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  2010年の健康ビジネス動向と2011年のトレンドキーワード

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本号では、2010年の健康ビジネス全般の動向のまとめと
2011年のトレンドキーワードを紹介します。

分野は、

[1]健康食品
[2]フィットネスクラブ
[3]健康サービス
[4]健康機器
[5]メディカル
[6]健康食生活指導

でスポルツの専門家パートナーへ取材を行いまとめています。


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[1]健康食品
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健康食品業界のトレンドは、株式会社グローバルニュートリショングループ
代表取締役 武田 猛氏にお聞きした。


【2010年の動き】

■生活習慣病

「Better For You(カロリーや脂肪を落としたりゼロにした商品)」、「特定
保健用食品」、「Natural Healthy(天然素材を利用した食品)」、「スポーツ
サポート食品」に分類される中、2010年は、世界的に「Natural Healthy」分野
が注目された。日本ではSOYJOY(大塚製薬)や野菜生活(カゴメ)などにより
この分野が特に伸びた。

■見た目

「美肌」、「ダイエット」に分かれ、2010年「美肌」では、コラーゲンを使っ
たドリンク・サプリメントが好調、サプリメント+化粧品(カラダの内から、
外から)も引き続き展開された。一方「ダイエット」では1食300円程度とい
う低価格ミールリプレイスメント(DHCプロティンダイエット)がヒットした。

■エイジング

65歳以上を対象とした「脳の健康」、「目の健康」、「関節の健康」に分類。
2010年、DHA・アラキドン酸(脳)、ビルベリー・ルテイン(目)、グルコサ
ミン(関節)などの素材を使った食品が好調。特に「関節の健康」は効果を
体感しやすい場合も多く、支持をうけた。

■ストレス

「胃の調子」、「疲れ」、「睡眠」に分かれる。2010年、「胃の調子」では、
ピロリ菌と関連づけたヨーグルトが好調。ヨーグルトのコアターゲットでな
かった40代の男性に受け入れられた。「疲れ」では、ウコンを利用し即効性を
感じやすい二日酔いをテーマにした食品が伸びた。


【2011年のトレンド(注目点)キーワード】

キーワードとして下記を挙げていただいた。

・スポーツサポート飲料
・中高年男性向けダイエットサプリメント
・宅配ビジネスでの展開
・睡眠サポート食品
・エビデンス取得活動の積極化
・一時的効果から継続的効果へ


※株式会社グローバルニュートリショングループ
http://global-nutrition.co.jp/

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[2]フィットネスクラブ
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フィットネスクラブ業界のトレンドは、
業界誌「フィットネスビジネス」を発刊し、海外情報にも詳しい
株式会社クラブビジネスジャパン代表取締役 編集発行人
古屋 武範氏にお聞きした。


【2010年の動き】

■低価格の新業態

低価格の新業態として「キークラブ」がある。これは小型施設で会員がキーを
持ち、セルフで利用する施設。セキュリティへの配慮がなされ、24時間いつ
でも気軽に使える。2010年10月、米国最大の「Anytimefitness」が東京調布に
第一号店を出店した(月会費は5,500円)。

■既存店のリノベーション・移転新設

既存会員に対して常に価値を提供し継続利用してもらうためには、定期的に
リノベーション(改修)することがポイントになる。2010年には、サービス
アイテムの拡充(子供向けダンス教室、女性向けホットヨガなど)、エコ
システムの導入(節電型トレッドミル)、美観の向上(クレンリネス)が
なされた。

■新会員種別・利用システムの投入

従来型の料金システムから離れて、生活者のライフスタイルをよく理解して
利用システムを再発想すること。2010年では、サービスアイテム限定会員、
時間限定会員(1日1回90分間だけ利用できる、月間1000分まで利用できる)、
利用日限定会員、グループ会員(友人や家族とともに入会し利用できる)など
が導入された。

■会員紹介システムの確立

既存顧客からの紹介率を高めるしくみづくりの確立。紹介してもらいやすい
顧客層とタイミングを特定し、アプローチすることが重要。とりわけ入会初期
のアプローチが重要になる。2010年では、紹介システムを再構築する企業が
多く見られた。


【2011年のトレンド(注目点)キーワード】

キーワードとして下記を挙げていただいた。

・ライフスタイル分析による新しいユーザー層へのアプローチ
・心理的なインセンティブのしくみ作り
・自己効力感を高め成果を確認できるしくみ
・楽しさを感じる土台となるコミュニケーションノウハウ


※株式会社クラブビジネスジャパン
http://www.fitnessclub.jp/business/index.html


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[3]健康サービス
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健康サービストレンドは、株式会社スポルツ ヘルスビズウォッチ編集部が
まとめた。


【2010年の動き】

■ヘルスサービスサイエンス

ダイエットビジネスにおいて、プロセスデザインの進化が見られた。米国最大
のダイエットセンター「ウエイトウォッチャーズ」の新サービスは、単に減量
だけでなく、減量後の維持をテーマにしたものである。

※プロセスデザイン:サービス利用前、利用中、利用後のプロセスごとに価値
提案すること。

■「健康」<「ライフスタイル」

ランニングやジョギングなどファンスポーツを通じて健康づくりを行うという
ことが定着してきた。また、アウトドアフィットネス(カヌーなどマリン
スポーツを行いながらフィットネスを行う)など、健康づくりは「目的」で
なくライフスタイルを充実させるための「手段」として位置付け、サービス
を積極提案する動きが見られた。

■継続ドライバ

健康ビジネス成功のカギは継続率にある。スポルツでは健康行動の継続に作用
する支援技術を「継続ドライバ」と呼び、国内外のビジネス事例から分類整理
し、現在10のドライバがわかっている。2010年米国では、ヘルス2.0(体験者
のデータを価値化しビジネスにする)という動きが活発化し、継続ドライバの
一つである「ヘルスナレッジ」に大きな進展があった。


