━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 【海外ユニーク事例編】ファミリーウエルネスセンター
             「UCLA Family Commons」

     ー 「ファミリーコーチ」が家族の健康をサポート ー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「ファミリーウエルネスセンター」は、家族の健康を支援する健康施設です。
家族個々人の健康づくり支援だけでなく、家族の構成員の関係性(影響)を
重視しながら、家族全体の健康力を上げることを狙いとしています。

2010年2月に、「ファミリーコーチ」という切り口を特色とした
ファミリーウエルネスセンター「UCLA Family Commons」が設立されました。

今回は、

・同施設の概要
・施設コンセプト
・ファミリーコーチングの内容
・ファミリーナーシングという考え方

を紹介します。


まず、施設概要です。


───────────────────────────────────
「UCLA Family Commons」施設概要
───────────────────────────────────

■施設名:UCLA Family Commons

■設立:2010年2月

■ミッション(表記)
child grows, a parent discovers, a family flourishes,
a community thrives
(子供の成長、親の発見、家族の繁栄、コミュニティの繁栄を願う)

■施設内容:ファミリーウエルネスセンターの運営

■収益源
・一般会員からのプログラム費
・物販(書籍など)

■出資
・UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)
・ロバートウッドジョンソン財団


───────────────────────────────────
施設コンセプト
───────────────────────────────────

次に施設コンセプトをターゲット、ニーズ、提供サービスという切り口で
整理します。

■ターゲット
0歳ー12歳までの子供をもつ家族

■ニーズ
・家族が協力して健康問題を解決したい
・子供に健康的な生活習慣を身につけさせたい
・子供と一緒に同じスポーツを楽しみたい

■提供サービス

1.ファミリーコーチング(ファミリーカウンセリング)
・家族全体の健康度の個別アセスメントと提案
・家族向け健康教室、ワークショップ
http://www.uclacommons.com/programs/coaching

2.親子運動プログラム
・空手(Martial Arts)、ヨガ
http://www.uclacommons.com/programs/martial-arts
http://www.uclacommons.com/programs/yoga

3.親子瞑想プログラム(Mindful awareness)
・座禅
http://www.uclacommons.com/programs/mindful-awareness

4.書籍・グッズ販売


これらの中での特長はファミリーコーチという専門家が行う
「ファミリーコーチング」です。


───────────────────────────────────
ファミリーコーチングの内容
───────────────────────────────────

ファミリーヘルスコミュニケーション(関係づくり)をテーマにしています。
ファミリーコーチングが行われる主な場面と内容を整理します。


【1】

■場面
家族関係そのものに大きな変化が起きている場合

■例
・家族に子供が生まれ、家族の関係性が大きく変わった時
・子供が思春期で反抗期の時

■提供サービス
・ワンツーワンコーチング
ーファミリーウエルネスチェックアップ(家族の健康度合いをアセスメント)
ー個別ファミリーコーチング(アセスメントに基づく。子供も参加して
コーチングが行われる模様)


【2】

■場面
子供により健康的な生活習慣を身につけさせたい場合

■例
・子供が夜遅くまで寝ない時
・子供の偏った食生活が治らない時

■提供サービス
・家族全員に対して行うセミナーとワークショップ(家族間交流あり)
ー健康的な睡眠習慣
ー子供の健康的な食習慣
ー子供の成長段階に応じた子育て
など


───────────────────────────────────
ファミリーナーシングという考え方
───────────────────────────────────

同施設の基本的な考え方は、家族看護学(ファミリーナーシング)に基づいて
いると考えられます。

家族看護学(ファミリーナーシング)は、家族を一つの人格(問題解決の対象
の単位)として捉え、健康づくりの支援を行うことです。1970年代に米国
で生まれその後日本でも看護の一分野として研究されています。

家族看護学(ファミリーナーシング)は下記の3つに分類されています。

1.家族関係に大きな変化がある場合の対応
  (例:子供が生まれたり、反抗期になったり、家族を失った時)

2.家族に看護を必要とする人がいる場合の対応
  (例:うつ病、認知症などの患者が家族にいる場合)

3.積極的に家族で健康づくりをしたい場合の対応
  (例:家族が将来病気にならないように、家族全員で予防したい場合)

今回紹介したファミリーウエルネスセンター「UCLA Family Commons」は、
上記の1と3に対応したものとなっています。


───────────────────────────────────
スポルツの視点
───────────────────────────────────

■今回はファミリーウエルネスセンター「UCLA Family Commons」という米国
の施設と、さらにその考え方の背景にある「ファミリーナーシング」について
説明しました。

■日本国内では、上記3(積極的に家族で健康づくりをしたい場合)に対応
した商品やサービス(親子体操など)はでてきていますが、その数はまだ
少ないようです。

■家族を一つの人格(問題解決の対象の単位)として捉え、健康づくりを支援
するという考え方は、健康サービスの新しい切り口の一つとはいえないで
しょうか。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━