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 【海外ユニーク事例編】遺伝子解析サービス「23andMe」

       ー 自分のルーツがわかる ー

    ー 遺伝的に自分がなりやすい病気がわかる ー

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近年、遺伝子情報の解析技術が進んでいます。

例えば、自分の遺伝子を解析してくれて

・自分のルーツ(何代も前の祖先)がわかる
・遺伝的に自分がなりやすい病気がわかる

としたらどのように思われますか。


今回は、米国で上記のサービス化に成功し
実際に遺伝子解析サービスを行う「23andMe社」を紹介します。


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ビジネス概要
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■企業名:23andMe, Inc.
https://www.23andme.com/

■企業名の由来
23はヒトの染色体の対の数。染色体の遺伝子情報と個人を結びつける
サービスという意味。

■設立:2006年4月(非上場)

■事業内容(表記)
DNA分析技術とオンラインツールによる、遺伝子情報提供サービス

■売上:2.4億円(Hoovers:年度不明)
    ※1ドル=100円で換算

■収益源
・個人向けサービス(遺伝子情報による診断結果の販売)
・企業向けサービス(遺伝子情報の蓄積データの販売)

■実績
・新ビジネスモデルとして数々の受賞
-World Economic Forumで2008年「テクノロジー・パイオニア賞」受賞
(2007.11)
-Time誌で2008年度「最大の発明大賞」(Invention of the year)受賞
(2008.10)

■出資
・google
・Genentech:バイオベンチャー企業
・New Enterprise Associates:ベンチャーキャピタル


同社のサービスには、個人向けサービスと企業向けサービスの2種類が
ありますが、まずは個人向けサービスの概要です。


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個人向けサービスの概要
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個人向けサービスは、キットを購入し自分の唾液を送るだけで、
遺伝子情報の様々な分析結果がわかるというものです。

1.Ancestry(祖先診断)
2.Health(遺伝的健康リスク診断)

という2つの分析結果がわかります。価格は499ドルです。


■Ancestry(祖先診断)

・Relative Finder
23andMeの登録メンバーで自分とDNAがつながっている人物を教えてくれる
だけでなく、SNS上でその人とコンタクトがとれる。
https://www.23andme.com/ancestry/relfinder/

・Global Origins
自分のルーツはどこなのか、DNAに流れる地域的、民族的特徴を教えてくれる
だけでなく、自分のDNAに近い人々が世界のどこに住んでいるかがわかる。
https://www.23andme.com/ancestry/origins/

・Ancestral Lineages
人類史の始まりまで父系、母系の家系をさかのぼれる。祖先に関する歴史的
情報の詳しい解説がある。
https://www.23andme.com/ancestry/lineage/


■Health(遺伝的健康リスク診断)

・Carrier Status
子供に影響を及ぼす可能性のある遺伝性疾患の有無を調べることができる。
また、特定の遺伝性疾患の専門機関(カウンセラー)を紹介してくれる。
https://www.23andme.com/health/carrier/

・Disease Risk
遺伝的に発症しやすい病気を診断、発症を防ぐ予防措置、行動変容を促す。
体の数値に異常がまったく見られないうちにわかるため、エクササイズや
減量プログラムなど、予防目的のライフスタイルを健康な時点でスタート
できる点が最大のメリットとなる。
https://www.23andme.com/health/risks/

・Drug
どの薬剤が体に適していて、どの薬剤が適していないか、薬物に対する
反応性(Drug Response)を診断してくれる
https://www.23andme.com/health/drugs/



次に、企業向けサービスの概要です。


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企業向けサービスの概要
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企業向けサービスは「23andWe」という名称で展開されています。

このサービスは、パーキンソン病など難病を抱える人が、上記の個人向け
サービスを大幅ディスカウント(25ドル)で受けられるかわりに、
そのデータを同社が利用し、解析結果として企業に販売するというものです。

データを提供する参加者のメリットとしては、

・自分の遺伝子特性を教えてくれる
・同じ病気に悩む人とのコミュニティに参加できる

などが考えられます。

尚、パーキンソン病の場合、同社は難病記録共有サイト
「ペイシェンツライクミー社」ともパートナー関係を結び、患者の紹介を
相互に行う関係を作っています。

https://www.23andme.com/pd/


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スポルツの視点
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■遺伝子に注目し、

・自分の病気リスクを事前に知っておきたい(適切な対策をとりたい)
・子供を産む時、子供にどのようなリスクが遺伝するかをあらかじめ知って
おきたい
・難病(例パーキンソン病)になった時、自分の情報を積極的に提供すること
で、新薬の可能性を広げたい

といったニーズに答える同社サービス。

■ただ、遺伝子分析サービスを利用する人によっては、その結果をどのように
解釈し、どう行動を起こせばよいか、過度な不安をもつ人が多いようです。
そこで同社は、Informed Medical Decision社(遺伝情報のカウンセリングを
行う企業)と提携し、登録者が遺伝子情報分析結果について専門家からアド
バイスを受けられるようにしています。
つまり、「チェック&ソリューション」を行っています。

■一方、健康づくりとはあまり関係がありませんが、「自分のルーツ」が
わかるというサービスは大変ユニークです。

■また、ビジネスモデル(収益源)としては個人からの収益と企業からの
収益となっています。さらに、同社では一般向けに月額サービスを開始して
おり、収益の安定化を目指しています。

■「23andMe」は、コンセプト、ビジネスモデルともにユニークさを感じる
事例です。同社の動向に今後も注目していきます。


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