【2011年のトレンド(注目点)キーワード】

・「データ」+「コンテンツ」=ソリューション提案
・ライフスタイル欲求に基づく健康デザイン
・データの見せる化


※株式会社スポルツ
http://www.sportz.co.jp/


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[4]健康機器
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健康機器のトレンドは、株式会社スポルツ ヘルスビズウォッチ編集部が
まとめた。


【2010年の動き】

■健康測定機器

健康機器メーカー各社から、通信型機器のラインアップが出揃ってきている。
コンティニュア・ヘルス・アライアンス(代表企業であるインテル社が進める
健康医療データの連携システム)が、健康データの連携を意識しつつも、メー
カーを超えたデータ連動は今後の課題である。

■携帯電話のヘルスケア

携帯端末を使ったモバイルヘルスケアの市場が本格化。ケータイではauの
「Smart Sports」が先行してサービス提供をしていたが、2010年NTTドコモが
「ibodymo」サービスをリリースしケータイヘルスケア市場が幕開けした。


【2011年のトレンド(注目点)キーワード】

・「通信」から「連携」へ
・リレーション技術の進化は1対1から1対Nへ
・スマートフォン向け健康アプリ


※株式会社スポルツ
http://www.sportz.co.jp/


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[5]メディカル
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メディカル業界のトレンドは、会津大学教授 医師 医学博士
株式会社レーグル代表取締役 奥 真也氏にお聞きした。


【2010年の動き】

■BMI(ブレーンマシーンインターフェース)

BMIは脳活動を使って意思を伝達できるシステムのこと。産業総合研究所の
ニューロコミュニケーター(発話や書字が困難な重度の運動障害者でも脳活動
により意思を伝達できるシステム)や、セガトイズが輸入発売したMindFlex
(集中力でボールを浮かせて遊ぶおもちゃ)などが導火線であったが、
Neurosky社のBMIソフト開発者用キットが低価格で入手可能になるに至り、これ
はもう一過性のブームとは言わないほうがいい雰囲気が漂ってきた。

水面下の動きはうごめくというレベルに達し、大きくブレークするビジネスが
いつでてもおかしくない。科学的な厳密性をどこまで割り切るかによって、
汎用性と眉唾の表裏の関係をどうコントロールするかにビジネス上の腕の見せ
どころがある。

■情報の顕在化(捨てる技術)

大量の情報が利用可能な時代であるといっても、情報を際立たせ、顕在化させ
るのは間違いなく、人間の意思である。意思の具現化ツールとしてのハイテク
ノロジーは、さまざまな形で世にその価値を問いかけている。

写真から食事のカロリーを自動計算する、血圧を自動測定して急病に警告を発
する、など、情報を顕在化する動きはますます盛んである。


【2011年のトレンド(注目点)キーワード】

キーワードとして下記を挙げていただいた。

・iCt
・iPad
・メディカルツーリズム


※株式会社レーグル
http://www.regle.co.jp/


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[6]健康食生活指導
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健康食生活指導のトレンドは、有限会社クオリティライフサービス
代表取締役 今川 博喜氏にお聞きした。


【2010年の動き】

■食事力

健康と食に関する情報が氾濫する中、個人のライフスタイル、体の状態に
合わせて食べる「食事力」は、「時間力×選択力×調整力」で構成される。

・時間力=ライフスタイルに合わせた食事計画、食事時間を考慮した食べ方
・選択力=時間、購入シーンに合わせた食品選択
・調整力=コンディション、シーンに合わせた短期、長期の調整力

2010年、時間力では「時間栄養学」に基づく食事指導、選択力では「買物かご
を用いた選択力の推進」、調整力では「コンディションを効果軸とした栄養
指導」などがみられた。

■買物力

一般的な栄養指導は食べるシーンへアプローチするが、素材を買うシーンから
アプローチすれば、より簡単なアドバイスで済む。買い物の時点である程度
バランスがとれていれば、その先に難しいアドバイスは必要なく、調理段階で
の注意点は、調理油の使い方程度で済む。

2010年、会津大学、会津若松市、クオリティライフサービスとの共同研究
では、買い物かごに入れた状態のままで食材の総栄養価やカロリーを計算する
ソフトウエアが開発され、買物時点での栄養バランスをチェックし、健康づく
りを意識させる取組みがなされた。

■食体感

食体感は、「食事でからだが変わることを体感することで、食生活改善の
意識、意欲を高めること」。食体感を上げるためには、食事をどう変えたら
体のどこがどう変わるのかを示し、その効果指標(例:体重・便通・肌の
調子)を示すことが有効である。

2010年、白米を玄米に変える、遅い時間の食事の食べ方を変えるなど、食生活
を変えることでからだが変わることを実感する人が増えている印象がある。


【2011年のトレンド(注目点)キーワード】

キーワードとして下記を挙げていただいた。

・パフォーマンスアップのための食事
・若年女性層の食体感の向上
・知恵コンテンツの提供


※有限会社クオリティライフサービス
http://www.qls.co.jp/


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スポルツの視点
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■以上6分野における2010年の動きと、2011年のトレンドキーワード
いかがでしたでしょうか。商品・サービスの企画発想時のトリガー(刺激)
素材として、是非活用してください。


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本号と関連するバックナンバー
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・2010年の健康ビジネストレンド予測(中間ウォッチ編)
(2010年6月18日号)
http://www.healthbizwatch.com/hbw/global/contents/266.html

・2010年健康業界トレンド予測(2009年12月18日号)
http://www.healthbizwatch.com/hbw/global/contents/255.html


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