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「日本と海外のダイエット雑誌比較による消費者ニーズの分析」(海外最新トレンド)
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<<今月のテーマ>>
1999年10月10日、日本肥満学会は太りすぎを防ぐ運動や食事などに国を
あげて積極的に取り組むよう呼びかけるという異例の宣言を行いました。
この動きからもわかるようにダイエット関連市場は今後も有望な市場の
1つであることは確実と言えます。

※参考:「男のダイエットビジネス」可能性研究レポート
http://www.project-garage.com/hbr/theme/repo_men_diet.php


ダイエット市場へのアプローチを考える場合、ダイエット消費者のニーズを
つかむことがキーポイントになるわけですが、この方法としてメディアが
発信している実際の情報から消費者ニーズをつかむ方法が考えられます。

今月は日米のダイエット記事の多い雑誌からダイエット消費者のニーズを
分析してみたく思います。(今月はMAG WATCH*との共同企画となります)

尚、今月は配信が遅れましたことをお詫びいたします。

注:MAG WATCHとは
スポルツのサイト上で商品企画に役立つ雑誌を分析・評価しているページです


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【基本情報--日米の肥満度比較】
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まず、ダイエット市場を理解する基本情報として日米の肥満度を比較して
みたいと思います。
肥満度は国際的にBMI(BODY MASS INDEX=体重/身長/身長)という数値が
使われます。
(例えば体重75kgで身長が175センチの人のBMIは75÷1.75÷1.75=22.9となり、
国際的な肥満の基準値は25~30以上になっています。)

<日本人>
厚生省がまとめた「1996年国民栄養調査」によると日本人の肥満度は21%と
なっています。
また、ダイエット市場を支える20代女性では「肥満の人」は約5%と少なく、
肥満度がマイナス10%未満の「やせ型の人」が44%を占めています。女性
全体では11%が「ダイエットしている」と答えており、その内訳をみると、
ダイエットが必要でない女性(やせ型の人、普通の人)が75%を占め、
ダイエットが必要な肥満の人は25%に過ぎません。
つまり、日本の女性のダイエット市場はダイエットをすべき肥満の女性より
もダイエットの必要のない女性(やせ型の人、普通の人)が中心の市場と
言えそうです。

<アメリカ人>
マーケットインテル社の調査によるとアメリカ人の肥満度は1994年で68%で
あり、1983年の58%から10%も上昇しています。また、男女を合わせた全体
の54%の人がダイエットをしたいと答えています。アメリカは世界中で肥満
の人が一番多い国と言われ、そのためダイエット関連の商品開発が最先端を
行っており、市場の大きさについても容易に理解できます。


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【日本の雑誌の記事タイトルから得られるダイエット消費者ニーズ】
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■今回選択した雑誌・記事
ダイエット関連の記事の多い雑誌としてFYTTE(1998年10月~1999年10月)、
TAZAN(1999年4月~1999年10月)を選び、そのうちダイエットに関する記事
タイトルのみをリスト化しました。(合計79タイトル)

■消費者ニーズ分析方法
各雑誌の目次タイトルをリスト化した後、そのタイトルが消費者のどういった
ニーズを満たそうとしているかを仮説として推測してみます。(記事タイトル
が消費者ニーズを解決する一つの解決案と考えて、消費者ニーズを設定して
いきます)

例えば、

<具体例...@>
記事タイトル:お風呂でやせる
  ↓
消費者ニーズ:自分の生活時間をうまくダイエットのために使いたい

<具体例...A>
記事タイトル:夏までに体重を落とそう
  ↓
消費者ニーズ:ある目標日に向けたダイエットプログラムがほしい

のように推測していきます。


■日本の記事タイトル分析結果

日本の記事タイトルを分析してみると以下のような消費者ニーズに答えよう
としていることが推測できます。

● 自分の生活時間をうまくダイエットのために使いたい
  お風呂の中でやせる方法、踊ってやせる方法、週末の遊びの中でやせる
方法、楽しいスポーツをしながらやせる方法など、平日と休日の自分の生活
時間(ライフタイム)の中でやせる方法を紹介しています。(最近、第一興商
とコナミが歌い終わった後に消費カロリーが表示されるカラオケマシンを
発売していますが、これも自分の生活時間をうまくダイエットのために使い
たいというニーズに答えた商品といえそうです。)
   
● ダイエットに効くと思われる食事・運動のコツが知りたい
  食事の量とバランスとタイミング、外食時の注意点、エアロマシンの
使い方などTAZANを中心に運動・食事のコツについて専門的なレベルまで
紹介しています。(ダイエット雑誌の王道といった内容です)
   
● 体の部位ごとにやせる方法が知りたい
おなか、ウエスト、二の腕など女性が気になる体の部位ごとにやせる方法を
特集しています。(日本の女性の場合「肥満」ではない「標準体重」の人が
ダイエットに興味がある場合が多く、そのような方は自分の体全体ではなく
気になる部位を中心にやせたいと思っている人が多いと思われます)
   
● 「やせた」実績のある食品、ダイエット方法が知りたい
読者、有名人、モデルなどが実際に使ったダイエット食品やダイエット機器
などを紹介しています。
   
● 楽してやせたい
食べながらやせる、摂るだけで体脂肪が減るなど今までと同じ生活をして
やせる方法を紹介しています。
   
● その他の消費者ニーズ
・ 専門家の意見を聞きたい
・ リバウンドなどダイエットに関わるリスクに対しての対応方法が知りたい
・ 最新のダイエット方法が知りたい
・ 日常のストレス対策が知りたい
・ ダイエットの始め方が知りたい
・ ダイエットに関するウソ・ホントが知りたい
・ ダイエットの継続を阻害する要因とその克服方法を知りたい
・ 自分の肥満度、体脂肪率について正確に知りたい
・ ダイエットに関する情報源が知りたい
・ 人と比較して自分の肥満度を知りたい
・ 肥満を測定する測定器について知りたい


