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●ビジネスモデル事例【Horizon Behavioral Services,Inc.】
 
 ~「従業員の悩み解決」を総合的にサポートするEAPサービス~
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米国では従業員の健康面を含む「いろいろな悩み解決」をサポートする
EAP(Employee Assistance Program:従業員援助プログラム)が、多くの
企業に普及しています。今ではフォーチュン500にリストアップされる大企業
の約9割が、このEAPプログラムを導入し効果をあげているといわれています。

本メールマガジンVOL41にて健康面を中心に従業員の悩み解決をサポートする
サイト「healthpause.com」をとりあげましたが、このサイトは主にサイトで
の情報提供が中心でした。今回紹介する「Horizon Behavioral Services,
Inc.」は、全米12,000名以上の専門カウンセラーや提携施設を最大限に活用
し、オンラインとオフラインでメンタルサポートをしているクリック&モル
タル型企業だといえます。


今回は、「Horizon Behavioral Services,Inc.」の事例を中心に、日本に
おけるEAPサービス展開の方向性を考えてみます。


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【Horizon Behavioral Services,Inc.の概要】 
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Horizon Behavioral Services,Inc.の概要は以下のとおりです。
■運営サイト名:Horizon Behavioral Services
■サイトアドレス:http://www.horizoncare.net/
■サイトのタイプ:B-B
■収益源:企業向けEAP提供(および健康保険会社向けプログラム提供)


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【Horizon Behavioral Services,Inc.の特徴】 
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Horizon Behavioral Services,Inc.の特徴は、オフラインでの「幅広い
カウンセリング」と、オンラインサービス「HorizOnline」での「セルフケア
情報」の提供といえます。

■特徴1:オフラインでの幅広いカウンセリング
健康面の悩みはもちろんのこと、家族の悩みや法律・金銭問題まで生活全般
に関するカウンセリング(電話受付は24時間体制・面談)を実施しています。

○カウンセリング内容
・Health and Wellness (健康面での悩み)
・Family (家族の問題)
・Workplace (職場の悩み)
・Personal Growth (キャリアアップの悩み)
・Marital/Relationship(夫婦・異性問題)
・Addictions (ドラッグ・喫煙などの中毒問題)
・Legal/Financial (法律・金銭問題)

同社では全米の12,000名以上の有資格カウンセラーおよび1,000ヶ所以上の
医療施設と提携し、従業員の多くの悩みにオフラインで対応しています。

■特徴2:HorizOnlineでの情報提供
また、同社はオフラインだけではなくウェブサイト「HorizOnline」での情報
提供も行っています。「HorizOnline」では、カウンセリングを受けた後、
できるだけ継続して自分で悩みを解決できるコンテンツを提供しています。

○サイトの主なメニュー
・Assesments(自己チェックツール)
・Library(最新記事や関連情報のライブラリ)
・Client Summit (同様の悩みを持つユーザー同士の掲示板)
・Training Programs (ストレスマネジメントなどのオンラインプログラム)
・Contact a Counselor(カウンセラー検索)
・Personal Advice(専門家へのオンライン相談)

※「HorizOnline(マイ・ページ)」の例
http://www.horizoncare.net/Horizons_Dev/dept_emotional.html

これらのコンテンツは主にカウンセラーに相談した後、自分でいかに継続的
に悩みを克服していくか、つまり「自己解決力向上」をサポートするツール
が中心です。メンタル面での克服は、一度カウンセラーに相談したから解決
するというものではなく、継続的に自分の力で克服することがポイントになり
ます。


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【日本におけるEAPサービスの方向性】
      
  ~オン・オフ共同のビジネスモデルが必要~
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■日本のEAPサービスの動向

日本でもEAPサービスを展開する企業はありますが、カウンセラーや提携施設
の数が少ない上に、相談内容の幅はあまり広くないのが現状です。また、
サイトの活用もそれほど積極的ではありません。

○日本の主なEAPサービス展開企業
・ジャパンEAPシステムズ
http://www.mhc.ab.psiweb.com/jes/
・グッドウィル・グループForesight事業部
http://www.gwf.co.jp/eap/index.htm
・マックスインターナショナル「EAPプログラム」
http://www.est.ac/easter/index.html

■日本におけるEAPサービス展開の方向性その1
            :専門家(専門企業)のネットワーク化

日本のEAPサービスは専門家(専門企業)をネットワークできていないため、
サービス内容が限定されています。一方、米国では専門家を組織化し家族の
ことから法律・金融問題まで(中にはペットの相談ができるEAPもある)
かなり幅広い内容の相談に対応しています。

したがって、日本ではまず「専門カウンセラー」のネットワーク形成が欠かせ
ません。医師や心理カウンセラーはもちろん、キャリアアップ相談のできる
人材コンサルティング企業、子供の相談ができる教育カウンセラー、投資など
の相談ができるファイナンシャルプランナー、税理士など、幅広い分野の
専門家との提携が必要です。

■日本におけるEAPサービス展開の方向性その2
  :オンラインを活用した自己解決力向上をサポートするツールの提供

悩みの克服はカウンセラーにすべて頼るのではなく、「自分で解決できる
ようになること」が最終的な目標になります。そのためには、一度カウン
セラーに相談した後、いかに自分で継続的に悩みを克服していくか、つまり
「自己解決力向上」をサポートをするツールが必要になってきます。

例えば、自分で悩みを簡単にチェックし整理できる「自己チェックツール」、
過去の悩みをどう解決したかを残せる「解決記録ダイアリー」、ネットの
「非対面・匿名が可能」という特性をうまく利用できる「悩みの情報交換
掲示板」などはオンラインならではのサービスメニューとなるでしょう。

既存のオフラインサービスをオンラインに単に置き換えても新しいベネフィ
ットをユーザーに提供しているとは言えません。ユーザーの最終的な目標を
考えてオフラインとオンラインをうまく使ってサービス展開を考えることが
重要です。


【参考サイト】

・労働者のメンタルヘルス対策に関する検討会報告書(労働省・2000年6月)
http://www2.mhlw.go.jp/kisya/kijun/20000606_01_k/20000606_01_k_houkoku.html


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