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海外ユニーク事例:
     店舗の売上向上に貢献する「健康コンテンツ」配信企業
         「Aisle7(アイルセブン)」

   <注目したい特長>

  ・店舗に来た人の健康状態に合わせた商品+情報を提供
  ・ワンソースマルチユースを中心に複数のビジネスモデルを組み合わせる

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スポルツでは、本メルマガで紹介した事例から、海外の健康ビジネス成功事例
の共通要因の一つとして「商品とサービス(情報)の融合」があると考えて
います。

今回紹介する事例は、今まで商品のみを中心に販売していた店舗に対し、
「健康情報」と「商品情報」を提供するしくみをB-B販売する
「Aisle7(アイルセブン)社」(旧称Healthnotes社)です。

同社は、健康に気遣う主婦の、

「自分や家族の健康状況に合わせたメニューを作りたい」

といったニーズに対して、
店舗に設置したキオスク情報端末で健康情報を提供しています。

主婦がその情報を見ながら自分(家族)の健康に役立つメニュー
(店内商品情報)をつかめるだけでなく、自宅で役立つ健康情報を同時に
得られるというものです。

一方、店舗にとっては、

・販売商品数の増加
・商品販売だけでなく地域の健康ステーションとなり、ブランド力を高める

というメリットがあります。


・キオスク情報端末のイメージはこちら(クリックしてください!)
http://www2.aisle7.net/resources/Aisle7_In-Store.pdf


※参考バックナンバー
提供企業「Healthnotes社」(2006年4月、2003年9月配信)
http://www.healthbizwatch.com/hbw/global/contents/173.html
http://www.healthbizwatch.com/hbw/global/contents/116.html


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事例概要::Aisle7(アイルセブン)
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■企業名:Aisle7(アイルセブン)
(旧称:Healthnote,Inc) ※アイルとは通路側の意味
http://www2.aisle7.net/

■設立:1987年

■概要
スーパーやドラッグストア、自然食品店でのウェルネスを重視した
キオスク情報端末(コンテンツ)の販売。購入意欲の向上、
ブランド力の向上、店舗スタッフの接客時間の短縮および購入商品数の拡大
をめざす。

■実績
・アメリカのトップ10のスーパーのうち8社が採用
・北アメリカのドラッグストアトップ10のうち4社が採用
・全世界で2000以上のキオスク情報端末あり
・全世界で200社にウエブコンテンツ提供

■利用者
・1日当たりのキオスク情報端末利用者:14万人

■売上
・非公開(2010年)
・6.6百万ドル(約6.6億円/2005年)
・5.4百万ドル(約5.4億円/2000年)

■社名
2008年5月、旧称Healthnotes社はビタミン&サプリメント関連のウェルネス
情報を提供していたが、店舗の全商品を対象にしたショッパーマーケティング
へと事業拡大し、食品、ワイン、ダイエット商品などプロダクトライン拡大に
伴い、社名変更した。

※ショッパーマーケティング
店舗での買物行動(非購買行動を含む)を的確に把握し、その要因分析から
販売機会の拡大を目指すマーケティング。


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導入事例:Martin's(スーパーマーケット)
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同社のサイトでは、店舗の売上増加、競合差別化に貢献していることが
ケーススタディとして紹介されています。


■Martin'sにとってのAisle7の導入背景

1947年創業以来、インディアナ州とミシガン州を中心に20店舗を展開している
Martin'sは、Wal-Martやミシガンを中心にローカル展開するMeijerとの競争
激化により、対抗策として独自性を打ち出す方針を決定。ポイントカードや
Webベースのソリューションなどを導入したが、店舗内での革新的サービスを
打ち出すのに苦労していた。

■同社でのキオスク情報端末の利用度:1,200人/月が利用 (1日約40名)
                  8,000ページ/月閲覧

■キオスク情報端末導入で店舗あたり売上増加
・潜在的インパクト:年間600万円(60,000ドル)
※年間費用は約42万円
(ビジネスジャーナル2007によると、月間の利用料は350ドルとされている)

