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  海外ユニーク事例編:健康業界のビジネスモデル特集(2)

        ー 複合型ウェルネスモデル ー
          ー 学習体験モデル ー
        ー パーソナル提案モデル ー

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今回のメルマガは、は2010年6月に特集した
「健康業界のビジネスモデル特集」の続きです。

ビジネスモデルは、収益構造を見える化したもので、
「安定的に利益を上げ続けるためのビジネス全体の構造」
と呼ぶことができます。

2010年6月号では、広告モデル、ワンソースマルチユースモデル、
継続リレーションモデルなどのパターンをいくつか紹介しました。

今号では、施設サービスを中心に新たに、

・複合型ウェルネスモデル
・学習体験モデル
・パーソナル提案モデル

というビジネスモデルパターンを紹介します。


※2010年6月配信「健康業界のビジネスモデル」
http://www.healthbizwatch.com/hbw/global/contents/265.html


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複合型ウェルネスモデル
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カフェ、学び、フィットネスなど広く「ウェルネス」に関わるサービスを
複数提供する施設モデルです。
代表例として「Mather Cafe Plus」を紹介します。

■施設名:Mather Cafe Plus(マザーカフェプラス)
http://www.matherlifeways.com/

■運営企業名:Mather LifeWays
■設立:2000年(1号店)
■ロケーション:米国イリノイ州シカゴ
■店舗数:3施設
■来客:来店者の70%が月に10回以上くるとされる
■売上:29億円(シニア向け住居販売含む)
■ターゲット:50歳以上のシニア世代

■サービスの特長

1)カフェ サービス
Hangouts(行きつけの場)としての位置づけ。おしゃれなカフェのような
年配の方をあえて意識しすぎない施設デザインに配慮している。

2)フィットネス
ウォーキング、エナジー エクササイズ、ラインダンス、太極拳などが
楽しめる。

3)学び
Lifelong Learning(生涯の学び)をテーマに、アート、ピアノ、パソコン
教室などがある。

上記を提供するスタッフには老年学、ディズニーランドスタッフ経験者が
おり、シニアの特性をよく理解した人が配置されている。


■ビジネスモデルの特長

・収益源は、カフェ、フィットネス、学びでの利用料となる。
 カフェで気軽に施設を訪問してもらい(きっかけとし)、その後
 フィットネスや学びプログラムを推奨する流れになっている。

・シニアにとってのウェルネスを考え、学びで生きがいを感じてもらい
 また、ボランティアとして運営に参加できる仕組みをもつ。


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学習体験モデル
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気づき、学び、発見をテーマに生活者に健康づくりへの動機付けと
その実行方法を体験を通じて教える施設モデルです。
代表例として「Structure House」を紹介します。

■施設名:Structure House(ストラクチャーハウス)
http://www.structurehouse.com/

■運営企業名:CRC Health Group
(行動変容が必要な過食、アルコール依存症、子供への虐待、肥満などを
テーマにした教育・カウンセリング・体験施設を全米で展開する企業。
2009年で売上429億円の上場企業)

■施設の創立:1977年
■創業者:臨床心理学者J.Musante氏
■事業内容:滞在型ダイエット施設の運営
■実績:Health誌によるAmerica's Top 10 Healthiest Dietsに選ばれる
■ターゲット:肥満症の人

■サービスの特長

数週間の滞在で、下記を体験し学ぶ。

・講義:「行動習慣」「エクササイズ」「栄養クラス」など
・個人カウンセリング:栄養、メニュープラン
・体験:料理教室、レストランでの外食、スーパーマーケットへのツアー、
 料理実演など

※費用(1週間):3,206ドル

全体を通じてBehavior(行動習慣)にフォーカスをあてている。
うつ、不安感、孤独感、自尊心の低下などメンタル面での問題を専門
セラピストが治療する。さらに、過食の心理的要因などへの取り組み方
も指導する。(なぜ過食になるのか?バランスのある生き方など)

■ビジネスモデルの特長

学習体験施設での提供サービスが充実するだけでなく、それを利用後に
自宅で行われるウェブプログラム、電話でのフォロープログラムで収益を
上げる。サービスプロセスが設計されている。


※参考バックナンバー
http://www.healthbizwatch.com/hbw/global/contents/95.html


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パーソナル提案モデル
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対面で1対1のパーソナルな提案施設を多店舗展開するモデルです。
代表例として「Fitness Together」を紹介します。

■施設名:Fitness Together(フィットネストゥゲザー)
http://corp.fitnesstogether.com/

■運営企業名:Fitness Together Franchise Corporation
■設立:1996年
■事業内容:パーソナルトレーニング専門施設の運営
(パーソナルトレーニング専門としては世界最大数)
■実績:店舗数409(2009年)
■世界展開:アメリカ、ブラジル、カナダなど6か国
■ターゲット(同社サイトに記載)
・ダイエットしたい人
・生活習慣病の人(高血圧)
・はじめてマラソンを走りたい人
・ゴルフのスコアを上げたい人
・孫と元気に遊びたい人

■サービスの特長

「1Client-1Trainer-1Goal」をテーマに、パーソナルカウンセリングと、
筋力トレーニング、有酸素トレーニング、栄養指導からなるトレーニング
(1セッション45分)を実施している。


■ビジネスモデルの特長

収益源はパーソナルトレーニングの指導料となる。
同社は全米のパーソナルトレーナー約3000名と契約しており、
対面での指導レベルを高水準で保てる仕組みをもつ。
また、運動の目的を明確にする初期プロセスが充実しており、
単なる指導だけでなく、コーチングもできる人材を用意している。


※参考バックナンバー
http://www.healthbizwatch.com/hbw/global/contents/194.html


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スポルツの視点
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■今回は、健康業界のビジネスモデルのパターンの追加として、
施設サービスを中心に3つのモデルを紹介しました。

■「どのような収益源を考えるか?」がビジネスモデルを考える上で
重要になるわけですが、施設サービスでも今回紹介した事例のように、
単に月間の施設利用料だけでない工夫が見られます。

■ビジネスモデルは新規事業の立ち上げ、既存事業の活性化の際に
考えるべき重要な視点です。

・そもそも健康業界にはどのようなビジネスモデルのパターンがあるのか?
・特に海外の先行するビジネスモデルのパターンはどうなっているのか?

それを「知のストック」としてもっておき、チームで共有し組合せ発想する
ことが効果的と考えています。

今後も本メルマガでは定期的にそのパターンを追加していきますので、
ご活用ください。


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