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【先進事例分析】
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       米国での満腹感へのアプローチ

   ー キャンベル、ウエイトウォッチャーズが提案 ー

      満腹という視点で食品選択の方法を学ぶ

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近年、世界のダイエット食品ビジネスのトレンドキーワードの一つに、
「満腹感」があります。全世界の健康食品トレンドを発表している調査会社
「New Nutrition Busineess社」が最近リリースしたケーススタディレポート
ではケロッグ、スリムファストはじめ満腹感・空腹感をテーマに伸張する企業
が紹介されています。

そこで今回は、長年にわたりビジネスを展開する大手企業が「満腹感」に対し
て、どのような取り組みを行っているかを紹介します。

今回事例として選んだのは、下記の2社です。
・Campbell Soup(キャンベルスープ)
・Weight Watchers(ウエイトウォッチャーズ)

いずれも、満腹感を作るという視点で「食品選択の方法を学べること」
を提案しています。


※参考:ウエイトマネジメント分野におけるトレンドと戦略
http://www.global-nutrition.co.jp/world_info/world_info03.html
日本語版の販売は、グローバルニュートリショングループが行っている。


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1)Campbell Soup(キャンベルスープ)
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■企業名:Campbell Soup
http://www.campbellsoup.com/

■売上:8000億円(2008年)
■設立:1869年

■主要商品:スープを中心にジュースなどにも広げる
http://www.campbellwellness.com/product-collection.asp

■健康分野全般の訴求:
キャンベルウエルネスというサイトを立ち上げ、健康教育、生活習慣の改善
ポイントなどを積極的に発信している。
http://www.campbellwellness.com/

満腹になった後に、さらに過食が起きないよう、過食の原因となる
「エモーショナルイーティング(ストレス起因の過食)」への対応も提案。
http://www.campbellwellness.com/article.aspx?id=580&subcatid=18

■満腹感の訴求:

同社は2009年1月、スープが満腹感を与えつつカロリー摂取量を減少
させるのに効果的であるという研究結果を発表。
「Soup as a Weight Management Strategy: A Comprehensive Research
Review」としてまとめた。

その中では、スープがエネルギー密度(Energy density)が低く、満腹感を
得やすい代表商品であることをわかりやすく提示。スープというカテゴリー
自体が満腹感に効果があることを前面にだして訴求している。

自社のスープを含め、満腹感という視点で新しい指標を紹介し、生活者
に食品選択の方法を学んでもらえる点が特長である。

http://www.campbellwellness.com/pdf/SoupReportforWeb.pdf

●エネルギー密度(Energy density)とは
エネルギー密度は「カロリー」÷「重量」で計算され、スープ、野菜、
牛乳が低い。エネルギー密度が低い食品は低カロリーで重量がありより
満腹感を得やすい。

例)エネルギー密度の分類例
・Very low(0~0.6):スープ、野菜、牛乳
・low(0.5~1.5):大豆、ヨーグルト
・Midium(1.5~4):パン、肉、ピザ、チーズ、フレンチフライ
・High(4~9):ベーコン、チョコレート、クッキー、ナッツ


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2)Weight Watchers(ウエイトウォッチャーズ)
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■企業名:Weight Watchers International, Inc
(世界最大のダイエットセンター)
http://www.weightwatchers.com/index.aspx

■設立:1963年
■会員数:約2000万人
■売上:1468億円(2007年)

■事業ミッション:健康的なライフスタイル、健康的な食事・運動の方法
を提供して、長期的にダイエットをサポート。行動(変容)、食事、運動、
サポートの4つを柱とした45年以上の研究と調査に基づく科学的なアプロー
チのダイエットプログラムを提供。

■サービス内容
・ダイエット講習会
・ダイエットプログラムの提供

■満腹感の訴求
同社のダイエットプログラムの特長は、「満腹感の維持」を意識したものに
なっており、最新プログラムはMomentum Programと呼ばれています。

基本的な構成は同社が長年行ってきた、一定のポイント内なら何を食べても
よいというもの。満腹感が高く、カロリーの少ない食品が数多く用意され、
その中から選ぶことで、どのような食品が、満腹感が高いかを学べるように
なっています。

http://www.weightwatchers.com/plan/apr/index.aspx


※参考バックナンバー:WeightWatchersにみる「Lifetime Diet」という視点
http://www.healthbizwatch.com/hbw/global/contents/222.html


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スポルツの視点
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■今回は米国の代表的企業における満腹感訴求をみました。いずれも食品全体
を「満腹」という視点で評価し、満腹度の高いものの中から自分が好きなもの
を選び、自身の食事選択を変えていくことを支援している点が特長です。

■現在世界では満腹感を作り出す素材開発が進んでいますが、今回紹介した
2社のように、その人の食事選択の技術を改善していくことを支援するアプ
ローチは、企業が顧客から長く選ばれる一つの方法として考えられないでしょ
うか。

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