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 【海外ユニーク事例編】
    子供向けの健康サービス企画開発を行う「HopeLab」

          ー ゲームの活用 ー

       ー 一般からのアイデアを募集 ー

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日本でも子供の高肥満率、運動不足が指摘されています。
肥満症、自閉症、小児がんなど子供特有の疾患であっても十分なサービスが
行き届いていない分野が「子供の健康」には数多くあります。

そうした中、米国では子供向けの健康サービス企画開発に特化した企業が
あります。

今回は、その中でもサービスづくりにおいて、
一般からのアイデアをうまく活用し、ゲーム的要素をとりいれ
サービス開発を行っている「HopeLab社」を紹介します。


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ビジネス概要
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■企業名:HopeLab Foundation, Inc.
http://www.hopelab.org/

■設立:2001年

■ミッション(表記)
慢性疾患(がん、肥満症、自閉症、うつ病、遺伝病の一つである「かま状赤血
球貧血症」)を抱える若者の健康とクオリティ・オブ・ライフを改善するため
の、綿密な調査と革新的なソリューションを組み合わせる

■事業内容:若者が楽しみながら、健康的な行動習慣を身につけられるテク
ノロジーの研究開発

■売上:7.1億円(Hoovers:年度不明)
※1ドル=100円で換算

■従業員数:25名

■収益源:ゲーム販売

■実績
ガン退治ゲーム"Re-Mission"がCBC News、USA Today、ワシントン・ポスト
など有名メディアで取り上げられる(2006年)


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サービスの概要
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同社のサービスは以下の4つに分かれます。

【1】Zamzee:装着タイプの運動計測器
(現在開発中:2011年販売予定)

【2】Re-Mission
若者のがん患者向けのガン退治ビデオゲーム
(2009年4月現在:81カ国で142,000本配布、
オンラインダウンロードも可能)

【3】Ruckus Nation
若者の運動不足を解消するゲームのアイデアコンテスト
(アメリカ国内41州/海外37カ国から429のエントリー)

【4】Digital Storytelling Workshop
がんを克服した若者たちの体験談


次にそれぞれの概要です。

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【1】Zamzee:装着タイプの運動計測器
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■概要
運動測定機能がついた小型デバイス。測定した運動量に応じたポイントを
ため、景品と交換できる

■ポイント交換
たまったポイントはアバター(オンライン上の自分の分身)のカスタマイズ用
グッズや商品券と交換できる

■使い方の手順
1.Zamzee.comに登録、マイプロフィールを作る
2.デバイスをベルトやポケットに装着
3.好きな運動やエクササイズを楽しむ
4.サイトのマイプロフィールに運動データをアップロード、ポイントが加算
  される
5.たまったポイントをバーチャルグッズや本物の景品と交換


http://www.hopelab.org/innovative-solutions/zamzee/


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【2】Re-Mission:若者のがん患者向けのガン退治ビデオゲーム
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■概要
がんを患う若者のために開発されたゲーム。がん患者の体内に侵入し、がん
細胞を退治、患者を治療するというストーリーをSFゲーム感覚で楽しめる

■利用者のメリット
・プレイすることでがんに対する知識と理解を深める
・治療への意欲向上
・セルフエフィカシーを高める
※セルフエフィカシー (Self-efficacy):自己効力感。困難な状況において、
自分は適切な行動を成し遂げられるという確信

■ストーリー
・超極小ロボット、「ナノボット」を操作しながら患者の体内で増殖する
様々なタイプのがん細胞と戦い、完治させる。プレイヤーはナノロボットを
使って、がん細胞を破壊したり、副作用を抑える。
・化学療法薬や抗生物質を服用し、リラクゼーション療法を行い、食事その他
のセルフケアを継続する
・全部で20通りのミッションに挑戦できる

http://www.re-mission.net/site/game/index.php


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【3】Ruckus Nation:若者の運動不足を解消するゲームのアイデアコンテスト
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■概要
・肥満の子供たちが楽しんで運動できる新製品のアイデアコンテスト
・個人またはチームでエントリー可能
(※2007年9月から2008年3月開催:現在は開催されていません)
・受賞者には賞金あり。

※エントリー数:429
・アメリカ国内41州
・世界37カ国

■商品化
HopeLabの判断で一部のアイデアは実際に試作品を開発する。
その際、「Ruckus Research」という運動習慣について各地の若者へインタ
ビュー、若者の行動習慣のパターンを分析を行い、十分な評価を行いながら
商品化していく。

http://www.hopelab.org/innovative-solutions/ruckus-nation/


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【4】Digital Storytelling Workshop:がんを克服した若者たちの体験談
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■概要
・ガンとの闘病体験を動画で公開する
・3ー4分の動画に編集(協力:Center for Digital Storytelling社)
・7人の体験談(2007年作成)
・本人がナレーターとなり体験を告白
・体験談を通して、若者に命の大切さ(あきらめない気持ち)を訴える

http://www.hopelab.org/innovative-solutions/digital-storytelling


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スポルツの視点
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■今回は、子供向けの健康サービスに特化して企画開発を行う「HopeLab社」
を紹介しました。

■各サービスからは、子供向けに関わらない「健康サービス企画」のヒント
も見受けられます。

例)

・遊び(ゲーム)との組合せ

・ゲームを使って克服イメージを活性化させ、効果を高める

・一般からのアイデアを募集

・アイデアをそのまま使うのでなく、綿密な行動調査を行い商品化する

・体験談により利用者のモチベーションを高める


■同社は、ヘルス2.0という米国の健康IT企業が集まるカンファレンスで発表
を行うなど、注目されています。本メルマガでも引き続きウォッチします。


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