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<<今月のテーマ:米国ヘルス関連サイトのビジネスモデルを考える(1)>>
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【はじめに】

1998年末に米国では世帯普及率が20%を越えてEクリスマス(クリスマス
シーズンのインターネットでの販売高が店舗の販売高を越えたこと)が起き、
それから加速度的にインターネットを使ったビジネスが実利を伴って成立
してきています。
ヘルスビズは2000年夏に日本の世帯普及率が20%に達し、米国のようなパラ
ダイムシフトが起きはじめ、それから加速度的にインターネットビジネスが
成立していくと予測しています。

日本の健康関連の企業にとって、それまでにインターネットビジネスの準備
をいかにしておくかが大切になるわけですが、そのヒントとして米国の健康
関連のサイトをベンチマークすることはサイト構築の一つのヒントになり
ます。
ヘルスビズでは3回に分けてビジネスモデルの分析レポートを展開します。


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【米国サイトのベンチマーク方法】
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ベンチマークの手順は以下のとおりです。
1. 米国の健康関連の代表的ビジネスサイトを見つける。

2. 健康関連サイトの*ビジネスモデルの定義を行う。

3. 各サイトのターゲット分類(*BtoBか*BtoCか)、ビジネスモデル分類、
モデルごとの代表的サイトの概要をまとめる。

4. 各ビジネスモデルごとのサイトを具体的に紹介し、日本の代表サイトを
比較していきながら日本の健康関連サイトの構築のヒントを探る。


尚、今月号では上記1、2を行い、来月号からビジネスモデルを一つずつ選び
そのモデルの中で注目すべきサイトを特集していきたく思います。

※ビジネスモデルとは
ヘルスビズではビジネスモデルを「インターネットの強みを企業の強みと結び
つけて顧客の課題を解決する新しいビジネスのしくみ」と定義しています。

※BtoBとはサイトの顧客が「企業の担当者」であること
※BtoCとはサイトの顧客が「一般の消費者」であること


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【米国の健康関連の代表的ビジネスサイト】
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米国の健康業界のサイト動向をつかむ方法の一つとして、今回は健康とインター
ネットに関する展示会に注目しました。
1999年11月にニューヨークで開催された「e-healthcare」は米国で開催される
健康とインターネットに関わる特に規模の大きい展示会の一つです。
今回はこの展示会に参加した企業124社の一部を分析し、代表例を紹介してい
きます。

■e-healthcareに参加した企業一覧
http://www.ehealthcareworld.com/newyork99/exhibitors.html
※既にこの展示会は終了しているので早めにチェックされることをお勧めし
ます。

<参考までにその他の健康関連の展示会情報の一部>

●女性の健康と美容に関する展示会
http://www.womenshealthexpo.com/
●フィットネス・健康食品・健康機器の展示会
http://www.businessindiaweb.com/healthexpo/
●健康に生きるをテーマにした展示会
http://www.healthylivingexpo.com/
●インターネットを使った健康関連のビジネスセミナー
http://www.jup.com/events/forums/health/


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【健康関連サイトのビジネスモデルの定義】
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「e-healthcare」に参加した124社のサイトを見てビジネスモデルを以下の
ように分類してみました。

■BtoB

●企業向けマーケティングサポート型
健康関連企業の新規事業・新商品開発担当者向けにウェブを活用したマーケ
ティングサポート(情報収集やブランドロゴ制作)を行う。サイト上では
自社の得意分野のノウハウの一部公開したり具体的活用事例などを紹介して
いる。

<代表例>
http://www.dorlands.com/
Dorland's Directoriesでは簡単な健康業界リストから健康調査レポート、
製品分析リストなどを国内外から集めて販売している。

●企業向けウェブ企画・制作・運営サポート型
健康関連企業のウェブマスター向けにウェブの企画・制作・運営サポートを
行っている。

<代表例>
http://www.blairlake.com/
企業のコンテンツ制作からリサーチ、ウェブ経由の販売等などのコンサル
ティングを行っている。

●企業向けマーケットプレース型
健康業界の人のための情報源サイト。掲示板機能により自分の探したい取引
企業やニュースなどを得ることができる。サイトは企業からの広告収入で
成り立っている場合が多い。

<代表例>
http://www.caredata.com/
健康管理ビジネスを行っている業界人のためのポータルサイト。各種データ集、
業務提携先募集掲示板などがある。

●医療機関向けデジタル化サポート型
病院内での業務(診断、X線検査、処方箋、カルテ記録など)を効率化する
ためのソフトなどを販売する。サイト上では製品の案内が中心となる。

<代表例>
http://www.alteer.com/
医師向けに病院内のルーチンワークの効率化のためのソフトを提供している。

●医師向け専門情報提供型
医師の専門分野ごとの最新医療情報を有料で提供している。

<代表例>
http://www.cybear.com/
医師が治療情報をウェブを利用して有料で検索ができる。


■BtoC

●オンライン診察(アドバイス)型
質問(問診票など)がサイト上にあり、それに答えるとその場でアドバイス
(診察)を得ることができる。アドバイスに対し課金する場合とアドバイスは
無料で周辺のサービスで利益を上げるというパターンがある。またアドバイス
内容は一般的なものから個人にかなり合わせたもの(one-to-one的なもの)
まで幅広い。

<代表例>
http://www.healthbanks.com/
e-mailの手ほどきを受けた後、患者がオンラインで診察を受けたり相談したり
することができる。会員制。

●健康総合情報+コマース型
消費者にとって必要な情報を提供しその解決策の一つとして自社の製品や
モールを展開している。運営側にとってはサイトのコンテンツ制作にコスト
がかかるが、大量の訪問者を確保すればサイトの広告料も期待できる。

<代表例>
http://www.healthcentral.com/home/home.cfm
一般消費者向けに医療情報を提供し、医薬品の販売を行っている。

●限定病気情報+コマース型
ある特定の病気に絞った情報を提供し、その病気を改善する商品を幅広く
提供しようというもの。「健康総合情報+コマース型」のターゲットを絞った
型と言える。

<代表例>
http://www.diabeteswell.com/
糖尿病専門サイト。糖尿病の医学治療、ダイエット、運動、関連情報の提供を
行っている。総合的な治療プログラムを90日間限定で無料で利用できる。


■まとめ

日米における法律の違いはあるにせよ米国におけるビジネスモデルは日本の
ヘルスビジネスに重要なヒントを与えてくれることは間違いありません。

ビジネスモデルは8タイプに分けて定義してみましたが、それぞれのサイトを
細かく見ていくと重複するモデルや新しく定義した方がよいモデルがでてくる
ことも考えられますのでその都度注目していきたく思います。

日本での健康関連サイトのヒントを見つけるためにこの展示会に参加した
124社すべてのサイトを見て、
1.具体的にどのようなしくみで実利に結びつけようとしているか
2.サイトにより顧客(消費者)のどのようなニーズを解決しようとしている
のか
3.どのような点を改善すれば日本でのビジネスモデルになりそうか
を中心にその内容を次回号より分析していきます。

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