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【海外ユニーク事例編】健康サービスの成功の鍵「継続ドライバ」とその活用例
 
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こんにちは。株式会社スポルツの脇本和洋です。
 
「海外ユニーク事例編」では、毎月1回特定のテーマで
海外の健康ビジネス動向を紹介しています。
 
今回のテーマは、健康業界での「継続支援」です。
 
スポルツでは、
 
「健康行動の継続に作用する支援技術」を「継続ドライバ」と命名し、
2007年から、国内外の事例研究、専門家へのヒアリングを重ねています。
 
現在、10個の継続ドライバに分類しています。
 
本メルマガでは、海外で近年発達が目覚ましい
 
・ヘルスコミュニケーション
・エンカレッジメント
・ヘルスエンターテイメント
 
という3つの継続ドライバの最新(注目)事例を紹介します。
 
参考>10個の継続ドライバ
 
 
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(1)ヘルスコミュニケーション:ウェイトウォッチャーズの新サービス
 
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ヘルスコミュニケーションは、健康行動継続プロセスで用いる有効なコミュニ
ケーション方法。ヘルスティーチング、ヘルスコーチング、ヘルスメンタリング
などがあります。
 
以下の事例は、モチベーションを引き出したり維持に効果的と注目されている
「ヘルスコーチング」を活用したものです。
 
 
■企業名:Weight Watchers International, Inc
 
・設立:1963年
・上場:2001年
・ターゲット:約50ポンド(約20キロ)以上やせたい女性が中心
・売上:1,724milUSD(2013年)(1ドル=100円として約1,724億円)
・収益源
 ーダイエットセンターでのミーティング受講料
 ーウェブサービス利用料
 ー商品販売(食品、ガイドブック、体重計など)
 ーライセンス他
 
 
■新サービス「パーソナルコーチング」
 
同社は、2014年12月から電話・ウェブを使った「パーソナルコーチング」を
開始しました。背景には、ソーシャルメディアやモバイルアプリの発展により
増えた「自宅でダイエットを行う人たち」を数多く取り込みたいことがあり
ます。
 
また、長期的なウェイトロス達成には、ヒトによる支援が必要という考えに
基づいているとも述べています。
 
・パーソナルコーチング
 
 
■パーソナルコーチングの特徴
 
・電話による一対一のコーチングセッションとメールでのやり取り
 (電話は1回30分程度)
 
・カスタマイズされたアクションプラン
 (実行内容をコーチと決める)
 
・必要時に自由にコーチに連絡し、相談できる
 (コーチは、現在4,000名)
 
パーソナルコーチと一緒に、同社のダイエット法である
「ポイントプログラム」を自宅で実施できます。
 
 
■コーチング会社の買収により、スピーディに実現
 
同社は2014年5月に、ビデオ通話によりヘルスコーチングを行っていたWello社
を買収。それにより今回のサービスをスピーディにリリースしました。
 
 
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(2)エンカレッジメント:Keas(キーアス)の「チームとソーシャル」
 
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エンカレッジメントは、「励まし」のこと。「直接的励まし」と、参加者が
活動するコミュニティで他者に活動状況を伝え、やる気を高める「間接的
励まし」があります。
 
以下は、「チームとソーシャル」をテーマとした「間接的励まし」の事例です。
 
 
■企業名:Keas(イメージ動画あり)
 
・創業者:グーグルヘルスの開発責任者だったアダム・ボズワース氏
・設立:2008年
・売上:推定270万ドル=約2.7億円(D&Bグローバル調べ:2014年9月)
・サイト開始:正式版2011年6月(2009年10月ベータ版)
・ミッション:最良のソーシャルメディアとチームゲームを組み合わせ、
 より幸福で、より健康な、そしてより仕事にやりがいを感じる従業員を
 生み出す
 
・ターゲット:企業の従業員、主に健康意識の低い社員
・サービス概要:Keas(ソーシャルメディアとゲーム要素を組み入れた
 法人向けウェルネスプログラム)
 
・収益源:法人向けウェルネスプログラムの利用料
・実績:
 ーファイザー、セイフウエイなど大手企業が導入。
 ー会員数が2014年の一年間で3倍に増える(会員数は10万人以上)
ー利用者による健康目標の達成数:500万件(2014年)
 
