった指標と絡ませながら、健康サービス施設でのアドバイスも受けることが
できるようになると思われます)

■次世代型モニタリング機器は、HealthVaultのようなシステムが現れ、
「一元化され、組み合わせ比較されること」をそもそもの前提とし、
人々の健康のためにどんな指標を測定し、新しい価値を提案できるかが
ポイントになるはずです。

■「HealthVault」という医療健康プラットフォームが、米国でどれほど一般
化し、人々の生活に根付くか今後も注目していきます。


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