■同社がAisle7を選んだ理由とその効果

・単なるレシピ情報ではなくトータルウェルネス情報(健康状態、ダイエット
 フィットネスサプリメント、医薬品からワインまで)がある
・「プラグ&プレイ」:コンテンツのアップデートやメンテナンスに関して
 店舗サイドの負担が軽い
・実践を重視した専門性あるコンテンツのため、ブランドによい影響がある


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基本コンテンツの特長:パーソナライズ系コンテンツで商品利用率を高める
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店舗で提供される基本コンテンツは、

・健康知識系
・パーソナライズ系コンテンツ
・広告イベント系コンテンツ

の3つに分かれます。特にパーソナライズ系コンテンツにより、商品利用率を
高めている点に特長があります。


【健康知識系コンテンツ】

■Healthnotes:
利用者に優しい、信頼できるセルフケア用ガイド、健康状態、ビタミン&
ハーブ、食品と薬の相互作用などの知識系情報

■Mednotes:
患者教育用パンフレットや薬物相互作用を含む処方薬またはOTC医薬品のため
の完全ガイド

■Product Ratings:
製品の有効性、安全性その他を評価した、信頼性の高い評価システム

■Dietnotes:
摂取した方がよい食材や避けるべき食材、さらに健康的な体重を管理するため
のクイック・フィットネス情報などを含む、様々なダイエットプランに役立つ
情報


【パーソナライズ系コンテンツ】

■Foodnotes:
健康症状に合わせたライフスタイル情報、食生活情報、栄養素情報が掲載され
ていて、店舗内の食品への誘導率が高いコンテンツ。その他ミール・プランニ
ング、レシピ、簡単料理の方法、クイック・ショッピングリストなどあり

■Winenotes:
自分の好きな食べ物、レシピ、チーズに合わせた有名ワインの選び方の専門的
知識

■Cross-Sell:
その人の健康づくりに合わせた健康のコツ・アイデアを紹介し、購買量を増や
すための商品を紹介


【広告イベント系コンテンツ】

■Feature Articles:
販促カレンダーや買い物客のためのお役立ち情報、アイデア、お勧め商品など
で構成される季節ごとの特集



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ビジネスモデル
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同社の収益源は、下記の5つがあります。

・キオスク情報端末の費用(月間利用料)

・ライセンス料(ウエブコンテンツ、雑誌コンテンツへの利用)

・コンサルティング料(キオスク情報端末内の買物客行動データ分析を行う)

・レクチャー料(店舗の従業員向けのキオスク情報端末の活用法)

・広告料(健康食品メーカー、地域のフィットネスクラブに対して、
 キオスク情報端末内に広告スペースをもたせ、そこでの収益もあがる)


基本のビジネスモデルは、店舗向けの健康コンテンツをウエブ化し販売すると
ともに、雑誌へのライセンス提供を行う「ワンソースマルチユース型」の
ビジネスモデルです。


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スポルツの視点:
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■今回は、店舗内で知識系、パーソナライズ系を中心とした健康コンテンツを
提供することで、店内の商品購入率をあげるサービスを提供する「Aisle7」を
紹介しました。

■日米ともに、「家族の体調にあった健康メニューとそのメニューに使える
店内の食品情報が知りたい」というニーズは共通と思われます。

■一方、店内スペースが大きくキオスク情報端末設置がしやすく、また比較的
端末を使うことになれている米国に比べ、日本の状況は少し異なるようです。

■それらの状況を克服するためには、より地域性(イベント性)をもたせる
などして、情報レベルを高めたり、キオスク情報端末を使うたびにポイントが
貯まるといったインセンティブをつけるなど、情報利用価値を高める必要が
ありそうです。

■健康ビジネスにおいて、健康コンテンツはあくまで補完的に使われるもの
で、軽視されがちですが、本事例のように、健康コンテンツを使って売上向上
(商品の継続利用)に直結させることも可能であり、そのコンテンツづくりの
さらなる工夫が求められているといえます。


●継続ドライバ(下記ページの一番下をご覧ください)
http://www.sportz.co.jp/service/

スポルツでは、売上向上のためのキーポイントが継続率の向上であると考え、
継続率を高める要因を10に分類。これらを使って健康コンテンツの企画・
開発を行っています。


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