 
■サービス内容
 
・毎週3つの取り組みを設定、クリアーしていくことでレベルアップし
 ポイント獲得につながる
・企業内でチームを結成し、協力しながら他のチームと競争しモチベーション
 を強化
・広くウエルネスをテーマとした交流をもてる
・優秀な成績を収めると賞金がもらえる(チームで参加する)
 
 
■みんなで励まし合うということ
 
同サイトは、単に交流するのでなく、励まし合うことをベースにしています。
特にフェイスブックのような機能で、ニュースフィードで最新投稿をチェック、
共感できる投稿にコメントしたり、「いいね!」ボタンをクリックできるよう
にしています。
 
 
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(3)ヘルスエンターテイメント:Zombies, Run!(ゾンビーズラン)
 
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ヘルスエンターテイメントは、娯楽の要素を入れながら、健康行動の継続を
支援するもの。以下の事例は、娯楽やゲーム性が全面にでており、「結果健康
になる」という切り口になっています。
 
 
■企業名:Six to Start(イメージ動画あり)
 
・設立:2007年
・企業概要:デジタルその他のゲームを開発するデベロッパー。
 2011年以降はスマートフォン用のアプリゲーム開発に注力している。
 
■Zombies, Run!のサービス概要
・ストーリー仕立てのランニング支援アプリ。ゾンビから逃げながらミッショ
 ンを成功させるという設定で実際に走ることで、ランニングの時間や距離を
 計測。ゾンビの追跡を走って逃げながら、様々な生活用品(医療品やバッテ
 リーといったもの)を集めるミッションを成功させ、生存者が避難している
 ベース基地を再建、拡張するストーリー。
 
・価格:3.99ドル
・実績:プレーヤー数:80万人
 ーアメリカのビジネス誌Fast Companyによる2013年度の「最も革新的な企業
 ベスト10」のフィットネス部門で2位にランクイン
 
 
■ストーリー構成
シーズン1から3まであり、シーズン1には33のミッションがある。
シーズン1のすべてのミッションとシーズン2の最初の7つのミッションが
同アプリでプレイできる。(すべてのミッションに参加するには、新たに
All-Access Passを有料で購入しなければならない)
 
 
■ゲームの流れ
・ミッションをスタートし、ランニングを開始する
・音声でドラマ仕立てのストーリーが流れ、ゾンビのうなり声といった
 追いかけられるシーンを聞きながら、走る
・走ることで生活用品を集めるミッションは自動的にクリアーできる
 
・ランニング終了後、集めた生活用品をチェックし、それをもとにベース基地
 の中に病院や学校などの施設を建設するゲームパートを楽しむ
・オンラインの会員向けサービス“ZombieLink"に登録し、アクセスすれば、
 走行距離、時間、ペースなどのデータを確認できる。
 また、走った場所の履歴も地図で確認できる。
・FacebookやTwitterの友人と走行履歴を自動的にシェアできる
 
 
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健康業界の重点課題「継続支援」のあり方
 
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今回は、「継続支援」という切り口で、3つの継続ドライバに注目し、
その活用例を紹介しました。
 
この3つに関して、スポルツが研究を開始した7年前(2007年当時)と
現在を比較してみます。
 
・ヘルスコミュニケーション
 2007年当時はヘルスティーチングといった一方的に「教える」といったもの
 が多かったのですが、現在は「ヘルスコーチング」という教えるだけでは
 ない「モチベーション」を高める方法が採用されはじめています。
 
・エンカレッジメント
 2007年当時はフェイスブックなどのソーシャルメディアはあまり活用されて
 いませんでした。現在は、ソーシャルメディアの活用により新たな手法とし
 て開発されてきています。
 
・ヘルスエンターテイメント
 2007年当時は「歩数により東海道53次が完成される」といったエンターテイ
 メント的要素を加えるものが多かったですが、現在は本格的なエンターテイ
 メントを用意し「結果健康になる」というアプローチの開発が行われて
 います。
 
 
継続ドライバは、外部環境変化(モバイルアプリの発展や、フェイスブック
などのソーシャルネットワークの発展など)により、新たな進化を遂げていき
ます。
 
我々スポルツは、海外の最新の取り組みを様々な角度で分析し、将来を
見据えて、健康業界の共通課題である「継続率向上」に貢献していきます。
 
 
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