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【海外の雑誌の記事タイトルから得られるダイエット消費者ニーズ】
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■今回選択した雑誌・記事
できるだけメジャーなダイエット関連の記事の多い雑誌を選ぶために洋雑誌
専門の通信販売会社3社の売れ筋ランキングより以下の雑誌を選び、その中から
ダイエットに関する記事タイトルをリスト化しました。(合計49タイトル)
WEIGHT WATCHER'S, WALK OFF THE WEIGHT, SLIMMER, SELF, HEALTHY LIVING,
MEN'S HEALTH, MEN'S FITNESS, EXERCISE&HEALTH, FIT, SHAPE, HEALTH,
WOMAN'S DAY, FITNESS, AMERICAN HEALTH, WALKING

■消費者ニーズ分析方法
日本の雑誌と同様に各雑誌の記事タイトルをリスト化した後、そのタイトル
が消費者のどういったニーズを満たそうとしているか仮説として推測してみま
した。

■海外の雑誌記事タイトルの分析結果 

海外の記事タイトルを分析してみると以下のような消費者ニーズに答えよう
としていることが推測できます。

● ダイエットをあまり大きく考えないで、手軽にできる方法について知りたい
  ダイエットしたいと思った場合、気合いが入りすぎて思ったように効果が
上がらなかったり、途中で挫折することが多いので、毎日できること、特に
毎日10分でできることなど毎日の時間を短く区切って、手軽に長続きできる
方法を特集しています。
   
● ある目標日に向けたダイエットプログラムがほしい
  「結婚式までにやせる」とか「夏までにやせる」などのある目標とする日に
向けてのダイエットプログラムを紹介しています。その目標とする日は7日後
から90日後までに設定している場合が多く見られます。
   
● 自分に合った目標をどう設定したらよいか知りたい
  ダイエットを行いたい場合、何らかの目標値(体重、期間など)を定める
ことになります。この目標値をいかに正しく設定するかがキーポイントになる
わけで、各人のライフスタイルの中でいかに無理のない目標値を見つけるか
について特集しています。
   
● ダイエットを長続きさせる方法が知りたい
  長続きさせる方法としてダイエットしている友人や夫、更にはペット
(犬と散歩することなど)を巻き込んでダイエットを長続きさせる方法に
ついて特集しています。
   
● 食事と運動の関連を知りたい
  1日の食事時間(朝食前後、昼食前後、間食前後、夕食前後)ごとに軽い
運動を紹介したり、スポーツ時(スポーツ前、中、後)にとる食事を特集
しています
   
● その他の消費者ニーズ
・ ダイエット食品の成分に対する安全性が知りたい
・ ダイエット中の1週間すべてのメニューを設定してほしい
・ 時間がない時にどうやってダイエット運動を継続させるか知りたい


■ダイエット市場での商品開発のヒントは

ダイエット関連の食品、機器などの開発において上記の雑誌の分析から得ら
れた消費者ニーズは役に立つと思われます。

例えば、ダイエット食品の開発の場合

・ 家事や通勤時やお風呂に入りながら食べるガム(消費カロリーがそのガム
をかむことにより増加する)
   
・ 足やせ、おなかやせなどの部位ごとにダイエット食品をシリーズ化する
   
・ 脂肪分解型のサプリメントをアメの形にして、水がなくても手軽にとれる
ようにする
   
・ 商品を買うとインターネット上でその食品を使ってやせた人を自分の体型、
ライフスタイルで検索して選べ、その人がどのような方法をとったかがわかる
ようにする
   
・ 90日間ダイエットという強調をして90粒入りのサプリメントにする。
   
・ インターネット上で自分の体重・期間などの目標設定と、自分の平均的な
ライフスタイル(消費カロリー)を入力すると、自分の目標とする1日の摂取
カロリーが計算でき、自社のダイエット食品を1日どれくらい摂ればよいか
わかるようにする。
   
・ インターネット上でダイエットを長続きさせるコツを特集したサイトを
作り、その上で商品を販売する
   
・ 自社の食品を食べた後(食べる前、食べている時)に効くと思われる運動
について紹介する。
などのアイデアが出てきます。


■まとめ

今月号では日本と海外のダイエット雑誌の目次からダイエット消費者のニーズ
の分析し、商品アイデアにつなげてみました。アンケート調査などから消費者
ニーズを探っていく方法もありますが、今回試したような世の中の実際の
「事実」から消費者ニーズを探って行く方法も実践的でよいのではないで
しょうか。

また、米国を中心とする海外の記事タイトルから推測する消費者ニーズは
日本と少し違い、海外の雑誌は日本の商品開発においてもヒントになると
思われます。


今回のレポートに使った情報源を以下に掲載しておきます。

■海外雑誌通販会社
・イギリス雑誌
http://jp.magazineshop.co.uk/
・アメリカ雑誌
http://www.mag-mart.co.jp/
http://www.drmag.com
http://www.thank-tom.com/index.html
http://www.ncbuy.com/magazines/


※参考:「男のダイエットビジネス」可能性研究レポート
http://www.project-garage.com/hbr/theme/repo_men_diet.php

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