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       米国の企業向け健康プログラム(その1)

         ー DMプログラム提供企業編 ー


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米国の企業向け健康プログラム(その1)DMプログラム提供企業編
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ウエルネスプログラムは、主に健康な人を対象に予防・増進を目的とする
健康プログラムで、ウエルネスプロモーションプログラムとも呼ばれます。

主にディジーズマネジメントプログラム提供企業(DM企業)が、慢性疾患
(糖尿病、喘息、心臓病など)の改善を目的とするDMプログラムとともに、
ウエルネスプログラムを企業の従業員向けに提供しています。

今回は、米国の代表的なDM企業、

・ヘルスウエイズ社
・マトリア社
・ヘルスダイアログ社

が提供するウエルネスプログラムの中から、
健康業界の多くの場面で応用可能と思われる健康アセスメント(評価)
を紹介します。


※参考バックナンバー:米国のDMプログラム提供企業紹介
http://www.healthbizwatch.com/hbw/global/contents/199.html
http://www.healthbizwatch.com/hbw/global/contents/200.html


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ヘルスウエイズ社
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【企業概要】

□企業名: Healthways, Inc
http://www.healthways.com/

□設立:1981年
□事業概要:疾病管理プログラムの開発・販売

□売上:
・412億円(2006年)
・615億円(2007年)
・736億円(2008年)

□プログラム提供者:5000万人


【ウエルネスプログラム】

同社のウエルネスプログラムは、
・Forever Fit(シニア向けフィットネスプログラム)
・WholeHealth(健康づくり全体を重視した自然治療プログラム)
・Healthways Wellness Portal(個人別健康ポータルサイト)
・Lifestyle Management(ライフスタイル改善を目的とした個別コーチング)
など現在11種類あります。


【アセスメント】

そのウエルネスプログラムの中でも特に注目したいのが、下記の指標を使った
アセスメントです。

■The Corporate Well-Being Index

Gallup社(行動変容の研究企業)と共同開発した健康指標
「The Gallup-Healthways Well-Being Index 」を使った、企業全体の健康度
がわかるアセスメントです。

同業種との比較により、企業ごとに改善点がわかるものになっています。
アセスメント項目は下記の5つです。

・Life Evaluation(収入の見通し度)
・Emotional Health (感情的健康:笑い、幸福度、心配、怒りなど)
・Physical Health (身体的健康:病気の種類など)
・Healthy Behavior (健康的行動度:喫煙、食事、運動)
・Work Environment (職場環境、職場でのやりがい)
・Basic Access (コミュニティの隣接、病院や医療の近隣度など)

アセスメントの中に職場環境(仕事のやりがい、生産性)を加え、
それぞれを向上させることで、従業員の生産性の向上に貢献します。

http://www.well-beingindex.com/corporateSurvey.asp


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マトリア社
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【企業概要】

□企業名: Matria Healthcare, Inc.
http://www.matria.com/
(2008年医療機器メーカーInverness Medical Innovation社が同社買収)

□設立:1970年(DMは1998年開始)

□事業概要:個人・職場向けなどのDMプログラム、健康増進プログラム提供
サービス

□売上:約403億円(2006年)


【ウエルネスプログラム】

同社のウエルネスプログラムは、

・Healthy Living Programs(減量・フィットネスなど、幅広い対象者向け)
・Health Coaching(ヘルスコーチングサービス)
・Health Portal(個人別健康ポータルサイト)
・Personal Health Record (家族の健康記録が残せる)
など現在7種類あります。

http://www.matria.com/wellness/wellness-solutions

【アセスメント】

そのウエルネスプログラムの中でも特に注目したいのが、
健康という切り口で、「従業員の生産性」アセスメントです。

■Health and Productivity Assessment (HPA)

企業(集団)の生産性アップを目的とした、従業員の健康状態、
リスク要因を見極めるアセスメントです。

アセスメント後は、改善の必要な対象者を明らかにして、アクションプランを
作成します。その結果、健康的なライフスタイルへの変容、健康知識の向上、
行動変容の継続、従業員の生産性の向上に貢献します。

http://www.matria.com/wellness/wellness-solutions/health-and-productivity-assessment-%28hpa%29/



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ヘルスダイアログ社
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【企業概要】

□企業名: Health Dialog Services Corporation
http://www.healthdialog.com/Main/default
□設立:1995年

□事業概要:企業の従業員向けDMプログラム、患者の意思決定支援ツールの
販売。疾患別教育ビデオの提供。

□売上:約31億円(2006年度予想)



【ウエルネスプログラム】

同社のウエルネスプログラムは、Healthy Living Dialogといわれ、病気予防
を目的とした生活習慣改善プログラムです。食・運動指導、ストレス管理、
減量、禁煙など目的に応じてカスタマイズして提供されます。


【アセスメント】

ウエルネスプログラムで特に注目したいのが、下記の指標を使った
アセスメントです。

■Whole Person risk scoring

Whole Person risk scoring(健康総合リスク指標)は、現在の疾患の有無、
健康的な行動の状況、住環境、その他健康に及ぼす環境を評価し、
リスクとして表示するものです。

その結果にもとづき、ヘルスコーチが、一つの疾患だけに対応したアドバイス
をするのではなく、健康全体を考えコーチングします。


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スポルツの視点
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■独自の健康アセスメント

今回は米国の代表的なウエルネスプログラムのアセスメントを紹介しました。
ウエルネスプログラムは主に、疾患を発症していない健康な人向けの
プログラムです。したがって、その効果が見えにくい課題があり、
それを解決する方法として、各社独自のアセスメント(評価)に工夫を
凝らしています。

特に、健康を社会性や経済性、ワークライフバランスまで広げ、自分自身に
とっての本来の健康を考えるきっかけになる新しい指標を使っている点が
特長です。

■医療費削減から「従業員の生産性の向上」へ

米国DMプログラムの多くは、医療費削減を狙います。また日本の特定健診
向けサービスの多くも「医療費削減」効果を重要な成果としています。

一方米国ではDMプログラムだけでなく、疾患になる一歩手前の現在健康な人
へのプログラム(ウエルネスプログラム)提案こそが、長期的にみた
医療費削減のための本質と考えています。

さらにその効果は医療費の削減だけでなく、「従業員の生産性の向上」でも
評価し、利益を生み出す社員を増やすというものになっています。

■様々なアセスメントにより健康行動のモチベーションが高まり、
継続もしやすくなると考えられ、新しいアセスメントは今後注目したい
切り口の一つです。



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