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●ビジネスモデル事例【健康B-Bビジネスモデル紹介(その1)】

     ~ 健康(疾病)管理プログラム販売企業編 ~
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「健康(疾病)管理プログラム」とは、各種健康課題(疾患)を抱える
人が質問に答えると、one-to-oneに近い形で医師や専門家のアドバイス
をオンラインで得ることができるしくみのことを指します。

米国では2001年までに、健康保険組織(ヘルスプラン企業)の3分の2が、
何らかの健康(疾病)管理プログラムを導入済みというデータもあり、
健康保険組織や企業に向けてプログラムを専門に開発・販売する「プロ
グラム販売企業」が存在し注目されています。

後程紹介する「American Healthways社」などは証券アナリストの格付け
も非常に高く、2002年度は利益が倍増と予想されています。
http://money.iwon.com/jsp/nw/nwdt_rt.jsp?section=news&news_id=reu-ncl351832&feed=reu&date=20011221&cat=INDUSTRY
(URLが切れる場合はコピーペーストをお願いします)

今回は、今注目の「B-B健康(疾病)プログラム販売」の代表的企業を
紹介します。

【参考】
・プログラム販売企業のリンク集(Health and Disease Management)
http://www.carodottore.it/inglese/e-health_universe_am_120600.htm


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■その1:Alere Medical社
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Health Industries Research Company社が提供する「プログラム販売企業
ベスト10」の一つ。同社のプログラム「AlereNet System」は、心臓病患者
に小型の家庭用モニター機器「DayLink Monitor」を提供、患者は測定した
心拍・体重などをデータ送信し、その結果を医師がモニタリングしアドバイス
を提供するしくみです。

・サイトアドレス: http://www.alere.com/welcome.html
・会社設立:1996年
・ターゲット:病院・ヘルスプラン組織
・主要顧客:Glendale Memorial Hospital、HealthPartners社など
・特徴:
「DayLink Monitor」では、テレビ電話を備える健康機器を使い医師との
コミュニケーションが可能。患者はパソコンを使う必要がないため、操作
が簡単。IT機器の苦手な「年配の患者にも配慮された」最新のモニタリング・
プログラムといえます。


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■その2:American Healthways社
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American Healthways社は、昨年DMAA(米国疾病予防協会)のアワードを
受賞し、今年度の売上も好調と予測されている成長企業です。プログラムは、
糖尿病・心臓病・喘息患者向けに各種用意されており、患者が入力した
データに基づき医師・研究員が中心となって作成したアドバイスを提供する
というものです。

・サイトアドレス: http://www.americanhealthways.com/
・会社設立:1981年
・ターゲット:病院・ヘルスプラン組織
・主要顧客:Cigna社、Blue Cross and Blue Shieldなどの保険組織

・特徴:
プログラム開発において、Johns Hopkins University(研究機関)やCapGemini
Ernst and Young社(医療コンサルティング企業)など第三者機関と提携
しています。またサイト上で、プログラムの効果を実証する具体的データ
を豊富に公表している点にも注目できます。

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■その3:WellMed.com社
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健康管理プログラムを大手健康関連サイトを中心に販売する企業。
「Personal Health Manager」と呼ばれるプログラムは、健康チェックから
管理・改善までを網羅しており、その提供先は健康サイトだけでも30社以上
にのぼっており、携帯電話で同プログラムを利用できるサービスもあります。

・サイトアドレス: http://www.wellmed.com/
・会社設立:1981年
・ターゲット:健康サイト、企業(団体)
・主要顧客:大手ウェブサイト(BabyCenter、iVillage、allHealth.com 、
more.comなど)、企業(3Com、3M、General Millsなど)

・特徴:
その1(Alere Medical社)、その2(American Healthways社)が主に
「生活習慣病になった人」をターゲットとしているのに対し、WellMed.comは
「予防したい人」をターゲットにしています。個人向けプログラム(ライフ
スタイル改善プログラム)では、禁煙・食生活・運動・妊娠などのテーマ毎
に基本知識から、実践、モチベーション維持までを、クイズや豊富なビジュ
アルを用いながら楽しく解説しています。


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【日本での可能性】
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■米国の健康(疾病)管理プログラム販売企業が好調な要因には、医療デー
 タの電子化が進み情報基盤が整っている点や、診療コスト削減と顧客サー
 ビスの両立を図りたい病院や保険企業の存在をあげることができます。
 また、2010年までに米国民の40%にまで増加すると言われる生活習慣病患
 者自体の増加や予防意識の高さなども考えられます。

■これらの企業を分析してみると、対象とするユーザーの「疾患レベル」に
 応じたプログラム開発を行う必要があると言えます。

 (例)
 
 1.生活習慣病にかかっている人向け(治療中の人:主に50~60代)

  Alere Medical社では、ユーザーがネットにあまり得意でないことを前
  提にデータ送信の操作性をあげ、テレビ電話を活用したアドバイスを提
  供しています。この世代には、アドバイスを行うまでのしくみを「どれ
  だけ複雑にしないか」が最大の課題になります。


 2.生活習慣病になりかけている人向け(例えば、検査等でコレステロール
  値が高いと言われ生活改善を必要としている人:主に40~50代)

  American Healthways社では、検診データを常時ストックしながら経過
  を医師と患者が共有できるしくみになっています。日本でも、例えば企
  業で行う健康診断の結果をストックし、医師(フィットネストレーナー
  や栄養士も含む)と共有・活用していくしくみをもったプログラム開発
  が必要とされるでしょう。
 

 3.生活習慣病予備軍向け(例えば、今はどこも悪くないが生活習慣がかな
  り不規則な人:主に30代~40代)

  WellMed.com社では、単にプログラムでアドバイスを送るだけではなく
  クイズなどを使った「予防のための教育コンテンツ」や「モチベーショ
  ン維持コンテンツ」が揃えられています。また、この世代には携帯電話
  を使った健康プログラム提供の可能性もあります。1、2に比べプログラ
  ムの必要性を感じないターゲット層だけに「プログラム以外のコンテン
  ツ」のユニークさが重要となります。

■日本でも健康(疾病)管理プログラムのB-B販売を行う企業が出始めてい
 ます。one-to-oneに近い形で医師や専門家のアドバイスをもらえることは
 非常に魅力的であり、今後更に健康(疾病)管理プログラムを積極的に開
 発する企業の出現が期待されます。


【参考】

カリフォルニア・ヘルスケア基金「E-Disease Management」レポート
(2001年11月)
http://ehealth.chcf.org/view.cfm?section=Industry&itemID=4637

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